外伝:初めの話
今から数千年前、世界はまだ弱肉強食と言われる世界だったころ、
その頂点に立っていたのは人だった。
人は武器と知恵という力でありとあらゆる生物を狩り、繁栄を極めた。
そしてその中でも特に男は大きな力を持つことができ、大きな支配力を得ていた。
男は生きるために獲物を狩り、繁栄のために女を得て王となった。
王は他の男に力の使い方を教え徒党を組み、
王以外でも獲物を狩れるようにし、狩れた者に女を与えた。
そして女は子を成し育て繁栄を支える。この繰り返しと年月をかけ、大きな国となった。
ある日男でも狩れない生物が現れた。その生物の出現で国は崩壊の危機に瀕した。
王たちは焦った。このままではこの生物に滅ぼされると。
そこに悪魔の囁きが届いた。弱者を使えと。
その悪魔のささやきに従った王たちは女を犠牲にしようとした。
しかし繁栄のためには女は必要であることは理解している。そこで弱い男も犠牲にした。
そこからは阿鼻叫喚の地獄絵図。
逃げ惑う者、他者を弾圧する者、絶望し死を待つ者、一矢報いようと奮い立つ者もいた。
しかし状況は何も変わらなかった。
いよいよ絶滅の時が来た。逃げた者はどうなったかわからない。
一矢報いようとした者は皆死んだ。ここには絶望し死を待つのみの男女しかいない。
すぐそばにはあの誰も狩れなかった生物が集団でいる。もう終わりだ。誰もがそう思った。
その生物たちが男女を見つけ襲い掛かる。絶望した男女に抵抗する力はない。
そのうちの一人の少女が捕らえられた。少女に抵抗する意思はない。
自分の三倍近い大きさのその生物に抗う術はない。
生物は頭から丸呑みにしようと大きく口を開ける。
その瞬間、少女は死への恐怖に襲われ、生きたいと願った。
そして爆発的な光に包まれたかと思うと生物が飛ばされていた。
その光景を見た他の生物たちも一斉に少女に襲い掛かる。
しかし皆光に包まれ、少女に触れることなく宙を舞い地面にたたきつけられた。
生き残った者は歓喜し、少女を称えた。
後に少女は生き残った人と共に生き残るすべを学び、彼らと協力し安住の地を手に入れた。
そして少女はこの力を彼らにも分け与え国を作り直した。
今度は全員で手を取り合い、助け合うということを信念として。