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ヘタレの異世界無双   作者: garaha
一章 行き倒れた男
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71話 町でレクチャー屋2!

 ああ、と呟いている間にそれはどんどん大きさを増していった。

 これは本当に訓練なのか。骨男(スケルトン)達は、寄り集まると一体になっていく。骨同士がくっついて太くなっていくのはありえない光景だ。

 俺は今墓場に立っている。辺りは月の光で照らされて酒を飲むには良い感じなのだが、残念な事にここは墓場だ。近くには丘があるのでそこで月見をしてみたい。

 俺はスキルの訓練の為、ここに来たんだよな。スケルトンを魔術で倒しまくっていたら、こいつら複数で合体し始めて、強化スケルトンに成った。

 陽気な女の声が聞こえてくる。


「(はーい、ユウタくん次いってみましょう~。これは《スケルトン・ラージ》略してスケルトンL、スケルトン合体タイプですね~。どうもスケルトンじゃ相手にならないみたいですしね~)」


 女店主が操っているのか? 声を聞く限りそんな感じだ。

 俺は無言でイベントリから丸太を取り出すと、スケルトンLをそれで殴りつける。スケルトンLは墓石で受けようとしたが、俺の殴りつけるスピードの方が勝っていた。1発目を防がれてもいいつもりだったが、防ぐには遅すぎる。


「カタカタカタ」


 スケルトンは声が上げられない。丸太で全身を砕かれても顎を動かすだけだった。

 【ホーリー・ライト】の光で止めを刺すとココナツさんの声が響く。


「(うーん。ここで逃げ回ってもらって新スキルでドーンのはずなのに・・・。あっ、いえなんでもありませんよ~。次は2体同時にいきますよ~)」


 骨同士がくっついてはもりもりと手足になっていく様は気持ちが悪い。周囲には腐乱死体(ゾンビ)腐った犬(ゾンビドッグ)まで出てきている。それらを【ファイアウォール】の火壁で焼きながら突っ込む。

 相手はできたてでそう攻撃もできないはず。と思っていたら巨大な拳が飛んできた。


 かろうじて片方の拳による一撃はかわせたがもう一匹の奴のが蹴りでまともに受けることになった。


「ぐはっ」


 丸太でガードしたものの、それは強烈な打撃だった。お返しに浄化する光をお見舞いしてやると、スケルトンLは2体共粉になって風に消えた。動いた後が隙だらけだ。


「(ううっ、これじゃ新スキルの出番がないじゃないですかあ~。こうなれば・・・えっもう時間ですか。うー、次回はスケルトンソルジャー達の実力を見せてあげますからね~。アンデット族、本当は強いんですから!)」


「(はあ、それでこいつらどうすればいいんですか)」

 

 返事を待つ間に遊んでおこう。

 俺はひたすら炎系の魔術で焼きまくる。墓場なので火事も気にしないで済むのがいい。ゾンビにスケルトンが火壁につっこんできては崩れ落ちる。日頃の鬱憤をはらすかのように魔術を連打する。


「(もう放って置いてください。帰還用の魔術陣に乗ってくださいね~。こちらに来た所に戻ってください。側に光る場所があるのですぐわかると思います~)」


 俺はココナツさんが教えてくれた光る場所を探すか。後ろを振り返ると、火葬場と化した墓場一面に溢れかえっていたアンデットは半減していて骨男や腐乱死体、腐った犬共は動きを止めている。やたら綺麗な月を見上げてから走り出した。

 ほどなくして出てきた魔術陣を見つけることに成功した。しかし、どこも光っている場所がないんだけどな。ココナツさんに聞いてみるか。

 

「(あのーココナツさん。帰還用の魔術陣が見当たりません)」


「(あっ。もう到着したんですね。今開きまーす)」


 ココナツさんの声と同時に帰還用の魔術陣が開いたのか、何もなかった場所が光を放ち始める。

 光る場所の中に入るとおなじみの門が出てきたので中に入る。

 門を抜けるとそこは元いた場所だった。図書館のような作りをしている。転送用の魔術陣を囲むようにして皆もこもこしたソファーでくつろいでいた。

 ココナツさんが声をかけて来た。


「お疲れ様でしたね。いや本当に凄い。普通の方ですと、初心者では難しい訓練なんですけどねえ。あっ、申し遅れました。私ココナツ、本業はレクチャー屋ですがダンジョンクリエイトもしております。その道では先輩にあたりますね~。何でも聞いてください」


「スキルの練習どころじゃなかったのですが・・・」


 俺はちょっと複雑だ。これ死ぬんじゃ・・・訓練なのか?

 女店主は済まなさそうな表情を浮かべると舌を出して誤魔化そうとする。


「ごめんなさい~。ちょっと調子にのりすぎちゃいました。異世界から来る人でもなかなかスケルトン達を倒せる人は少ないんですよ。【詠唱省略】に加えて【詠唱破棄】使えるんですね~。次こられる時にはもっと骨のあるアンデット族をだしますね。あっ、でも【聖光(ホーリー・ライト)】の熟練度は上がったんじゃないですか~」

 

 簡単な呪文くらい詠唱しないのは、当たり前だと思っているんだけどな。発動のタイミングなんて見せてたら当たりっこないでしょうに。

 キューブを使って熟練度の確認して、魔術を見ると4割位上がっているゲージが見える。なんというか実感がぜんぜん沸いてこないのだけど。

 しかし、この訓練はドロップがないのね。アイテムの回収どころか素材すら得られそうもない。

 ともかく、俺は返事をした。


「上がってます。それと規定数はこなしたんでしょうか」


「合格ですよ~。そのスケルトンLはおまけみたいなものです。ちなみに何故アンデット系が選ばれるかというと、低価格だからなんですよね。いくらでも作れる上に制御の方も簡単です。景品といってはなんですが、メダルを進呈でーす。」

 

 そう言うとココナツさんは変わった銅貨を差し出してくる。この国でもらう物とはちょっと違うようだ。これは一体何に使えるのだろうか。脱いだ防具と交換にメダルを受け取る。

 受け取った手がいきなり捕まれた。ひんやりとした感触の手だ。それは強引に銅貨を奪い取っていった。誰かと思って見ると蜂蜜色の金髪が目に眩しい少女だった。かなり不機嫌そうだ。


「いきなりなんですか、エリアスさん。メダル返してください」


「ユウタにはまだ早いわ」

 

 一体何が早いというんだろう。金髪の少年が答えてくれる。


「そうだね。返してあげたまえ。そのメダル・・・ああ。ユウタくんには早いかもしれないな。ちょっとイイコトができるからね。そういう事さ」


「はあ」


 こちらを残念そうに見るロシナさんはそう告げた。一転してにこやかな表情を浮かべるきつめな少女が笑顔を向けてくる。


「メダルの代わりといっちゃなんだけど、防具に冒険に役立つ魔術かけてあげよっか。絶対役に立つから」


「例えばどんな魔術があるんですか」


「それはね」


 そう言うと説明を加えながら解説してくれた。服や鎧に魔術文字でもって魔術を刻むということで永続効果が見込めそうだ。汗を抑える温度調節や軽量化といった魔術をかけて貰うのはいい。


「・・・ということなの。わかった?」


「わかったような、とにかく防具に魔術を組み込むのは便利ですね」


 気味が悪いほどに、少女は優しげに一つ一つ教えてくれた。

 一度に全部話をわかれよなと言われてもきついな。魔術の一つ一つが微妙に効果の差異があるのだ。【点火】に使われる【イグニッション】にしても【清浄】をもたらす神官系魔術【クリア】にしてもそうだ。

 いきなり汚い話になるが・・・うん○のしょりにはこの【クリア】が必須らしい。そりゃあ神官、魔術士というのは仕事が尽きないよな。村にはうん○処理施設があるが、これがまた肥料に使うためか原始的な構造になっている。寄生虫とかどうしているんだろうか。管理のほうが非常に難しいのはずだけど。


 もし、寄生虫が大量に入っている肥料とか使っていたらどうしよう。これは虫下しを探す必要があるな。【キュア】と【クリア】でなんとかなるのかなあ。

 うん○も気になるけど、やはり倒壊の危険もある生木を使用している家は大丈夫かな。

 乾燥用の魔術とかあるんだけど、誰かアルバイトでやってくれてるだろうか心配だ。なんせどうみても急ピッチで建てられた掘っ立て小屋というかログハウスもどきだしな。


 ロシナさんが切り上げてくれた。


「エリアス、それではそろそろ出ようか」


「そうでした時間ですね。・・・そうしましょう」


 エリアスはまだまだ説明し足りなさそうだ。すっかり女教師モードである。

 次にするべき行動に移ろう。


「俺はセリアを向かえにいって邸宅に戻ってから王城に向かいます」


「そうか。それじゃここで私はお暇するとしようかな」


 ロシナさんはお供の3人を見ながら腰を上げた。3人が続く。羨ましいなあ。

 明るい表情の魔術士はどうするのだろうか。


「私は領城まではついていくわ」


「律儀な事だ。いや・・・エリアスがんばれよ」


「うるさいわね。ハーレム男はとっとといっちゃいなよ」


 そういうとトラックさんと別れる。残念だ。なんというか親しみが持てる人だったのに。元日本人という事が大きく作用しているのは間違いない。

 エリアスが金髪の美形少年を見送っていると真剣な小声でつぶやく。


「ユウタ。あいつに油断しては駄目よ。異世界人によくするのは、どういうことか。あの鎧は赤。血の色をしたそれがどういう意味を持つのか、自分で調べなさい。ま、私も人のこと言えないか」


「ええ!?」


 そんなこと言われても混乱するばかりだ。どういうことなんだ。俺にとっては見たままがすべてだし疑い出したらきりがない。

 よくしてくれて世話してくれて、面倒みてくれれば俺にとってはいい人だ。なんたって右も左もわからない訳だし。

 俺もロシナさん同様に部屋を出て行こうとすると女店主に止められた。


「えっとですね~。迷宮生成についてここに書いてあること守ってくださいね。でないとこうなりますよ~」


 ココナツさんは首の部分で左右に手を振る。つまりそれは死刑って事か!

 

「んと」


 そこにはこう書かれていた。

 一つ 即死罠を仕掛けない事

 二つ 部屋型のダンジョンの禁止

 三つ ダンジョン運営は審査と許可を得る事

 以下多数


「とまあ、細かく色々あります。ダンジョンなんて国管理なんですよね。大昔は野放しだったみたいですけど、いまじゃガチガチの管理体制です」


「なるほど」


 まあ、わかる話じゃあると思う。ダンジョン管理なんてちょっと考えるだけで、入ったらでられない物とか極悪だし。任意で無味無臭の殺人ガス発生させて侵入者を処理できたなら、冒険者に分が悪すぎる。

 お宝がある難攻不落のダンジョンといっても入る者がいなくなってしまえばお終いだ。


 どういう風にダンジョンに引きこもっているのを処理するのは興味があるけどな。とりあえずアル様に許可をとってから、ダンジョンを作って運営でペダ村の観光業でも起こさないとな。


「ありがとうございました」


「いえいえ、またお越しくださいね~。次は、もっとすごいのでお出迎えします!」


 あまりモンスターを力強くされても困るのだけれど、ここが冒険者育成している施設だという事は理解できた。



 セリア達を迎えに行こう。



 キューブステータス サナダ・ユウタ 16才 冒険者 


 装備 ミスリルの剣 ハーフプレート チェイングリーブ プレートヘルム 硬い皮のブーツ 対魔術の盾 銅の篭手 オークの弓 オークのワンド

 邸宅有り  セリア 人狼 モニカ 鍛冶士

 スキル テレポート PT編成

 特殊能力 なし         


 固有能力( 人形使役(マリオネットハンドル)人形化 (マリオネット )幽体離脱(ダイブ)生命操作(ライフコントロール )力吸収エネルギーアブソーブ ダンジョン生成クリエイト・ダンジョン竜化イモータル・ドラコ



    ▽

 [冒険者(アドベンチャー )LV70]市民(シティズン )75村人73戦士 (ファイター )73剣士 (セイバー )74弓士 ( アーチャー)74勇者 (ブレイバー )74狩人 ( ハンター)74魔術士 ( マジシャン)70商人 ( マーチャント)70薬剤士 (パーマシー )69騎兵 (ライダー )69弓騎兵69格闘士 (グラップラー )69英雄 (ヒーロー )69治癒士 (ヒーラー )69料理人 ( コック)69魔獣使い (ビーストテイマー )67付与術士 (チャント )67錬金術士 (アルケミスト )69木こり63下忍 (ニンジャ )63神官(プリースト)60人形使い(パペットマスター)60死霊王(アンリッチ)15生命王(ライフキング)15闘技士バトロラー31騎士(ナイト)31槍士(ランサー)31 村主(ロード)27 竜人(ドラゴノイド)ダンジョン生成士ダンジョンクリエイター使徒(アポストル)





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