修学旅行6日目 午後2時42分
午後2時42分……
幸久達は謎の老人、磯村国貞によって屋上に招かれる。だがその老人はおかしく由弘に銃を向け、ライターをつけたら銃を向けて来た。そして雅宗達の元へ息子の国吉を差し向けた。遊びと称した殺戮ゲームが始まった……
「ゆ、幸久……おい!おい!!」
「雅宗……幸久がどうしたの……」
切られた電話に叫ぶ雅宗。そして幸久と聞いて、雅宗に不安そうに聞く由美。
「幸久が……撃たれた……」
「えっ……」
「嘘だろ……」
驚愕する5人。蒼一郎が教室を見ると、廊下から国吉がこちらに銃を向けていた。
「伏せろ!!」
呆然とする雅宗と由美を、無理矢理伏せさせて銃弾をギリギリ回避し、銃弾は窓に直撃しガラスを割った。そして教室に入って来た国吉、ポケットから弾を出し銃に装填している。その間に蒼一郎が4人に伝える。
「今のうちに隣の教室に移れ!!」
国吉の視界から雅宗達が消え、国吉は更にニヤリと不気味に笑いながら雅宗を追うようにベランダへと向かう。
「ふ……ふふふ……ふっ……」
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幸久達は国吉の父国貞により、銃を向けられた状態で動けない……そして幸久が国貞によって撃たれた。全員が幸久の安否を確認する。
「……」
幸久はギリギリ頰を掠め、軽く血が流れた。
「いや〜老いって嫌だね〜もっと若ければ……」
「お、おじいちゃんは何故こんな事を……」
優佳が勇気を振り絞って質問した。老人はニヤリと笑い優佳の目を覗くように顔を近づけ答えた。
「ワシの目的か?平和な老後の為じゃ……」
「老後……?」
「ワシみたいな老兵はもう足手まとい。ならここで平和な老後を過ごす。息子と共に……その為に、まずこの学校に逃げ込んできた他の人間達と国吉を遊ばせた。みんなすぐ倒れた国吉によって……」
「それと。何で私達をここへ呼んだの……」
「いや〜それはだね、息子の遊び相手を探す……それと……」
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雅宗達は一番端の教室まで全力で走った。我に戻った雅宗がみんなに指示する。
「くっ……みんな!!絶対に1号館の屋上に向かうぞ!!幸久の仇を討つ!!」
「私は信じる……幸久は生きてるって……」
そこで由美が前に出る。
「でも……」
「電話越しだから100%とは限らない……だから私は信じる……雅宗、幸久を信じよう……」
「あ、あぁ……友である俺が信じないなんていけないよな……」
「でもあの銃持った奴をどうにかしないと……」
里彦が語ったその時……雅宗が振り向くと国吉が不気味な笑みを浮かべこちらに銃口を向けていた。
「教室に逃げろぉぉ!!」
撃とうとした瞬間、全員教室に入り込み国吉は銃を下ろした。そして雅宗達は素早く2号館4階を脱出した。
2号館2階の1号館へと繋がる渡り廊下前の教室内、国吉に対抗する為に雅宗と里彦と蒼一郎が作戦を企てる。まずは雅宗が提案する。
「……たしかにあいつをどうにかしないと、屋上に行きたくても行けねぇ……ならあいつを倒し、あの銃を奪う……」
「銃を奪う⁉︎そんな事……」
びびる里彦に蒼一郎が語りかける。
「奪って生きるか奪えずに死ぬかだ……やるしかないんだ」
「でも……武器がモップとサッカーボールだけだ……」
現在あるものはモップ2本、サッカーボール1個。そしてこの教室にある物。そして蒼一郎が自信満々に言う。
「むしろモップとサッカーボールもあるんじゃないか!!俺達はサッカー部、ボールを操るのはお手の物だろ!」
「いくら相手がヒョロそうな体でも持ってる物があれじゃあ……」
「下手に別行動するのも危ない……」
すると蒼一郎の背後から由美がもじもじしながら近づいて来た。そして我慢してる声で言う。
「わ、私……トイレが……」
「そんなもん端っこでしてろ!」
蒼一郎が振り向かずに言い放った。
「それ……レディに言う事?」
「⁉︎みんな静かに……」
雅宗が何かを察知した。すると上の階段からゆっくりと歩いて降りてくる音が聞こえて来る。
「みんな隠れろ……ベランダに移動するぞ……」
「待て、俺にいい考えが……」
蒼一郎は全員にひそひそと話し、全員うなづいた。そしてみんな忍び足でベランダへと移動した。国吉が教室を開けるともぬけの殻だった。
「ふっ……ふふ……」
すると奥の教室から雅宗が出て来た。
「こっちだ!!馬鹿野郎!!」
国吉と目が合うと雅宗は教室に隠れた。
「ふ……ふっふふ……ふっ……」
国吉は雅宗がいる方へと歩いて行く。そして雅宗がいる教室へと到着するともぬけの殻だった。そして背後から里彦の声が、
「こっちだ!!!」
振り向いた瞬間、サッカーボールを構えている里彦が全力で蹴り飛ばした。ボールは曲線を描き、顔面に直撃する。ピクリとも動かない国吉、そしてボールは顔からゆっくりと離れて落ちた。
「どんなもんだ!!」
国吉の顔は赤く腫れ、鼻から血が出て来た。だが国吉はニヤリと笑い、服で鼻を擦り血を拭き取った。
「び、ビクともしてない……⁉︎」
里彦の一瞬の油断は、国吉とっては最高の狙撃チャンスだった。里彦が教室に逃げこもうとした瞬間、国吉は里彦に向け銃撃を放った。
「ぐわっ!!!!」
銃弾は里彦の足を貫いた。里彦は倒れ、足を抑えた。
「あっ……足がぁぁ!!!」
「ふへへ……へへ……」
嬉しそうな国吉は更に銃口を向けながら里彦に近づく。すると背後の教室の声が……
「こっちだ!!!アホ!!」
今度は別の教室から蒼一郎が現れ、それと同時にサッカーボールを全力で蹴り、それは里彦とは違い、真っ直ぐに国吉の顔面に直撃する。国吉は少し怯み、その間に由美と綾音は里彦を教室内へと引っ張り、ベランダに移動した。里彦は声を殺して痛みを我慢した。
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その頃、幸久達は……
優佳が質問した事……その回答は……
「それと……息子の嫁を探す事じゃ……」
「えっ……」
「老後に見たいのは孫じゃ……孫の姿を見てこそ、最高の老後となるんじゃよ」
幸久が喰いかかる。
「何を言ってるんだあんたは!こんな事をしたって誰も得はしない!!俺達を解放しろ!!」
「いや〜あんたら男共は息子の遊び相手になってもらう……そこの金髪お嬢ちゃんとそこの短髪先生は息子の嫁候補じゃ」
「ふざけたこと言うんじゃねぇよ!!」
雪菜は反発するが真沙美や優佳は黙り込む。南先生は落ち着いて対処する。
「雪菜ちゃん、今は下手に言うのはダメよ……」
「ちっ……」
「男の諸君、ワシの前に並んでくれないかな?」
不思議に思う幸久が言う。
「何をする気だ……」
「いや〜息子の遊び相手にはあの子だけじゃ時間が持たんと思うから何人いるか数えようと」
「とりあえずみんな……並ぼう……」
南先生と雪菜は国貞の元に連れてこられ、男達は並び、幸久、由弘、教頭、運転手、伸二、西河先生、哲夫が並んだ。
「7人かぁ〜?いや〜これは結構楽しめほうだね〜」
「7人……はっ?」
由弘は辺りを見回す。国貞が不思議そうに聞く。
「どうしたんだい?」
「い、いやなんでもない……」
由弘は思った。
(まさか、あいつ……)
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里彦達は別の教室に逃げた。由美と綾音は教室にあったティッシュで里彦の血を止める処置をしている。
「大丈夫⁉︎里彦君⁉︎」
「あぁ……大丈夫だ……でも痛いな……雅宗や蒼一郎は……」
「まだあの男の気を引いているわ……」
綾音も必死に止血を試みている。
「すまない2人共……また足手まといなっちまった……」
「気にしないで!こんな時はお互い様よ」
「保健室に行けば包帯があるのに……」
すると隣の部屋から銃撃が聞こえ、雅宗と蒼一郎が部屋に飛び込んで来た。雅宗は息が上がっており、蒼一郎はまだピンピンしている。
「お前……まだそんなに、体力あるのかよ……」
「あぁ……それより里彦は大丈夫か⁉︎」
由美が答えた。
「大丈夫だけど……血が止まらないわ……」
「それにあいつ……サッカーボールを顔面に食らって何であんなにヘラヘラしてるんだよ!!しかも二発だぜ⁉︎狂ってやがるぜ!!」
里彦が言った瞬間、教室のドアが開けられた。
「⁉︎」
「ひ……ひひひ……」
そこにいたのは、廊下から銃口をこちらに向けている国吉だった。
「くそ!バレたか!」
モップを拾おうとした瞬間、
バンッ!
国吉によってモップが狙撃された。
「くっ……」
「俺を置いて逃げろ!!」
「仲間を置いて逃げる訳ないだろ!」
そして再び雅宗に目掛けて銃口を向ける。全員は覚悟して目を瞑った。その時、
バンッ!!!
「う…… はっ⁉︎」
銃弾を放った音が響き渡ったが、自分の身体には何も起きてない。そう思い目を開けると身体には銃弾も当たってなかった。里彦達も見るが誰も当たってなかった。後ろを振り返ると窓ガラスが割れていた。そして何より廊下にいた国吉が居なくなっていた。
「何が起きたんだ……」
全員は廊下へと恐る恐る出ると、そこに居たのは……
「た、龍樹⁉︎」
雅宗の目に映ったのは戦闘態勢に入った龍樹と顔を殴られたのか口から血が出てる国吉だった。そして龍樹は国吉に言った。
「俺はこんな事に巻き込まれたくて修学旅行に来たんじゃねぇんだよ……ここから出るために、お前を……倒す……」
この時、午後2時59分……
人間と戦う確率が高い龍樹。勝つのはどっちでしょう?次回をお楽しみに




