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僕らの終末旅行日記  作者: ワサオ
第2章 四国上陸編
69/125

修学旅行8日目 午後7時12分

 

 午後7時12分……


 突如、街を襲撃した感染カラス達。伸二達は大急ぎで街を脱出を開始した。そしてアディソン達のヘリは感染鳥達によって墜落された。ヘリは木の上に落ち、ツタや枝がクッションとなり、大怪我は間逃れた。現在煙を撒き散らして、森の中にいる。


 大杉の輸送船ではアディソンが搭乗していたヘリの墜落が無線で入って来た。

 すぐさま大杉の元にも連絡が入った。


「何だと⁉︎アディソンが乗ってるヘリが⁉︎」


 三越が答えた。


「はい、光井や森も乗っているようで……」

「荒瀬山は、感染者が目撃された場所……急ぎ救出部隊を編成し救出へ迎え‼︎」


 アディソンはアメリカの重要人物でもある。それに光井や森も同じ苦難を乗り越えた部下でもある……絶対に死なせてはいけないと……



 ーーーーーーーーーーーー


 それから10分ほどが経ち……光井が目を覚ました。


「……うぅ……」


 飛行機は木がクッションとなり、ヘリは木の上にぶら下がっている。だが木の枝はミシミシと音が鳴り、いつ落ちてもおかしくない状態だ。


「み、みんな……大丈夫か……」


 全員気絶しており、森もアディソンも頭から軽く血が出ている。


「森‼︎アディソンさん‼︎……くっ、何なんだよさっきの鳥は‼︎」


 大声を上げると、ヘリを支えている枝が折れ、1m下へと落ちた。


「ぐはっ‼︎」


 そして光井はシートベルトを外し、ヘリの外を眺める。


「ヘリは多分救助に来るはずだが……このままじゃヘリが落ちる……ヘリが持つかどうか……」


 ライトをつけ、下の地面を確認する。


「うわっ‼︎」


 ライトを照らした先には、光井達に手を伸ばしている大量の感染者達だった。木を引っ掻き、登ろうともしている感染者もいる。


「嘘だろ……」

「……なんだよ……」


 森が頭を抑えながら起きた。


「森か⁉︎大変な状況だ……」

「ん?」


 光井は森に今の状況を説明した。そして光井は救助ヘリの事も心配していた。


「救助ヘリが来るのに、あそこからだと30分以上はかかるだろう……」

「光井……武器はあるか」

「拳銃、9発だけだ……」

「俺もだ……それにアディソンさんもまだ気絶してるし……」


 アディソンは重要人物、これ以上危険な目に合わせてはいけない。そう考えた光井は


「ヘリから降りて、安全な場所まで脱出するぞ‼︎」

「この状況でか⁉︎」

「当たり前だ‼︎アディソンさんの身の安全が最優先だ‼︎」

「でもどうやって⁉︎」


 光井はアディソンを背負って、ヘリのすぐ隣の太い木の枝に乗る。森も続いて木の枝に乗る。


「とりゃ‼︎」


 光井が木に引っかかっているヘリを蹴り始めた。


「何するんだよ‼︎」

「あいつらに一発食らわせてやるさ‼︎」

「仲間達の仇だ‼︎この‼︎この‼︎」


 森も一緒に蹴る。ヘリはグラグラと揺れ始め、少しずつ下に落ちそうになる。


「うらぁぁ‼︎」


 光井の一撃が決定打となり、ヘリはゆっくりと枝から離れ、感染者がいる地面へと落下した。

 大爆発が起き、地面は赤く燃え上がり、感染者達も多くが燃え尽きた。


「 まだ感染者は残っているが……少しは時間稼ぎになるか……」

「移動するか」

「あぁ……」


 ーーーーーーーーーーーー


 香川県善通寺市から東に約20キロ離れた雅宗がいる観音寺市。

 善通寺市の感染カラス襲撃から10分近くが経った。そこも感染カラスの襲来にあっていた。雅宗は駅前にいた。街中の市民はこの状況に混乱し、慌てふためく。


「な、なんだこのカラス⁉︎」

「痛っ‼︎」


 雅宗も駅構内から出て空を見上げる。


「何だこれは⁉︎」


 観音寺市は感染カラスによって、一気に感染の種を撒き散らされた。


「カラス?感染動物って奴か‼︎クソっ‼︎」


 雅宗はすぐさま駅内の個室トイレに鍵を閉めて隠れた。トイレの外からは悲鳴や叫び声が聞こえて来る。雅宗の顔からは焦りの色が出ている。


「ちっ……まさか感染動物がこんな所まで来るなんて……一旦落ち着け……落ち着くんだ俺……」


 すると隣の個室に誰かが入り、すすり泣いていた。


「う……うぅ……」

「ん?」


 雅宗は心配そうに話しかけてみた。


「だ、大丈夫ですか……?」

「う……き、君は?」

「俺は須藤雅宗……高校生です」

「僕は、陰山晶です……普通のサラリーマンです……仕事から疲れて帰ろうとしたら、こんな状態に……家には子供も妻もいるのに……」

「なら、早くここから逃げましょう……ここもいずれ感染者に溢れて、危険になるはずです……」

「……は、はぃ……」


 雅宗は一呼吸して、ドアを開けて個室を出た。

 すると地面に血が滴り落ちた跡があった。血の跡はその男性がいた個室トイレに続いていた。個室には鍵は掛けられていなかった。


「ま、まさか……」


 その男性がいた扉から小さな呻き声が聞こえてきた。


「う……うぅ……あ、やこ……し、しに……」

「はぁ……はぁ……」


 息が切れそうになり、あやこと言う名を呼びながら、今にも死にそうな声を上げていた。

 そして雅宗は呼吸が乱れ始め、九州で始めて感染者になる前の人間を見たのを思い出した。あの時の人も助けてを求めていた。だが、自分達は逃げた。あの人にも自分を待っている家族がいるかもしれない……


「逃げるしかない……か……」


 雅宗は個室トイレの横にある用具室から、モップを取り出し、外へ出ようとする。男性が入っている個室を通り過ぎようとした瞬間、個室から感染者と化した男性が雅宗に飛びついて来た。雅宗は押し倒され、モップは転がっていった。その上に感染者が乗っかっている。


「あぁぁぁあぁ……」

「くっ……離せ‼︎」


 感染者は雅宗を噛もうと顔を近づけていく。雅宗は感染者の両肩を抑え、顔を近づけてるのを止めている。だが力強く徐々に感染者の顔が雅宗に近づいて来る。


「や、やべぇよ……今回ばかりは……」


 雅宗は周りを見渡すと、右方向にモップが手に届きそうな範囲にあった。モップを取ろうと考えるが、下手に手を離すと噛まれてしまう可能性がある。

 そして雅宗は一か八かの賭けに出た。


「はっ‼︎」


 雅宗は右手を感染者から離した。感染者はすぐに雅宗の顔目掛けて口を開け近づけた。


「うおっ‼︎」


 だが左手で感染者の首を掴み、ギリギリ噛まれずにすんだ。そして右手でモップを握った。左手も限界に差し掛かり、雅宗はそのモップの先端を感染者の頭をぶつけた。感染者は仰け反り雅宗から離れた。その間に雅宗はモップを握り、トイレから出た。

 駅構内も感染動物や感染者によって怪我をした人達で溢れかえっている。ここにいたら感染者に囲まれる……雅宗はすぐに行動に出た。


「……電車に乗るか……乗らないか……」


 駅から出ると、感染カラスに噛まれている人達がいる。それに車同士が衝突事故を起こしていたり、アナウンスが慌ただしく放送されている。


「み、皆さん落ち着いて下さい‼︎」


 アナウンスも虚しく、人々には全然聞こえなかった。雅宗は電車が来てる事が分かり、この混乱してる駅構内を、雅宗は突っ切った。何も考えずに全速力で走る。

 雅宗は駅員を無視して改札口を飛び越え、ホームへと向かった。


「おい‼︎君‼︎うわっ‼︎」


 そして止まっている電車に一目散に飛び乗った。


「はぁ……はぁ……」


 雅宗の服にはさっきの感染者の血が付いており、周りの客も不審そうに見ている。

 そして電車の扉は閉まり、電車は動き始めた。行き先が分からない北方面に……


 だが、雅宗がいる隣の車列には腕が噛まれている男性がいた……



 この時、午後7時19分……


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