社交ダンス 5回目
あんなことがあったあと、緊張の社交ダンス。
今日は新しいダンス、スローフォックストロットの練習だ。スローテンポで優雅に踊るダンス。
キモのステップはフェザーステップ。Let's dance.
いつものように基礎ステップだけ一時間。
その後いつものパートナーと踊ります。ここからだな。
「なーんか。どこ、間違ったかわからないですよね。」
一華がつぶやくように話掛けて来た。
「どこも間違ってないですよ。」
キレイにステップは踏めている。
「私も腰抜けでした。温泉の中で『いいよ。』と言ってキスが正解でした。」
そっちの話か。あの場でキスであれば、止まることはなかったであろう。
「お互い疲れたんでしょう。車中の寝顔、可愛かったですよ。イダ。」
また踏まれた。
「失礼。」
無言でステップを踏む。
「大橋さん。森下さんちょっと来てください。」
先生に呼び止められる。
「今度の土曜日の夜。ダンスパーティーがあるんですか行きませんか?」
「どんなイベントですか?」
一華が質問する。
「ある程度踊れる、独身者の合流会です。今、内の教室には貴方達しかいないのよ。」
それってダンス合コンでは?
自分の予定を考える。料理教室の日。夕方なら行けるかな?
「すいません。遠慮します。」
俺は断った。今、他の人と新たに交流を広げている場合ではない。
「私は行きます。1人だと不安なので林原さんと行ってはダメですか?」
一華は行くようだ。
「かまわないけど林原さんはもう少しだけステップ上手くならないと。あと、知らない男性パートナーになるけど大丈夫?」
「パートナーの件は大丈夫です。技術は今日から特訓させます。大橋さんお手伝いお願い出来せんか?」
「あぁ。それくらい手伝うよ。」
ここから林原さんのパートナーとして一時間。
明日もダンス教室で特訓することになった。