修学旅行7日目 午前2時45分
午前2時45分……
フェリー内で生存者を探す大杉達。大杉達は4階客室で言葉を話し、絶命した感染者を目撃した。アディソンはフェリー前方に白いドレスを着た感染者には見えない綺麗な少女を見かけた。この少女の正体は……
アディソンはすぐに大杉に無線を入れた。
「大杉さん‼︎エントランス方面に大量の感染者が‼︎」
大杉達も感染者が1人歩き迫っている中、吹き抜けから全部の階にいる隊員に叫ぶ。
「全員後方デッキに戻れ‼︎感染者達がこっちに向かって来てるぞ‼︎」
そしてアディソンはヘリを前方の方へ行くように指示する。
「ヘリを前方に‼︎」
「はい‼︎」
ヘリは前方の方へ行き、先程確認した少女を見る。
「……い、いない……あの子は一体……」
移動する感染者の渦に飲み込まれ、少女を見失った。
「……」
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車両甲板を捜索している1班……
広い車両甲板は、車ではなく大量の死体の山が築かれていた。
配布されたと思われる布団や枕が散らかっており、感染者達によって崩壊させられたのを物語っている。
隊員の1人が大杉から連絡を受けた。
「大杉さんから連絡だ。戻るぞ……エントランスに多くの感染者が集まって来たようだ」
「だけどまだ奥を調べてないぞ?」
「だが上の階で何やら問題が起きたようだ。下手に長く居たら我々も被害に遭うことになる……」
「……分かった戻ろう……」
すると1人の隊員が奥の柱の陰に人影を発見した。
「誰かいるのか‼︎」
1人の隊員が柱の後ろを見に行くと……
「はっ……‼︎しょ、少年がいたぞ‼︎」
隊員達が柱の後ろに集まる。するとそこには頭に包帯を巻いたパジャマを着た小学生位の少年が三角座りをしていた。
「大丈夫か⁉︎少年⁉︎」
「……う……あ……」
ライトを当てると、虚ろな顔をしていて、少年の身体はかなり痩せている。そして隊員達に手を伸ばそうとするとそのまま力尽きて倒れた。
「おい‼︎急いで運ぶぞ‼︎大杉さんにも連絡を‼︎」
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すぐさまこの事は大杉達に連絡がはいった。
「生存者だと⁉︎分かった‼︎すぐに後方にヘリを手配する‼︎」
無線を切ると、生存者がいた事に安直する大杉。だが目の前にはゆっくりと歩いてくる感染者がいる。三越は感染者から目を離さずに、銃を向ける。
「安心するもいいですが、この感染者どうします⁉︎」
「下手に銃を撃つとこの階や別の階にいる感染者に気づかれる可能性がある……幸いこの感染者は足が遅い……だからそれ利用してこの階の部屋を全て調べるぞ‼︎」
「私がここで見張ってます‼︎急いで他の部屋を‼︎」
三越が感染者を引きつけて、その間に大杉を含む4人は他の部屋を調べ始めた。
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後方デッキでは、2階を捜索していた3班が到着したヘリに乗り込み、先に退却を始めていた。隊員達は全員悔しい顔をして、拳を握りしめていた。
「生存者はいなかった……」
「急いで出発だ……他の隊員も来る……」
そしてもう一機のヘリが到着した。そこに現れたのは生存者の子供を抱えている1班だった。
「生存者だ‼︎急いで救護を‼︎」
「わ、分かった‼︎」
1班を乗せたヘリ。操縦士は急いだ様子でヘリを輸送船へと飛び立って行った。
そして森と光井達は迫り来る感染者達から逃げるように、必死に走って後方デッキに来た。
「早く乗せてくれ‼︎」
ヘリが着陸し、全員すぐさま乗り込む。光井が操縦士に聞く。
「大杉さんは?」
「まだ戻って来てないみたいです‼︎」
「くっ……」
すると光井がヘリから降りた。森が大声で呼びかけた。
「光井‼︎何やってるんだ⁉︎」
「俺はここで大杉さんを待つ‼︎お前らは先に行け‼︎」
「……」
森は光井を見送り、ヘリは上空へと上がって行った。
「早く来てくれ……大杉さん」
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その頃、3階の大杉班は全ての部屋を調べ尽くした。三越が感染者を引きつけいる間に、大杉達が戻って来た。
「三越戻るぞ‼︎生存者が3名いた‼︎」
「本当ですか⁉︎」
隊員達が連れて来たのは、若い女性1人と幼稚園児くらいの女の子2人だった。3人ともかなり怯えている様子だ。
大杉が先頭になり、3階から脱出を試みる。
「みんなついて来てくれ‼︎静かに来い‼︎」
「この感染者は私に‼︎」
三越が空き部屋に入り、感染者をおびき寄せる。
「さぁ来い‼︎」
感染者は三越の声を辿り、部屋へと入って行った。その間に大杉達は生存者達と共に静かに歩いて行く。
「さぁ……静かに歩いて」
「ゆっくりだよ……」
部屋に入った感染者が、端に行ったのを見計らい、三越は部屋を静かに出てドアを閉めた。
「よし……」
大杉達は後方デッキへと到着し、アディソンが乗ったヘリに生存者を先に乗せて行く。
「さぁ乗って‼︎」
「我々も乗るぞ‼︎」
大杉達も乗り込むが、三越がまだ来ない……光井が心配する。
「早く来てくれ……感染者がこっちに来る……」
すると建物から三越が走って来た。だが、明らかに様子がおかしい。そして何か叫んでいる。
「来たか‼︎……⁉︎」
「離陸準備しろ‼︎早く‼︎」
走って来る三越の後ろから大勢の感染者が全速力で追いかけて来ていた。
ヘリは宙に浮き始め、三越が乗り込むのを待つ。
「危ない‼︎」
銃声が何発か、三越の方へと撃たれた。それは光井が三越の真後ろにいた感染者に向けて発砲し、弾は脳へと当たり、感染者は倒れた。
光井は迫り来る感染者に死にものぐるいで連射する。弾は感染者達のあらゆる部分へと当たって行く。倒れた感染者もいれば、そのまま走って来る感染者もいた。だが銃を連射しようとも大量の感染者には無意味だった。
「うらっ‼︎」
そして三越が乗った瞬間、すぐさまヘリは上空へと上がって行く。大杉達には感染者達がヘリを睨んでるように見えた。
そして全員が安心の息を吐く。すぐさま生存者達に毛布を掛ける。
「今から輸送船へと行きます……そこで休んでください……」
ヘリ全機は直ちに輸送船へと戻って行った。
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救護室へと運ばれた生存者4人。そしてアディソンは大杉を会議室へと呼び寄せ、話を始めた。
「感染者の中に……普通の女の子が混ざっていた……しかも一切襲われてないんです……」
「何⁉︎何かの見間違いじゃないのか?」
「いえ……はっきりと感染者のような青白い肌じゃなくて……普通の人間の肌でした……」
「……で、その人間はどうなった?」
「途中で居なくなりました……」
「分かった……他の隊員にも聞いてみる……」
全隊員に聞いたが、何も見て居ないと言われた。そして生存者達は全員疲れか、寝てしまった……
「……」
あの少女は一体?そして生存者達が見た光景とは……大杉は生存者達が安定した状態になるまで待つことにした……
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時は流れ……まだ薄暗い空。
由弘が収容されている病院の静かな部屋……ベットの上で少年は寝ていた。
「……ここは……どこだ?それに制服は?」
少年は起きた。上半身裸で胸部分に包帯が巻かれており、傷が治されていた。
「みんなは……どこだ⁉︎」
雅宗が起きた……
この時、午前5時48分……