表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想冒険譚:科学世界の魔法使い  作者: 猫フクロウ
黒の反逆者たち
135/304

落下するモービル

落下するように走るモービルは通常よりも早く走ることが出来た。


全員で残りの魔力を全て送り、モービルを全力で走らせる。


しがみついていないと振り落とされるほどだ。


だが……


「重さが足りにゃい!重い物を作るにゃ!」


モービルも宙を浮くように走るギアのため、見た目よりずっと軽い。


その影響で空気抵抗と出力が一致してしまい、これ以上速く走れなくなってしまった。


「重い物……鉄……だけど……」


鉄の生成が得意なファイゼンはまだ目覚めていない。


もう一人の具現化系が得意なライは、落下する爆弾を止める巨大なパラシュートと、

動きを固定する物を作らなければならない。


残り魔力の少ないライに負担はかけれない。


「リンシェン!屋根なら平気よね?」


モービルは構造上、屋根に大切な機器は配置しない。


「うにゃ?にゃにするにゃ!?」


運転するリンシェンの許可を待たずに、セレスは屋根にデバイスを突き刺すと左に回した。


ドコッ!と鈍い音が響くと、モービルは速度を上げた。


「何を!?ってか熱っ!」


ルーは思わず壁から手を離した。


炎の棘(フルンド)のもう一つの能力、熱砂を使ったのよ」


大量の熱砂を纏わせモービルの重くさせたのだ。


「うにゃあ!これでもっと早くなるにゃ!」


機体の重さが増えたことでさらに落下速度があがる。


「う、うにゃあ!やっぱり造ったものを壊したくにゃいにゃ!」


今さらながらリンシェンが躊躇い始めた。


丹精込めて造ったモービルだ。愛着が湧くのは理解出来る。


「今さら何言ってるのよ」


「そうだ!価値ある最後だ!」


ルーとミナはそう言うと無理矢理アクセルを踏んだ。


「うにゃああ!ろくでなしぃ~!!」


無情な行動にリンシェンの叫びが響く。




「見えた!」


ミナは画面越しに目標物を発見する。


なんとか落下する爆弾に追いついたが、ここで新たな問題が生まれる。


「ちょっと!通り抜けないといけないんでしょ!?通れないじゃない!」


ルーの指摘通り、爆弾が大きすぎてモービルだと衝突してしまう。


「屋根なら問題ないだろ!全員伏せろ!!」


セレスはデバイスを操作すると、砂がモービルの屋根部分を破壊した。


「うにゃあ!おいらのモービルが!」


持ち主であるリンシェンは嘆いたが、これでモービルの大きさは半分になった。


重さも軽くなったが、空気の抵抗面が減ったことで爆弾をゆっくりと追い抜くことが出来た。


「今だ!!」


合図と共にセレス、ティア、フウ、ライは爆弾に飛び移る。


「これを巻いて!」


網状の物を使い手分けして爆弾を覆う。


そして覆い終わったらライは頂点からパラシュートを出し爆弾を止めようとする。


「止まれ!」


パラシュートの影響で壁にぶつかりそうになるが、フウの操作系の力で何とか当たらずに済んでいる。


「止まれ!」


ティアは自分の残り少ない魔力をフウとライに分け与える。


「止まれ!」


「ライ!網に大量の綿を作れ!」


セレスは最後の手を指示する。


ライはセレスの指示に従い爆弾を覆う網に大量の綿を作り出し爆弾を覆った。


綿がチューブラインの壁と擦れる。


内部を完全に覆う綿は落下スピードを緩め、そして止まった。


「「と、止まった~!」」


双子同士、息ぴったりの台詞で喜ぶ。


「まだ早いよ。この後トウヤが通るんだから道を空けて固定するのよ」


セレスは喜ぶ二人を制する。


「セレス」


ティアは何か言いたそうだが、セレスにも解かっていた。


「ああ、わかってるって。よくやったな、二人とも」


その言葉に、フウもライも泣きながら喜んだ。


「あはっ、まだ子供だから泣いちゃったよ」


ティアもとても嬉しそうに笑っている。


「やれやれ……」


そう思いながらもセレスの表情も笑っていた。




「そ、そう言えばこれどうやって止めるの!?」


爆弾はもう通り過ぎた。つまりもう急いで降りる必要はない事にルーは気付いた。


「そんなもの、ブレーキを踏めば……」


ミナはブレーキを踏むが何も変わらない。


「す……砂の影響で壊れたにゃ」


リンシェンが告白する。とても大事なことを。


「え……」


「ええ!?」


「「ええ~!?」」


始まりは違ったが、最後にミナとルーの声は見事なハモりをみせた。


「チッ、相変わらずだなお前は」


リーシャはなぜか冷静だった。


「お前ら、ファイゼン連れて飛び降りろ。そろそろ飛行魔法でゆっくり降りれる高さだ」


その提案にミナとルーは即座に降りる準備をした。


「お、おいらのモービル……」


「まだそんなこと言ってんのかよ」


リーシャも気持ちは解らなくない。


先にファイゼンを抱えたミナとルーが飛び降りたのを確認するとリーシャは強硬手段に出た。


「いいからさっさと飛び降りろ!」


投げ捨てるようにリンシェンを降ろすと、リーシャはモービルとチューブラインを掴んだ。


「はあああああ!」


猛スピードで落下するところにリーシャというストッパーがかかる。


とてつもない衝撃がリーシャを襲っているはずだ。


体が千切れてもおかしくない事だ。


だが一際頑丈な身体をもつリーシャは平気だった。


そしてゆっくりと止まった。


「ほれ、お前が残したかった功労者だ。大切にしろよ」


「うにゃあ!」


リンシェンは大事そうに受け取るとすぐに片づけた。


「あ、相変わらず無茶苦茶な身体してるな」


「まあな」


壁と擦れ血が出てるがリーシャにとっては軽いけがだ。


「よかった~これでお終いね」


「ああ、あいつが降りてきたらな」


上空を見上げ、まだ残っている彼の身を案じた。




爆弾を固定し、退路を確保している最中にセレスは妙な音を聞いた気がした。


「なんか変な音しなかったか?」


「そう?」


ティアは気付かなかったようだ。


目で合図を送ったフウとライも同じようだ。


「気のせい……かな?」


もう一度爆弾を確認する。


カチ


カチ


「まさか!?」


嫌な予感がし、セレスは爆弾を調べる。


「これは……落ちたら爆発するんじゃない」


セレスは最悪な物を見つけた。


「この爆弾は落ちても……時間が来ても爆発する!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ