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僕らの終末旅行日記  作者: ワサオ
第1章 九州脱出編
38/124

修学旅行6日目 午後3時12分

 

 午後3時12分……


 蒼一郎と龍樹の奮闘により、何とか国吉を撃退する事に成功した。そして銃も奪い、国貞がいる屋上へと行こうとするが、国吉が突如起き、逃げられた……


 屋上……国貞は国吉が帰ってくるのが遅いのか、腕時計をチラチラと何度も見ている。小声で言う。


「国吉の奴……遊びおって……」


 国貞は1m以上あるでかい縦長のバックに手を入れ何かを探し始めた。少しの隙が出来て、猟銃を手放している。それを見て国貞の背後に置かれている猟銃に南先生はゆっくりと近づく。


「⁉︎」


 突如国貞は1mもある日本刀を取り出し、南先生の首元に付けた。その瞬間、この場にいる全員が凍てついた。


「いや〜先生も中々の悪女だね〜ワシは嫌いじゃないよ……むしろ好きさ、殺したいぐらい……」


 国貞はニヤリと笑いながら、刀で南先生の首元をなぞる。そして刀をすっと戻し、鞘に収めた。


「まっ……ワシは息子の嫁候補は殺さないがな……そうじゃなければ……」

「……」


 ドスの効いた声と満面の笑みで言う国貞に南先生は顔面真っ青にして下がっていった。そこに真沙美と優佳が駆け寄る。


「大丈夫ですか⁉︎先生⁉︎」

「う、うん……大丈夫よ……」


 だがあの言い方は、本気だった……本気で殺す気だった……と南先生は思った。

 国貞は時計を見て言う。


「まぁ……国吉にはあの武器がある……そう時間はかからないだろう……」


 ーーーーーーーーーーーー


 その頃、保健室にいる綾音達は……


 右足を撃たれた里彦を担いで、保健室のベッドの上に寝かされた。かなりの息切れが起きており、かなりの出血で床にも血の跡が残っている。保健室のタオルを水に濡らし、足を抑える由美。


「ぐっ!!」

「だ、大丈夫⁉︎」

「あぁ……大丈夫だ……」

「里彦さんちょっといいですか」


 綾音が里彦の胸耳を当てると脈が早くなっているのが分かった。その瞬間、由美に話しかける。


「ゆ、由美さん!足の鼠蹊部(そけいぶ)を抑えてくれませんか!」

「ど、どうしたの⁉︎綾音ちゃん急に⁉︎」

「早く!手当する前にはまず出血を止めないと!!」


 いきなり大きな声で早口になる綾音に動揺する由美。


「そ、そけいぶってどこ?」

鼠蹊部(そけいぶ)は足の付け根です!そこを抑えて下さい!足の出血は鼠蹊部を押さえれば血の流れを止めることが出来ます!!なるべく強く押さえて下さい!!私は手当の道具を探します!」

「わ、分かったわ!!えい!!」


 鼠蹊部を体重を掛け強く押す、由美。里彦は悲痛な叫びを上げる。


「うわぁぁぁぁ!!!!」

「我慢しなさい!!!これも里彦君を助ける為だから!!!」


 綾音は必死に手当道具を探す。


「これと……これと……これだわ!」


 綾音は道具を持ってくる。ピンで綿を掴み消毒液をつけて里彦の足にちょんちょんっと当てる。するとまた里彦は悲痛な叫びを上げた


「うっ!!いてぇぇぇぇ!!」

「我慢して下さい!」


 そして傷口に消毒液をつけた布を当てて、包帯で何回もグルグル巻きしてテープで止めた。


「とりあえず……応急処置は完了です……後は……」


 そしてコップを取り冷蔵庫から水を出し、コップに入れて、コップと薬を渡した。


「これ飲んで下さい……鉄分補給が出来る薬です」

「あ、ありがとう……綾音ちゃん……」


 薬と水を飲み、一旦落ち着いた里彦。とりあえずは由美も綾音もホッとした表情になり、椅子に座った。


「綾音ちゃん凄いね!何で手当のこととか知ってたの?」

「私……将来医学系の大学に行こうと思ってて……それで前から勉強してたんだ……図書室とかで……」

「本当に凄いよ!!あんな大声の綾音ちゃん初めて見たよ!」


 綾音は照れ臭そうに話す。


「手術はスピードが勝負なんです。1分1秒が患者の命を左右するんです。ですからちょっと大声を出てしまいました……すいません」

「いいのよ、そんな事くらい!!私なんてただ押さえていただけなんだから!」

「由美さんの助けもあったから成功したんです……ありがとうございます」


 すると由美が綾音の肩を掴んだ。


「由美さんはやめて由美ちゃんにしようよ!!さんじゃ他人行儀みたいでぎこちないから、言ってみて由美ちゃんって」


 綾音は勇気を出して言った。


「ゆ、由美……ちゃん……」

「無理はしないでいいから慣れて行こうね!」

「は……う、うん」



 ーーーーーーーーーーーー


 その頃雅宗達は……


 雅宗は逃げて行く国吉を見て安心する。


「あいつ逃げやがった……助かった……」


 するといきなり龍樹が雅宗の胸ぐらを強く掴む。


「な、何するんだ!!」

「お前、俺はあのデパートの時言ったよな……敵はゾンビだけじゃない……人間もだと……それにあの時買った武器を忘れやがって……」



 ーーーーーーーーーーーー


 5日目の時に行ったデパートの時、龍樹は里彦と雅宗にあるものを渡していた。


「これも買っておけ……」

「これは……か、カッター⁉︎」

「隠しやすく持ち歩きもいい、それにいざという時には武器としても使える」


 こうして雅宗達はカッターを買ったのだ。



 ーーーーーーーーーーーー


「わ、忘れて来たんだ……こんなことになるなんて思ってなかったんだ……」

「その不注意が死へと繋がるんだ」


 流石に蒼一郎も止めに入る。


「やめろ!こんな時に!それよりさっきの奴を追うぞ!!」


 龍樹は雅宗を離し、雅宗は自分の首に手を当てた。


「ゲホッ!ゲホッ!」


 そして国吉から奪った猟銃を地面に思いっきり叩きつけ、破壊した。


「まぁいい……奴が他に武器を持っている可能性も十分にある……全員固まって行くぞ」

「あぁ……分かった……これは……血?」


 蒼一郎が地面に見たものは何滴も落ちている血だった。雅宗がこれを見た答える。


「これは里彦のだ……保健室に続いているはずだ……」


 すると龍樹がある事に気付き、突如走り始める。


「どうしたんだ⁉︎いきなり⁉︎」

「保健室に向かうぞ!!これじゃあ自分の居場所を教えているようなもんだ!!」

「……それじゃあ里彦達が危ない!!」


 3人は1号館へと急いで向かう。



 ーーーーーーーーーーーー


 1号館……1人の男が、廊下をゆっくりと歩く音が響き渡る。男は血の道しるべを頼り、ある場所へと向かっている……


「ふ……ふふ……ふっ……」


 男はあるものを舐めている。銀色で光輝いている物を、それには血がこびりついていて何人か殺した後のような雰囲気だ。それは……


「ひひひ……」


 そう日本刀だ。国吉は血の付いた刀を舐め、ある場所へと向かってた。垂れた血が示す場所……それは……


 保健室……



 この時、午後3時21分……

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