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ヘタレの異世界無双   作者: garaha
一章 行き倒れた男
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57話 森でトカゲ続き3! (アル?、セリア、ユウタ、イープル、シグルス)

 某日某時刻 変異した森

 

「(ふざけた真似を・・・! 姉者!)」


「(すまんな、セリア。それで、こいつをもらうぞ)」


 そう言うと声を真っ赤にしながら反応してくる。可愛いものだ。前方ではセリアがイープルとモニカを守りながら蜥蜴の相手をしている。術を展開すると、光の膜は亜人達を覆いつくす様に広がっていく。


「(手を出さない約束だったハズだ。私の聞き間違いとでもいわれるのか?)」


「(触れたのは唇で、もらったのは魔力だ?)」


「(それを詭弁という! ・・・また裏切るのか、姉者)」


「(結果として裏切っちゃったけが。どしょうがないじゃないか。その私だって初めてだったんだ。これは不可抗力。なんならお前もやっくか? まあ、今は無理だが)」


 相変わらずの堅物振り。息災で何よりだけれど。こいつは正直いって扱い安い。そう言う約束もしていたけど、お前は何事も慎重過ぎる。どうにもならなくなって、状況の深みに嵌るのよね。【神性解放(オールレクト)】! を使用すると、降臨術の展開作業に入る。


「(・・・何時も貴方はそうだ。そうやって私を丸め込もうとする。猫かぶりする上、人前ではアルルの振りをして成りすましているが今度ばかりは上手くいくまい。大体、どうアルルに話をつける気だ? 間違いなく殺られるぞ)」


「(ふん、アルルはどうにかする。それにお前だって悪い。本気を出さずにいるものだからほら亜人達の被害が拡大してる。さっさと使えば良かったのだ。私だって替え玉に最初は乗り気じゃなかった。めんどくさいと思ってたからな。こうなったのも状況なわけだ。アルルに悪い事をした自覚はない。協力しろ)」


「(・・・しょうがない。姉者は天然で人を騙すから手に負えない。が、今は成敗する時ではないか。いいだろう、今度だけだからな」


「(ありがとう)」


 ちょろい。

 相変わらずだ。毎度だけれど今度だけと言いながら、何度でも信じてくれるセリアは優しい子だ。淡く光る膜から上方向に形を伸ばすとそれはやがて光の柱となる。なんて不格好な。私としたことが初めての術なので、操作に手間取る。柱からモコモコと膨れ上がる4つの瘤から4つの腕を作りだすと攻撃開始だ。


「(ちょっと待て姉者。味方を巻き添えにするなよ? 避けるのも大変なんだぞ!)」


「(解ってる。うっとおしい蜥蜴ちゃん達もこれでおしまいだ。セリア、味方から距離を離れ過ぎだ。モニカさん酷い怪我している。治癒しておくぞ。)」


 作った腕の一つで蜥蜴達を攻撃するが、狙いが定まらない。危うくセリアを殴るところだった。あーあぶない。モニカって子ライバルになりそうなのだ、治癒しないわけにもいかないが。セリアの不始末を尻拭いしとくか。蜥蜴と巨大蟻の子蟻に攻撃をしかけながら、同時に癒しを施すのは難しい。


「(む。それはありがたいが、・・・そのちゃんと狙ってくれ!)」


「(そうは言っても初めてなのだ。う、カスリもしない。あー逃げられる)」


「(はあ、姉者・・・蜥蜴達の追撃に移る! 皆を任せたぞ)」


「(うむ、セリア。了解した。ユウタと亜人はお任せておけ。)」


 蜥蜴に向けて手を振るうもあっさり避けられる。光の手は馬鹿なくらい大きい。そこらへんに生えている木程はある。先端から雨を降らすが如く細かい手を銛状に変化させると、まだ残っている赤色の蜥蜴に狙いを付けて放つ。器用にもぴょんぴょんと飛び跳ねて後退しつつ避ける。他の蜥蜴が逃げ切る間の時間稼ぎでもしようというのか。こいつに構っている暇はないな。


 光の腕で紅い蜥蜴を相手しながら同時に、亜人達全体の傷を癒し始めた。左右の巨大蟻も一掃しようか。まずは・・・細かいのからか。腕の先端をモップの柄に見立てるとローラーに変化させる。取り囲む子蟻達は酸化液だか消化液だかを飛ばしてくる。正確には【アシッドウォッシュ】とかいう蟻スキル。こんなこと誰もきにしていないのだろうが。


 腕をローラー状に切り替えると左右の的を一掃し始める。このローラー攻撃は小さい生物に対して強力な殲滅力を発揮するはず。何しろ地形の形に変化させつつおしつぶせるので、細かい子蟻まで取りこぼしもない。ローラー攻撃を数回繰り返すと消滅する蟻。地面から潜り込まれてくると厄介なので、腕の一つを使い地下探知もぬかりなくやっておくか。次は巨大蟻本体を攻撃だ。


 左右に存在する子蟻を吐き出す母体とも言える巨大蟻がいる。巨体なだけに動きはかなり鈍そうだ。問題なのはここからの距離で、光の手を伸ばす程に攻撃力が落ちるということか。光弾を作って放ってしまえば楽に片付くのだが、そうすると後が持たない。皆を守りながら、森の出口まで移動していかなければならないのだから。


 考えは一瞬だったがまとまったわ、手の先端に球状のものを作って投げつける。巨大モーニングスターというところね。腕をどんどん伸ばして行くよりは楽そうだし、目標に当たれば弾けて潰れるだろう。手の先端を変え始めると、巨大蟻程度の大きさになる。


 といってもちょっとした大きな家位と屋敷程の差はある。だが、これで十分だろう。膨れ上がった球を投げつけてやると。あ・・・はず・・外れなかった。意外なことに投げつけた球は巨大蟻をあっさり引き潰してその体は爆散した。もう一匹の方にも・・・は何度も投げつけるハメに。


「(イープル、脅威は退けた。脱出を開始するぞ)」


「(・・・! ハーイ。でもこれ一体なんなんですかぁ)」


「(あまり深く考えるな、モニカを頼むぞ。亜人達を誘導しろ)」


「(了解であります、アル様)」


 紅い蜥蜴は蟻に気取られている間に逃げ出そうとしていたが、そうは行かせん。森からの脱出を行いつつ、蜥蜴を仕留める為の腕を変形させる。蟻を殺る間に炎のブレスで攻撃を仕掛けてきていた。が、光の膜の前では通用しない。


 それとわかったのか。逃げ出そうとしている。腕を変形させると細かい銛を作って狙いをつける。次々と投げつけてやると、必死になって銛を彈く蜥蜴。紅い蜥蜴は不格好にも不釣り合いな大きな腕が胴体から生えだしている。それを使って銛を避けつつ防ぐなんて真似をやってのけた。やるな、ヨルムンガンドの裔。


 体でも腕でも光の銛が刺さったなら必殺の術を発動出来るのですけれど、見事に躱してのける紅い蜥蜴。2本足で立ち尻尾を器用に使って避ける姿は上手い! と言わざる得ないか。とりあえずこのような厄介な相手にいつまでも関わっているのも時間の無駄なので脱出を進めるとしよう。


 こちらの移動にどうやら紅いのは付いてくる様子ではない。ま、流石に何時までもよけさせるほど阿呆ではない。角度をつけて4方から放ってやれば・・・。すぐ始末がつけられたのですが、位置取りも上手かったですわね。


 ! これは。紅い蜥蜴は引き止める為の囮だったということか。巨大な存在が接近してきますわね。皆が逃げきれるように移動を開始しますが、何かが飛来する? 咄嗟に手を盾状に作り替えてガードすると。


 それは地面に落ちてドーンという音を立てた。これは不味いです。こちらは光るだけに相手は目標を見失わないが、地面に落ちた土塊を見るに何度も食らうわけにはいかん。相手の方向に暗黒の膜を作りだして、目標を絞らせない。


「(只今もどった姉者。申し訳ない、逃げ切るのが上手い相手で、追いきれなかった)」


「(しょうがないわね。逃してしまったことですし、なかなか手ごわい相手か)」


「(それは、紅い奴か?)」


「(腕なんか生やしちゃって進化か。剣と鎧を起動させれば一瞬なんだが)」


「(樹神降誕を使用するのはやめてほしい。地形というか地図が書き変わってしまうだろ)」


「(敵の心配なんてする必要があるのか。それに中々の相手だ。今追いかけてきているのは。ああ、なるほどな。村の心配してるのだな。ユウタの事気にかけているのか)」


「(!! ・・・こほん、あー姉者、少しは周りに配慮するとかしていただかないと困るぞ。ペダ村まで吹き飛ばしてしまう可能性があることを少しは考えないといけないだろ」


「(そこまで私だって知恵が無い訳ではない! それもあるけれど、ソロソロ森の入口だろ。こっちは防御で手一杯なのだ。閉じている入口なんとかしろ)」


「(閉じている? ・・・此処がそうか。せい!)」


 閉じていた森の入口がセリアの斬撃で開く。セリアが皆を先導する。


「さあ。皆、ここから脱出だ。急げ」


「ありがとうございます」


 亜人達は出入り口から次々と抜け出していく。亜人達が脱出する間、次々に飛来する火属性ブレス攻撃や巨大な土塊。これを、一方的に受けて力が抜けてくるのに気がつく。くっ、攻撃を受けすぎか。揺れる地面を走れるようにする為の制御もある。

 シグルスも追いついて来たみたいだな。


「(大丈夫か、姉者)」


「(これが、大丈夫に見えるのでしたら大したものだ)」


「(流石は姉者だ、火竜砲【ビッグ・フレア】を何度受けても耐え切れるなんて素晴らしいな)」


「(全く、やってられないのだ。もう意識が飛びそうだ。後は任せた)」


「(ああ、後の事は任せてくれ。お休み姉者)」


 口の悪い年上の妹的存在なのだ。が、根は正直すぎる。なので心配になる。

 最近もまたなにやら悪いのに騙されて売り飛ばされた。とか聞きいていたが。

 お仕置きで、ちょっと謹慎のはずだったのがなぜだ?


 私の裏切りと嘘の性質とは相居れないものがあるはずなのですが、毎回毎回同じ様に側に来て、同じ立ち位置に来るのでだ。

 セリアを側においては、傷つけてしまう。

 が、シグルスの言う通りルナの横には置いておけない。


 黒い森から皆、無事に抜けたことに安心した。しばらくして、力が全身から抜けると。フッと地面が。誰かに支えられた感触がしました。意識はそこまでだった。



 キューブステータス アル? ?才 剣士?

装備 黄金の剣 黄金の鎧セット 真紅のマント

接続者 ユウタ


特殊能力 【擬態】 【魔力操作】

固有能力 【神性接続】【神性解放】


閲覧ありがとうございます。

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