修学旅行6日目 午後3時21分
午後3時21分……
綾音は由美と協力し、里彦の応急処置をした。屋上では、国貞が日本刀を持っている事が分かった。その裏で国吉は里彦が垂らした血を頼って日本刀を持ち、保健室へと向かって行く……
椅子に座って休んでいる由美と綾音。
「真沙美達大丈夫かな……」
「……幸久さん達もいるから大丈夫ですよ……」
「うん……でも相手は銃をもっているし……」
「……」
静かになる保健室、すると由美が笑顔で言う。
「落ち込んでも何も解決しないわ!私トイレに行ってくる!元はと言えばトイレにこの学校に入ったんだから。綾音ちゃんはどうする?」
「私はいいです……気づいたら勝手に引いちゃって……」
「……じゃあ私行ってくる!ここお願いね!」
「うん」
由美は廊下に出てトイレへ向かった。その道中、廊下に垂れている血を見る。
「この血は……里彦君のか……」
そのままトイレへと移動した。
綾音はベットに横たわっている里彦の隣で外を覗く。ゾンビと化した動物が何匹かウロウロしているのが見えた。
「まだあんなにいる……」
すると静かな廊下から一つの足音が聞こえて来た。
「?由美……ちゃん?」
綾音が保健室から廊下を覗く。そこには国吉が由美がトイレに行った道とは逆の方向から不気味に笑いがなら日本刀を無闇に振り回しながら、こちらに歩いて来てる。
「はっ⁉︎」
地面を見たら里彦の血が垂れていて、その血に惹かれてこちらに来た。綾音はすぐに察してドアを閉め、息を荒げる。里彦も起きて言う。
「はぁ……はぁ……う、嘘でしょ……」
「どうしたんだ?綾音ちゃん?」
「あの人が来た……あの人が……」
「雅宗か?それとも……」
「……!」
すると、綾音はとある行動をした……
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ドアを開けようとする国吉。
「ひ……ひひ……?」
だが開かず、すると国吉は強く殴り始めた。
ドガッ!!ドガッ!!
そして最終的にドアを無理やり蹴り壊した。
「ひひひ……」
保健室を覗くと誰もおらず、カーテンが風に揺らされている。国吉が見ると窓が少し開けられている。
「ひっ……にひ……」
窓を思いっきり割り、保健室内を探し始める国吉。椅子を蹴飛ばしたり、薬の棚を刀で振り壊すなど傍若無人な事をするが、綾音達は……
「……」
綾音達はベットの下に隠れていた。里彦も頑張って動きベットの下に入り込んだのだ。綾音も里彦のとなりのベットの下に息を殺して隠れている。
(早くどっか行ってくれぇ……!!!)
早く消える事を祈る里彦だが、国吉は里彦が隠れているベットにこしをかける。
そして国吉はベットの下に刀を刺した。刀はベットの下に隠れている里彦の目の前に突き抜けて来た。
「……⁉︎」
余りに唐突に刀が出て来たので、少し声が漏れてしまった。もちろん国吉がそれに気づかない訳がなかった。立ち上がり辺りを見渡す。だがベットの下にいる事は気づいていないようだ。
(このままじゃ、里彦さんが……)
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数分後……トイレを終えた由美は、保健室へと急ぐ雅宗達と合流した。だが雅宗達は慌てた様子でいる。
「雅宗⁉︎」
「由美⁉︎里彦達は⁉︎」
「まだ保健室に……」
「急ぐぞ!!里彦達が危ない!!奴はまだいるんだ!!」
「嘘っ⁉︎」
雅宗達は急いで保健室に戻ると、保健室は無残にも荒らされていた。蒼一郎がいち早く入った。
「里彦!!どこにいる!!」
由美も綾音を探す。雅宗は割られた窓を見る。龍樹は廊下を見張っている。
「綾音ちゃん!!どこ!」
「誰か助けてくれ……」
「さ、里彦か⁉︎」
保健室から何かの声が聞こえて来た蒼一郎は聞こえて来た場所を探し、ベットの下を覗くと里彦がいた。だが里彦の息が荒くなっていた。
「大丈夫か⁉︎里彦⁉︎」
「あ、綾音ちゃんが……綾音ちゃんが……」
そして蒼一郎は里彦を引っ張り出した。雅宗が問いただす。里彦は正気を失ったように言う。
「保健室で何があったんだ!!教えてくれ!!」
「さっきあの変人が……来て俺達はここに隠れていた。だけど俺が声を出してしまって、綾音ちゃんが代わりに出て、何処かへと連れてかれた……」
「な、何ぃ⁉︎」
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その頃屋上では……
幸久はこの状況を打破する方法を鉄網の前で曇った表情で考えている。
「携帯も取り上げられて、雅宗達とも連絡がつかない……どうすれば………?」
目の先に山を見ながらスケッチブックに絵を描いている哲夫を発見する。
「哲夫さん?何描いてるんですか?」
「あーやる事無くてね……僕暇になると絵を描くんだ……こんな時でもね……」
「いや……むしろ落ち着いていられる分俺よりマシですよ。仲間も心配だけど、自分の心配の方が大きい……いつ死ぬか分からない恐怖にね……」
すると哲夫はスケッチブックを閉じた。
「あっ……気に障りましか⁉︎」
「全然そんな事ないさ……今言ったこと僕と同じだなって……自分を隠しているって……」
「どうゆう事ですか?」
「隠し事は人によって分かりやすかったり、分かりにくかったりするんだ。君は自分をどっちだと思う?」
悩む幸久。だが全然浮かばなかった。
「……」
「そうゆうもんだよ。人間は……」
「えっ?」
「皆んなの前だと言えないんでしょ。自分が1番心配だと言う事……」
「そうですね……皆んなの前だと威張ってる奴にしか見えないけど、本当は無理して演じている場面もいっぱいありますね……」
すると哲夫は微笑みながら言う。
「僕だってそうさ。昔虐められていたんだ。でも家族に心配かけたく無いから無理に笑顔や明るく振舞っていた。でもそんな所からも逃げる為に絵を描く事で全てを忘れられた」
「辛かったんですね……」
「でも逃げる事は悪い事じゃない……逃げる事で逃げる人を助けることにもなる。前を向きすぎたら後ろの人が見えなくなる……後ろの人の気持ちが分からなくなる。1人で走らずに悩んだ時は誰にでも相談してね……僕でも相談に乗れるかもしれないから……」
「ありがとうございます……」
「ゆ、幸久!」
後ろから由弘が走って来た
「どうした由弘?」
「こっちを見てみろ!」
それは保健室の窓から雅宗が外を見ていたのだ。
「何とか今の状況を伝える事が出来れば……」
「下手に大声を出したら、あいつにバレる……どうすれば……」
すると哲夫がスケッチブックを見せて言う。
「このスケッチブックの紙で、紙飛行機を飛ばす……のはどうかな……」
「それいいアイディアだ!!」
すると屋上のドアが開いた。
「誰だ⁉︎」
そこには、綾音と日本刀を持った国吉が歩いて来た。
「綾音ちゃん⁉︎それに、あれがあのジイさんの息子……なのか?」
国貞もニヤリと笑う。
「いや〜国吉〜ちょっと遅かったんじゃないかな〜銃もなしに……」
「ひ、ひひひ……」
「まぁいい……これを持ってけ。残りの女の子を連れて来い!男は殺せ……」
国貞はバックからあるものを出して、国吉に放り投げた。
「ひぃ……ひひ〜!!」
それはボウガンだった。しかも矢は10本以上もある。幸久は由弘の陰に隠れて紙飛行機を作り始めた。
「早く……何とかしないと……雅宗達が……!」
綾音を国貞の後ろに起き、国吉は学校へと戻って行った。そして国貞はニヤリと笑う……
「いや〜まだゲームは続きそうじゃな〜」
この時、午後3時39分……




