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僕らの終末旅行日記  作者: ワサオ
第2章 四国上陸編
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修学旅行6日目 午後9時30分 収容所編②

 

 午後9時30分……


 真沙美達は、謎の宗教団体に所属している麻垣彰子(あさがきしょうこ)とその囲み約10人と謎の金髪女性橋爪梨沙(はしずめりさ)と出会う。そして自衛隊員により、飯が出された。


 真沙美達と梨紗がお盆を取った後、彰仔を囲む女性達の中から若い女性2人が、率先してお盆を取りに行き1人1人の前にお盆を置いた。

 そして彰仔が真ん中になり、全員にお盆が行き渡ったか確認して手を合わせると、全員が手を一斉に合わせ、目を瞑る。


「天に……地に……そして仏に感謝……恵し食物を大事に頂きます……」


 彰仔が言うと、周りの女性も全員同じ事を小声で言い始める。


「天に……地に……そして仏に感謝……恵し食物を大事に頂きます……」


 そして彰仔が一口食べると、全員が静かに食べ始めた。


「……」

「昼もこれだったから気味悪いったらありゃしない……」


 不気味がる梨紗、そして唖然とする真沙美達。


「……私達も食べましょう」


 優佳や由美は飯にすぐさま貪りつく。それを見て微笑む真沙美と南先生。梨紗も微笑みながら眺める。


「若い子はこうでなくっちゃな‼︎」


 そして30分後、自衛隊員が食器を片付けに来た。


「さぁ全員来るんだ‼︎」


 女性部屋、そして男性部屋にも自衛隊員が食器を片付けに来た。


「さぁ全員来い‼︎」

「な、なんだ⁉︎」


 銃を持つ自衛隊員について行く。蒼一郎や幸久は不安そうについて行く。


「どこに連れて行く気だ?」

「さぁ……見当もつかない……」


 そして外へと出て行くと、大勢の一般人達が列になって並んでいた。


「あの人達も俺達と同じなのか……」

「幸久〜‼︎」

「⁉︎」


 後ろから女性の声が聞こえて、後ろを振り向くと自衛隊員の後ろで手を振る由美の姿を見つけた。


「由美⁉︎」

「幸久‼︎何もされてない⁉︎」

「俺達は大丈夫だ‼︎ぐっ……‼︎」

「さっさと歩け‼︎」


 自衛隊員が銃で背中を強く殴った。


「幸久⁉︎」

「大丈夫だ……」


 そのまま幸久は背中を抑えながら、男女別れて部屋順に列へと並んだ。両方合わせて100人以上はいるようだ。


「一体何をする気なんだ……」


 蒼一郎の不安と共にざわざわとする。全員何か恐れている様子が伝わってくる。


「あれは……?」


 幸久が列の前方に、縦1m50cm、横1mほどの小屋のような建物が10個以上配置されている。

 そして最後の収容された人達が並ぶと、列の前に1人自衛隊員が出てきた。


「今からこのシャワーユニットで1人1人身体を洗え‼︎1人5分までだ‼︎」

「何だ風呂か……びっくりした……」


 ホッとする蒼一郎に対して、優佳と共に大喜びする由美。


「久しぶりのシャワーだわ‼︎」

「ここ数日走りまくりで疲れたし‼︎」


 こんな状況で喜んでいる2人を横目で見る真沙美。


「こんな時によくそんなに喜べるわね……」

「元気が良くないよりマシだと思うわ」


 南先生の言葉に少し納得いかないがうなづく真沙美。


「そう……ですかね……」


 そして前の列から徐々にシャワーユニットへと入って行く。入る前に自衛隊員からゴワゴワのタオルを渡される。

 タオルを渡された教頭は不満そうな顔をする。


「まだこれなら娘の洗ったタオルの方がマシだ……」

「さっさと入れ‼︎」

「はっ、はい‼︎」


 ーーーーーーーーーーー


 収容されている人達がシャワーユニットでシャワーを浴びている間、収容所の中にある木造で出来たドアの部屋、ドアには校長室と書かれている……

 廃校になる前に使っていたと思われる綺麗な木製机で自衛隊の制服を着ている細い体の中年男が、豪華な椅子に座りながら両肘を突き、そこに顎を乗せながら机に置かれている5つのモニターを確認して笑っている。


「ふっふっふ……良い眺めよ……」

「失礼します(すめらぎ)さん」


 書類を持って部屋に入ってきたのは、目の細い若い男性だった。常に不気味にニコニコと笑っている。


神咲(かんさき)……お前も観るといいさ……これを」


 神咲は皇の椅子の後ろへと周り、モニターを覗く。


「ふっ……皇さん、あんたも中々の物好きですね……」


 神咲がモニターで見たものは、女性達がシャワーユニットで身体を洗っている映像だった。皇はシャワーユニットに小型の隠しカメラを設置して、盗撮をしていたのだ。


「ここは私が任された所だ。私が一番だ」

「だから、ここの任務を自ら志願したのですよね」

「言ってくるね〜神咲ぃ〜おっ?」


 お互いにニヤニヤと笑う中、皇はあるモニターを注視した。


「おぉ⁉︎この子……ワシの好みだ。この女の情報は」

「この子は……確か夜に港で捕まった女子高生ですね。名は……」


 神咲が書類を調べている。そのモニターに映っていたのは……


「白崎由美……って名前ですね」


 皇が鼻の下を伸ばして凝視していたのは、シャワーを嬉しそうに浴びている由美だった。


「ここを任された貴方がこんな事をしてるとしたら、九州に派遣された隊員達はどう思いますかねぇ〜」


 皇はニヤリと笑い、神咲の目を見て言う。


「感染者が四国まで来ると思うか?だいたい何キロ離れている思っている?四国から九州まで?九州の感染者騒ぎも明日に、大規模な自衛隊による鎮圧で治るさ。すぐにな」

「本当にそうですかねぇ〜」

「この国は大げさ過ぎだ……何でもかんでも……」


 そして再び由美のモニターを見ると、今度は真沙美が髪を解いてシャワーを気持ちよさそうに浴びていた。


「この子は⁉︎」

「その子も港で捕まった女子高生ですね。名は……赤羽真沙美」

「ふっ……この子に決定だ……」


 不敵に笑う皇……見られているとは知らずにシャワーを浴びる真沙美……


 この時、午後10時08分……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔法とか出てこない王道系ゾンビ作品なところ良いですね。 [気になる点] エロ小説の自衛隊みたいなところw ゾンビ達が出てきてなくて人と人との戦いばかりなところ。ネズミゾンビは国公認の輸送船…
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