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幻想冒険譚:科学世界の魔法使い  作者: 猫フクロウ
局と魔法と原石たち
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外伝:魔道士の秘密

(人に亜人…あれロボットか?ホントに女だらけだな)


食堂に集まる人達を見ていると頭を小突かれた。


「あんた、レディをまじまじと見るなんて失礼よ」


後ろを確認すると、いつもの二人が居た。


「いろいろと確認してるだけだよ」


「何を?」


「この前ミナから教わったこと」


「ああ、魔道士には女性が多いって話か?」


「そ、何で男女でこんなに差が生まれたんだろうってね」


「それ、何かの論文で見た覚えがあるわ。…えーっと…」


「脳の構造の違いってやつ?」


「そう!それ!」


「どういうの?」


良く理解してそうなミナに説明を求める。


「男と女では脳の使い方が違うから、微妙に構造が変わると言う論文だ。

男は論理的で力を中心に使い、女は感覚的で言語を中心に使うと言われている。

これは脳で使用される部分が違うから男女で脳の構造が自然と変わると言う意味だ」


ミナが論文の内容を簡単に説明する。


「魔法はイメージと言う感覚的な使い方をするから女性向きな使い方と言える。

だから魔道士は女性の割合が多いとされているんだ」


「へえ、だから男の魔道士は少ないんだな。ってことは魔法に関しては女が優位ってことなのか?」


「いや、そうとは限らない」


「歴史的に見ても著名な魔道士って男性が多いのよ」


「へえ、どんな人がいるんだ?」


「そうねぇ、今現在最強って言われているのはジギタリスの兄君よね」


「ジギタリス?」


「前に麗王(れいおう)について話したと思うが、その一角の貴族だ」


「へぇ、ジギタリス…か。見てみたいな」


「やめておきなさい。妹君がかなり気難しい人で、兄君を見るだけでも後で面倒な事になるわよ」


「えぇ…面倒事が付いてくるなら諦めた方がいいな」


「そうしな」


「他にはどんな人がいるんだ?」


「あと麗王(れいおう)をまとめているアセビ様と、

綺貴(きき)七剣徒(セプトレア)に二人…あ、先代の筆頭も男性だったわ」


「昔話だが、君の前の地球人にも男性がいたと聞くぞ」


「思ってたよりもすごいところにいる人ばかりだな」


「そうね、良い方で有名、悪い方で有名、どちらも名立たるメンバーよね」


「もっと身近な人はいないのか?」


「アルフォートさんは昔、“鬼神”って言われるほど強かったと聞いたな。

あと藤躑躅(ふじつつじ)の君の父君は強くはないが、能力はかなり奇抜で有名だし、

“科学王”エンジャル、“竜王”マクニールと上げたらキリが無いな」


「……なんか変な二つ名がついてる人ばかりだな」


「変なって、地球じゃそういうの無いのか?」


「ない…いや、“発明王”エジソンとか言ったりするな。俺が違和感を感じるだけで普通なのか?」


「少なくとも私たちは普通だな」


「二つ名なんてあたしたち魔道士にもあるわよ」


「そうなの!?」


「ああ、ルーは“呪われた魔女(カースドウィッチ)”って言われてるよ」


「カースド…呪われたとか酷くないか?」


「まあ呪いと言う意味では合ってるし、あたしは気にしてないわ」


「文化や感覚の違いはまだ大きいな」


「ふふっ、そうね。あ、ミナの二つ名はあんたも気に入ると思うよ」


「ちょ!?それはやめろ!」


「ミナが焦るなんて珍しいな。どんなの?」


「“爆裂ロリータメイド様”よ」


「は!?」


「発破系の魔法をメインで使う事、見た目がお人形のように可愛い事。

そして面倒見が良くて家事を一通り(こな)せる姿がメイドみたいだかららしいわ」


「う…うわぁ、誰が考えたんだよ、そんな恥ずかしい事」


「恥ずかしいとか言うな!こっちだって恥ずかしいから言われたくないんだよ!」


「わかった。わかったよ、メイド様。プッ」


トウヤが吹き出したことにつられて、ルーも堪えられなくなった。


「おまえら~!」


三人の食事会は和気藹々(わきあいあい)としていた。




もう一つ気になることがあった。


「そういえば二人ともよく食堂で会うけど、その度に食べてるよな。結構な頻度じゃね?」


「は?あんたバカなの?あんたがよく食堂にいるから会うんでしょ?」


「食事以外で食堂に用事はな…君みたいに情報収集することも無いからな。食べて当然だろう」


「あ、いやいや、そういう意味じゃなくて、二人とも体格のわりにはよく食べるよねって意味」


「ああ、そっちの意味か」


ミナだけは理解したようでルーは怪訝(けげん)な顔をしている。


「魔道士と一般人の違いに食事量があるんだ。どうやら魔法を使うときに身体のエネルギーを大きく消費するらしい。

だから魔道士は一般人より大食漢であることが多いんだ」


「へ?でも俺は食べる量って普通だった気が…」


「それは地球にいた頃の話で、今より使い方が不十分だったから身体に影響が無かったんだろう。

今どれくらい食べてるかわかるかい?」


「え?え~と…」


時間の流れが違うので感覚的にだが、一日三食…いや長い時間寝てしまうことが多くなったから一日二食の日もある。


「トウヤくん、量で考えてごらん」


「え?量?」


突然会話に入ってきたジェシーさんに驚いたが、言われたとおり量で確認してみる。


今日食べたのはパスタ、フォカッチャみたいなパン、から揚げを追加したな。


「…あれ?」


そういえばパンやから揚げのお皿が地球で使ってたやつより大きい気がする。


そう思うとパスタの皿も大きい気がする。


「通常通りの一人前で注文してくれたものは、みんな一般的な量より多いわよ。気付かなかったの?」


「え!?ええ~!?」


ジェシーさんの答えに衝撃を受けた。


「から揚げのタワーに目を輝かせていたわね。トウヤくん可愛かったわよ」


ルーの眉がピクリと動いたのは誰も気づかなかった。


「この前おやつとしてパフェ食べてたけど、あれも通常より大きいわよ。幸せそうな顔で食べてて可愛かったわぁ」


ルーは何かを抑えるのに必死だった。


ジェシーの話はあまりにも衝撃的でトウヤにの耳には全く入っていなかったが、

食事量は二倍以上に増えているということだった。




「ふ、太るかもしれない」


「ないない。そんなこと言ったら同じ量食べてる私たちも太るでしょ」


「そうよ、そんなの気にしなくても平気へーき。

でもどうしても気になるっていうなら、あたしが一緒に修行付き合ってあげるわよ。

そんで、ご飯も一緒に食べてあげる」


「……ルー、何企んでる?」


「べ、別に何も企んでないわよ」


長年一緒にいるだけあって、ミナにはルーの企みを見透かしそうだ。


「しゅ…修行だけでいいよ。…何か食べるのが怖くなってきた」


「おいおい、体づくりも修行の一つだぞ。そんなので大丈夫かい?」


「ってか太るの気にするとか女子?あんた女子なの?」


「野郎にだって太るのがイヤなやつもいるよ」


「なら修行やクエストでしっかり動いて、普通に食事すればいい。そして自己管理出来るようにしな」


「…はい……」


「しっかしさっきのにから揚げは余計だったんじゃない?何で追加したのよ?」


「え?そりゃあ…好きだから欲しいに決まってるじゃん」


「好きだからたくさん食べれますって?」


トウヤは頷く。


「ま、まあ君はまだ小柄な子供だから好きな物食べてある程度大きくなればいいよ」


「横じゃなくて縦に大きくならないと意味ないがな」


「そりゃそうだ。ま、済んだことを言っても仕方ない。これから先を見据えて気を付ければいいさ」


「そうだな」


こっそり記録した。“トウヤは甘いものとから揚げが好き”


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