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僕らの終末旅行日記  作者: ワサオ
第2章 四国上陸編
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修学旅行6日目 午後9時09分 収容所編①

 

 午後9時09分……


 3つに別れた雅宗達……その頃、幸久達は収容所に男女分けられ、部屋に入れられる。そこはどうやら廃校のようだった。


 男子部屋……閉じ込められて30分程……龍樹は床に転がり寝始め、蒼一郎は鉄格子を掴み外をずっと覗いている。

 西河先生や教頭、バスの運転手や漁船の船長など大人達もずっとこの施設の会話している。

 幸久も部屋をグルグル回っているが、九州のスーパーで出会った哲夫は大きく腕を動かして黒板にチョークで何か書いていた。


「何書いてるんです?」

「いや〜暇で息が詰まりそうになるから、たまたま落ちていたチョークのかけらで絵を描こうと思って……」


 幸久がすこし後ろに引くとマンガチックな可愛らしい女の子の絵が書いてあった。

 これには蒼一郎も食いついた。


「うわぁすげえ‼︎これあんたが描いたのか?」

「うん……まぁ」

「ならこんな絵も描ける?ゴニョゴニョ……」


 耳元でヒソヒソと何かを伝える蒼一郎。それを聞いて驚く哲夫。


「マジで言ってる⁉︎」

「もちろん‼︎」

「ん〜しょうがないなぁ……」


 蒼一郎のキラキラとした目に負け、渋々隣で書き始める。


「食事の時間だ‼︎これを食え‼︎」


 いきなりドアが開き、銃を構えた自衛隊員と料理が入ったワゴンを押してくる自衛隊員が入ってきた。


「食事か……そういえばここ最近まともな食べ物を食べなかったから助かるぜ……」


 寝ている龍樹以外の部屋にいる全員がワゴンに群がり、汚いお盆に乗っている汚い茶碗の中に入っている料理を見る。


「な、何だこれ⁉︎」


 料理を見て唖然とする蒼一郎。それはご飯は茶碗半分に満たない量で、味噌汁も半分以下、おかずの焼き鮭も予想より半分以下の大きさ、そして半分に切られたバナナ。


「30分後に取りに行く。残さず食べろ‼︎」


 自衛隊員はお盆を全員に配り、幸久は龍樹の分もお盆を受け取り、龍樹の前に置く。


「置いとくぞ」


 そして自衛隊員が出てった瞬間、蒼一郎がすぐさま幸久に愚痴る。


「こんな物ネットなら炎上物だぜ……」

「まだ、食事を貰えるだけありがたいと思って食おう……腹が減れば動けないしな」

「……分かったよ……うえっ‼︎この味噌汁味薄いし、冷えてる……」


 龍樹もゆっくりと起きて、置いてあるご飯を食う。

 全員静かにご飯を食べるのであった……



 ーーーーーーーーーーーー


 女子部屋……真沙美と由美と優佳と南先生は、女性隊員によって幸久達と同じ広い教室へと押し込められ、閉じ込められた。優佳はドアを叩き、自衛隊員に訴える。


「私達が何したって言うの⁉︎出してぇ‼︎」

「貴方達もここに閉じ込められたのかい?」


 真沙美達が振り向くとその声は部屋の隅から聞こえて来た。それはおっとりと喋るおばあちゃんの声だった。その周りを囲むように若い女性から老人まで様々な女性が身を寄り添っていた。

 南先生が前に出て事情を説明する。


「は、はい……私達は九州からここまで船で来て……」

「私達も昼頃に船でここまで来て、自衛隊の方にここに連れてこられたのです」


 おっとりとニコやかに喋る老女。そんな老女に南先生は多少戸惑うが、自己紹介をする。


「私は北海道にある時忠高校教師南日美香です。この子達は私と同じ高校の赤羽真沙美と白崎由美。そしてもう1人は九州で出会った河村優佳ちゃんです」


 全員1度頭を下げる。そして老女も自己紹介を始める。


「私は麻垣景仔(あさがきけいこ)です。よろしくお願い申し上げます……」

「……こちらこそ……」

「まっ……何もないですがゆっくりしましょう……」


 そう言うと景仔は、周りを囲んでいる女性達に何やら語りかけている。よくは聞こえないが、小声で1人1人に語りかけているようだ。


 そして真沙美が周りを見渡すと、景仔達とは逆の方向に別の30代くらいの女性が1人で座っていた。ジーンズを履いた金髪で鋭い目つきでこちらを見てきた。


「あんたらも九州から来たんだろ?」


 女性が真沙美達に話しかけて来た。南先生が対応した。


「は、はい」

「こっち来な」


 全員、その女性に近づき座る。


「あいつらは何か怪しい宗教らしいよ。あまり関わらない方がいいぜ」

「あ、あなたは?」


 由美が聞き返すと、女性は笑顔で自分に向けて親指を立てる。


「あたしは橋爪(はしずめ)梨紗(りさ)よろしくね‼︎」

「よろしくお願いします‼︎」


 全員で握手を交わした……

 そしてお互いに今までの出来事を話し合った。


「あたしも適当な船に乗せてもらったらここに来たら、このザマさ。それにあんたら修学旅行中に災難だねぇ〜」

「はい……色々見てきて少しは慣れましたよ……」


 由美が言うと、梨紗は手を由美の頬に触れて微笑む。


「それにしても先生も含めてみんな綺麗な顔だね〜男達が黙ってないでしょ」


 言われた瞬間、南先生含めてみんな顔が真っ赤になった。真沙美が恥ずかしそうに受け答える。


「そ、そんな事ないですよ‼︎梨紗さんも綺麗ですよ‼︎」

「ふっ……面白そうな子達だね」


 どこかしら優しそうな目で笑う梨紗であった……

 そしてドアが開き、自衛隊員が夜飯を運んで来た。


 この時、午後9時30分……


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