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ヘタレの異世界無双   作者: garaha
一章 行き倒れた男
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69話 町でトラックさん3!

 今起こった事をありのままに話すぜ!

 何が起こったのかわからないが気がつくまで少女とHな運動をするという妄想の世界に旅立っていた。超時空的な力をもった何か不思議なモノを受信したのかもしれない。一瞬だけだったと思いたいが、俺は異世界でまた違う所に意識が飛んでいた。

 ヨサクマルの奴にかけられた幻術の後遺症だと思いたい。

 

 心配そうに覗き込んでくる蜂蜜色の髪をした少女。その眼差しが猛毒だ。童貞さんにはきついじゃないか、勘違いするぞ。色々教えてくれるのはありがたい。けどなんというか、こっちのことをよく知っているかのようにどんどん話が進んで行って自己紹介もない。

 俺は少年騎士といった姿のロシナさんに問いかけた。


「ロシナさん、こちらの方々とは一体どのような関係なんでしょうか」


「おっとそうか勘違いをしていた。これは失礼したね。ユウタくんこちらはセイラ・リサージュ卿。王国文官の中でもそれなりの地位におられる。そしてこちらエリアス・オズ・レンダルク。魔術師ギルドの中でもなかなかの能力の持ち主だ。二人と普通に話をしているからてっきりもう知り合いなのだとばかり思っていたよ」


「はあ」


「まあ、堅苦しいことは抜きで話そうじゃないか」


「そうそう」


 リサージュ卿は体型と顔に似合わずフランクな人のようだ。エリアスはどうもいまいちわからない。前のフード姿のイメージが強すぎるせいだろうか。

 とりあえず俺も自己紹介をしよう。


「俺は・・・」


「いやいいんだ。皆噂しているからね。君のことは耳が取れそうな位聞かされているから勘弁してくれたまえ」


「あたしも同じ。ま、ちょっとリサージュ卿とは違うんだけどね」


 二人はどうも俺の事を良く知っているようだ。しかし何でだろうか。俺には特にこれといった特徴がないはずだけれどどういうことだ。

 ロシナさんが話を進める。


「二人とも何か用があってこちらまでいらしたんですか」


「うむ。私は命令を受けてだね。エリアス嬢のほうは・・・仕事と趣味がごっちゃになっているようだが?」


「そりゃあ私だって真面目に仕事はします。魔狼が居ない間に調査したいじゃないですか」


「そうかね。とてもそんな風には見えないが。浮き足立つというか浮かれているというか・・・あだあああぁあ」


 見ると思い切り膝を抓られている。あれは痛いな。熊さんは身をよじるようにしている。

 エリアスは照れているのかかなり早口でしゃべる。


「そんなんじゃ・・・ちょっとあるけど!」


「いたた、ほら見ろ少しはあるんじゃないか。おじさんを少しは労ろう。とこれは置いておいて話を進めよう。ユウタくん、君は村の代官に任命されたそうじゃないか」


「はい」


「それでプレゼントを持ってきた。他にもあるんだが、良い事は先にしよう。悪い事は後にしようか」


 すぐに立ち直った熊さんはそう言うと懐から2冊の本を取り出した。

 一体何の本なのだろうか。


「これは内政についてのお薦め手引き書みたいな物だ。いわゆる税について細かな定め書きから設定までがなされている。」


「どうせ死なない程度に搾り取れでしょ」


「エリアス耳が痛いな」


 搾り取れってちょっと酷いな。とはいえ大きかろうと貴族の内政なんてそんなものかもしれない。

 リサージュ卿はもう1冊の本から汚れを落とすとこちらに差し出してくる。


「これは土木から生活用の知識が書かれた本だ。聞くところによると、どうもペダ村では生木をそのまま使っているとか。水分を抜かないまま使うと長持ちしないぞ。というような手引き書だ。完璧なものではないから失敗もあるかもしれん」


「ありがとうございます」


 隣のエリアスもローブの袖から何か引っ張り出してくる。

 リサージュ卿と同じようにどうやら本のようだ。


「じゃーん。私もリサージュ卿に習って土木から生活用に役立つ魔術を集めてみたよ。どうかな」


「おお! それは大変ありがたいです」


「チッチッチッ。まだ、あげるとは言ってないんだよね。欲しい? ねえ欲しい?」


「戴けるのでしたら」


 エリアスは考えるようにしてこちらの方を一瞥するとこう言った。この子ドヤ顔しているよ。


「んじゃ『エリアス、欲しい』こう言ってよ。あ、心がこもってないとやり直しだからね」


「ええっ・・・」


 俺は延々と言う羽目になった。こんなことして一体何の意味があるっていうんだ。

 ともあれどうにか合格を貰って魔術書を受け取る。

 中がとても気になるのだがエリアスが口を挟んできた。


「土木用魔術は一応機密保持機能があるの。本を開いて一定時間立つと中の呪文が消えるから要注意よ」


「なんでですか」


「端的にいって戦闘に使われると危険なのよ。魔術書を読むだけで使えるようになる異世界人は皆おかしいわ」


 本の中を見ると土木用魔術とさっと目に通してみる。なるほど、これはとても危険だ。爆破系とか・・・視線が通る限りの射程を持つ感じでいきなり酸素で爆発を発生させるとか半端ではない。

 他にも地形操作とか現代兵器殺しがもりもり揃っていた。いきなり戦車の真下に穴でも出来たら出てこれないよな。これじゃ現代兵器もファンタジーするしか道は無さそうだ。魔術障壁位装備してないとヘリとか戦闘機も空気操作系やらでお陀仏だ。


「これは凄い」


「でしょう。人のいる場所で使っては絶対に駄目だからね。ユウタだから特別に教えてあげるんだから」


「ありがとうございます」


「ふむ。それではプレゼントは終わりかな。まずは良い知らせからにしようか」


 リサージュ卿はそう言うと服についたポケットから一枚の紙を取り出してくる。

 それの内容は良い事なんだろうか。リサージュ卿は話をしだした。


「まず言っておく事がある。一つは王家と王族に逆らってはいけない。逃げてもいけない」


「えっ、そうなんですか」


 やばい事になってくれば逃げればいいと思っていたんだけど。ちょっと大きな衝撃を受けた。

 ロシナさんに目を向けると黙っていたが、一瞬の間を置いて答えてくれた。


「それはね。何度でも大陸制覇する力を持っているというからなんだ。と言うだけでは中々理解してもらえないだろうけど、他国には【リザレクション】なんて無い。【ゲート】【テレポート】もだ、未だ馬車やら牛車が精々さ」


「他所の国民がうちの国に入って来るとすぐわかるのがそれだね。魔術の系統が違うというのもあるがすぐわかるのだ。密入国者が居たりすると送り返されるかその場で処理されるということもある」


 リサージュ卿が話を追加する。

 国境を犯したり潜入者は死刑とか・・・やばい国だったんだな。日本が甘いだけなんだろうか。まあスパイ天国だったしなあ。国境を犯されても遺憾の意砲だけが発射されるという。

 密入国や帰国しないで増え続ける中国人韓国人。何の疑問も抱かない日本人がお人好しすぎたんだろう。


 ロシナさんがさらに話をしだした。


「異世界人でも、王家や王族に反逆するのがたまにいたらしい。最強の力を授かったとか無敵の肉体を貰ったとか。それでその力を使って無双してたみたいなんだけど、王様に逆らってすぐ処理されてしまったみたいだ。無敵だ最強だなんて思い込んでいたら実はそうでもなかったという話さ。噂として聞いたことがあるが王都の地下深くに幽閉されているとかね」


「そうそう。会っていきなり失礼な事を言って死刑になったなんてのは枚挙にいとまがないわ。その点ユウタ、あんた糞弱いけど良いね。誠実だし、誰でも彼でも手を出そうという感じでもないし。お人好しが過ぎるのも手綱を握ればどうにでもなりそうよね。ほんと手当り次第なのが多くて困るわあ」


 そう言うとエリアスはロシナさんを見る。ロシナさんは頭にハテナマークでも浮かべている様子だ。


「コホン。先に進まないといけないな。税の免除に木の伐採許可証に転送器の設営等等だ。村にも代官屋敷位は作るべきだろう。とまあここまではいい話なのだが・・・」


「ありがとうございます」


「まだ感謝するには早いわよ」


 まだ更に続きかあるのだろうか。エリアスはちょっと苦笑いを浮かべている。


「うむ、今度は悪い話だ。君は騎士見習いだったな。早急にレクチャー屋に行き、スキルを整えたら自宅に帰って装備を整えたまえ。昼過ぎにはセリア殿を連れて、城に登城するようにとのことだ」


「レクチャー屋ですか」


 リサージュ卿の話で俺が疑問に思った事を口にすると、ロシナさんは即座に答えてくれる。


「そうさ、異世界人はスキルが使えない事が多い。いきなりこちらの世界に移動してきた人なら尚更のことだ。才能の限界とは別にね。そういうわけで王都にはスキルを習得するための店がある。まあ要するにスポーツジムみたいなところさ。本来なら学園にでも通って一つ一つのスキルや魔術に他の常識と言ったモノを学んで欲しいところだね」


「わかりました。それじゃあ・・・」


「ロシナはどうするの」


「私も同行しようと思っているよ。君と二人きりにするのは危ない」


「チッ」


 二人ともついてきてくれるみたいだ。レクチャー屋が何処にあるのかわからないのに行けとは酷いものだ。

 一人で道に迷って昼になったら最悪だしな。 

 俺は書類をリサージュ卿から受け取るとイベントリに入れる。リュックに入れておいたらなくなりそうだし。


「それでは、そろそろ失礼するよ。くれぐれも気をつけたまえ」


「ありがとうございました」


 リサージュ卿が席を立つと二人に合わせて俺も一礼をする。


「それじゃ、ユウタ早速レクチャー屋に行くわよ」


「ええ」


 俺達はレクチャー屋に【テレポート】することにした。



閲覧ありがとうございます。

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