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僕らの終末旅行日記  作者: ワサオ
第2章 四国上陸編
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修学旅行6日目 午後7時57分

 

 午後7時57分……


 九州を脱出し、漁船で四国へと向かった雅宗達だが、宿毛市の池島漁港付近に到達した瞬間、無数のライトが雅宗達を囲んだ。


 銃を持った男達はヘルメットを被っており、自衛隊だと幸久は分かった。だが、銃を持っている事に気づき静かに分析する。


「自衛隊なのか……この人達は……」


 龍樹も銃を持っている人物に疑問を抱く。


「自衛隊なのは間違いないが、俺達を歓迎していないのは確かだな」


 鉄塔にいる拡声器を持った男は漁船に大声を上げる。その大声に全員が耳を塞いだ。


「そこの漁船‼︎今すぐに船を港に着けろ‼︎」


 声を聞き漁船の中はざわつき始める。そして西河先生が両手を上げながら立ち上がり、船の前に立ち鉄塔に向かって大声を上げる。


「私達は感染はしていません‼︎それに怪我をした生徒と意識がない生徒がいるんです‼︎早く手当を‼︎」


 鉄塔のライトは一斉に西河先生を照らした。その瞬間、ライトが照らされてない船の端に座っていた雪菜は隣にいた2人を掴んで海に飛び降りた。幸久はその光景をはっきりと目視した。


 鉄塔の自衛隊隊員が水に落ちる大きな音に気づき、船の周りを照らし回し、拡声器を持った男に報告する。


「今何か音が……」

「そこの船の周りを確認しろ‼︎」


 ライトは船全体を照らし、西河先生が後ろを確認すると雪菜を含めた3人がいない事を知った。幸久と西河先生は目を合わせ幸久は静かにうなづく。


 そして船はそのまま池島漁港へと着いた。その瞬間89式小銃アサルトライフルを構えた自衛隊員10名近くが船の前に立った。

 その中から拡声器を持った自衛隊員も出てきて、怒鳴り散らす。


「両手を上げながら船から降りろ‼︎」


 意識のない雅宗と足を怪我した里彦を見た瞬間、自衛隊員は指を指した。


「そこの怪我人2人‼︎そしてお前だ‼︎お前も来い‼︎」


 それは怪我はしていないが服に感染動物の血がかなり付着している由弘。


「お、俺も⁉︎」

「そうだ‼︎来い‼︎」


 そして自衛隊員に運ばれる雅宗と里彦、そして由弘は何台も用意された73式大型トラックに乗せられた。

由弘は他のみんなに何も言える事なく、連れ込まれた。


「雅宗‼︎」

「君はこっちのトラックに乗るんだ‼︎」


 真沙美が雅宗の所へと行こうとすると自衛隊員が手を出して、道を塞ぐように止められた。必死に手を伸ばすが、雅宗との距離は離れて行った。


「彼らは我々が保護する。だから君達は別のトラックに乗るんだ」

「……」

「真沙美ちゃん……」

「真沙美……信じよう、雅宗は戻って来るって」


 優佳と由美の言葉に真沙美は渋々、隊員に従いトラックの荷台に乗った。


「俺達を何処に連れて行く気だ……」

「さぁな……とにかくいい方向には行ってないな……」


 幸久と蒼一郎の不安をよそに幸久達を乗せたトラックは何処かへと走っていった……

 由弘のトラックは幸久達とは別の道に運ばれて行く。


 鉄塔の上では拡声器を持った自衛隊員が別の隊員に小声で指示していた。


「監視カメラをチェックしろ。もしあの船に他の搭乗者がいれば見つけ次第即射殺しろ……」

「分かりました……杉影(すぎかげ)曹長……」


 ーーーーーーーーーーーー


 その頃雪菜にひきづり降ろされた2人は真っ暗な中、海岸にたどり着いた。だが2月の気候の中、海を泳いだ為に服も濡れ、極寒の冷えが雪菜の身体を襲う。


「さ……寒っ‼︎おい‼︎お前ら大丈夫か⁉︎」


 すると小さな体格の女の子とぽっちゃりとした体型の男の子がいる事をここで知った。その瞬間、雪菜は落胆した。アイツらだと知って。


「お前ら……まさか……」


 雪菜が海に一緒に引きづり降ろしたのは、伸二と綾音だった。

伸二は身体の事よりスマホを心配しており、綾音は自分の身体を震わせている。


「ぼ、僕のスマホが……」

「寒い……」


 予想外の2人に唖然とする。そして両膝を地面に着き、悲しみの大声を上げる。


「嘘だろ……何で……何でお前ら何だよぉぉ‼︎」


空を突き抜けるような大声が夜の四国に響き渡った。



 この時、午後8時21分……



 四国上陸編……開幕


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