異世界行けるってさ(プロローグ2)
「結論が出た」
おぉ・・・色よい返事が聞けると嬉しいんですが・・・。
「一般教養レベルの聞き取りだけなら可能だと結論に至った」
やった!それなら人の話を聞いてる内に会話ができるようになるかも・・・。
「ただし、脳への負荷で2、3日は身動きが取れない程の頭痛に苛まれる」
・・・いや、まぁ寝込むだけなら・・・。
「また肉体が完成した成人体に急激な言語習得は不可能。その為11歳まで肉体を退化させてから習得させる」
・・・それ力仕事できるの?・・・いやいや若返ったと思えば。
「ひと気のある付近への転移も不可能。
なぜなら突如頭を抱えながら、のたうち回る見知らぬ者が現れたとして受け入れるヒト種は少ない。
同様に、町村内への転移も不可能。
高層の壁で囲まれた街では出入りが厳重で、身分証の無い者が見つかれば処刑か奴隷落ち。村ではわざわざ少ない食料を分け与える余裕も無し」
・・・え、奴隷制度残ってるの?あ、遊女の人身売買が規制されたの確か明治からかぁ。
「ひと気の無い場所へ転移する事になる為、襲ってくる獣は多くなるが飲み水に困るだろう、水辺のある肥沃な土地へ転移させる配慮を取ろう」
・・・わぁ優しい
・・・ダメじゃん!どんだけ難易度上がんの・・・?11歳の子供が見知らぬ土地で野生児サバイバル!?
プロも匙投げるよ!
結局サバイバルスタートなんて無理無理・・・やっぱり聞き取りは無しで・・・。
「聞き取りが無くて構わないのであれば町や村への転移も可能だ」
人の輪に居れば、その内会話もできるように・・・なるか?
ん~例えばポルトガル語分からないのに単身ブラジル行くようなもんだよな?
いやいやいや・・・。
「意思疎通のできない、それも見知らぬヒト種が群集で仲を深める事はほぼ無い」
あ、微妙にコミュ症ディスってますからね、それ。
やっぱ野生児スタートの方がまだマシなのか?後々考えると・・・。
ミミズとゴカイどっちが好き?って聞かれてる感覚だ。
「不満はあると思うが、言語に関してこれ以上改善は望めない、他に何かあるか?」
改善は見込めないのに何かあるか?と聞かれても・・・。
では、やっぱり聞き取りアリでお願いします。
あっ顔はカッコよくしたい・・・けど不自然でなければ。性別は男で。
やっぱ男に生まれてきたなら男のままでいたい。
「承諾した。醜男でもなく、美男でも無いようにしよう。他に無いようならこのまま転移とする」
他に何か・・・思いつかん。
めちゃくちゃ不安だけど・・・。
まず最初だ。乗り越えなくちゃ・・・そ、そうだ!子供!
俺が死ぬ前に助けた子供はどうなりました!?
「安心しろ、子供は無事だ。傷一つ付いていない。では、生成した体へ転移させる」
よ、良かった・・・。無理難題言われて心折れそうになったけど・・・少し救われた気持ちになった
一気に意識が遠くなる。
真っ白だった空間は黒く染まっていき、思考も薄れてきた。
これは新しい体へ自分が組み込まれていくからだろうか・・・。
「ただ、フザけた原因で人が犠牲になってしまった事を周囲から謗られ、あの子供は病んでしまったが・・・」
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「最後のは聞きたくなかった!!ああああああああああああああああ!!!!いでええええええええ!!」