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木造校舎にて  作者: 淡月優水
13/13

実感というより事実

 夜の木造校舎の廊下は月の光に照らされている。月の光は強く、蛍光灯の灯りがなくても足元に不安を覚えずに歩くことが出来た。廊下を歩く人影はふと立ち止まり窓から見える月を見る。現実よりも強い月の光を地上に降らせる月。しかしその月は直視しても目を傷める感じはない。再び進む先へ目を向けた人影は、夜の木造校舎を1人で歩いているということを強く意識してみる。すると、だんだんと恐怖が湧いて来た。少し早足になって進むと階段を上がる。階段は軋む音をさせることはなかった。古さを感じさせる木造校舎ではあるが、朽ちている感じはしない。

 階段をのぼり、目的地の教室の方へ歩き出す。この木造校舎の構造は完全にはまだ決まっていないのだろうと思いながらも、目的地を意識して進めば必ず辿り着くという確信のようなものを持たされている気がして進む。しばらく進むと、何となく見覚えがある感じのする教室へ辿り着いた。

「こんばんは」

 ゆっくりと静かにドアを開けて挨拶をする。

「よぉ、こんばんは」

 返って来た挨拶の声が思ったのと違った。

「虚無さん、あの人はまだ来てない感じですか?」

 孤独は月明かりだけの教室を見渡しながら聞いた。

「まだ来ていない」

 そう答えると一つ欠伸をして窓の外へ視線を移した。

 孤独も視線を窓の向こうへ向けたまま進む。

「前回とあの海の感じは変わりました?」

 適当に置かれている椅子に座りながら虚無に聞く。

「あっても満ち引き程度だろうな。まぁ、そんなものだろう」

 声の感じからガッカリしているわけではなさそうだと思う。

「満ち引き……あの月も関係してそう」

「そうかもしれないな。だが、関係は逆かもしれない」

「逆……ですか」

 孤独は首を傾げた。

「月の引力ではなくて、満ちていくにつれて月もそういう感じになるとか……かもな」

「ここが現実じゃないのは知ってるけど、あの人は物理法則的なのは結構……」

 孤独はガラクタの山の方を見て言葉を止めた。

「そうだな、あの魔術師は魔術師なんて言いながら物理法則やらは知る限りは意識している。アイツが自分を見失わないようにと……その辺の名残もあるのか」

「名残……」

 虚無の話を聞いて、孤独は自分が知っている魔術師のよくわからないところの手掛かりになりそうだと思った。

「自分である確信が持てなくなったアイツは……。周りに対する認識はまともだったから、自分を演じながら周りに対する認識から新たに感覚をつかもうとしていった。あの魔術師の言うところの魂の設計図……失くした設計図を再現するために。かなり無理して頑張っていたな」

「もし、あの人がそういうこと……色々と頑張らなかったらどうなってたと思いますか?」

「あれの性質からしてそれはあり得ないが、生きる屍かな」

 虚無はそう言うと首を横に振っていた。

「今もその……ダメ人間じゃないですか。まともになる道は……」

「難しいだろうな。恐らくアイツは、心を誰かに救われたという実感というより事実が必要なのだろう。それが欠けている。だからあの魔術師はダメ人間であろうとしているのかもしれない。要するに甘ったれているわけだ。……もう手遅れかも知れないが」

 最後の部分は聞こえないくらいの小声だった。

「甘ったれてるからダメ人間……。誰かに心を救われたという事実……」

 孤独は魔術師のダメなところを思い浮かべていき、ふと変態なところもダメに入るのだろうか? と首を傾げた。

「あの頃のアイツは自力で何とかしてしまったが、誰かの助けは必要だった。暴れたり暴言を吐くこともなく、弱音を吐いただけ。その弱音も否定されて……その否定自体が間違っていないことは本人もわかっていて。それでも嘘でも認めて欲しかった……と」

「弱音を認めてあげたら、ダメ人間じゃなくなるんですかね」

「そう思うか?」

「……ないですね。弱音を吐いてもそれも自分だと信じるとか言いそうですし」

 魔術師がそんなことを言うのを思い浮かべて苦笑いを浮かべる。

「哀れと言うのか自分を信じるしかなかった結果、ああなってしまって、それはそれで幸せなのかもしれないが。……現実において、自分の認識が大きくズレていないかを幾重にも確認し続けた果てか」

「どうすれば欠けてるそこを埋めてあげられるんでしょうか」

「わからんな。わからんが、そのカギになりうるのはお前なんだろうな」

「わ、私? ……その割には前回からずいぶん時間が空いてたりするし」

 孤独の声には不満の響きがあった。

「悪いところだな。だが続けている。明らかにお前に関わろうということには頑張っているところがある」

「そうでしょうか」

 疑わしそうな口調だが、魔術師が自分のことを意識して頑張っていると思うと心がくすぐられていた。

「そうでなくては頑張れない奴だからな。あの魔術師はお前に出会わなければ、夢やらなにやらを思い出しても手にしようとは思わなかっただろう。その辺りにおいてもお前は特別なのだろう」

「私は自分がそんな特別じゃなかった……と、おも……う? けど」

 孤独は首を傾げつつ自分のことを思い浮かべてていた。

「あの魔術師もだいぶ力が戻って視る力もそこそこだが、おまえと出会った頃とでは見る深さが違う広さは今の方があっても、深さが全然足りない。その目でナニカをお前に見たのだろう」

「なんだか怖い気もするけど、あの人はそれを覚えてるのでしょうか」

「覚えているというより、深いところで何か引っ掛かるモノがあったという感じだろう。……忌々しいが復活したあの魔術師が自分としてを求め始める切っ掛けだったのかもしれない」

「忌々しいんだ。ひょっとして私のことも?」

 虚無の真意が気になって聞いてみる。

「おっと、少し喋りすぎたか。いや、今もそうだがお前はあの魔術師から頑張る……を引き出させるのに役立っている。忌々しいのはあの魔術師が自分としてを求めながら、無駄に力を失っていったことだ」

 普段あまり感情を読み取れない虚無が苛立っているのを感じて孤独は戸惑った。そのとばっちりが来ないか少し心配になる。

「今は、その忌々しくないですよね?」

「そうだな。だが、やはりアイツの培ったものを多く失くしたのは許し難い。……やはり喋りすぎだ」

「そ、そうですか」

 孤独は腕をさすりながら早く魔術師が来ないだろうかと思った。

「すまないな。少し取り乱した気がする。……アイツがあれ程に取り戻したかったモノがあまりにもお粗末で失望してる。最近はそうだな、悪くはない」

 虚無は腕を組んで目を閉じた。今、口を開けば不満が出続けてしまいそうで。

「……。……」

 孤独は何か声を掛けようとしたが止めておいた。虚無の後姿を見ながら、苛立ってる感じはしても声を荒げるわけじゃないし、本当に取り乱していたのだろうかと思う。差し込む月明かりの床へ視線を移してから窓の外の月を見る。

「心を誰かに救われたという事実……」

 孤独は小さな声でつぶやいた。腕をさすりつつ、しばらく月を見ていると近づいてくる足音に気が付いた。その足音は教室の前で止まり、ドアが開かれた。

「こんばんは」

 ドアを開けた魔術師は孤独の姿を見つけると嬉しそうな笑みを浮かべる。

「こんばんは、今回は遅いじゃない」

 笑みを浮かべている魔術師に孤独も笑みを返す。

「虚無さんも、こんばんは」

「おう」

 虚無は背を向けたまま右手を上げて返事をした。魔術師はそれをみて少し首をかしげて様子をうかがう。そして孤独に視線を移して見つめる。

「……なにか?」

「今回も君は可愛いなと思ったり」

「急に何言ってるの!」

 虚無の様子がいつもと違うことを聞かれると思った孤独は、予想外のところを突かれて顔が熱くなるのを感じた。

「思ったことを言っただけだけど」

「は~?」

 孤独は照れ隠しに訳が分からないという感じに声を出した。

「ダメでしたか。というか、結構寒い気がするけど。……ストーブを点けよう」

 孤独の真意を気にしつつ、魔術師はストーブの前にしゃがみ込む。

「大丈夫かなと思ったけど、ジッとしてると寒いね」

 孤独はスカートを気にしつつ魔術師の隣にしゃがんで、ストーブを点ける魔術師の手元を見る。

「ナウゲッターチャンスと思ったけど、ガードが堅かったか」

「なにが?」

 孤独の問いに魔術師はストーブを指さす。ストーブの中は鏡のようになっていた。

「こういうことですな」

「あぁ、忘れてた。なるほどぉ、変態さんだ」

 スカートを気にはしていたけれど、ストーブの中は意識していなかった孤独は自分の油断を認識した。

「これはこれで楽しい」

「……きゃぁ~変態だぁ~逃げなきゃぁ~」

 棒読みな口調でそう言うと、孤独は四つん這いのままスカートを気にしつつ距離を取るために移動する。その様子を魔術師が見ているのを意識しながら。

「みえそうで見えないとは。いや、そうか! あぁ、転んでしまった~」

 しばらくその様子を見ていたが、魔術師も棒読みな口調で転んで視線の高さを変えた。しかし、その目に映った孤独はすでに正座していた。

「……」

「……あれぇ?」

 その様子を見ながら孤独はニコリと笑みを浮かべる。

「楽しいね」

「確かに! 見えたらもっと楽しい気がするけど」

「これだから変態さんは」

 孤独は首を左右に振る。振りながら今の自分の行動が、魔術師が前回の終わりの方で四つん這いで移動するエタナルのお尻を見ていたことを意識してだったのだと改めて思い直し、恥ずかしさが込み上げてきて魔術師から顔を背ける。

「うぅ、顔を背けられるとすごい罪悪感が」

「大丈夫。あなたが変態なのは既に知ってるから」

「あぁ、バレバレでしたな」

 そう言いながら立ち上がるとガラクタの山の方へ歩き出す。

「なにか取りに行くの?」

「灯油とヤカンと水をね」

 魔術師は孤独に答えつつ虚無を見る。虚無は腕組みをして背を向けていた。

「私も手伝うよ。一人じゃ持ちきれないでしょ」

「でも……うん、お願いします」

 何度か同じような展開で一緒にガラクタの山の方へ行っているのに、1人で行こうとしたことに孤独は違和感を覚えつつ、魔術師の後ろについて進む。

「そういえばエタナルさん来ないね」

「いつも遅めだし。……おっと手が当たって絡まってしまった」

 魔術師は明らかに意図的に孤独の左手を右手で捕まえた。

「指が絡まるのはよくあることだからね」

 いつもの展開を思い浮かべながら、そんな冗談を明るい口調で言う。

「あの角を曲ったあたりにヤカンと未開封のボトルに入った水があったはず」

「いい水なのかな~」

 そんなことを言いながら進んで、角を曲る。

「ところで、ストーブのところで温まってなくてよかったのかな?」

 魔術師は孤独と向き合ってそう尋ねると、ゆっくり孤独を抱きしめる。

「確かに寒いとは思ってたけど、私は結構体が冷えてたみたい。……温かい」

 感じた違和感の正体がエタナル関係ではなく、体が冷えてそうな自分のことを気遣ってだったと気付いていて、どこか安心するのを感じていた。

 孤独が体の力を抜いて背中に両手を回したのを確認すると、魔術師は孤独の背中を素早く擦りだした。

「摩擦熱」

「おぉ、温かい。予想以上に!」

 孤独もまねて魔術師の背中を擦る。

「ストーブがなかったとしてもこれで寒さをしのげるわけですな」

「出来ればあった方がいいけどね。お約束なのかな、だんだん手の位置が下がってきている気がするけど」

「ちょっとよく見えないから仕方ない。おや、何やらひらひらしたものが……手が冷えてしまうから潜り込もう。おやおや、ここはなんだか温かいな。なでなで」

「一言いっていい?」

「うん?」

「変態。……って、ちょっと触りすぎじゃない?」

「やった! 君から二言目を引き出せた」

「もぉ!」

 孤独は自分の重心を後ろに傾けた。それに慌てた魔術師は孤独の腰と背中に手を移動させて支える。その拍子に見つめ合う格好になった。

「これは一体」

「なんとなく……ね」

 そう言って目を閉じる孤独に魔術師はキスをした。

「なんだか今回の君はいつもよりステキにみえるのだけど、気のせいかな?」

「上手いこと言っちゃって……気のせいじゃない?」

「そうかな? 君を好きだと思う気持ちが溢れてしょうがないが。……おや?」

 教室のドアが開閉される音と、エタナルの挨拶の声が聞こえた。

「エタナルさんが来たみたいだね。……もし、私のこと好きにしていいよって言ったらどうする?」

 好きと言われたのを引き金に、孤独は虚無の言っていた”心を誰かに救われたという事実”を意識しつつ聞いてみた。

「以前どこかで君に聞かれたことがあった気がするけど、そうだね……僕は魔術師で結構、精神面が重要。君の気持が大切なのでそこは無視出来ない……ので」

 魔術師は一歩後ろに下がると右手の人差し指を孤独の前に差し出す。

「んん?」

 ゆっくり動かすその指を目で追う。

「この指を意識してくれるかな」

 孤独がうなずくのを確認してから、孤独の唇に人差し指を当ててからゆっくりと顎先へ移動させて行き、飛んで鎖骨と鎖骨の間に人差し指を置く。そしてまっすぐゆっくりなぞるように人差し指を移動させる。胸の間を通り過ぎたあたりで孤独は口を開いた。

「ちょ、あの、言ったらどうするって聞いただけだよ? いいとは言ってないよ?」

「聞かれたから答えてるだけだよ?」

「えぇ? ちょっと、それズルくない?」

「気のせい、気のせい。じゃあ、答えを続けるね」

「うん。うん?」

 孤独は、人差し指から魔術師の顔に視線を向けた。目が合うと魔術師は愛おし気に表情を緩めた。


 月明かりの中、窓に向かって腕組みをして座っている虚無の背中を見ながらエタナルは、何度も挨拶を繰り返していた。

「こんばんは……こんばんは! こんばんは? 今晩は、こんばん、ご飯、こばん、そう、小判、倉庫番。……ねぇ、『おう』じゃなくて、こんばんはって言ってよ」

「……」

 エタナルは虚無の様子がいつもと違うのを感じて、その感じを和らげようとしている。

「眠ってるわけじゃないよね。ねぇ、……どうしたの。かまって欲しいの?」

「ちがう。こんばんは。これでいいか」

「とりあえずいいよ、こんばんは。で、なに? あの2人となにかあったの? 向こうにいるんでしょ?」

「なにもないぞ。今は口を開けば余計なことを言いそうだから黙ってるんだ」

「余計なこといいじゃない! 虚無君の余計なこと聞きたい」

 虚無は面倒臭くなってきてガラクタの山の方へ目を向けた。早く戻ってこないかと。

「最初はお前、そんな感じじゃなかっただろ」

「お前じゃなくて、エタナルちゃんって呼んでほしいかな。キャラが定まってなかったし、って前もこんな話しなかったっけ?」

「したかもな」

「それじゃあ、エタナルちゃんって呼んでみようか?」

「なぜだ?」

「呼んでほしいから」

「……孤独は口調が丁寧な感じだがお前は……エタナルは砕け過ぎじゃないか」

「おぉ、名前呼んでくれた! そこは距離感とか警戒心とかじゃない?」

「エタナルはその辺はないのか?」

「この状況だと、戦力的に2対1より2対2の方が良いじゃない」

「何の戦いだ?」

「さあ? バランス?」

「なんだか疲れて来た」

「肩もみしてあげようか?」

 そういう言うとエタナルは虚無の肩を揉み始めた。

「なんなんだ、今回はやけに絡んでくるじゃないか」

「だって虚無君がちゃんと挨拶返してくれないし、心配になっちゃって」

「俺自身の問題だ、気にするな」

「そういう気にするな。っていうのが気になるでしょ」

「…………」

「なぁに? 感動しちゃったり?」

「いや全然……。ややこしい奴がいたなと思い出していただけだ。ややこしい奴が頑張ったのに、少し違うややこしい奴が、その頑張りを無駄にした気がして俺は腹が立っているというだけだ」

「じゃあ、その少し違うややこしい奴に何か言ってやればいいんじゃない?」

「最近はそいつも頑張っている。とりあえず様子見だ。そいつもまた哀れな奴ではあるし」

「虚無君って意外と甘いみたいだね」

 エタナルは肩を揉む手に力を込めてみた。

「少し力を入れ過ぎじゃないか?」

「ここは痛がってほしいんだけど」

「いたい、いたい」

「感情がこもってない。やり直し! ……まあ、それも面白いからいいかな」

「そりゃどうも。ありがとよ、疲れたらやめていいぞ」

「虚無君の性格が少し見えた気がするから、サービスでもうちょっとやってあげる」

「無理するなよ」

 エタナルが肩もみをしばらく続けていると、ガラクタの山の方から魔術師と孤独が戻って来た。魔術師は灯油の入ったポリ容器をもっていて、孤独はヤカンと水の入ったボトルを持っていた。

「エタナルさん、こんばんは」

 孤独は左右に持ったヤカンと水の入ったボトルを軽く上げながら挨拶をした。

「こんばんは、虚無君の肩もみ中です」

「こんばんは……肩もみいいですな」

 魔術師はエタナルに挨拶をしつつ、虚無の様子をうかがう。

「それはそうと、ずいぶん時間が掛かったな」

 虚無のその言葉になぜか孤独は魔術師に隠れるような位置に移動した。

「話をしたりしてたのでね」

 右手を鼻の近くに寄せながらそう答える魔術師の様子を見つつ、エタナルは言う。

「ダメだよ。それは野暮ってものだから……。……」

 右手を鼻の近くに寄せる魔術師を肘でつついて、何やら恥ずかしそうな表情で小さく首を左右に振る孤独をみて首を傾げた。

「確かに野暮かもしれないな」

「でしょ?」

 虚無の肩を揉みながら、ボトルに入った水をヤカンに入れてストーブの上に置く2人の様子をみる。

「魔術師君、右手どうかしたの?」

 2人でヤカンに水を入れる作業をしている間、故意に右手を使っていないように見えるのが気になって聞いてみる。

「向こうでちょっとね……」

 そう言って視線を灯油の入ったポリ容器に向けた。

「においが気になるなら洗ってきた方が良いんじゃない?」

「私も洗ってきた方がいいと思うよ」

 孤独もエタナルに同意する。

「そうかな?」

 そう言って右手を鼻の近くに寄せる。孤独はそれを袖を軽く引っ張ってやめさせようとしていた。

「なんだか、ただのイチャイチャを見せられてるようにしか見えないし、ほったらかしてよさそう」

「そのようだな」

 虚無はそんな2人を見て口元を少し緩めた。

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