45話 村で召使い! (ユウタ、セリア、モニカ、アル、シグルス、レィル、ドレッド、イープル、ロクド、村長、門番、コボルト)
◆某日某所
薄暗い森の奥。
木々の根が絡み合う窪地に、粗末な柵と掘っ立て小屋が並んでいた。
そこは、人間の目を避けるように作られたコボルトたちの隠れ場所だった。
普段なら、焚き火の煙と騒がしい鳴き声が絶えない場所だ。
だが今は違う。
聞こえてくるのは、荒い息遣いと、何かが地面を引っ掻く音だけ。
ザリ。
ザリ。
そして。
奥の洞穴から、低く湿った唸り声が響いた。
「こ、こんな馬鹿なコボ」
一匹のコボルトが、震える手で槍を握りしめる。
その視線の先。
割れた巨大な卵の殻が、地面にいくつも転がっていた。
「だから言ったコボ!」
別のコボルトが叫ぶ。
「こんな卵、拾ってくるんじゃないって言ったコボ!」
「手に負えないコボ!」
洞穴の奥から、再び物音。
ドン。
何かが壁にぶつかった。
土埃がぱらぱらと天井から落ちてくる。
一同の耳がぴんと立った。
「に、逃げるコボ!」
「待つコボ!」
年嵩のコボルトが振り返る。
「オマエラ、あの卵どうするコボ!」
全員の視線が、まだ割れていない卵へ集まった。
大人が二人がかりでようやく抱えられるほどの大きさ。
黒ずんだ殻には、奇妙な筋模様が走っている。
そして、、、。
ピシッ。
新たな亀裂が入った。
「放っておくコボ」
「そうコボ。人間達がどうにかするコボよ」
「人間に押しつけるコボ!?」
「じゃあオマエがなんとかするコボ!」
「嫌コボ!」
誰もが一歩ずつ後ずさる。
その時。
「でも、ゴブリン達、怒るコボ」
空気が止まった。
コボルトたちは互いの顔を見合わせる。
「ゴブリン達には黙っているコボ」
「黙るコボ?」
「知らなかったことにするコボ」
「でも、これ」
一匹が森の奥を振り返った。
遠くから鳥の群れが一斉に飛び立っていく。
ガサガサと茂みが揺れ、森にいた小動物まで逃げ始めていた。
「このままだと、ゴブリン達も全滅するかもしれないコボよ?」
沈黙。
誰も答えられない。
代わりに。
洞穴の奥から、何かを噛み砕くような不気味な音が響いた。
ガブッ。
ゴリ。
一同の顔から血の気が引く。
「・・・」
「・・・」
そして次の瞬間。
「ともかく逃げるコボォォォォッ!」
「逃げるコボー!」
「置いてくコボー!」
悲鳴を上げながら、コボルトたちは一斉に森へ散っていった。
槍を落とす者。
荷物を放り出す者。
仲間を押しのけてでも逃げようとする者。
誰一人、後ろを振り返らなかった。
静まり返った集落。
残されたのは、割れた卵の殻と、まだ孵っていない、いくつかの巨大な卵だけ。
ピシッ。
また一つ。
殻に亀裂が走った。
その奥で。
何かが、ゆっくりと動いた。
◆6日目 昼?
セリアとモニカが風呂から上がってくる。
何事もなく着替えをしてもらうと、色々と済ませて出発だ。
阿呆みたいに晴れ渡る空と登る太陽が恨めしい。
こりゃ暑くなる。ゴブ狩りが急にダルくなってきた。
2人ともこざっぱりしたした格好だったのが。
いまやゴツゴツとしたフルプレートかレザー装備。
で、胸とかさっぱりみえないのが残念だ。
暑いから着替えにビキニアーマーとかないものか・・・。
ゴルに余裕があれば断然そっちを買うだろう!
3人で新調した青地のマントを着ると移動だ。
・・・忘れ物はないよな?
王城付近までゲートで転移して歩いていくと。
意外と馬車で登城する人が多い。
そのせいか、馬鹿でかい門は開けっ放しである。
歩きでいる人間のほうが少ないくらいなのだろう。
会って数日だが、慣れた様子で門番は取り次ぎをしてくれた。
もう何日もあっている普通の門番だ。
傍から見ると少女2人にお供の少年が取り次ぎ希望に着ている感じでしかない。
待つことになるのでしばらく馬車でも眺めていた。絢爛豪華な馬車からしょぼい馬車まで様々なのが通りすぎる。
煌びやかな世界がすぐそこにあるのだ。
が、壁1枚はさんで泥だらけ血まみれになりながら戦う世界とどっちがいいのか。
権謀術数に疑心暗鬼とかやってられないのが自分である。
顔面偏差値が大したことないわけで大した力があるわけでもなく、腹芸も苦手とくれば口八丁でもない。
王城の中にはいって別世界を味わってみたいとも少しは思う。
が、ずっとそれだと息が詰まりそうだ。
アル「ふう。お待たせユウタ。あ、ああ・・・さあ行くぞ」
ユウタ「? ・・・あ、はい」
レィル「お待ちくださいアル様、今回は我らも護衛にお連れください!」
シグルス「お前達・・・。レィルにドレッドそれにイープルまで。どうしたのだ志願か。どうしますか。アル様」
赤、青、黄となんともカラフルな頭だ。
そして、揃いもそろって美形の少年少女だった。
白く塗られたフルプレートに白地のマントなんとも騎士姿が似合う。
どうしてこうなんだ。
美形じゃないのってゴメスさんとかロクドさん、村人。
・・・とか盗賊達か。
あとギルドで飲んだくれている冒険者とかも残念系顔だったな。
アル「気持ちはわかるけど、ダメだから。修行にならないから連れて行けない。・・・何度も言っているだろ」
ドレッド「このようなどこの馬ともしれぬ下賎な輩より我々の方がずっと役に立つはずです」
俺、帰っていいですか・・・。
すぐ帰ろう。・・・と言い出せたら苦労はない。
このテンプレのようなお約束も確かにわかる。だから帰ろう。
傍から見てもどこの馬の骨ともしれない少年と女2人が王族の護衛とか本当にギャグだよな。
アル「確かに。だがマリア姉上の紹介でもある。お前はマリア姉が信じられないのか?」
レィル「それは・・・信じております。そこを踏まえた上で申し上げたき儀があります。・・・我ら三人のうちどれか一人お連れ戴きたい。さすれば我々の疑念も懸念も解消出来るというものです。我らの忠義何卒お受けしていただきたい」
この少年騎士は策士だ。
これなら断りにくいな。そして俺はフェードアウトしていこう。
うん。そうしよう。
馬車はどんどん行き交ってて喧しい。
門前片隅にある場所だ。
ここでは全くそんな事を気にせずに話が進んでいく。
シグルス「ならば連れて行くのはイープルにします。よろしいですね」
ドレッド「何故ですか? レィルや私ではなく何故イープルですか」
シグルス「お前達2人ではアル様に出番が無い。そういうことだ。君ら二人は力がありすぎる・・・修行にならないというのもな。2人とも今回は諦めたまえ」
レィル「分かりました。イープル頼んだぞ」
イープル「はいはーい、どーんと任せといてよねレィル」
ドレッド「シグルス様の決定とはいえ全くもって残念だ。俺じゃなくイープルが選ばれるなんて」
ハイテンションな女騎士さんか。
折込済みだったのかあっさり引き下がるレィルとドレッド。
つーか前衛5人になっちまったぞ!
パーティー員変更を要求するわこれ。
どう見てもアンバランスだろ。
MMOで言うなら楽しければいいかみたいな残念PTだぞこれ。
イープル「よろしくお願いしますアル様シグルス様」
アル「ああ、よろしくぞイープル」
俺とセリア、モニカは全く蚊帳の外に出されたまま話が進んでいくのだった。 イープルの参加は決定事項らしい。
黄色い金髪にショートカットがヘルムで隠されるのは勿体ない。
ま、野郎が増えるよりいいか。
アル様から達成のゴルを受け取る。
と、イープルにアル、シグルスをパーティーに加えてペダ村に移動する。
ペダ村は今日も忙しいらしい。村人達は土壁作りに下水道にと家作り。
農作業はどうなっているんだ?
アル「ふむ、大分復興が進んでいるようだな」
ユウタ「ええそうですね。家も結構再建されてますよ。内装に家具とかはまだまだです」
アル「ユウタはこの村が好きなのか?」
ユウタ「ええまあ。そうです」
本当か? しかし・・・
アル「それならば話は早いな。今日から村の代官でもやってもらおうか。私が任命する。書状のほうはこちらに出来ているからよろしく頼むぞ」
は? ・・・待て待て。・・・意味がわからん。
・・・準備していたのか?
この話の流れでどうしてそうなるんだ。強引すぎるだろ。
ユウタ「はあ、わかりました。しかし俺は代官なんて務まるんでしょうか」
アル「ユウタやれば出来る。続いて騎士見習いとして採用する。アルの臣下として王国と私に忠節を尽くすように」
しまった。とりこまれちまった。
ユウタ「ハハッ。」
あれ? 口が勝手に返事してた。流されるまま返事してるよ。
騎士叙勲のような行為をしてもらう。
あはは・・・なにこれ。超展開すぎるだろ。
意味がわからないし、頭は真っ白だ。
これは税金取り立てろってことなのか?
そうはいかねえ。むしろ0にしてやる!
くそ・・・どうしたらこうなるんだ。
シグルス「おめでとうございます、ユウタ殿。共に王家の為頑張りましょう」
イープル「ふーんオメデトゴザイマス」
イープルの気のない言葉が勘にさわる。
必要条件を満たした。
ユウタは騎士を獲得した!
ユウタは槍士を獲得した!
ユウタは村長を獲得した!
今日も黒髪が切りそろえられて紅瞳が美しい美人だシグルスさん。あのーアル様を止めてくださいよ。
棒読みなイープル。まあ怪しい奴がいきなり代官だと?
って感じだよな。
ユウタ「あの・・・いろいろわからないことだらけなのですが。なぜ代官に任命するのですか。とか騎士見習いにするのもわからないんですが」
アル「ええ。本当にわかりません。あっ・・・シグルス。お願いします」
シグルス「では失礼して。そうですね、使えそうな者はさっさと確保して置くということです。領土とか土地問題は我が国では発生しませんから。全ての国土及び土地に資産は王家の物です。ましてやペダ村ここ一帯の村は直轄地です。まあだからこそ我々が手ずからモンスター討伐をしている訳なのです。騎士見習いにしておくことで五月蝿い他の連中に言い訳できますから(騎士見習いにしておくのは、そちらのほうが色々縛りやすいからですけどね。)」
嘘くせえ。ありえんやろ。
心の声が顔ににじみ出てる。もちろん、そんなのは妄想だろうけど。
それでも納得出来るものではないなあ。代官なんてめんどくさいだけなんじゃなかろうか。
・・・色々役得があるのはわかるけど。
ユウタ「その代官は具体的な仕事で何をすればいいんですか」
シグルス「そうですね。まずは耕作地の回復と安定した収入源の育成といったところでしょうか。代官といっても徴税官のようなものです。この国の貴族というものは大体代官が固定で任命されるようになり次第に代々領地を任される格好ですからその土地を自分のものだと宣言すると反乱分子をして処理されますのでお気をつけください(アル様と一緒に行動して生還出来る人は稀ですからね。いつも被害は甚大でとても修行させられません。ルナ様には悪いですがセリアさんゲット召使いもゲットです。ろくに税もとれないような村一つでなら安いものです。)」
めんどくさいこと押し付けているだけなんじゃないだろうか。滅びかかっている村の責任とれやというか。
あー頭が痛くなってきた。いつの間にか人だかりが出来ている。
アル「特に仕事はない。当面は私の護衛をすればいい。私を守り楽しませろ。修行に付き合っていればいい」
ユウタ「ハハッー」
シグルス「ユウタ殿用事等お済みでしたらゴブリン退治に向かいましょう」
ユウタ「シグルス様しばらくお待ちください。村長宅に用事がありますこちらで休憩していてください。補給とかもありますので少々時間とります」
人だかりを押しのけるように道を村長宅にむかって歩き出す。
人だかりも一緒に移動し始めた。
相変わらず立派な塀と大きな屋敷に到着する。
到着すると屋敷入口に揉み手をしてあらわれる村長。ロクドさんも一緒だ。ゴメスさんはいないようだ。
村長「ひさしぶりですなユウタくん。今日は何か用でもあるのじゃろうか」
ユウタ「こんにちは村長さんロクドさん。実は代官に任命されまして挨拶にきました。くれぐれもこの方達の情報は村の外には漏らさないようにお願いします」
ロクド「それはめでたい。宴会でもしないといけないな。ゴメスさんは商売で王都やアーバインに出かけている。帰ってきたら盛大なものをする話になるぞ」
聞いているのかな情報を漏らさないようにお願いに来たんだってわかれよな。
騎士見習いとか代官だとかって言われても実感がわかないわけでアルバイトが丁稚見習いになったみたいな・・・。
俺の自由なライフが脅かされている。PTメンバーには休憩でくつろいでもらっておきたい。
ユウタ「少々お話がありますので、くつろげる場所はありませんか?」
村長「おお、すまない。こちらじゃ」
ソファーやテーブルのあるエントランスな場所でみんなくつろいでもらうと話を再開する。
ユウタ「えーそれで相談なのですが、代官といっても何をすればいいのかさっぱりわかりません」
村長「そうか。まあそうだろうな。・・・それで税金はどうなるのかね」
ユウタ「払えないならツケという格好にする予定です」
村長「隣村からはやっかみがでそうじゃの」
ロクド「治安の問題、ゴル調達の問題、裁判の問題いろいろ大変だと思うが頑張ってくれ。詳しい話を詰めるにもゴメスさんが戻ってからだな」
ユウタ「PTメンバーの素性に関して情報を守るのは義務でお願いします。表面上はこれまで通りでいきましょう。それでは失礼します」
村長「うむ、わかっとるよ。よろしく頼みますじゃユウタくん」
ロクド「ゆっくりしていってくれよ、ユウタくん」
長い話がめんどくさい。本当に秘書みたいなものが欲しい。あっセリアはこいうの嫌いかもしれないがモニカなら・・・。
戻るとモニカとセリアはシグルスさんから何やら書類を受け取っている。大量の奴だ。
なるほどそういうことなのね。
俺は案山子みたいなものでデコイなんだよ。・・・わかってるけどね!
村でも町でもほとんど見なかったのに紙。
というか紙製造技術あったんだ。
入りこめないような雰囲気だな。
それはそうとして補給に資材調達しておかなければ。
役得なんてないよ・・・。
只仕事がさらに増えただけ。天国はどこだよ、ここは地獄か。
パンを貰いにアーティのところに向かった。
まさかそんな・・・。
ということになろうとは思いもよらなかったんだ。
キューブステータス サナダ・ユウタ 16才 冒険者
装備 ミスリルの剣 ハーフプレート チェイングリーブ プレートヘルム 硬い皮のブーツ 対魔術の盾 銅の篭手 オークの弓 オークのワンド
邸宅有り セリア 人狼 モニカ 鍛冶士
スキル テレポート PT編成
特殊能力 なし
固有能力( 人形使役、人形化 、幽体離脱、生命操作、力吸収)
▽
[冒険者LV55]市民60村人59戦士 59剣士 59弓士 59勇者 60狩人 60魔術士 58商人 55薬剤士 55騎兵 55弓騎兵55格闘士 55英雄 55治癒士 55料理人 54魔獣使い 52付与術士 52錬金術士 52木こり44下忍 44神官40人形使い40死霊王5生命王5闘技士3騎士1槍士1 村主1
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