世界平和を守る2人に私が守られる様になったワケ!?
「なにこれぇええ!!?」
私こと、吉川千聖が学校にいると…学校にいた生徒や先生が全員眠っていた。
バタバタと廊下や教室で倒れている様子から最初見た時は、死体かと思った…がどうやら寝ているらしい。しかし、千聖が体調を崩して保健室のベッドに行ったのが2時間目。今は、3時間目が終わる頃。そんな一日の中から見て短時間で、全員が倒れているとかホラー過ぎる。
なになになになに?
学校全体でドッキリの撮影?…私も誘ってよ!私がターゲット?じゃあ、カメラどこっ!?
混乱している千聖は暫く廊下で蹲っていたが、突然大きな高笑いが聞こえた。
「ファーハッハッハ!この学園は俺様が支配した!!あとは、こいつらの正気を奪うだけだ!」
ちらりと窓の外を見ると、校庭の中心に変な格好をした人が浮き上がっていた。
…。
なんか変な人がいるうううぅうう!!!?
漆黒のマントと銀色の長い髪をたなびかせて人な浮かんでいた。きちんとした黒いスーツの正装ではあるがマントの所為でダサみを帯びる…筈なのだが、着ている主の顔が整っていることにより「あれ今日ハロウィンだっけ?」の一言で済む。これをフツメンが着ていたら、「おまわりさん!こいつ不審者です!!」と通報されたこと間違いないだろう。むしろ私が110番する。あの人は自分がイケメンであることに感謝すべきであろう。
と色々思考を巡らしていると、別の所から声が挙がった。
「現れたな!ベルセゴール!!」
「学校の皆に術をかけるとはなんて卑怯なんだ!」
この学校の制服を着た男の子が2人、ベルセゴールと呼ばれた変な格好の人に向かって叫んだ。
「現れたな!小癪な人間ども!今日こそ、このベルセゴール様が叩きのめしてやる!」
そこから、2対1のバトルが始まった。その争いは壮絶で、本気で「か、関わりたくない…」と思った。いや、だってさ?あそこにいる男の子の1人って多分同じクラスの吉田君…もう1人は知らないけど。吉田君はクラスで特に目立つ存在じゃない。基本的にはおとなしく1人で本を読んでいるタイプの男の子だ。顔立ちは整っているのに勿体無い、…その程度の認識のクラスメイトがまさか手から変な光線を出したり、キックやパンチなど物理攻撃をかましているとは思わないじゃないか…。
ベルセゴールさん、私のこともきちんと眠らして欲しかった、、、
もはや、現実逃避を始めていた。
「く…もはや此処までなのか?」
「諦めるな、佐藤!」
遠い目で景色を見つめる私にもその声は耳に届いた。…吉田君と一緒にいる男の子って佐藤って名前の子なのね。
どうやら、闘いは佳境らしい。
「いいや、お前達は諦める他ないのさ。此処にある宝石にお前の仲間の人間どもの正気を吸い込んでいる。奴等を助けたければ、この俺様を倒して、この宝石を破壊するしか無いのさ。」
と、ご丁寧な説明をベルセゴールさんはしていた。わざわざ、宝石をポケットから取り出して見せびらかす様にして…
私は素直に苦笑いを浮かべた。何故、そこで宝石を取り出す?
私が思ったことを吉田君と佐藤君も思ったみたいだ。
「吉田…」
「あぁ、佐藤!行くぞ!」
合体技なのか、2人は手を取り合い、大きな光線を出した。…だろうな。
だって、宝石を壊せば良いだけならベルセゴールさんもろとも攻撃すれば良いだけだし。多分2人が最初に苦戦したのは、学校の生徒達を眠りから覚ます方法を聞き出そうと思って上手く手が出なかったのだろう。
敵とはいえ、ベルセゴールさん馬鹿だなぁ、、、まぁ、いいや。これで皆が起きるならこのまま待ってよう。
傍観者として徹しようと背伸びをした直後だった。パリーンと窓が割れて、宝石が目の前に落ちて着た。
「「「「え?」」」」
私達4人の声が重なった。
どうやら、ビームを喰らっているベルセゴール様は咄嗟に宝石を投げて宝石が壊れることを回避さ様だった。
それが私の目の前に宝石が落ちた経緯の様だ。
また、学校にいた全員が寝ていると思っていたらしい3人は私が起きていることに驚いた。特に、吉田君と佐藤君の2人は闘いを同じ学校の生徒に見られていた羞恥からか顔を赤くしていた。
………。
私自身も3人に目が注がれて気まづい。
「えーと、その、」
と言いつつますは宝石を拾うことにした。そして、宝石に触った瞬間…
パリーーーーーン
壊れた。
あ…。そろーっと、私はベルセゴールさんを伺った。ベルセゴールさんは普通の人間にしてやられたことに呆然としている。
佐藤君、吉田君も同様に呆然としていた。
私もなんとも言えなかった…。
沈黙が続く中、
「ファーハッハッハ!人間の女よ、まさか、このベルセゴール様の術を避けて機会を窺っていたとはな…面白い。だが、次はないぞ!」
と、強がった言い方をしつつ半泣きで叫んだ。…ちょっと、可哀想になった。
そして、学校の皆が目覚めた。
「あれー。何で私こんな所で寝てるんだ?」
「うわっ、なにこれ。」「ちょっと、先生起きて!?」
少しパニックになったものの、気がつけばベルセゴールさんも消えていて、吉田君もクラスに馴染んでいた。吉田君とは特に話さなかった…吉田君から何か言われることが無かったから私も何も言わなかった。
……、
「転校生の佐藤です。」
佐藤君が転校して来るまでは。
転校そうそう佐藤君はそのさわやかイケメンフェイスを駆使して女の子に囲まれていた。そんな女の子を上手く押し退けて、私の元に来て「ちょっと来て?」と無理矢理私を教室から連れ去った。
なんやなんだ。とクラスメイト特に女子に言われつつ…校庭の裏側にまで連れていかれた先には吉田君が待っていた。
そこで、私がベルセゴール様率いる悪の軍団に狙われていることを知った。
「でも、大丈夫。僕達が君を守るよ。」
吉田君と佐藤君はどうやら悪を倒す力を持ったよくわからんけどすごい人達の様だ。
「あー…、巻き込んで悪かったな。」
2人から守る宣言をされた私は3人で過ごすことが増えた。私を狙うベルセゴールさんが襲ってくる度にその絆は深まる…
「千聖!!今日こそ俺様の女になれ!!」
飽きずに私を狙うベルセゴールさんに
「誰が渡すか!」
「千聖も世界の平和も渡さない!!」
私を守ってくれる2人。
とんでも無いことに巻き込まれたなぁ、私は今日も苦笑いを禁じ得ない。