修学旅行6日目 午後4時6分
午後3時57分……
幸久達の想いを乗せた紙飛行機は、無事に雅宗達の元へと届いた。そして文字を読み取った雅宗は理科室へと向かい、武器を探した。国吉も理科室に来て、国貞、国吉との最後の戦いが始まった……
「反撃開始だ‼︎」
国吉が急いでボーガンに矢を再び装填しようとした瞬間、龍樹がボーガンを持った国吉の手ごと蹴りを食らわせた。それを蒼一郎が奪う
「びゃ……‼︎」
「これでお前の武器は俺たちの物だ‼︎」
「由美‼︎火をつけろ‼︎(幸久……お前を信じる‼︎)」
「はい‼︎」
マッチに火をつけ、それを雅宗が持つ濡れたモップに火をつけた。
モップの布部分は赤く燃え上がり、雅宗はモップを国吉に突きつける。
「ひっ……ひっ……ひぃ〜‼︎」
「ぐわっ‼︎」
すると国吉の様子が急変し、顔を搔きむしりながら理科準備室の入り口にいる雅宗を突き飛ばして出て行った。蒼一郎が雅宗を起こした。
「大丈夫か⁉︎」
「あぁ……大丈夫だ。それより早く屋上に行こう……」
「そうだな……」
蒼一郎が軽く笑いながら言う。
「でもモップをアルコールランプの液体に漬けてたいまつのようにするとは、中々やるな龍樹」
「ふっ……さっさと屋上に行くぞ」
軽く微笑む龍樹も濡れたモップを2つ持ち、蒼一郎にも1個投げ渡した。
「サンキュー‼︎」
「火をつけろ」
「は、はい‼︎」
由美は龍樹と蒼一郎のモップにも火をつけ、理科準備室を出る時、龍樹はボーガンと矢を拾った。
(待ってろ……真沙美……絶対に助けてやる……)
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1号館3階……
屋上へ向かう雅宗達、国吉を警戒しながら上へと階段を歩いて行く。透明な液体が入ったペットボトルを持った由美を男子3人で囲みながら進む。
「だ、大丈夫よね……いきなり出て来たりしないよね……」
急にビビり始める由美。そこに雅宗が言う。
「ビビるな由美……奴は火が苦手だ。簡単には近寄れんはずだ……」
教室を通りかかった瞬間、突如刀を振り回した国吉が教室から雅宗達を襲撃して来た。
「ひ‼︎ひ‼︎ひぃ‼︎‼︎」
「なっ⁉︎」
「ちっ……‼︎」
びっくりした雅宗とは真逆で龍樹は冷静に燃えたモップを国吉に突きつけた。雅宗達に攻撃が届く前に国吉は怯んだ。
「ひっ⁉︎」
「それを投げろ‼︎」
「え?これを?」
龍樹が防御してる間に、由美に命令する。そのペットボトルを投げろと
「……」
戸惑う由美。だがギュッと握り締め、蓋を開けた状態で投げた。
「行っけぇぇぇ‼︎」
「ひっ⁉︎ひっ?ひっ‼︎」
飛んで来たペットボトルに対し、国吉はそのペットボトルを切り裂いた。そして切り裂いたペットボトルから液体が国吉の服に掛かった。
「ひっ?」
「⁉︎こいつを倒すなら今しかない‼︎こいつを喰らえ‼︎」
国吉は体についた液体に気を取られた。その瞬間、雅宗は大声を出しながら燃えたモップを投げつけた。
「ひっ‼︎」
モップは国吉の腹部に当たり、その瞬間に濡れた服に引火した。
「ひっ⁉︎ひぃ〜‼︎⁉︎」
火は国吉の体全体に燃え広がり、火だるまになった。国吉は気が動転し、刀を投げ捨て叫びながら暴れ始めた。
「奴の身体に引火した⁉︎」
「ひっ‼︎ひっ‼︎びゃぁぁぁぁ〜‼︎‼︎」
そのまま国吉は、断末魔の叫びをあげながら後ろへと下がって行った。そしてベランダにまで下がって行った。雅宗達は燃えたモップを構えて更に追い詰めた。
「観念しろ‼︎」
すると国吉は叫びながら、3階から飛び降りた。
「びゃぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」
「と、飛び降りやがった⁉︎」
その叫び声は屋上にいる国貞含めて全員に聞こえた。
「何じゃ⁉︎国吉⁉︎」
銃を持ち、慌てた様子で柵から見る。すると火だるまとなった国吉が3階から飛び降りた光景が国貞の目にはっきりと映った。
幸久や由弘もその光景を見た。
「あれは雅宗か⁉︎」
雅宗はすぐさまベランダの下を見た。そこは芝生が敷かれており、真っ赤に燃えて倒れている国吉がいた。ピクリとも動いていない、雅宗は死んだと確信した。
由美が恐る恐る後ろから雅宗に聞く。
「あの人……死んだの……」
「あぁ……流石にここから落ちれば死ぬはずだ……」
龍樹はそのまま教室を出て行こうとする。
「奴に同情するな……俺達を殺しに掛かった奴だ……それより行くぞ……屋上に」
「あぁ……行こう……」
雅宗は国吉の燃える死体を見て、教室を後にしようとしたその時
ドンッ‼︎
1発の銃声と共にベランダの壁に小さな穴が空いた。銃撃だ……雅宗は本能的に体を低くし隠れた。国貞は何発も壁に銃撃を放った。雅宗は急いで教室に逃げた。
「あっ……危ねぇ‼︎」
「よくも‼︎国吉を‼︎国吉を‼︎‼︎」
幸久達も国貞の様子見て動揺する。
「雅宗達があのジイさんの息子を倒したのか……」
「あぁ……雅宗はここに来る‼︎」
雅宗は廊下にいる蒼一郎と合流した。雅宗は青ざめた顔になっていた。
「大丈夫か⁉︎」
「な、何とか……あいつ、逆上しやがった‼︎」
「ならなおさら、急いで屋上に行かねぇとな……」
「龍樹……」
龍樹は奪ったボーガンに1発の矢を装填する。
「逆上したら何するか分からない、急いであのジジイを止めに行くぞ」
「あぁ‼︎幸久、由弘、真沙美……みんな待ってろ‼︎」
雅宗達は急いで屋上へと向かうのだった。
この時、午後4時10分……