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幻想冒険譚:科学世界の魔法使い  作者: 猫フクロウ
局と魔法と原石たち
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ゼロから始める魔法世界生活

トンネルを抜けると、そこは不思議な魔法世界……




と言うことはなく、どこかで見たことがあるような光景だった。







魔法世界で暮らし始めて二日。時間の流れが違うのでここではまだ一日だが、

思ってた魔法世界とはだいぶかけ離れていた。


オートメーションによるロボット作業やお金のやり取りで使う電子カード。


自動販売機に元の世界を思わせるインスタント食品の数々。


初めは疑ったが人だかりを見て魔法世界を実感した。


この世界には亜人と呼ばれる、人間とその他の生き物が合体したような人もいる。


犬や猫の亜人、蜥蜴や蛇の亜人も見たことで少しワクワク感じてしまい、

いつも通り勝手にフラッと出かけてしまいそうになった。




ファイゼンが仕事を頑張ってくれたようで、住む部屋やここで生活するための最低限の用意は出来ていた。


驚いたのがみんなが話してた言葉、実は自動翻訳魔法で翻訳した言葉だったのだのだ。


実際に翻訳魔法を使わなかった場合、何言ってるかさっぱりわからなかった。


(ポーラとファイゼンは英語っぽくて、リーシャは韓国語か中国語のような喋りをしていたな)


そんなことを思い出しながらトウヤは食堂にいた。




「ぐぬぬぬ……」


食堂のメニュー表の前で思わぬ障害に出くわした。


翻訳機能で文字や言葉はわかる。ポーラから預かった電子カードで買い物も普通に出来る。


カードはかざすだけだから使い方は問題ない。


だが……




魔法世界の物の名前は全く分からなかった。




ポーラはティアと言う女と後でデバイスの買い物に行く話をしていた。


原因が俺との戦闘だったことに少し申し訳さを感じ、

自分が創ったデバイスでよかったらとプレゼントしたら喜んで演習場に向かった。


ついでに一緒にいたティアにも、

挨拶代わりにデバイスをプレゼントしたら彼女も喜んで演習場に向かった。


リーシャは後輩魔道士の指南役でいないし、ファイゼンも別件の仕事でいない。


昨日まではポーラ達に任せていたので、一人だと何もわからないことに気付けなかった。




「シスギリニ?リポナタン?バーハング?何の料理かわからないな。せめて写真があればなぁ」


そんなこんなでしばらく悩んでいると、


「ちょっと、注文しないならどいてくださらない?」


と後ろから声をかけられた。


声の主を確認すると、いかにもお嬢様と言う感じの女が立っていた。


「ああ、すみません、悩んでしまって」


「バカじゃないの?お子様じゃないんだから」


(いや、俺12なんだけど)


そう思いながら女に順番を譲った。


「あ、今日のおすすめおいしそ~。あ、こっちもいいな~。ああ、迷っちゃう~」


上半身を前に倒しお尻をふりふりさせながらメニューを覗き込む女。


「迷うのはバカなお子様とかさっき言ってなかったか?」


思わず言ってしまったセリフに女は驚く。


「ば、バカ!迷ってないわよ!」


「すごく迷ってた。あとお尻を振ってたから気をつけなよ、ルー」


いきなり黒いローブ姿の女が現れた。


「み、ミナまで変なこと言わないでよ」


慌ててお尻を両手で隠すがもう遅かった。


「み…見た?」


ルーと呼ばれた女は顔を赤くしながらトウヤに聞いてきた。


「はあ?」


ミニスカートで前かがみになってお尻を振って見えるものと言えば……




察しがついたが見えてない。




「くーまさー」

「きゃああああああああああ!!」

「ぶーーーーくすくすくす!」


ミナと呼ばれた黒ローブ女がどこか遠くを見ながら言った言葉に、絶叫と笑いが重なった。







「あんたたち、今度食堂で騒いだら承知しないわよ」


非常に体格のいいおじさん…もといお姉さんに野太い声で注意された。


トウヤ、ルー、ミナは正座をして忠告を聞いていた。


ルーに関してはお姉さんから一発拳骨を貰っている。


「あんたのせいで散々な目にあったじゃない」


「それはこっちのセリフだ。何も見てねぇのに何でこうなるんだよ」


そう言いつつトウヤは思い出して笑いそうになる。


ルーはまた声をあげそうになったが、お姉さんの一睨みで黙る。


そしてお姉さんは大きくため息をついた。


「今回はこれで許してあげるけど、今度カウンターの前で騒いだら承知しないわよ」


トウヤとルーはかるくふうと息を吐くが、ミナは全く無表情だった。


(ルーってのは感情的だが、ミナってのは全く感情が読めないな)


まるで正反対な二人だが一緒にいるってことは何かしら気が合うのだろうか?


そしてこのおじ…お姉さんは逆らわない方が身のためだろう。




ふとお姉さんがあることに気付いた。


「あんた、もしかしてポーラのとこの新人!?」


この一言で食堂全体がどよめきだした。


「あれが!?」


「え?やばいやつじゃん」


「大丈夫なの?」


一瞬でトウヤに奇異の目を向けられる。


さすが嫌われ者の地球人。噂は局内全体に伝わっているようだ。


そしてこれで顔もバレてしまったから歩くだけで避けられるだろう。


これにはさっきまで話してた二人も驚いたようで、

無表情だったミナも驚いた顔をしてるし、ルーは後ずさりまでしている。


「チッ、今のはあたしが悪かったわね」


お姉さんがそう呟くと


「あんたたち!ふざけたことしてるんじゃないわよ!!」


と食堂にいる人達を大声で一喝した。


そして声が食堂に響き渡ると同時に食堂は静まり返った。




「おいで、新人ちゃん。お詫びさせて頂戴」


「別にかまいませんよ。あれら程度に負けるつもりないんで」


地球でも孤児と言うだけで奇異な目で見られてた。それと大差ない。


「あら、言うじゃない」


お姉さんはニヤッと笑うと厨房へ入った。


「あなたが良くても、あたしの気が済まないのよ。何でも言って、あたしがご馳走するわ」


「と言われても、名前見てもどんな料理か全然分からないんですよね」


「あら、そうだったの?じゃあ…いろいろな料理をちょこっとずつ食べれるようにするわ」


「あ、それ助かりますね」


「ついでに写真と名前を送っとくわ。そうすればどれが何ていう料理か解かるでしょ?」


「うわ、めっちゃ気が利きますね、ありがとうございます」


「いいのよぉ~」


男なので正直お姉さんがくねくね動いてる姿は気持ち悪いが、好感が持てる人だなと感じた。


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