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幻想冒険譚:科学世界の魔法使い  作者: 猫フクロウ
黒の反逆者たち
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ボスラッシュ

大量の砲撃がセレス達を襲う。


火纏(かてん)(ほむら)(つるぎ)!」


セレスはデバイスに炎を纏い、砲撃を阻止しようとする。


リーシャは拳で弾き、ティアは同じ砲撃で相殺しようとする。


(間に合わない!)


セレスの魔法は段階的に付加するタイプ。


そのため、攻守バランス良くするためには二度三度使わなければならない欠点がある。


鎧と足の付加を使う前に砲撃がとどいてしまった。


やむを得ず剣の強化のみで砲撃を弾く。


(なんて量だ!)


視界全体を埋め尽くすように砲撃が放たれている。


防戦一方だった。


「ティア!援護を!」


「わ、わかってる。・・・けど~・・」


ティアの方も砲撃の嵐。自分を守るだけで援護する余裕は全くなかった。


(どうする)


相手は機械。このままでは一方的に消耗するだけだ。


「セレス!ティア!一緒に固まるんだ!動けるか!?」


「む、無理だよ~動けない」


同じ砲撃の嵐でも、弾くだけのセレスとリーシャと違い、

ティアは砲撃に砲撃を当てなくてはならない。


セレスとリーシャよりもより素早く動かなければ砲撃を打ち落とせない芸当は、

ティアにとってギリギリの攻防だ。


リーシャは一瞬手を止めるとティアの方向に動き出した。


「リーシャ!?」


動けないティアに代わり、リーシャが動いたのだろう。


「あぐ!?」


リーシャの身体に数発の砲撃が当たる。


しかしリーシャは止まらずに動き、ティアの隣で砲撃を弾き始めた。


「リーシャ、ごめん!」


「うちの身体は頑丈だ!気にするな!」


リーシャとティア、並ぶことで互いの守備範囲をカバーし動きに余裕を持たせる。


「よくやった!」


ジリジリと移動して近づいたセレスも合流する。


互いにカバーし合うことでさらに余裕が出来た。


火纏(かてん)(ほむら)(よろい)!」


セレスはさらに防御性能を上げる。


「リーシャ、怪我の具合は?」


「うちには軽い攻撃だった」


身体が特別頑丈なリーシャで軽い攻撃。通常ならそれなりに効いていただろう。


「大型が二機来てるよ、たぶん強力なやつ」


「そいつらは私が引き受ける!リーシャはティアを狙撃しやすい場所へ!」


「わかった!」


火纏(かてん)不知火(しらぬい)の軌跡!」


さらに移動力を上げ回避しやすいようにすると同時に、セレスは飛び出した。


弾き、守ることしか出来なかった先程より、回避性能が上がっただけで格段に動きやすくなった。


回避と同時に間合いを詰めることで徐々に大型機体に近づく。


砲撃は撃つ、溜める、撃つ、溜めるを一定の間隔で行っている。


(さすが機械だ。間隔がわかりやすい)


撃った直後、溜めるタイミングで距離を詰めると、機体に重い一撃を放った。


火纏(かてん)煌炎(こうえん)の導き!」


デバイスを機体に突き刺すと同時にデバイスを右に回した。


すると機体の内部が膨れ、爆発。中から渦を巻いた炎が飛び出した。


そして炎の渦は周囲の機体も巻き込み破壊していく。


「うん!上出来だ!」


訓練では何度も使ったが、実戦投入は今回が初めてのデバイス。


セレスが考え、トウヤが創りだした刺突剣“炎の棘(フルンド)”。


地球の神話に出てくる名前らしい。


刺突と言う攻撃に加え、剣を回すことで二種類の属性変化を加えた放出系も熟すデバイスだ。


セレスの魔法、火纏(かてん)は放出系の効果を使うと強化効果まで失う欠点があったが、

トウヤのデバイスを使えば強化効果を失わずに放出系が使える。


またデバイスの放出系は火纏(かてん)の放出系と異なるため、戦術の幅が増えたのも嬉しい仕様だ。


二機あった大型の片方を倒したことで大量の砲撃の嵐に一時的な穴が生まれた。


その穴の中心にいるセレスは一気に距離を詰め、もう一機に炎の棘(フルンド)を突き刺し、同様に撃墜した。


「ははっ!お前もいいデバイス貰ったんだな!」


もう一機を破壊したおかげで、一時的に砲撃が止まった。


「おかげ様でね!」


返事をすると同時にリーシャの無事を確認した。


「こっちも負けられねぇぞ、鋼鉄の公爵(スティルダッチェス)!」


リーシャは拳を重ねると籠手型のデバイスが光る。


彼女もトウヤからデバイスを貰っていた。元々接近戦を熟す彼女にはもってこいの形だ。


「あのデカいのから現れたから、あそこを潰せば良さそうだな」


「そうね。機械は量産しやすいから、製造元を叩くのが定石でしょうね」


そう話している間に、新しい大型機がぞくぞくと現れた。


「ちょ!?何機あるのよ!」


「ティアはそのまま隠れて狙撃で対処して。デカいのは私らで叩くよ」


「おう!」


構え、大型機の元へ進もうとすると、下から黒い影が見えた。


そしてその影はリーシャに襲い掛かる。


「うお!?なんだ!?」


咄嗟に腕を前に出し、攻撃を防いだが続けて腕を下から突き上げるように攻撃された。


「しまっ!?」


腕が上に上がってしまい、体ががら空きになってしまった。


そしてお腹にキツイ一撃を受けてしまう。


「うっ!?」


「リーシャ!?」


吹っ飛んだリーシャを助けに入ろうとするが、増えた大型機や小型機から砲撃が放たれる。


「なにを!?」


影は相手の仲間と思われるが、そいつが居てもお構いなしに砲撃が撃たれる。


(仲間まで・・・!?)


影は撃たれてもその場所が貫通・・・いや、当たっても水のように弾けているだけだ。


そして影は何事も無いようにリーシャの元へ向かう。


(あいつには効かないのか!?)


砲撃によってセレスだけが足止めされている。


「リーシャ!お前を相手にするためのやつだ!用心しろ!」


「ああ、そうみたいだな」


念話で聞こえた声は無事なようだ。


「こっちはまだ手伝えない!堪えてくれ!」


「はっ!うち一人に任せておけ!お前は目の前に集中しろ!」


高い戦闘力を備えるリーシャだけに頼もしい返事だが、

相手はそのリーシャを倒すために用意された相手だ。


出来れば助けたい。しかしこの砲撃の嵐はセレスを狙っている。


迂闊に助けに入ればリーシャの方も狙われる。


ここは信じて目の前の敵に集中することが良さそうだ。


「ティア!砲撃が通じない相手だ!こっちを優先してなるべく早く片付けるぞ!」


「わかった!」


ティアの砲撃も何機か破壊している。セレスも何機か破壊している。


なのに大型機と小型機の量産が次々と行われ、戦艦から飛び出す。


(焦るな!)


セレスは自分に言い聞かせながらも次々と破壊していく。


リーシャを助けたいのに敵が減らない状況に焦りを感じていた。


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