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ヘタレの異世界無双   作者: garaha
二章 入れ替わった男
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376話 再建計画を考える

 世の中には、食う者と食われる者がいるという。

 だが、それを放っておいていいのか。

 いいはずがないのだ。


 なんとなれば、マリスのような女の子がいる。

 彼女たちを放置していれば、結婚できない男が増えるだろう。

 いや、日本の場合は自由が過ぎたのだ。


(結婚したいって、思ってもなあ)

 

 相手に出会わないのである。基本的に、職場には女がいなかった。

 いないのだから、付き合ったりだとかできやしない。

 男女平等だとかいいながら、工場には女の姿は100人いて、1人か0人か。

 

 事務でいるかどうかだ。


(大学までに決められないと悲惨だぜ)


 次があるなんて思ったら、次なんてないのだ。

 ミッドガルドでは生まれた時に許嫁が決まるなんて事もある。

 もっというと、生まれる前から許嫁がいたりする。


 ユウタは、風呂桶を眺めると。

 マリスたちの国をどうすればいいのか考えだす。


(まずは、どうするかねえ)


 国庫を調べたいところである。国王であるところのハイデルベルク大公は、一体何をしているのか。

 治安は、最悪に近い。物乞いが、道端でテントを張っていた。

 時節は、秋だというのに雪が降ってくる。


 冬になったら? 餓死者がでることは間違いないだろう。

 水の滴る音とともに、金の羽毛を揺らしてひよこが湯船に飛び込んだ。

 隊列を作っているが、ペット? は体を洗ったのだろうか。


 洗っていないに違いない。そして、火傷しそうなくらいに熱い湯船に魚がいる。

 金色だ。黒い点は、目玉か。熱いのに、生きているようだ。何時から、湯船で魚を飼うようになったのか。


(まあ、竜みたいなのがちっこくなっていたりするからなあ。気にしたら負けのような気がする)


 思考を戻そうと、目を天井に向ける。

 公都の外では、魔物が跋扈しているので作物の生産が難しい。

 なので、外路灯を設置して魔物を寄り付かせないようにするのだ。


 ミッドガルドでも採用されており、魔物の侵入を防いでいる。

 

(魔物の駆逐が、第一なんだけど・・・それって俺がやる事なのか?)


 別に住んでいる国ではない。アクアがいる国だったり、レシティアとリューズがいる。

 視線を天井から動かして、出入り口の方へと向けると。

 風呂桶の中に、狐が入っていた。寝っ転がるようにして、尻尾を動かしている。


(尻尾、良いよなあ。なんで、人間には尻尾がないのだろう)


 栄養を貯めて置く器官だからか。退化か進化かわからない。

 白い大理石で作られた湯船から出ると、ひよこたちが艦隊を作るようにして浮かんでいるのが目に入る。

 ひよこになって、湯船に浸かっていたくなりそうだ。


(まあ、いいか)


 どうせ、アルたちから何とかしろという風に仰せつかっている。

 臣下として、問題を解決して行かねばならない。

 ただし、金がかかる事は請け合いだ。


 植民地と違って、他国なのである。

 資本を投下する意味は、と聞かれれば所謂ところの属国なので?

 と答えるべきだろうか。


 脱衣所に人影は、ない。帰ってくるのに、アルストロメリアが所属している錬金術師ギルドへと向かった。そうしたら、出てきた幼女の父親に「帰れ」と言われる始末。エリアスは、腹を抱えて笑うし来た意味は無いしで踏んだり蹴ったりであった。


(知名度も必要だけど・・・)


 有名になるのは、良し悪しで。アルは、ミッドガルドで知らぬ者はいない。姉のマリアベールも同様だ。

 次点では、フィナルか。アルの父親には、会った事がない。謁見が行われたとか聞いた事もないのである。

 知名度があれば、門番に止められて中に入れないという事もなくなる。


 家紋の入った円盤状の物を見せる必要もない。


(めんどいんだよなあ)


 フィナルは、治療ばかりして教皇の真似事をやっているという。

 本人は、のりのりでやっているのだろう。嫌になったという話は聞かない。

 アルストロメリアのところで、入手できなかったのでハイデルベルクの錬金術師ギルドへ向かった。


 すると、どうであっただろう。今にも朽ち果てそうな外観の洋館であった。

 金は、無さそうで婆ぁに「餓鬼がくるところじゃぁないんだよ。けえんな」

 と言われて、すごすごと帰るしかなかったという。


 アルストロメリアとエリアスは、放置して移動したのが不味かった。


(腹抱えて笑うもんだから、なあ)


 そのまま一緒に居たら、ぶん殴ってしまいそうだったのだ。ユウタは、笑われる事が嫌いである。

 侮蔑は、我慢できよう。しかし、嘲笑は死をもって返したい。

 

(あの野郎、今度あったらコブラツイストでもかけてやろうか)


 セリアにかけたところ、1発でギブアップした技である。

 脱衣所には、棚が置いてあり大きな鏡もある。複数の人間が入る事を前提としていた。

 持ってきた着替えを使うと、扉を開けて廊下へと移動する。


(げっ)


 右からは、シャルロッテと弟であるところのヘラスがその妹の腕に抱えられた格好で歩いてくる。

 後ろには、ルナとオフィーリアにオヴェリア。さらに、メイド服を来たレシティアとリューズが控える。

 話を請われる前に、立ち去るとしよう。


(寝るまで話をしないといけなくなるからな。そんな時間は、ない!) 

 

 急いで、2階にある自室へ歩く。中には、人がいてゲームをやっていた。

 普通に、いる。白い髪の毛を生やした痴女とシャツ一枚でいるアルーシュ。

 狼さんは、ぐったりとベッドで寝ているようだ。


「遅いぞ」


「はあ」


 なんで、いるの。と言い出しそうになったが、すっかり溜まり場と化している自室である。

 2人して、背中に「働きたくない!」と書いた白いTシャツ姿。

 働きたくないに決まっている。


(1日8時間さあ、働いたら食っていけるようにしないと駄目だろ)


 サービス残業は、ミッドガルドでは違法だ。酒場だって、9時か10時までで閉まる。

 冒険者ギルドを考えると、


(うーん、ブラック企業じゃね? 怪我とかしても保険なんてないから、それまでっぽいし)


 情報収集にシルバーナと忍者をこき使う事は、中で決定している。

 歩いて、聞いて回るのは本当に疲れるのだ。

 ハイデルベルクのどこが悪いのか。全部が悪いように見える。


「あの、なんで僕の部屋にいるんですか」と質問したら、どうなるであろう。

 ぶっ殺すぞ、なんていって剣を振り回してくる女の子なのだ。

 白い髪に角を生やした女の子は、何なのだろう。

 

 察するに、毛玉の姿がない。それから、なんとなく髪の毛と毛玉の姿がかぶる。

 背中にかかるくらい。しかし、文字が見えるように分かれているのはどういう事であろう。

 わざと、やっているのか。


(あー、もう)


 面倒くさいの極地だ。黒く漆でも塗ったかのような机に、紙の束が乗っている。

 そして、見慣れない水の壺。透明な硝子で出来ている。中には、何も入っていないが。

 誰が乗せたのかわからない。


「んで。ハイデルベルクはどうなった? 開墾までいけそうか」


 この女、見ていたに違いない。酷い話である。見ているだけで何もしないのがスタンスで。

 ユーウがケツバットしたら、アヘ顔ダブルピースするのでやらなくなったという。

 もう、放置するしかないのである。言っても、聞かず躾も聞かない怪物であった。


「ええ。明日には、なんとか」


「抵抗する勢力は、どうしても構わんからな。冬が来る前に、形を整えろ」


「御意のままに」


 わがままで、捻くれている。女なのに、女の子を娶ってどうするのであろうか。

 ユウタは、愛を信じている。この世の何処かに、存在するのではないかと。

 信じられなくなる事が多いけれど。


 ハーレムなどは、1種の病だ。だいたい、後で面倒になるのだ。


(つうか、誰か手伝ってくれよ)


 誰も手伝いにこない。ネロの顔が浮かび上がった。フィナルであれば、問題になるが。

 彼女なら? 亡命かなんだか知れないが。 

 そこで、部屋の扉が開いた。ネロだ。白いワンピースに長い袖。青黒い外套といった格好である。

 

「あら、居たのね」


 むっとするような言葉だ。居るのが、普通だ。しかし、普通に入ってくる方がおかしい。

 ノックくらいするものではないのか。

 白い上履きを履いて、そのままゲームをやっている面子に加わる。


 寝る時間になってもやっていたりするので、仕切りを置く必要があった。

 最近の事である。


(ゲームなあ)


 やりたいが、暇がない。金がいるのだ。稼がないといけないのである。

 領地から上がってくる分で賄えるならいいが、治安を維持するために騎士と兵士を増やしているから商いに手を出していた。それで、隣家のコルトが商い役になって政商と化している。


 武家にあっては、蔑まれる事の多かった商い。

 かといって、蔑んでいるものだから明治維新後なんて起きたのだ。

 外国の勢力をなんとか出来なければ、没落するのも当然と言えよう。


「おい」


「はい、なんでしょうか」


「ネロを付けてやる。ハイデルベルクの内情は、こいつに。情報収集はシルバーナにさせる。メラノの攻略も急げよ」


「はい」

 あっち行ったり、こっち行ったり。忙しいにも程があるのではないだろうか。

 空間魔術が使えなかったら、不可能な仕事だ。

 ちなみに、メラノというのはイタリア半島の北部にあるらしい。


 詳細な資料があればいいのだが、その辺りはシルバーナに集めさせるとしよう。


「どんどん、範囲を狭めていると聞いておりますが」


「ああ、それな。魔術士たちに結界石で封印を使わせているからだ。出てきたところを叩くという戦法だ」


 何も、好き好んで死にに行くつもりもない。


「中には、聖剣もありますので回収をお願いいたします」


 どうして、こう、簡単に言うのだろうか。

 

「できるか?」


「問題は、見つかる、かどうかです。あれだけ魔素が濃いと、その、魔剣になっている可能性も」


「そんな事は、ございません。5賢帝の残された剣ですもの。簡単には、変じないはずです」


 希望的観測を言う。永遠不変のものがあるだろうか。いや、ない。

 焦ったように言うのは、時間が経過しているせいか。

 彼女にも、確信はないようだ。

 

(聖剣ねえ。別に欲しいとも思わないけど) 


 インベントリから射出するくらいか。中身を打ち出すのなら、なんでも良さげである。

 何も、聖剣をぶつける必要もなく。紙が燃え上がるような照度で十分。


(なんだっけ、ああ。そうだ。セリアにぽきぽき剣を折られるから、要らないなんて思ったんだっけな)


 寝ている銀色というか鼠色というか。そういう色の尻尾を手に取る。

 握った瞬間、目を開けた。が、視線を交わすと興味なさそうにして目を閉じた。

 もこもこしていて、何時迄も握っていたい。


(ふう、寝よう)


 再建に、金と時間がかかりそうだ。眠気がしてくると寝床へついた。

 アルーシュたちは、ずっとやっている。 

サービスサービスゥ!?


挿絵(By みてみん)

「なんて、事だ」

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

「アキラさんですか。これ・・・」


「いや、隠し撮りなのか・・・わからないが」


 タクヤとアレインは顔を見合わせた。関わっては、いけないと。


1.3MELOT 様作品


2Rojeny 様作品

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