表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

お披露目

 いよいよ、演奏会の日がやってきた。校内のけやき広場という所で、昼休みに演奏する。初めての演奏会なので、当然新入部員たちは緊張していた。早弁(昼休みより前の休み時間にお弁当を食べる事)をして、昼休みになると急いでけやき広場へ行った。そして椅子を並べ、楽器を持って座る。桜田先生がにこやかに、そして軽やかな足取りでやってきた。桜田先生は生徒の母親くらいの歳だが、サバサバしていて威勢がよく、男っぽい性格だった。だが、いつもノリノリでダンスをするように指揮を振る。今日も登場からノリノリだった。

「さあ、諸君。本番よー!頑張っていこう!」

と言ってみんなの前に立った。和馬は右手と左手と交互に握ったり開いたりした。交互なのは、トランペットを持ち替えているから。指が上手く動かない気がする。

先生方が聴きに来てくれた。校長先生の姿もあった。演奏が始まる。生徒たちは通り過ぎるだけだが、わりと興味津々に顔をこちらに向けながら通り過ぎる。

 演奏は無事終了。

「緊張したー。」

一年生たちは皆思い思いにそう口にしたり、口に出さなくてもため息を吐いたりした。そして皆笑顔。和馬は、全員で何かをやるっていいな、勝ち負けではなく、一生懸命にやるのっていいな、と思った。

3年生はこれで引退だ。音楽室へ楽器を運んで、そこでお別れの握手をした。

「先輩、受験勉強頑張ってください。」

と、次の部長になる遠野先輩がそう言って締めくくった。部活2年目なのは遠野先輩一人となってしまった。3年生は、

「なんだあ、みんな心細いって顔してんなー。」

と言って笑った。

「しっかりやれよ。」

と、一年生の何人かの頭をなでる先輩もいた。

「はいっ。」

一番小さい牧瀬は、少し背伸びをして答えた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ