料理教室 3回目
ぼーとしていた。
『ウソつき』
別れ際の言葉、あぁ俺は嘘ついた。あれがアイツの本音なのか?
俺はアイツのこと好きで、アイツも俺のこと好きだと思っていた。違うのか?
「痛っ。」
指を切った。
「あー何やってるんですか、すぐ流水で手洗って。」
青山さんに声を掛けられた。
教室は料理教室の日。メニューはとんかつ。
水道水で手を洗い終えると、青山さんが待ち構えていた。
「指出してください。カットバン貼ります。」
「ありがとう。」
「何か、元気ないですね。どうかしましたか?」
「いやー彼女と思っていた人が違っていたようで。とんでもないミスをしてようです。」
言葉にだすとなんとなくわかった。
アイツにとって俺は幼馴染で恋愛対象ではないんだ。そして抱いたんだ。
「好きだと告白しても、その人には気持ち伝わらなかったんですね。」
「え?言っていないかも。」
「え?告白しないで何故彼女?ストーカーですか?」
「腐れ縁の幼馴染だから。なんとなく。」
「それ、ハッキリ言葉に出せば関係変わって来るんじゃないでしょか?」
「はいはい。青山さん大橋さん。手が止まってますよ。油の温度確認。」
「すいません。」
料理教室中だ。集中集中。
そうか、俺はアイツに大事なことが抜けていたのか?
それなら伝えてよう。俺の気持ち。・・・・断られたら?恐いな。でも今の関係ではダメなんだ。