修学旅行6日目 午後2時09分
32話 修学旅行6日目
午後2時09分……
とある高校に到着した雅宗達だか、ゾンビと化した動物達に囲まれてしまう。そして屋上から銃を撃つ男がいた。その男に、屋上に来いと言われる。幸久達はそれに従い屋上を目指す。雅宗達も武器を持ち、動物達を倒す事にした。
モップを持ち戦闘態勢に入る雅宗だが、どこか不安な表情になる。由美が心配そうに聞く。
「雅宗……大丈夫?」
「い、いや……人間のゾンビと違って的が小さいから大丈夫か心配に……」
「そんな事気にしたらダメよ!突っ走らないと!!」
「あぁ……そうだな!みんな!!行くぞ!!」
すると綾音が一言呟いた。
「行くって……どこに行くの?」
「えっ?」
雅宗が行くとは言ったが何処とはまだ決まってなかったのだ。更に綾音は言う。
「銃声が聞こえたって事は私達以外にも誰かいるって事になるよ……」
「確かに……あのおもちゃの銃とは大違いの音だったしな……」
そこに蒼一郎が口を挟む。
「とりあえず誰かに連絡しようぜ」
「そうだな……」
雅宗は幸久に電話を掛けた。
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幸久達はゾンビアライグマ達を警戒しながら階段を上がり雅宗達がいる2階を通り越し、3階に上がった。幸久は先行し、何もいないか確認する。
「よし……何もいないぞ。だが気をつけろ……いつ何が襲って来るか分からないからな……」
真沙美が不安そうに雅宗や由美達を心配する。
「雅宗達大丈夫かな……」
「そういえば連絡入れるの忘れてたな……」
幸久はすぐさま雅宗に連絡を入れようとした瞬間、遠くの廊下からアライグマ数匹がこちらを睨んでいる。
「まさかあれが……雅宗が言ってた、学校にいるゾンビアライグマ達なのか……」
その中の一匹が幸久達目掛け突進をし始めた。パニックになる一同。だがその時、由弘が一歩前に出た。
「何するつもりだ⁉︎由弘!」
「ここからは通さん!!」
そしてアライグマは由弘の顔面に勢いよく飛び掛かった。だがそのアライグマの目の前に写ったのは由弘の拳だった。由弘の拳はアライグマの頰に直撃し、勢いよく身体中から血を撒き散らしながら吹き飛んだ。由弘の制服や顔にには血が飛び散り、目を瞑った。全員由弘の元へと駆けつけた。
「大丈夫か⁉︎由弘⁉︎」
「由弘君、目に血は入らなかった⁉︎」
殴られたアライグマは細かな振動を繰り返しながら、動かなくなった。それを見た他のアライグマ達は急ぎ足で逃げて行った。
みんなが心配する中、由弘は平気そうに親指を立てる。
「俺は大丈夫だ。それより雅宗に早く連絡を」
「あぁ……」.
伸二は今の光景を見て思った。
「感染経路は一体何なんだ……人間じゃなく、何故動物まで?」
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未だに行くのを躊躇っていた雅宗達だがそこに連絡が来た。
「もしもし幸久⁉︎どこにいる⁉︎さっきの銃声は⁉︎」
「俺達は今3階から屋上に向かっている」
「屋上⁉︎」
「そうだ!さっきの銃声は屋上から俺達を助けようとして撃ったんだ。その人に屋上に避難しろと言われた。お前はどこにいる?」
「……俺達はいいから、とにかくお前らは急いで屋上に行け!人が多いと奴らにも気づかれやすい」
「さっき襲撃されたが、由弘が何とか追い払った……だが奴らに攻撃すると身体中から血が飛び散る。気をつけてくれ……」
「分かった!なら後で屋上で合流しようぜ!絶対に行くからよ!」
そう言うと電話を切り、雅宗は説明した。
「幸久達の話によると、奴らに攻撃すると身体中から血が飛び散る……下手に攻撃は出来ない」
すると蒼一郎が立ち上がった。
「どのみち特攻しかないか……で、何処に行けばいいんだ?」
「屋上だ。それにさっきの銃声は俺達を助ける為の発砲みたいだ」
喜ぶ由美。そして安心する綾音であった。
「つまり助けてくれるって事?」
「そうみたいだ。とにかくここから屋上まで一気に行くぞ!!」
里彦もやる気に満ちているのか、軽くニヤケている。
「またやるのか、コンビニの時と同じ」
「あぁ……やる事は1つ!!!……」
雅宗がドアを開けた瞬間、目の前にいるアライグマ目掛けて蒼一郎はサッカーのボールを思いっきり蹴り飛ばした。ボールはピンポイントにアライグマの顔面に直撃し、廊下の壁に激突した
「ゴール!!!」
「そんな事言ってないで早く!!」
蒼一郎を先頭に一斉に走り始めた。もちろん他のアライグマ達は雅宗達を追いかける。蒼一郎は何も考えず全速力で走った。
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その頃、幸久達は屋上のドアに到着した。疲れ果てた伸二が一言。
「何とか到着した……」
屋上のドアは開いており、南先生は恐る恐るゆっくりとドアを開けた。
「失礼します……」
するとそこは大きな屋上……だが静かで、人のいる気配がない。真沙美が屋上のドアの逆方向を見ると
「あっ……」
小さなテント中で折りたたみ椅子があり、座っているのはキャップを被りベストを着ている白髪の老人だった。その横には猟銃が置いてある。
そして真沙美を見た老人はニヤリと笑った。
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そして蒼一郎を先頭に遮二無二走り、階段を駆け上がり4階へ到着した。そして反対側の階段に面する廊下を走り、反対側の階段に到達した。すると蒼一郎はいきなり止まった。里彦が不思議そうに聞く。
「いきなり止まってどうした?」
蒼一郎はゆっくりと真っ青な顔で振り向いた。
「屋上の階段がねぇ……」
「はぁ⁉︎」
蒼一郎以外の全員が目を疑った。蒼一郎がずっと走っていたのは屋上を知っていた訳ではなく、ただ適当に走っていただけなのだ。雅宗が辺りを見渡すと……
「ここ2号館……だ」
そう、屋上への階段は1号館にしかない。だが雅宗達が来たのは、2階にある2号館へと続く通路を通り、そのまま知らずに走り続けた結果2号館の4階にたどり着いた。由美も綾音も雅宗もみんなクタクタになり、由美が愚痴をこぼす。
「せっかく全力疾走したのに骨折り損のくたびれ儲けね……」
すると反対側の廊下と階段から動物達の走ってくる音が聞こえて来た。
「お、おい……やばいんじゃないのか……」
里彦がおろおろと言うと蒼一郎が目先の教室を開けた。
「とりあえずここでやり過ごすしかないな……」
由美が落ち込みながら言う。
「また教室で隠れるの……もう疲れた」
渋々全員入り、静かに待機した。すると雅宗がベランダがある事に気付いた。
「2号館にはベランダがあるなんて……⁉︎何だ⁉︎」
雅宗が見たものとは赤く大きなシミがついた白い布に何かが包まれていた。しかも人間サイズ。
「まさかこれって……」
軽く布を捲るとそれは女性で、頭を銃で撃たれた穴が空いていた。
「さっき幸久が助けてくれたって言ってた奴って……」
雅宗は心の奥からゾクゾクった寒気を感じた。何か凶暴な何かを……
この時、午後2時26分……




