49話 村で風呂! (ユウタ、セリア、モニカ、アルーシュ、シグルス、イープル、赤、青、トカゲ、ペダ村長、ロクド、
某日某時刻 ペダ村
俺は、颯爽と風呂場に移動する。
風呂場にて待ち受けているのは、希望か絶望か。
ガチャとドアノブを回し音を立てて扉を開ける。
ちゃんと男湯と書いてあるから間違いない。
ラッキースケベは、ノーセンキューだ。
ドアに文字が書かれているだけ、のれんに漢字が書かれている物でないのが寂しいがそうも言ってられない。さっさと入ってしまおう。
着替え場には誰もいない。まあ俺一人か・・・。
アル様は上がったのか?
・・・何を期待してたんだ俺は。
鎧と服を脱ぐと湯船に突進してひと洗いして浸かる。
しかし誰も入浴した形跡がない。うーん大分時間がたって乾いたんだろうか。
暇だし隣を覗いて・・・。
いや、やめとこう見つかって打ち首に・・磔エンドとか笑えない。
それより考えをまとめないといけない。
税金どうするかねえ。
金もない権力なく兵隊すらないのに代官って・・・。なんの冗談だろう。
それなりに広い湯船に浸かりながら解放感に浸る。
しっかし溜まっているのかな俺。
この風呂にも水が大量にいるのだが、下水と送水に温水はぱぱっとこう魔術でどうこうできるわけでもない。
駆動系の配給システムを構築しなければならないし、簡単にそう排水システム構築も上手く進まない。正直木こりにモンスター狩りくらいしかしていないたまに対人か。
いきなり増えた人口に村の水問題、それもあるがトカゲ共をどうするかだ。門を塞ぐのも当然だが堀でも作るか。同時にトカゲ対策が欲しい所だがこれといっていい手がない。
モンスター達を排除しつつなんとかトカゲの卵とかに辿りつくとかそんなところだろうか。
守りは冒険者達に任せて巣に潜入して元を断つって感じかな。潜入するのは俺達しかいないだろうな。
取り合えず方向性は決まったと思う。
まだ日は登ったばっかりの頃合から幾分か過ぎているが時間はある。
風呂から上がると着替えを取り出して着替えをさっと済ませると、村長とロクドさんが居る部屋に戻った。
「さっぱりしたかいユウタくん」
「ロクドさん、さっきの話の続きなのですが」
「おっと済まないな。それで?」
「現状ですと村を守りながらトカゲを倒すしかないのですが、俺達のパーティーで森に潜入してみようかと思います」
「それでは村の守りは冒険者達にしてもらうことでいいのかな?」
「そうなりますね」
「森にいくのは危険ではないのですかのう」
「村長さん、危険は承知の上です」
「ワシはトカゲがどんなものか見たことがないのだが相当恐ろしい物なのじゃろう? ユウタ様無事を祈るとしようかの」
「村長さんロクドさん。それでは失礼します」
村長やロクドさんと別れるとエントランスのようになっている広間に皆集まっていたようだ。
「遅いぞユウタ。待ちくたびれたぞ」
「ハッ。アル様申し訳ございません」
「まあまあアル様。ユウタ殿にも都合というものがあるのですから待たせる事もあるでしょう」
「う、うむ。ユウタの事情か、それは解るがあまり待たせないようにな」
うーん何か違和感がある。だがこの違和感の正体が掴めない。なんなんだろうな、しっくりこないというか。
「それでは、すぐに森に出発しますがよろしいですか?」
「ああ。そうだな」
「ユウタ殿。村の守りは冒険者達に任せるのですか?」
「そうなりますね。細かい調整はロクドさんとドスさんで詰めてもらうしかありませんが。それでは向かいましょう」
これだ。なんかアル様やる気がない。なんでやる気がないのかは解らないが。
装備整理や食料の補給やらを揃えると出発しよう。
森の入口に向かって、ゲートを開き出発した。
◆
どうやら入口にトカゲ共はもういないようだが、森を見ると緑だった森が黒く変色している。なんていうかやばそうな雰囲気がぷんぷん漂っている。死の森っていうか負の怨念みたいなものを感じますわ。一体なにがどうなったらこうなるのか。ただ、このまま森を放置するわけには絶対にいかない。
「うわーこれやばそーですネ!」
「イープルそうは言ってもしょうがないですよ? 進みましょう」
森の入口は真っ暗なんだがはいってみると亜熱帯地方に生えているような大木がゴロゴロ生えて、中と外で外観は全く違う。いたるところからギィギィという叫び声が聞こえてくる。入口から道沿いに進んでいく。生えている木もまた真っ黒だ。村の近くにある森が黒の森とか死の森とかふざけんなよと言いたい。
「皆さん基本的にやばそうなら逃げ出しますということでお願いしますよ」
「そ、そうだな」
「こっちだ。ご主人様」
「何かあるの? セリア。」
セリアの探知を頼りに案内されるまま道を外れて進んでいくとうじゃうじゃと産卵されている場所を探り当てた。ここはトカゲの産卵所か。まるでエイリアン達が出てくるような大きさのものまである。
ちょっとろくでもない展開だ。なにこれ。
「ユウタ殿これは燃やすのは不味そうですね」
「炎系でない魔術で頼むご主人様」
地面辺り一面に埋め尽くす様に生えている卵達。燃やすのは不味い気がするから【サンダー】と【アイスミラー】でこんがり殺っとくか。
バリバリと音を立てて卵達が割れていく。悪いなというかこれも戦いということで納得させないといけない。
さっと破壊をしつくすと移動するセリアに連れられて次の場所に向かう。おそらく産卵所探しなのだろう。
命を奪い奪われるならやはり成長してから正々堂々として戦いをするべきなのだろう。卵を割る行為に人を殺すよりも吐き気がするような、だがこれも生存競争なのだと割り切らねば。こちらが食うかこいつらに食われるかなのだ。
出会うモンスターはいない、トカゲ達が大量に破壊した場所に移動していくのをやり過ごしながら次々に破壊していく。
産卵所ではなく森にあるただの木のウロそんな中に金色の輝く小さな卵を見つけた。卵破壊に嫌気がさしていたのもあるので・・・これは持って帰るかな。掴むと何かが聞こえてきたような。
「gy・・」
「? 誰かなんか呼んだ?」
「いえ」
「プッ・・・あ」
気のせいか。それにしちゃなにかあったような。はいそこそこ吹き出さないで!くっそ揉み倒すぞ乳娘!
セリアの案内で次々と産卵所を的確に破壊していく。がそうは上手くいったようで行かなかった。
全員にフルバフを考えられるだけ掛けていく。
紅いトカゲだ。そいつは悠然と現れてこちらを眺めるように立っている。
大きさとしちゃ馬以上で小屋以下かねえ。
セリアと紅いトカゲは睨みあっている紅いトカゲに連れがいたのか青黒いの黒紫の黄黒色いのがあらわれる。
トカゲ四天王か。こいつらもそうだが連れトカゲ共2足歩行の鳥歩行タイプだ。
「こいつの相手は私がする。ユウタ達は残りの奴を頼む」
「ああ任せろ、死ぬなよセリ。」
紅い奴かよなんていうか3倍の法則とかないよな。ともかくプレッシャーが凄い。
斧槍がいいとハルバードで斬り掛かるセリアの攻撃を身軽に避ける紅いの。紅い奴の器用なステップが高速でセリアでも捉えきれていないようだ。
「器用だな! だがいつまで避けられるか! 紅いやつ」
「ギャギャ! ギャーン!」
トカゲくんは何言っているのかわかんないし。そしてセリアくん。おいおいそれアンタ悪役のセリフだから! モンスター達が襲われとる。普通はモンスターが襲うほうじゃないのかよ。巻き込まれて飛び散る雑魚トカゲ達。辺り一面に雑魚トカゲ達のひき肉が量産されていく。
1人と1匹の世界作ってやがる。紅い奴は起用にも長い尻尾をレイピアのように使い戦っている。だが、スピードを確実にいなしながら突き込み手傷を負わせていくセリア。
「では私もいきます」
「にゃは! んじゃ私モー」
2人の騎士が駆け出す。
青黒いのにシグルス様が黒紫のにイープルが向かう。余り物は黄黒かよ。黄色、キイか、馬並サイズから一回りデカくしたかなりのデブトカゲだ。
【サンダー】で先制するものの雷は対して効いていないのか。
デブトカゲ相手の口から放電が見える。
咄嗟に手に掲げるのは魔術用の盾だったがどうやら受けてくれたようだ。
デブトカゲに斬りかかっていくアル様とモニカ。紅い奴の倍は長い尻尾を叩きつけるかのように振り回す。
近寄れば尻尾に離れれば雷属性のブレス口撃か。なんて厄介な。
こいつらゴブリン共より・・強い。周りを見れば青黒いの青は細身のガリトカゲだがそっちはそっちで風刃を飛ばしている。相手をしているのはシグルス様。
あっさり風刃を斬り飛ばして防ぐシグルス様だったが。
そう簡単に倒せそうもないようだ。
黒紫のやつは毒息か。少し小さめな奴は器用に動き避ける。イープルはブレス直撃を避けながら斬りつけている。
紅い奴が吐いてこないところを見るとやっぱ奴は火炎系なんだろうな。
・・・知能があるのか?
またも援護役かあ。弓を取り出すと【エンチャント】し雷弓矢を作り出してデブトカゲに狙いをつけ放つ。
矢弾をよけられないデブトカゲ。モロに頭部や胸部に突き刺さるが倒れないデブトカゲ、やはり装甲厚めの重戦車仕様かよ。だが隙がができた、その隙接近しているアル様とモニカだったが有効な斬撃を与えられるハズのアル様の腰が引けているようだ。
さらに何発か顔面に矢弾をもらうとデブトカゲは逃げ出した。それでいいのかよと思うがこれで追いかけて罠が待っているのもあれだしな。なんてめんどくさいモンスターだ。状況が不利になれば撤退するなんてな、中身がありやがる。
「深追いはせずに他のやつ、青狙いにしましょう」
「今一歩のところで。・・・わかった」
「流石ですご主人様!」
嬉しそうに走り出すモニカは紫のに向かう。褒められると悪い気はしないなあ。4対1だどんどん減らしていきたい所だ。
紫のに毒撒き散らされても解除できてしまう解毒があるので安心だ。これで解毒不能とか言われたら逃げ出すぞ。
紫をした小ぶりなトカゲも頑張るがやはりこちらの数が違う。
トカゲ共の数は本来有利だったと思うのだがセリアと紅いのの戦いに巻き込まれてほとんど散り散りになるか地面のシミになっている。俺達でも蹴りかパンチで一発と余裕の有様だ。
紫こと毒トカゲもどうやら数の不利をさとったのか逃げ出そうとする。だが毒トカゲは半包囲されていたので手やら小さく生えた角が切り飛ばされる。かなりのダメージを負わせたか。
「よし、このまま! うわっ・・・」
「! うあああ」
「大丈夫ですか! アル様ぁ」
いきなり雷がアル様を包む。たたら踏むアル様を突き飛ばして包囲をかいくぐる毒トカゲ。
毒トカゲは逃げ出した。だが4人に回り込まれてしまった状態だ。4方を囲まれた形になる毒トカゲ。その絶命絶対のピンチにデブトカゲが戻ってきやがった。射程ギリギリのところから狙っているのか随分遠い場所から雷口撃だ。包囲が崩されてしまった。
雷撃の邪魔で逃げ出す毒トカゲ。妨害はナイスタイミングというか最悪のタイミングだった。逃げるのか戦うのかはっきりして欲しいがこいつら仕留めるのは難儀する上に上手くいかないようだ。デブトカゲを逃がしたのは不味かった。遠距離からチクチクしてくるモンスターとか真っ先に仕留めたかったな。
青黒もどうやら逃げ出したいようだがシグルスさんは逃がす気全くなさそうである。要所要所で放たれる風刃だったが、あっさり無効化されるのでトカゲの不利か。ジリジリと両断せんと近寄っていくシグルスさん。デブトカゲ以外は結構なスピードがあるため逃げては攻撃を受けるとウザイことになりそうだ。
青トカゲは5対1になるシグルス様の援護に入るイープル、モニカ、アル様。俺は遠距離から狙ってくるデブトカゲの相手もする。が青トカゲは包囲を受ける前に大きく風刃を地面に叩きつけると飛び退き逃げ出す。倒せそうなのに逃がすのは不味い。シグルスの【ソニック・ブレード】や俺の【サンダー】をもらいながら血まみれで疾走する。追撃に移るシグルス他4人達そこにデブトカゲの雷口撃が来る。
「こんなもので! 逃しませんよ。いいですねユウタ殿」
「ええ」
「仕留めるぞ皆」
「了解です」
「りょーかーい!」
と言っていた俺達だったが、辺りを光が包む。デブトカゲの放った閃光雷球に大きく妨害された。追いかけるかどうか迷う俺達。そこにセリアが戻ってくる。紅い奴はどうしたのだろうか。表情はあまりさっぱりした様子ではないセリア。175cmはあろうかという長身がシュンとしていた。
「すまない、逃げられたご主人様」
「まあ、しょうがないこっちも同じ有様だし。それよりこっちの追いかけるぞ。セリア頼む」
「了解だご主人様 」
足の遅いデブトカゲがブレス口撃で妨害してくるが、殿になっているしすぐに追いつけるかどうか。
雑魚トカゲをなぎ払いつつ、しぶといトカゲ達の追撃を開始した。
キューブステータス サナダ・ユウタ 16才 冒険者
装備 ミスリルの剣 ハーフプレート チェイングリーブ プレートヘルム 硬い皮のブーツ 対魔術の盾 銅の篭手 オークの弓 オークのワンド
邸宅有り セリア 人狼 モニカ 鍛冶士
スキル テレポート PT編成
特殊能力 なし
固有能力( 人形使役、人形化 、幽体離脱、生命操作、力吸収)
▽
[冒険者LV61]市民66村人65戦士 65剣士 65弓士 65勇者 66狩人 66魔術士 61商人 58薬剤士 58騎兵 58弓騎兵58格闘士 58英雄 58治癒士 58料理人 57魔獣使い 55付与術士 55錬金術士 58木こり51下忍 51神官48人形使い48死霊王9生命王9闘技士15騎士14槍士14 村主14
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