牛丼 (森下一華 林原立夏)
特訓が始まる。鬼コーチ森下一華さん。
「足が違う。ナチュラルターンこう。」
「一華。鬼ィィィ。」
ひたすらステップ練習。そして、俺と踊るの繰り返し。
たまに、見本を一華と踊る。俺、一番ハードなんじゃねえ?
合鍵を預かっており。深夜までダンスレッスンが続いた。お陰で全員。帰宅難民と化した。
「しょうがない。三人でラブホ行きますか。」
さらっといい放つ一華。
「一華。ダメ。」
反論の林原さん。
「いいじゃない。三人で楽しみましょう。」
「え。」
絶句。大ダメージの林原さん。助けるか。
「漫画喫茶に行きますか。全員個室で。」
「カップルシートがいいなー」
「却下です。」
一華の意見を一刀両断してやった。
「うふふ。楽しいですね。とりあえず。ご飯を牛丼ちゃんで済ませませんか?」
「だねー」「だな。」
扱かれたはずの林原さんは本当楽しそうだ。
牛丼店での食事中、ダンスパーティーの話となった。
「大和さんは何故、断ったんだですか?」
「う~ん。何か方向が違うように感じたからかな?」
ダンスをやる切っ掛けは出会いを求めてだが、今はなんだろ?上手くなるのが楽しいから?
「一華さんは何故?受けたんですか?」
彼女はちょっとだけばつが悪そうだったが話だした。
「ダンスをはじめた理由って立夏の付き添いも合ったんですが、出会いってのも二人の目的だったんですよ。」
「一華。」
慌てる林原さん。水を飲み一呼吸する一華。
「でも、そんな簡単出会いはなくって。あ、大和は別。最高のパートナーだよ。もう少し出会いを求めていいのかなと思って。目の前の人、なかなか手強いし。」
そうか、彼女達も俺と同じ目的だったか。
そして、まだ出会っていない未来の旦那様を探すんだな。
「そうか、二人とも頑張れ。」
「立夏、頑張れ言われた~。本気で脈なし?」
脈か。タイミングがズレれはあり得たかな?ないか。
恐らくアレがなければ、おどおどした俺しかいない。
「脈って、一華それより、いつから二人は名前呼びになったんですか?」
不意に林原さんより質問が飛んだ。
「こないだの日曜日。温泉デートでしっぽりしてから。」
悪びれのない回答をする一華。
「一華、抜け駆け。」
「だって、チャンスと思ったんだもん。」
「ずるい!大橋さんいえ、大和さん。私も名前で、そして日曜日デートしましよ。」
「だーめ。土曜日に相手見つけてください。」
女性達も大変だ。デートは悪くないけど、今は。
「立夏。特訓頑張れ。」
名前呼びで我慢して貰った。