修学旅行7日目 午後0時4分
午後0時4分……
九州で大規模な感染者鎮圧が始まった。多くの人々が見守る中、果たして人類は感染者に勝てるのか?
その頃、自衛隊から逃げる伸二達は元太の軽トラックで山を降り、愛媛県宇和島市に入った。
そして近くのコンビニの駐車場に止まり、顔がバレてなく、元太から貸してもらった服を着ている雪菜がコンビニで変装用のマスクと適当な食料を買って来て、元太に渡す。
「ほらよ……」
「ありがとう雪菜ちゃん」
「コンビニにもあんたの写真が貼られてたぜ」
「マジかよ……」
コンビニ以外にも近くのスーパーや、電柱にさえ貼られている始末。
この男を見たらすぐにご連絡下さい。
大岩元太
特徴
高校生3人を連れている。
軽トラックに乗車中。
堂々と写真まで貼られている。
「長居は無用、さっさと行こう……」
元太はマスクを装着して、軽トラックを動かす……
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感染者鎮圧作戦から1時間が経ち、各都市はかなり鎮圧に成功している。少なからず犠牲者も出ているが着々と鎮圧は進んでいる。
だが街中は死体の山と化して、
福岡県では、街中へと侵入すると感染者の気配が無くなった。部隊もこの違和感に気づいた。
「感染者がいない……鎮圧したのか?」
「……うっ……うわぁぁぁぁぁ‼︎」
上空から目が赤くなった感染動物と化したカラスが、自衛隊を襲撃して来た。
「な、何だ⁉︎こいつらは⁉︎」
「まさか……感染動物⁉︎火炎放射器を用意しろ‼︎」
火炎放射器を持つ隊員が、迫り来る感染カラスに火炎放射器を浴びせる。カラスは燃え尽きて地に堕ちた。
「このままドンドン進むぞ‼︎」
「おぉぉ‼︎」
他の都市でも火炎放射器やヘリの上空からの攻撃で、鎮圧は進む。
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それから更に1時間程が経ち、午後2時……
大杉達の輸送船では生存者の1人が起きたとの報告を受けてアディソンと大杉は生存者の元に駆け寄る。
病室……ベットに横たわっている若い女性が起きた。頭が痛いのか頭を抑えている
記録係を後ろに、大杉は冷静に話しかける。
「お話を聞いてもよろしいですか……お話出来る範囲でいいです……無理はなさらないようにお願いします」
「は、はい……」
「フェリーの中で何が起きたんでしょうか……」
女性は静かに語り始めた。
昨日の前日の夜、11時頃……私は友達と共に、大勢の人がいるエントランスにいました……
すると、1人血まみれの男の人が来ました。
「ネズミが……急に……」
そう言い残し、男の人は倒れました。
船員の方が起こそうとした瞬間、倒れていた男の人が急に噛み付いて来たんです……
そこから、船内は大パニックになり私も逃げる途中で友達とはぐれて……
そしてどんどん人が噛まれていき、私は途中親とはぐれた女の子達を連れてあの部屋に隠れていたんです……
断片的だが、話を聞きアディソンは女性に聞いた。
「1つ聞いてもいいかい?船内に白いワンピースを着た女の子はいたかい?」
「……見てませんね……」
「……分かったありがとう。もう少し休んでいて」
その後、再び2人で会議室にこもる。大杉が話を切り出す。
「やはり感染動物からの感染か……」
「フェリーが停まっていたのは志布志港……そこから船に乗り込んだと言うのかい?」
「可能性はあり得るな……アディソン、君が見た女の子が関係しているかもしれない」
「つまりその女の子は……新人類……なのか」
「あぁ……だがその女の子はどこに……」
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それから2時間が経ち、空が暗くなり始めた午後5時18分……
病院にいる雅宗が目覚めた。
「くっ……頭が痛ぇ……」
「起きたか……雅宗君……」
ベットの隣の椅子に座っていたのは、雅宗に謎の注射を打った老人医師船木だった。
「あんたは俺に何をした‼︎」
「ちょいとまだ動ける状態じゃないんでね。まっ……この様子だと感染は大丈夫だろうがな」
船木は雅宗の紐を解いた。
「里彦はどこだ?いないぞ⁉︎」
「彼は再び手術をしている最中さ……彼はかなりの重傷だ。もう少しかかるだろう」
「……これからどうすれば……」
みんながバラバラになり、混乱する雅宗。船木は静かに話しかける。
「君をここから出させてあげよう……」
「本当か⁉︎」
「だがこの病院にいる友達は出すことは出来ない」
「何⁉︎」
「君はあくまで逃亡した扱いにするだけだ。だがら他の友達は諦めてくれ……」
「それにしても何で俺を逃してくれるんだ」
「ワシの気まぐれ……かな」
「最後に1つ……里彦や由弘はどうなるんだ」
「まぁ……彼らも近々検査が行われる筈だ……そこで感染の疑いがなければここから出られる」
船木の顔は至って真剣だった。雅宗は静かにうなづいた。
詳しい理由は教えてもらえず、船木と共に裏口からこっそりと出て、雅宗は車の後ろに布を被せられて乗せられた。そして車が発進し、病院から脱出し、何処かへと車は走っていく。
雅宗は思った……何故俺は出られたのか……と……
この時、午後5時38分……
そして時は流れて午後7時0分……