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僕らの終末旅行日記  作者: ワサオ
第2章 四国上陸編
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修学旅行8日目 午後7時4分


 午後7時4分……


  林の助力により、スマホを手に入れ、多くの情報を得た幸久達。四国に感染者の魔の手が広まる中、幸久達はどう行動するのか……


 幸久達は全員で考えた。この状況をどうくぐり抜けるか……蒼一郎が状況を整理した。


「つまり、いづれここも感染者に襲撃されるかもしれないと言う事か……」

「あぁ……」

「九州もダメなら四国もダメか……」


 龍樹が部屋の端からつぶやく。


「ここから脱出する……」


 幸久と蒼一郎はこの発言に異議を唱えた。


「脱出するったって……外を見れば分かるが見張りの兵が大量にいる……」

「中は少なくても、外は多いって事かよ」

「例えここの奴らが俺達を助けたとして、また何処かに閉じ込められるのがいいところだ……由美達や他の収容されている人達も助けて、脱出しなければ……」


 西河先生は幸久のスマホを見て、とある事に気づく。


「そのスマホで連絡出来る奴はいるのか?」

「伸二達のスマホが生きてるとも限らないし、他のみんなも持っているか分からない……誰に連絡しても多分……」


 ーーーーーーーーーーーー


 その頃、真沙美は署長室で囚人達とも大違いな豪華なステーキが出されていた。だが真沙美には全然美味く感じなかった。


 一緒に食っている皇は満面の笑みでどんどん1人で食べていく。


「真沙美ちゃんも食いなさい‼︎冷めたら硬くなるよ‼︎」

「……」

「いや〜この四国の感染者が壊滅したらワインでも飲もうか……あそっか真沙美ちゃんまだ未成年だったね‼︎はっはっは‼︎」


 1人でテンションが上がる皇とテンションが低い真沙美。すると、署長席の電話が鳴り響いた。


「ん?何だ、楽しいディナーの時に……」


 受話器を取ると、慌しい声と悲鳴が受話器から聞こえてきた。


「す、皇さん‼︎大変です‼︎感染者捜索隊から連絡が途絶えた話ですが‼︎」

「なんだぁよ〜私は今食事中なんだよ」

「で、ですが……か、感染者によって……我が部隊も……ぜんめ……」


 プツン……


 電話が突然と切れた。皇は残念そうにため息を吐いた。


「はぁ……まさかここがダメになるとはねぇ〜」

「えっ……どうゆう事⁉︎」


 真沙美の質問を無視して、話を続ける皇。


「真沙美ちゃん……明日、移動するよ……」

「ど、どこに……」

「大阪じゃ……」

「お、大阪⁉︎」

「まっ……その前に香川県に行き、大事な物を取りに行く……」


 ニヤリと笑う皇に、不安を覚える真沙美。そして大阪に行く事に疑問を覚える。


 真沙美は悩んでも意味はない……そう自分に言い聞かせ、食事に食らいつく。


「そうそう、それでいいんだよ‼︎若い子はそうでなくっちゃ‼︎」


 部屋の外で一部始終を聞いた神咲。


「ふっ……面白い事になったね……」


 ーーーーーーーーーーーー


 その頃、伸二達はとにかく移動して、香川県観音寺市の立体駐車場の3階に隠れている。

 だがあんなにもしつこく追いかけてきた自衛隊が突如として、追いかけて来なくなった事に伸二達は疑問を抱き始めた。全員がトラックから降りて話し合う。伸二が話し始める。


「やっぱり……高知の感染者が現れた事でそっちの方を優先したってことかな?」


 これに雪菜が答える。


「ニュースで見たあの変なおっさんが言ったて感染者撲滅……あたしらを追うよりは感染者を殺した方が逃げやすいからいいけど」

「でも……四国に感染者が現れたのに……この街はなんて賑やかなんだ……」


 元太は駐車場から外の街を眺めながらいう。


「君らは九州の惨劇を見たから、危険視出来る……だけど、俺みたいな感染者をまだ見たこともない奴らは、誰かが何とかしてくれる……そう思っている……ここの人達も自衛隊が何とかしてくれると思っているんだ……」


 すると、駐車場の外に小さな黒い物体が無数の数横切った。


「⁉︎なんだ今の⁉︎」

「まさか……」


 綾音がすぐさま、柵を掴み外を覗いた。


「カラス⁉︎何で……」

「カラスがどうしたの一体……」


 伸二が聞く。


「本で読んだの……カラスは夜に滅多に行動しないって……」

「たまたまじゃないの?」

「今、3匹……いや6・7匹ぐらい飛んでいた……」


 全員が駐車場の外から空を見上げと、それはまさに異様な光景だった。

 雪がサラサラと降る暗闇の空に混じって、山の方角から大量のカラスが鳴きもせずに真っ直ぐと空を飛んでいる。それは100匹を優に超える量のカラスだった。


「何だよ……この量のカラスは……」

「こんなの異常よ……異常すぎる……」


 すると伸二が元太から貸してもらっているスマホからある記事を見つけた。


「まさか感染動物……」


 雅宗達が九州で見た動物達……屍肉や感染者の血で汚染された水などを口にし、感染者と同じ状態になった動物達。


「記事にはこう書かれている……感染動物は本来の行動とは違う異常行動を起こすと……」

「つまり……あのカラスは……」


 見上げていると、突如カラス達が一斉に猛スピードで降下を始めた。そして、地上にいる人々に噛みつき始めた。地上は大パニックに陥った。


「な、何だ⁉︎」


 慌てる元太を見て、雪菜が全員に叫んだ。


「お前‼︎早くトラックに乗るんだ‼︎死にたくないだろ‼︎」

「みんなトラックに乗れ‼︎」


 元太達はすぐさまトラックに乗り、伸二と綾音も荷台で身体を隠した。


「急いで出ろ‼︎町中の車がパニックになる前に‼︎」

「わ、分かった。後ろの2人もしっかり掴まってろよ‼︎」


 軽トラックはフルスロットルで立体駐車場から発車し、遮断機を破壊して料金所を突破した。料金所のおっさんも口を開けてびっくりした。


「ちょっ⁉︎何やってんの⁉︎」

「あんたも早く逃げろ‼︎」

「えっ?何だって?……うわっ‼︎」


 料金所のおっさんは、カラス数匹に無抵抗のまま噛まれた。

 雪菜は道中、元太に聞く。


「どうすんだよ、この状況……」

「また山の中に撤退だ……」

「……くっ……それしかないのかよ……」


 悔しそうな雪菜に元太は頭を撫でた。


「な、何すんだよ‼︎」


 いきなり撫でられて顔が赤くなる雪菜。そしてそれを見て大笑いする元太。


「はっはっは‼︎こんな時こそ元気な顔が1番‼︎さぁ……行くぞ‼︎」


 元太はパニック状態の街から脱出を試みる。


 ーーーーーーーーーーーー


 アディソンは車で病院まで来たが、高知県の南側の状況を判断して大杉にヘリを要請した。そこには森と三井が一緒に乗っていた。


 ヘリは病院の入り口内に着陸し、そこからアディソンは乗り、輸送船へと戻る。


 山の上を飛んでいる中、アディソンは窓から外を見て、船木から聞いた事を考えていた。


 少年に打った注射……まさかあんな能力があるなんて……


 そう考えていると……三井が何やら遠くから何かを見つけた。


「何ですかあれは……」

「カラス⁉︎まさか感染動物⁉︎」


 アディソンも操縦席側から外を覗くと、大量のカラスとスズメがヘリに向かって突撃してきた。運転手は慌てて旋回しようとするが、鳥達はヘリに突撃した。


「衝撃に備えて下さい‼︎」

「うっ……‼︎」


 全員態勢を低くし、衝撃に備えた。鳥達はヘリの窓やプロペラに突撃し、ヘリは鳥達の地によって真っ赤に染まった。


「……⁉︎プ、プロペラが⁉︎」


 プロペラに鳥達が多く突っ込み、プロペラが止まってしまった。

 アディソンはすぐに指示した。


「なるべく、木の上に落ちるようにして‼︎衝撃を和らげるのよ‼︎それと、無線で連絡を‼︎」

「は、はい‼︎」


 ヘリが急降下する中、しっかりとシートベルトを締め、無線で連絡をした。


「こちら三井‼︎ヘリが感染動物達により、墜落させられました‼︎位置は高知県荒瀬山‼︎」


 そしてヘリは横に回転しながら、木をなぎ倒し山中に落ちて行く。そして大きな衝撃が全員を襲う。


「うわぁぁぁぁ‼︎」


 プロペラとヘリ後方の部品が吹き飛び、ヘリは何回転もして大きな木の枝やツタに引っかかり、ヘリは止まった。

 煙を撒き散らし、大きな痕跡を残して墜落した。全員意識を失い、答えるわけもない無線の声が静かに響き渡る。


「今すぐ応援を送る‼︎大人しく待っていろ‼︎」


 暗闇の中、アディソン達は無事なのか……そして墜落した荒瀬山は、感染者が目撃された場所の一つ……感染者がその音に気づき、集まり始める。


 この時、午後7時12分……


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