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僕らの終末旅行日記  作者: ワサオ
第1章 九州脱出編
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修学旅行6日目 午後3時39分

 

 午後3時39分……


 携帯を取り上げられて、連絡が取れない状態の幸久達だが、由弘が雅宗達が保健室にいるのを発見した……そして哲夫のスケッチブックの紙で紙飛行機を作る事にした……


 哲夫が幸久に黒鉛筆を渡した。


「幸久君……これで何かメモを書いた方が良い……あの男はボーガンを持っているとか……」

「そうですね……」


 国吉がボーガンを持っている事を書く。すると今度は伸二が近寄って来た。


「幸久君……もう一つ書き足して欲しい事がある……」

「何だ?」

「これは、僕の予想だけど……あのおじいさん火に何かしらのトラウマがあると思うんだ……」

「トラウマ?」

「さっき薪雪菜さんが、タバコの火をつけた時、異常な反応をしていた……トラウマはそれに連想するものや実物を見たとき、過剰反応を起こす言われている……あの状況で火にあんな過剰に反応するのはおかしい……別にここにはガソリンやガスなど、火に引火する物は一切ない……」

「……確かに……でもそれが確証とは限らない……一応書いておくしかない……相手は火が苦手な可能性アリと……」

「やばいぞ……爺さんこっちを観てるぞ」


 小声で教える由弘。すると国貞が幸久達の方向を凝視する。

 

「何やってるんだ〜そこの4人?」


 由弘、幸久、伸二、哲夫が屋上の端っこでコソコソやってるのを不思議に思った国貞は話しかけて来た。


「バレたか?」

「いや……ここは僕に……」


 哲夫が立ち上がり、紙飛行機にする部分を千切って、幸久にこそっと渡した。そしてスケッチブックを広げながら国貞の方へと向かう。


「なんじゃそれ?」

「こ、これは僕が描いた絵です……それをみんなに見せていて……」

「どんなんか見せてくれんか?」

「いいですよ……」


 声が震えている哲夫。国貞の手には猟銃が置いてあり、それを観て更に震える。


「いや〜綺麗な絵だね〜画家でも目指してるのかい」

「ま、まぁ……そういう所ですね……」


 国貞が絵に集中してる間に、幸久達は紙飛行機を作りあげた。だが幸久は1つの難関に差し掛かる。


「何とか作ったが……柵が高いな……」

「俺が幸久を持ち上げれば、柵の上に行けるが……あのじいさんにバレてしまう……」


 別の場所で放心状態の教頭を介護してる西河先生も幸久達の行動と国貞を観て察知した。


「あいつら……まさか……」


 そもそも紙飛行機を飛ばしたとして、保健室に届くのか?幸久はそこが心配だった。


「保健室に届かなくても、せめて雅宗に紙飛行機の事を知ってもらえてば拾いに行ける……」

「だが外はゾンビアニマル共がうじゃうじゃいやがる」


 すると西河先生が話に混ざってくる。


「先生に投げさせてくれないか」

「に、西河先生が⁉︎」


 驚く幸久、由弘、伸二。


「こう見えても昔は野球部で情熱を燃やしてたんだよ。由弘、悪いが僕をお前の肩に乗せてくれ」

「……分かりました」


 女子生徒達も幸久達の行動を察知した。南先生が哲夫の絵を見ている国貞に話しかける。


「あ、あの……」

「何かな?先生〜」


 南先生の方へ振り向いた。


「トイレ行ってはダメですか?」

「いや〜もう少し待ってくれませんかね〜国吉が片付けるまで」

「そ、そうですか……」

「いや〜こんな事聞くのは酷だけど、先生は彼氏とかいるの?」

「わ、私はまだそんな関係とかは……」


 南先生の方へと振り向いた瞬間に由弘は西河先生の足を肩に乗せた。


「行きますよ‼︎先生‼︎」

「おう‼︎」

「うぉーーっ‼︎」


 先生を力一杯上にあげ、上半身が柵を越えた。


「頼むぞ‼︎雅宗‼︎そして……届け‼︎」


 西河先生は雅宗達に想いを託し、紙飛行機を保健室目掛けて投げた。

 そして由弘はすぐさま先生を下ろした。


「何とか……バレてないようです……」


 幸久が報告する、国貞は南先生と楽しく喋っていた。


 ーーーーーーーーーーーー


 保健室にいる雅宗達は、屋上へと行くために情報を集めている。龍樹から国貞の事を聞いた。


「屋上の奴は老人……それに銃を所持か……その老人の息子が、あの変な奴か」

「日本刀も持っている……簡単には突破出来ない……」


 龍樹も一言言い放った。


「さっきみたいにやればいいそれだけの事だ……」

「何か弱点でも見つけられば……」


 すると窓からフワッと紙飛行機が飛んで来たのだ。


「これは……紙飛行機⁉︎」


 雅宗が外を覗くが何処から飛んで来たのか分からない。

 蒼一郎も紙飛行機を見ると文字が書いてあるのを発見した。


「こ、これは……」


 広げるとそこには乱雑に書かれた文字が書いてあった。



 雅宗達へ


 屋上に綾音ちゃんが来た。真沙美と南先生と優佳ちゃんが人質になっている。


 変な奴はボーガンを手に入れ、再び学校内へと戻った。


 奴らは火が弱点の可能性アリ……


 幸久より、


雅宗と由美は驚いた表情になり、雅宗は拳を強く握りしめてた。


「真沙美が⁉︎」

「人質に……」


そこに蒼一郎が言う。


「火が弱点……なんでだ?」


 蒼一郎の言う通り、火が弱点……悩む一同……


「火……何処にあるんだ?」


 雅宗が言うと龍樹が保健室から出ようとしながら言う。


「決まってるだろ。理科室だ……」


すると雅宗が真剣な顔になり言う。


「行こう‼︎理科室に‼︎」

「私も行く‼︎私も戦う‼︎」


 怪我した里彦を再びベットの下に隠して、雅宗が率先して理科室へと向かった。



 ーーーーーーーーーーーー


 理科室の前に到着した一同。国吉が来ないか見張りながら入ろうとする。雅宗が開けようとするが鍵が掛かっている。


「あれ、開かない……何でだ……」

「流石に化学薬品とかが置いてあるから施錠はしてあるか……」


 由美が周りをキョロキョロと見る。


「早くしないとあの人がきちゃうよ!……そうだ!みんなで一斉にドアに体当たりしたら?」

「……やるしかないな……」


 雅宗、蒼一郎、龍樹の3人は横に並んで、木製で作られた引き戸を破壊すべく雅宗の合図を待つ。


「321で行くぞ‼︎」

「おう‼︎」

「3・2・1……GO‼︎」


 3人は一斉に走りだし、肘を思いっきりぶつけた。ドンっ‼︎っと大きな激突音と共に理科室のドアを押し倒し3人はそのまま倒れてしまった。


「痛てて……何とか入れたな……」


 龍樹がすぐさま立ち上がり、理科準備室へと行く。


「探すぞ……対抗策を……」


 ーーーーーーーーーーーー


 この音にはもちろん国吉は気づいた。


「ひ……ひひ……」


 すぐさま国吉は、理科室へと向かって来た。入り口のドアは破壊されており、そのまま入り込んだ。


「ひ……ひ……ひ……」


 理科室内を見渡すが人の気配はなく、薬品などが置いてある理科準備室のドアが開いていた。


 国吉はボーガンを構えてその部屋に向かっていった。


「ひひひ……」


 余りにも笑いすぎてよだれが垂れて来た。そして、理科準備室に入ると狭く棚の中には薬品が置いてあり、部屋はカーテンが閉められ真っ暗だ。


 すると準備室から雅宗の声が聞こえて来た。


「待ってたぜ……殺人鬼のおっさんよ!」


 いきなり目の前に人影が現れた。国吉はすぐさまボーガンを人影に向かって放った。


 ドンッ!


 とボーガンの矢は頭に突き刺さった。そして倒れた。


「ひ……ひゃ……ひ!」


 国吉が確認すると……それは人体模型だった。


「ひ?ひ?」


 戸惑う国吉。すると準備室の電気が点灯した。

 そこには濡れたモップを持った雅宗とマッチを持った由美。人体模型があった場所に龍樹と蒼一郎が立っていた。


「さぁ……反撃開始だ‼︎」


 この時、午後3時57分……


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