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幻想冒険譚:科学世界の魔法使い  作者: 猫フクロウ
黒の反逆者たち
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暗躍

リリスが戻ってくると戦闘はすでに終わっていた。


「みんな勝てたんだ」


「うにゃん!危なかったけどにゃ!」


まだまだ元気そうなリンシェンは無視して、倒れているルーを見た。


「う……ん……」


ちょうど目を覚ましたようだ。


「ルー、大丈夫か?」


ミナは膝枕で寝ていたルーの顔を覗き込む。


「え?……えぇ、だい!?」


ルーは驚くように構え、辺りを見渡した。


「もう終わった。なんとか勝てたよ」


「勝て……たの?……信じられない……」


「最後はリンシェンが持って行ったがな」


「うにゃん?おいらそんにゃことしてにゃいぞ」


「巻き込む形で持って行ったんだ」


「うにゃ、そうだったにょか?奪ってすまにゃい」


「い……いや、いいけど」


まあ結果オーライである。


ふと離れた空間が歪むのが見えた。


そして歪んだ所から見知った顔が現れた。


「よし!出られた!」


「はぁ……君たちがいなかったら閉じ込められてたわね」


「ホントはバーネットが解除してくれるはずだったんだけど……」

「さっきから繋がらないんだよね」


「ま、出られたんだ。ありがとよ」


見知った顔の他に見慣れない子供が二人いる。


「そっちも終わったようだね」


リリスはもう一組の仲間に声をかける。


「ああ、リリスがいるってことはトウヤもか?」


「うん、トウヤはファイゼンを助け出すために動いている。

それとポーラはこの上で戦ってる。でも助けるべきじゃないって……」


「どういう事だ?」


「なんか……ポーラが一人で片づけなきゃいけないことだって言ってった」


「……なるほど、わかる気がする」


セレスは納得した。


「ポーラはクレアの事を負い目に感じているし、クレアはポーラの事に納得してない。

だからクレアが納得するように解決しなきゃ何度でもこんなことしてくるでしょうね」


「それがクレアに一人で勝つってことか?」


「ええ、トウヤはそれを理解してファイゼンの救出を優先したんでしょうね」


全員でポーラが戦っているフロアがある上を見る。


「どう動く?」


「……リンシェン達は動ける?」


セレスは自分たちの戦力を確認する。


「おいらは帰りたいにゃ」


「……てめぇ、サボりたいだけじゃないのか?」


「嘘じゃにゃいにゃ、S級犯と戦ったからヘトヘトにゃ!」


「S級犯?」


元気そうに反論する姿はそうは見えなかった。


「その人の言ってることは本当だよ」

「テルシオとマンバって言えばわかる?」


敵方の仲間だった二人は相手が誰だか知っていた。


「テルシオとマンバ!?よく勝てたわね?」


数多の魔道士を返り討ちにした二人の強さは有名だった。


「……ちっ、まだ元気そうだがS級犯に免じてそういうことにしてやるよ」


リンシェンは隠れて小さくガッツポーズをした。


「すまないがルーもリタイアだ。マンバ相手に大金星だからね」


「ちょ、最後まで決めきれなかったんだから大金星じゃないわよ」


寝転がったままだがルーも大きな怪我は無いようだ。


「ミナは?」


「私はいける。不甲斐ない結果を残しちゃったからね、挽回しないと」


戦力的にはセレス、ティア、リーシャ、ミナ、リリスと言ったところか?


「フウ、ライ。君たちは一度、局預かりとなるからここでお別れだ」


「うん」「わかった」


今回(ブラック)ギルドから引き抜いた二人は、この後拘置所に送られ罪を問われる。


大量に人を殺したことも無ければ、クレアと同じくらいしか所属していなかったので、

大人しくしていれば、保護観察となり真面目に働けばすぐに自由になれるだろう。


「わたしはここに残ってないと。トウヤがファイゼンを送ってくるから」


クレアとポーラが戦闘中だったな。


となるとファイゼンは監禁されてると考えるのが妥当だろう。


つまり気を失っている、または眠らされている可能性が高い。


そしてトウヤはその監禁場所を探しだし、リリスの元へ空間操作魔法で送るということか。


クレアの事だ。最後に何をやるかわからない。不安要素を取り除くいい作戦だった。


「ならここにリリスだけでも居なければならないな。

ティア、すまないがここに残ってリリスを手伝ってほしい」


「わかった。気をつけてね」


セレス、リーシャ、ミナの三人がトウヤと合流。その後はファイゼン探しかポーラの見守りだろう。


「あ、あとこっちにもう一人いる」


リリスが何かを思い出し駆け出す。


「もう一人?ああ、バーネットか」


最初に顔を見せただけで見ていないということは、トウヤ達を閉じ込めてたのは彼だったのだろう。


部屋の扉を開け、中にいるはずの人物を探すリリスの目に、意外な光景が映った。




幸いなことに戦場を横切らずに格納庫にたどり着けた。


堅牢な魔法が道しるべになっていて、探すのは大した手間ではなかった。


セキュリティのため電子キーが設定されていたが、トウヤは自分の雷で電子キーの電磁波を作り出し、

難なく開けることが出来た。まさか昔試したピッキング技術がここで使えるなんて……


地球にいた頃の悪事も使い方によっては有効活用出来たので使っている。


が、さすがにもう犯罪行為は控えている。内容によっては時と場合をしっかり選べば許される。


部屋の中は荷物を置く棚状のものがビッシリ並んでいた。


量が多いので手こずると思ったが、探し物は人間だ。


魔力を垂れ流している物があれば、それは生物であると見極められる。


「これだな」


箱が重いので動かせないが、中身を確認すると、ファイゼンがカプセルのような機械の中で眠ってた。


「機械は……眠らせるための気体と空気のボンベか。本当にファイゼンを手に入れたかったんだな」


おそらく中は快適、害のある物を取り除いているのだろう。


機械のスイッチ部分を見つけたので押すと電源が止まったようだ。


「リリス、ファイゼンを見つけた。そっちに送るよ」


リリスとチャンネルを繋ぎ、念話で話しかける。


「トウヤ!?大変!バーネットが消えてる!」


「……そうか、でもプランは変わらずだ。バーネットは俺に任せとけ」


「それと、今からリーシャ達がそっちに向かうから」


「事情は話してるか?」


「うん、三人だけみたい」


「三人?」


「リーシャ、セレス、ミナ」


「そうか、ならリリスもファイゼンを送ったら局かチューブラインの地上付近で待機だ」


「え!?……大丈夫なの?」


「リーシャ達がいれば不安は無いだろ」


「……わかった」


少し不満そうに膨れてる姿が目に浮かんだ。


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