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ヘタレの異世界無双   作者: garaha
一章 行き倒れた男
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61話 暗い場所で会う4! (ユウタ、アル、アングルボザ)

 こんにちは皆さんユウタです。訳あって冥界という場所のニブルヘイムに来ています。そこで俺は不思議な幼女と出会ったのですが。これがとんでもない悪女でして。


 俺は都合のいいように扱われて、今じゃ綺麗な城の玉座で薄紫の髪を背中までのばした少女が握る人間型の杖になっていた。脈動するかのように明滅する黒い壁と重厚な作りの扉をぶち壊して現れた金髪の少女。よく見てみるとアル様で・・・。会話からするとアル様とアン様はどうやら知り合いのようだ。


「返すもなにも。お前に返す義理はないねえ」


「おばさま。そこは魚心あれば真心も通じるかと」


「やだね、アタシをババア扱いするのかい。それに、ユウタを返す事でアタシにどんな利益があるっていうのさ」


「ふふん。大いにある。同時に私の為にもなるからだ。同時に、星の為に、な」


 それを聞き終わる前に、アン様は俺を振るう。膨大な魔力が一瞬で、何もない空間に鉄塊を作り出す。と、アル様を引き潰さんと襲いかかる。アル様が潰れると思いきや、鉄塊はあらぬ方向に飛んでいった。


「やはりあんた相手じゃ効きやしないかい。これならどうだい」


「ひぎぃ。あひぃい・・・なんちゃって」


 大量の魔力を俺から引き抜くと何語かわからないがつぶやくと一瞬でアル様がバラバラになった。かに見えたんだけど、アル様は何事もなかったかのように歩き出す。服はばらばらになったが、健康そうな肌にあるような無いような小ぶりな乳が・・・マジかよ。


「ババアが。今度はこちらからいくぞ」


「あはっ、小娘がやってみなあ」


 アル様が腰を低くすると弾丸のように突進してくる。右から左から蹴りが薄い光を纏って襲い来る。アン様はそれを・・・ギャボ・・・。俺を使って防がないでほしい。ゴスガスっと音が出ないだけに酷い。


 連脚、中段飛び2回の左右と連続蹴りは止まらない。下段と見せかけ上段なんてのも普通だし、霊体格闘かよ。霊体同士でダメージをぶち当て合うってどういうことなんだよ。俺は顔面から身体全部が蹴りまくられるという。


 酷い体験をしている。俺は酷いダメージを負うわけだが一瞬で傷の回復が終わる。これが、【生命操作】ってことなのか。とにかくアル様の攻撃を俺で無効化している。俺は、杖やめて人間盾になっているじゃないか。


「む、このままでは埓があかないか」


「そうだねえ、其の通り。だからユウタあいつとの接続を切りな」


「アン様、接続を切るとは?」


「あいつとの繋がりがわからないのかい。盗られてんのさ。そうさねえ・・・。まあ。やり方が分からないんじゃしょうがないねえ。何故倒せないのか、というとだ。あんたとあの嘘つきが繋がっているからさ。あんたこっちに来る前にもそいつとキスしたろう?」


「はあ、しかしアン様そんなんで繋がるって言われてもピンとこないのですが。ぶへぁ」


 撃ち返すな。痛いって。


「ピンとくるような奴なら、こんなとこに来たりしないさ。ましてや【リザレクション】こいつを不用意に使ったりはしない、覇ぁーーー!」


 アン様はアル様の攻撃を振り払うとくるりと飛び下がると一旦距離を取る。悠然として構えをとらないアル様は余裕の表情だ。一体、どうしてこんな所に来たんだろう。


「ふっ! ボザ様もせっかくの好機ではだろうに。積年の恨み。今こそ、ヘル様と一緒に晴らすべきではないか?」


「まあたしかにな。アタシとヘルだけが、こんなとこで創世以来代替わりしてるってのには正直むかついている。役目を押し付けるジジイにもあんたらにもね、どっちも同じにみえんのさ。つーか勝つ見込みあんのかい、万年敗北者さん」


「言われる通り。確かに、そこにツッコミを戴くと厳しい。だが、今更やめるわけにもいかない」


「やめりゃいいのにねえ。ま、邪智暴虐で鳴ったお前さんも、いまやそんな有様でもはや見る影もないね。ふん。まあいいだろう、お前さんにユウタを任せるとしようかい。この子の魔力量をもちっと上げないと不便でしょうがないよ。くひっ。隙ありぃ!」


 アン様が叫ぶと。どす黒い何かが俺を通して放出される。馬鹿でかいゴン太なそいつは城の壁を一瞬で全壊にもっていき、あっさりとアル様を飲み込んだ。まさか殺ったんじゃ。


「ふん。卑怯な。安心させておいて不意打ちするなど、神の風上にもおけないぞ」


「はっ、お前がいうな。んなのそこらへんの犬にでも食わせてやんな」


「まさかまさかの攻撃。今ので倒したなんて思われたのですか?」


「いや、確かに手応えはあったけどねえ。やっぱあんたの能力堅いねえ、それに加えてユウタの魔力を無制限に引き出してんのなら効きやしないかい。敗北者め。あんたわざと喰らってみせたね」


 アン様の攻撃で辺り一面が黒い瓦礫で埋め尽くされている。崩壊した城の瓦礫にスタッと着地するアル様。月下に金の髪が照らされて幻想的な光景だ。着るものはきてほしかった。


 その胸から下のほうまでなにもつけていないのだ。隠す気もないのかアル様は堂々とした様子だ。情けない話だが、俺の股間は元気に反応してしまっていた。こちらも隠しようがない。服がないんだよ、どうすりゃいいんだ。


「さすが、ボザ様よくお分かりだ。・・・ユウタ。はしたない物をおっ立てて、下品だな? 少しは自重しろ」


「いやだって、生理現象だし。アル様すいませんが、そういうの見せつけられたら反応するのが普通だと思います」


「敗北者。神力生成でもして、早く服位着ろよ。ユウタをからかって遊んでるだろ」


「ひどいな。もちろんユウタとボザ様以外に、出歯亀しているようなのは花火の刑だ。そこの犬っころ出てこい」


 犬? そんなのいたか?


「おや・・・ガルドじゃないかい。あんた馬鹿だろ。隠れてろって言ったのにねえ。残念だけどここでお別れだねえ」


 瓦礫の向こうからガルドと呼ばれた獣人の霊が上に上がっていく。どこまで上がったのだろうか、綺麗な光りが空に散らばった。本当にアル様なのか。どう見てもやることがえげつない。女神というからもっとこう優しい感じの存在をイメージしていたのだけれど、そんなものは一気にぶち壊れた。


「アル様。酷くないですか」


「ふふんっ。ユウタはヘルの配下を相手に甘っちょろいこという。今のは口封じという面ももっているのだ」


「えっ。それは一体どういうことなんでしょうか」


 疑問だった。

 

「まさかとは思うけれど、戦いに際して結界の一つも張らずにやっていると。ユウタはそう思っていたのかい」


「くく、ユウタ。なんでもかんでも聞くのは悪い癖だな」


「まあ、そういうなって。こいつはどうやら魔術の基礎から学習が必要みたいでねえ。お前んとこの学校でも放り込んでやりなよ。少しは知識を持たないとこいつは【リザレクション】を触媒も無しでやっちまうような馬鹿なんだよ」


「ボザ様、それは大変だな。ユウタ。【リザレクション】の前にさっきの方を始末する必要があった。神の結界、これを潜り込めるような存在はそうそういいない。ヘルが直接きたならすぐ分かる。不味いのは、知られないように忍び込めて情報を持ち帰れる忍びのような手駒だ。ガルム族はフェンリルの子孫ですが冥界のガルム族はヘルの庇護下にある。ということだから、彼等はヘルのためなら命も惜しまないのだ」


「さっきの獣人の方を見逃しても、結局解決にならないということですか」


「其の通りさ。神に比べれば天と地ほどの力の差があるけれどねえ。あれはあれであんた程度なら軽くひねっちまうだろうさ。始末したさっきの獣人のことはもういいだろう」


「はあ」


 確かにしかしそれだけだったんだろうか。アル様とアン様が戦いをするのに演技してたのか。そこまでする必要があったんだろうか。疑問は尽きないが、とりあえず話を聞いとくべきだ。


「アタシの話を聞いときな。獣人のアイツは消滅したわけじゃあない、責任者かつヘルの目でもあるガルドと連絡が取れなくなりアルージュが此処に来て戻らない。ならヘル自身もやって来るのは時間の問題だからねえ。次に【リザレクション】な。これはジジイの力を触媒にかけて返魂の儀式を省略する魔術さ。なので当然ジジイの王家がジジイの教会におろしている触媒無しに魔術を行使しようとすると魂が危ない。危ないとはどういうことかと言うとだねえ。触媒無しで返魂魔術に失敗すれば魂が消滅する。文字通りパッとさ」


「ということだ。ユウタ様には大神教会に入信という手続きを経て信徒になっていもらう。これで爺も大満足。明日の午前中には迎えにいく。その準備しておけ。といっても忘れてしまうか」


 聞きなれない人の名前が出て来たような。そしてジジイって誰だ。【リザレクション】が危険だってことはわかったけど、またなんか面倒なことに巻き込まれているような気がする。


「あの。今、爺がどうとかが聞こえたのですが。そいつが喜ぶとか入信とかってなんですか」


「おやあんた、もしかしてこの子が誰なのかなんなのか分かっていないまま【神性接続】しちまったのかい。そいつは大変だねえ」


「そうだな。例え忘れてしまうとはいえ自己紹介をしておくか。私の名はアルーシュ・ロサ・ミッドガルド。三つ子の姉ですわ。今日、貴様にまた出会えた事を祝しておこう。そうそう、入信とはオーディン様を崇める教会の信徒になってもらうということだ。。色々と便宜を図れる。何より貴様のためだ」


「ええっと、アルーシュ様ありがとうございます。けれど何でこんな良くしてくれるのですか」


「あんたお人好しにも程があるだろう。懐柔されてるってことくらいわかれよなあ。まあ、いきなり好意を示されても訳がわからないといったところかい。こう考えな、アイテムの手入れは入念にだ!」


 また、撃ち返された。まさに、バット。

 アン様酷いわ。そりゃあんまりですわあ。

 んーと今日会った。アル様とゴブリン退治するはずがなぜかトカゲ退治になっていて、木こりもそこそこにリザードマンやらトカゲと戦って、その間に。ああ、そういえばなんかおかしなアル様だったけどそう言うことか。


 アルーシュ様は女の子とメモでもとっておきたい。

 が、メモなんてそんなものはなかった。


「アン様、酷いですわ。俺もう絶望ですわ」


「あはは、あんた全然堪えてないのにそんなしょげた振りしたって無駄さ。それとなんで芝居を打ったか気になるんだろ」


「ええ、アン様。俺も人の子なんで少しは堪えてますよ。アン様達が芝居を打ったのに加えて俺が何故入信する必要があるのかとかなんでですか」


「それはだな。ヘルの目を誤魔化すためだ。ユウタは知らないのか。今、現在の冥界神はヘルだ。ヘルとボザ様で代替わりするたびに管理神の役を入れ替えております。ですが、最近の失態でボザ様は中央ヘルヘイムに返り咲くことなく。ニブルヘイムの城を追われた。この管理神というものがどういうものかというとだな。冥界においてはほぼ全能の力を振るうことができる」


 すげえ。


「だから、こうやって茶番をやってんのさ。ヘルだって全知じゃないしねえ」


 そう言うとアン様は俺を武器替わりにアル様に殴り掛かる。上から右下から連続で殴りかかるが、全てアル様は防ぎきる。俺は棍棒か何かの扱いだが、ダメージを受けなくなっているような。


「アン様だからって戦い合う必要があったんですか」


「はあ、だからこれも意味があるんだよあんたにはね。霊体なら【霊体防御】を覚えるだろうし当然使えなきゃあんた一人で地獄をさまようことにでもなったらどうすんのさ。あんた足にくっついてる卵忘れてるだろ。そいつの魔力吸収にも耐えなきゃいけないんだよ」


「ユウタ。つまりこうしてこうやって。ふっ! 殴り合っているのは魔術抵抗力を高めると同時に総魔力量の底上げをしているということだ」


 なんか、都合よく丸め込まれている。


「そうなんですね、失礼しました」


 2人共とっても楽しそうに殴り合っているのでなければ、俺も信じることはできるのだけれどなあ。そういえば黒いモヤモヤを出していた卵が赤黒いモヤを出し始めていた。これ爆発しないよな。


 そうして高速で殴り合う2人の頭上に、光り輝く何かが舞い何かが落ちてきた。



閲覧ありがとうございます。


ふと気がつくと1000ポイント超えてました。

自分が乞食ということを再確認。


台本形式がダメだというご意見本当に感謝しております。


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