一人だけの掃除部(読了1分)
ノリと勢いで書いた短編です。
1分で読めます!
とある学園。今日も放課後を迎える。
廊下側の一番後ろの席に座る如月芥斗は帰りの挨拶と同時に教室を飛び出した。
「よっしゃ! 放課後だ行くぞ!」
この学校は生徒数が多くそれに伴い、教室の数も多いのだが今では使われていない教室も多々存在する。そのため全ての教室を掃除するとなるとかなりの時間がかかる。基本的には教師ですら見て見ぬ振りをしてしまうような、酷い有様となっている場所は放置されるのが常だ。
しかしそれをよしとしない部活動が存在する。
掃除部。
毎日どこかの教室を回って完璧に綺麗にし、まずは学校をそれから町や地域果てには日本全体をゴミのない国へと導くと豪語する部活動。だがそんな野望を抱くも現状ではそう上手くいくものではない。
「さて、今日はこの教室だ!」
3階にある備品室だ。ここは前から教師からやって欲しい(自分たちでやるのはめんどうだから)と要望があった場所で放置されている教室の一つだ。
「失礼しまーす!」
人が居るはずもないのに彼は元気良く入っていく。
噂通りの酷い有様。天井や部屋の隅には蜘蛛の巣が当たり前のように張ってあり、不安定なバランスで積みあがっている備品の数々。そんな光景を見た芥斗は。
「テンション上がってきたー!」
掃除大好き野郎だった。
窓を開け換気。新鮮な空気を堪能したあと腕をまくって戦闘態勢に入る。
「まずは分別だな」
独断と偏見で要るものと要らないものをわけていく。
「うーんと、これはいらない、これもいらないな。こっちも……いらないか」
全部いらないのかよ。
芥斗が分別した結果残った物は一つとしてなかった。
「次はメインディッシュ」
掃除にメインディッシュがあるのか分からないが、彼にはあるのだろう。
「雑巾よし! バケツよし! 水よし! マジックリンよし!」
足りないものがないか指差し呼称で確認。
マジックリンは違う。
「ゴシゴシゴシゴシ」
声を出しながらこすっていく。客観的に見たらただの変質者だ。
「だいぶ綺麗になったけどここの黒ずみがとれないんだよなー」
何度こすっても落ちない黒ずみ。
「こういうときはこれ!」
ジャ○ネット高田で買った商品だ。
「見てください。これ、すごいでしょう!」
高田氏の真似。あくまでも独り言。
「ふう、落ちた落ちた」
爽やかな風が撫で付ける。
「今日の部活終了!」
彼は触れなかったが、この部活動の問題は部員の不足である。わざわざ部活で掃除をやる学生など存在しないのだ。彼一人を除いて。
「でもなんで掃除部は増えないのかなー」
未だに理解できないらしい。