修学旅行6日目 午前9時18分
午前9時18分……
スーパーを脱出した雅宗達は哲夫が言ったアパートに向かっている。そして哲夫は雅宗にバスの行き先を聞いた。
「このバスどこに向かっていたんですか?」
「このバスは大分県佐伯市に向かっているんだ。そこから四国まで船で行く」
「四国か……」
すると哲夫は雅宗の両肩を掴み、体を思いっきり揺らした。
「僕も連れてって下さい!!お願いします!お願いします!
「ちょ……まっ……揺らさないでくれ!!」
「す、すいません!」
ゲホゲホと咳をして雅宗は言う。
「俺は良いけど……」
雅宗は南先生の方を見ながら言う。
「私も別に良いわよ」
「ありがとうございます!!」
笑顔で言う南先生に、哲夫は何回も頭を下げた。
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数分後アパートに到着した。2階建ての古臭いアパートだった。雅宗が付き添いで行く事にした。
「ここが僕の部屋なんだ」
「うわっ⁉︎なんじゃこりゃ?」
ドアを開けるとそこは、ゴミがかなり散乱しており、かなりの異臭が漂っている。
「ちょっと待ってね〜必要な荷物持って来るから」
「俺、外で待ってます……」
10分後……大きなバックを担ぎ、部屋から出て来た。
「そんなに持って来んですか?」
「もちろん。僕の大事な物が詰まってるんだ」
「……」
荷物をバスに乗せると哲夫はアパートの写真を撮り始めた。
「どうしたんですか?写真なんか撮って?」
「戻って来た時に何か変化してるか確かめる為さ」
「……」
雅宗の変な物を見る目を横目に何枚もの写真を撮る。
「気が済みましたか……?」
「あぁーゴメン。夢中になり過ぎちゃったね」
哲夫をバスに押し込み、再び大分県佐伯市を目指して北上を開始する。
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それから10分、新軍谷トンネル内に差し掛かった。すると……
「⁉︎」
運転手が急にブレーキを踏んだ。それと同時に生徒は前に投げられそうになった。
「うわっ⁉︎」
「何だ⁉︎」
「みんな大丈夫⁉︎」
ざわつくバス内。深い息を吐く運転手。南先生が運転手に聞きに行く。
「何が起きたんですか⁉︎」
「あれを見て下さい……」
バスのライトに照らされた方向を見ると……
「……これは……」
それは無人のパトカーと通行禁止の看板の前に3・4台の無人車が放置されていた。
「どうしたんですか先生!って何だこりゃ⁉︎」
「これじゃ通れないわね……他の道はありませんか?」
運転手は無言で頭を横に振った。
「別の場所から通ると、かなりの遠回りになってしまいます……」
「うっ……」
すると西河先生が立ち上がり、後ろの生徒達に呼びかける。
「男子生徒諸君!こうゆう時こそ我々の出番だ!」
里彦が手を挙げ質問する。
「何をするんですか?」
「車を動かすんだよ」
「えっ……?」
すると由弘が上着を脱ぎ、シャツを捲り始めた。かなりやる気があるようだ。
「そうとなれば行くしかないだろ!」
「おう!!」
「やるしかないか……」
幸久も立ち上がり、蒼一郎も立ち上がる。
「里彦、伸二!行くぞ」
「お、おぉ〜……」
由弘は寝てる龍樹を起こす。
「あぁん?ついたのかよ」
「お前も手伝え、龍樹」
「何をだ」
「車を退かすぞ。どかさないと先に進めないんだよ」
「ちっ……」
龍樹も立ち上がる。雅宗もやる気十分だ。
「哲夫さんも来てくれ!」
「ぼ、僕も⁉︎」
「当たり前だ!」
そこで真沙美と由美が手を挙げた。
「私も手伝うわ!!」
「真沙美も⁉︎」
「私達女子もずっと助けられっぱなしも退屈だしね」
「由美……」
南先生は考えた。
「分かったわ。女子生徒はトンネル前で、見張りを頼めるかしら?」
「はい!!」
すると雅宗と幸久は優しく話しかけた。
「真沙美。もしゾンビ達が来たら大声で叫んで、バスに逃げろ……分かったな」
「勿論……無理はしないわ」
「由美もだぞ。無理はするなよ」
「うん……分かった」
そして幸久は教頭にも手伝いを要求する。
「教頭先生も手伝って下さい!」
「わ、私はこ、腰が……」
「つべこべ言わず来い!!」
怒鳴る幸久に、渋々手伝うことになった教頭。そして南先生が全員に呼びかけた。
「さぁ!車を退かすわよ!みんな!!」
「おう!!!」
女子達も綾音と雪菜を交えて全員揃って呼びかけた。
「私達も頑張るぞ!!」
「おーう!!」
「お、おーう」
「ちっ……何でアタシも何だよ……」
この時、午前9時57分……




