異世界に行った彼の行動がよく分からない件について
後半は文芸部員の上司(仮)さんのお話。
それから評価付けてくれてありがとう!見た時すんごい喜んだ。これからもよろしくお願いします。
本格的な周囲の探索に乗り出したい。
第一優先は地形の把握と、食料の確保。
果実、木の実がメインだな。野草やキノコなんて自殺行為だし。
どんぐり系も水にさらせば灰汁がある程度抜けるし、果実は時間をかけて可食性テストをするしかない。
とりあえず見た目で片っ端から確保しよう。
その為に背負子を作ったんだし、木の皮から箱も作った。
あとは武器だな。対面になって野生動物に勝てるとは思わないけど・・・。
「やっぱり取り回しの良いモノだよな」
かと言って素人が石のナイフを武器にした所で素手と変わらないし、盾・・・かな。
槍は森の中だと邪魔だし、盾は防具にもなるし武器にもある。
それに奇襲をしかけてくる野生動物のけん制もできる。
それが良い。早速、木を縦に割って簡素なモノを作ろう。
「そーいや、ちょっと大きめの丸太が・・・あったあった」
大きめと言っても直径30センチ無い丸太で、どう大きく作った所で子供版スモールシールドにしかならない。
ま、あまり大きくても視界遮っちゃうし、重くて持てなくなるのは論外だもんな。
半分に切って・・・長さの調節は無理だな。ノコギリ欲しいわ。
中身削ろう・・・半分でも以外にまだ重いし使いにくい。
仕上げはカラハナ草(仮)で持つトコ作ればイケるだろ。
あと、やっぱり「まっぱ」だし蚊が怖いよな~・・・。
そもそも熱帯病はあるのか?
此処そこまで熱くないし・・・亜熱帯って感覚しないが・・・。楽観視はマズいか、異世界だもんな。
一応、保険かけておこう。
前に洞を燻って殺虫した匂いの強い花、アレ使えないかな?。体に擦り付けて虫よけ代わりにできないだろうか。
匂いはハーブっぽいし。
待てよ?そーいえばハエドクソウ(仮)っぽいのもあったよな。
同じ効果があるなら嬉しいんだが。
でも、どっちかって言うと・・・マツバ・・・なんだっけ?前世でよく見た・・・マツバランタンだっけ?
名前はうろ覚えだが、花が似てるのはあっちか・・・?。
・・・分からん。
とりあえず匂いが強いの使ってみよう。
適当に使ったら効果がありましたってのを期待するのは安直かもしれないが、頼る物が他に無い。
「ローズマリーその辺に生えてないかなぁ・・・」
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我々が彼を観測してから日が15回変わった。
疑問に思う事がある。まずヒト種の理解を深めたい。
人という知的生命体は、突然本能に頼った行動を起こす。
性格が変わり、今までの協調性を無視し、ある時は暴れたり環境によって大人しくもなる。
なぜ、そうなるのか。人の本能とは何か。
食欲は、運動エネルギーの補給。また体を作り替える為。足りなければ他者から強奪してでも摂取する。
睡眠は、脳の正常化、自分の思考を正しく処理し、体に伝える為の整備。足りなければ強制的に脳が睡眠へ移行させる。
性欲は、子孫を残し種族の繁栄を促す為。足りなければ強姦してでも子孫を残そうとする。
人はなぜ、発達した知能があるのに本能を優先する事があるのか。
「生存本能では?」
「危機的状況に陥って自分を優先しているだけでは?」
そうだろう。そういうヒト種を多数観測してきた。
だが、彼は危機的状況に陥っているのに回避しない。
ヒト種では到底太刀打ちできない種に対して、挑もうとしている。
なぜ、そうなるのか。人の本能とは何か。
「知能が低いのでは?」
「顕示欲や達成欲に当たるのでは?」
そうだろう。ヒト種は時として自分の命より大事だと認識した時、ソレを死守する事がある。
それが金、子、誇り、国それぞれ違う。
しかし、彼は単身あの惑星へ飛んで、知る者は誰一人おらず、誇れる相手も、そもそも会話する事が未だ出来ない。
達成欲だけが自分の命よりも高いという事か?彼の行動原理が分からない。
なぜ、そうなるのか。人の本能とは何か。
「やはり知能が低いのでは?」
「確かに命と等価するには世界を渡って数日、浅すぎる。欲はどこから来る?なぜ森を抜けない」
分からない。ヒト種の行動はあまりにも非効率的で理解が難しい。
「単身で誰も彼を知らないから自分を認めるモノが欲しいのでは?」
『なるほど』
我々は結論に至った。
この行動原理を我々はその線で決定とし、観測を続けて行うとする。
ハエドクソウは昔から除虫に使われ、ウジゴロシとも呼ばれてます。
毒性が強く、根っこを煮込んだりすり潰してハエを駆除していたみたいです。
ローズマリーはアロマやってる方は詳しいかもしれません。
香りが強く料理にも使いますが、虫除けにも強力な力を発揮します。
主人公がマツバランタンと言ってた花がありますが、正しくは「マツバウンラン」
日本でも見かける外来の雑草です。