カレー(足立朱里)
「大丈夫でしようか?」
家出娘は幼馴染の心配をしてくれてる。
「大丈夫。アイツ、病気に強くてインフルエンザでも、次の日に来るような奴だから。」
「それはダメです。迷惑です。」
「だな。」
軽いジョーク。怒る彼女。これでいい。
「それにです。今日会った時からだるそうにしてました。」
「風邪かな?後で様子見には行くよ。」
「そうして下さい。」
これで美咲の件はいったん終了。
「じゃ、カレー食べるか。」
「あ、はい。よそいますね。」
2人分のカレーの準備が出来る。
「では、いただきます。」
「どうぞ。召し上がれ。」
彼女は俺の様子を伺っていた。カレーだし失敗なんてあり得ないたろう。一口食べて見せる。
「どうですか?」
「予想以上に旨い。2杯目確定だな。」
その感想を聞きき作った本人も口にする。
「良かった。美味しいです。」
「おー見直したぞ朱里。」
「あ、ありがとうございます。」
暫く無言でカレーを食らう。時より一人言の『旨い』を連発する。実際に美味しいのだ。
しかし彼女は
「う、ううあーーう。うあー。」
突然泣きだした。
「ど、とうした?」
意味がわからん。
「だって、だって、最後なのに嬉しいことばかりなんだもん。」
「うわーーーん。うわーーーん。」
朱里はまだまだ子供だ。
彼女隣に座り泣き止むまで抱きしめた。
「嬉しいことばかりで良かったなぁ。」
彼女をあやしていたため、合鍵をもつ来訪者には気づかなかった。
「アニキの犯罪を止めに決ました!なにやってますか~」
「ども。」
驚き、抱きしめていた彼女を解放した。
「お前らチャイム鳴らせよ。」
美咲の呼んだ助っ人はとは我が妹、蘭と先日、結婚する事となった北沢君だ。
「え?え?え?」
家出娘は予定外の来客に戸惑っていた。
「足立朱里と言います。今日は恩返しに来ています。」
「私、コイツの妹。そして彼はフィアンセ。」
「はあ。」
面食らっている朱里。
「朱里ちゃん年は?」
「17です。」
「アニキあと3年。我慢。」
「おい。その冗談聞き飽きたが。」
何故俺の周辺はこんなのしかいない。
「今日で最後です。彼女さんに謝りたかったけど体調不良で残念です。」
「か、彼女?誰?」
「お隣の美咲さんです。」
「あぁ~。」
俺と朱里で必死で説明する。なんとか二人に理解はしてもらえたようだ。
「折角来たんだ。カレー食べてけよ。朱里いいよな。」
「はい。たくさん作りました。」
4人分のカレーが食卓へ並ぶ。俺は2杯目。
「どうぞ。召し上がれ。」
その言葉を聞き一斉に食べ始める。
「おいしい。」
「おいしいです。」
将来の夫婦の感想。
その感想を聞き楽しそうな朱里。平穏でいいな。
夕飯が終わり、蘭と北沢君が朱里を送る手筈となった。
「じゃ送って行くけど、後片付け頑張れ。」
仕切る妹。
「あいよ、気をつけて。」
簡単に返す兄。
「ま、待って下さい」
声上げる朱里。なんだ?
「最期に、だいだいさん。いえ大和さん大好きです。」
「ゴメン。要望には答えられない。」
言葉がスーと出てきた。
「ありがとうございます。では。」
これは彼女なりのケジメなんだろう。3人を送りだした。
部屋に戻る。おい、こら。お前は誰の守り神なんだ?
美咲忘れ物。黄色いくまに何故か八つ当たりしていた。




