43話 闘技場で訓練Ⅱ! (ユウタ、セリア、モニカ、スール、カスミ、アーティー、ロイ、襲撃者)
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某日某時刻 ペダ村
朝から今日の仕事道具を準備する。
と、家を出て道を歩きだす。
昨日から皆忙しそうに走り回っている。どうしたんだろう?
昨日の夕食の朝食の時も大人たちはピリピリした感じでお風呂を綺麗にしたり家を再建したりしてる。
村近くの川に元々あった水車も修理されて小麦を粉にすりはじめたしね。大麦もいいけど小麦もいいよね。
準備を済ませて小麦粉を十分な量揃えると今日もパン作ろっと。ロイ家には居ないようだしどこかな。
村中歩いてゴブリン達が来なくなった村の入口にロイがいた。見張りでもしてるのかな?今日もカッコイイな。
「やあ、おはようアーティー。今日も美人だ」
「おはよう。あ、ロイ・・・ありがと。それで村に何が起きてるの。ロイは何か知ってる?」
村の皆、ちょっと前までが嘘のように活気に満ちている。思えばゴブリン達に襲撃される前から村中ちょっと暗かったのに。なんか違うんだよね。
「ああ、その事かい。ゴメスさんが言うにはさ、ユウタさんが連れてきているパーティーにさ。王族に貴族がいるんだと。それで皆慌てて作業しているのさ」
「そうなんだ。それで慌てて作業しているんだね。それじゃ頑張ってこっちもパン作らないとね。ロイは薪とか陶芸だっけ。父さんは建築で忙しいし、ゴメスさんも商売繁盛してるみたいだね」
作るの沢山増えたんだよね。ゴメスさんが芋とかも色んな種類取り寄せたりして、来年が楽しみだっていってる。
「そうだよアーティ。まあちょっと順調とは言えないけど頑張っているよ。本当にユウタさんには感謝してもしきれないな。僕らの村はこれといって産業がなかったんだけど、色々と売れる物が増えてるし。これで本当に税金がなんとかなればいいね」
「そうだよね、こればっかりは。流石にそこまではなんとかできないと思うけどね」
ここで借り返せって言われたらどうしよう。なんてね、ユウタはそんな奴じゃないと思うし・・・大丈夫大丈夫。
もしユウタが悪党なら・・考えたくないけど村の女の人を差し出せとか言うはずだろうし、税金も死なない程度に搾り取ろうとしていたハズだよね。ついでに村人が貯めているお金も全部寄越せとかね。
冒険者ギルドのスールさんが近づいてくる。ユウタさんの兄貴分みたいな人で頼りになる雰囲気を出している。
「おはようございますスールさん」
「よお、おはよう。お2人さん仲がいいねえ。お似合いのカップルだな」
「いやあそれほどでも」
「えええ! ・・・」
ええ!? ロ・ロイ? そりゃ・・・。そりゃまあ覚悟してましたけど。はっきり言ってくれるなんて嬉しい。
いざってなると声が出なくなっちゃった。
「スールさん達は村の見回りですか」
「そうなんだよな。森の中に入るのは厳禁っていわれてっからさ。仲間は森の中で苦戦してるってのによお。中に入ると、クランから除名されかねねえんだ。うちんとこは厳しいからな約束は守れってよ。全く難儀なことだぜ」
スールさん。朝からご苦労様です。
あー、あたし顔真っ赤になっているんじゃないだろうか。
逃げ出したい気分だよ。
「そうですか。でもスールさん達がいてくれるおかげで安心して作業できますし。村人達も助かってます」
「ロイ君がそう言ってくれるとありがたいけどよ。腕がなまっちまうのも確かなんだわ。で街道の見回りでも行こうかと思ってよ。けど確かここら辺村が3つほどあったんじゃなかったのか」
スールさんその情報古いです。わたしが生まれる前は森がもっと村から離れたところにあったって。そしてそこには村があったって父さんから聞いたことあるよ。今も森が広がって異常だって皆言ってる。
その村はいまじゃ森に埋もれて全く見る影もないけど、他にもゴブリンやほかのモンスターに滅ぼされた村があったとか。
「それは・・・。そうですがゴブリンとの戦いや膨張する森の影響で住めない村が増えてしまったのです」
「まあいずれにしてもユウタがなんとかしそうじゃあるよな」
「スールさん、ユウタばっかりに押し付けちゃダメなんだからね! ほら働く働く。あ、カスミさんおはようございます」
ふと振り返ると湯気を出しそうなカスミさんが立っていた。ビックリしたよ。
その・・・ご愁傷様スールさん。
「お・・おおすまねえ。あ、えっ。カスミ!? ま、待ってくれえええ!」
「ごめんアーティ。いこうか」
首を竦めるロイ、身体の割に素早いスールさんは必死に追いかける。おー早いね、スールさん。ったく油売ってないで働かないとカスミさんに捨てられちゃうよ? あ、ロイは別だから。
ロイの硬い手を握ると握り返すロイ。ロイは驚いたように見つめ返してくる。
かなり照れるけど、これくらいはいいよね? 一緒に歩き出したら歩幅を合わせてくれる。
ユウタ。今日もペダ村は忙しくなりそうだよ。
◆
闘技場で対峙する俺とセリア。
・・・いつしか周りの音が聞こえてこなくなる。
対峙する2人だったが打撃も展開も一方的だった。これが実力の差ってやつか。
んーむ、倒せない。そして、そもそも攻撃が当たらない。ジャブ合戦ですら正確無比な打撃の前にサンドバックにあう。あれ? いつの間にか武器は放ったらかしの殴り合いになっていた。
「セリアめ、これならどうよ・・・!」
「・・・フッ!」
鼻で笑うセリアにテンプシーロールも試してみるが、頭を振り始めた段階でストレートパンチをもらい地面とキスしてた。
それならばとカウンター攻撃を仕掛けてみるが、待ち状態でも余裕で俺のボディに蹴りが決まる。
「ぐはっ」
・・・そ・・そろそろ倒れてもいいか? が・・・女には負けられねえ。自分に治癒魔術が使えるのがこれほど恨めしいと思う日が来るなんてなあ。女ごときにやられるなんて・・冗談じゃねえ。
盾を剥がすとワンツーを繰り出しながら、小刻みに間合いを詰める。
が、側頭にハイキックを貰い盛大に倒れる。
ドサッそんな音を立てて倒れる。
おのれ・・・。く、また立ち上がる。だが、ふらつくし目眩が凄い。
10カウントがあれば余裕で負けだろう。
なんとか立ち上がりファイティングポーズをとる。
回復も当然掛ける。セリア、蹴りが速すぎだろ。
5分5分なら楽しいのだが、実力差がありすぎて頭にくる。勝ちてえ。
「くう・・・!」
「・・・シッ!」
ガードを固める。受け止めて反撃だ。
セリアのハイキックから上段から中段に移行する蹴りがアバラに決まる。さらに変幻自在のミドルキックを左右から2連発もらい地面に転がる。突き刺さる蹴りで肋骨が折れたか。
「ゴフッ」
俺どうしてこんなことやってんだ?【ヒール】に【リジェネ】を掛ける。
格闘しても剣技でも勝てない。そろそろ諦めてもいいんじゃないか? ・・・ああああ! クソッ掴むべきだった。
暑いし。糞が、むかついてきたぞ。女は男の下で喘いでいればいいんだよ! タンデム開始すんぞ! ・・いかん。
精神を落ち着かせると丹田に力を集める感じで対峙する。此処でいっちょやらねば! スピードを上げる。パワーを上げる。全力だ、全身全霊を賭けてセリアに一発いれよう。
姿勢を前傾にしつつ蹴り・・・と見せかけて身を屈めると高速タックルだ。
「ふぉおお・・・」
「甘い。ハッ!」
セリアを捕まえた! が・・・頭を抱えるように抑えられる。
なんなんだこの力・・・。
万力で締められるかのように俺の首が締まった。
押し倒すどころじゃないぞ。屈んだ状態で膝蹴りをもらうと浮き上がる身体。
力が緩められるとそのまま引っくり返され投げられた。・・・タックルもダメ・・カニバサミもだめそうだな。
剣技の練習のはずが魔術を除いたなんでもアリになってきた。
打撃も組み技もダメと。
もういいだろ?
っく身体ブーストしても地力上げ訓練の意味がないな。
「しっ! ・・・ぐう」
「もう十分か、ご主人様」
「・・・ああ」
「わかっていると思うが訓練だ。本気を出して貰うためだ、ご主人様」
「・・・」
くくくっ。チャンスだ。
接近すると無言でバックドロップを決めようと裏回りしようとした。
・・・が見破られた。
回ろうとしたところ。
膝を顔にもらい立たされると、高速ジャブを頭部に浴びる。
意識が刈り取られそうだ。
・・・強すぎるだろ誰だ!
女は弱いとか言った奴は。目の前が真っ暗になっていく。
いかん。ここで気絶したらこの後が。
うぐ・・・なんとか踏みとどまる。
「諦めが悪い。しょうがないご主人様だ」
「きゅう・・・終わりで」
限界が近い。倒れそうだ。
「諦めず立ち上がってくる点はかなりいいぞご主人様。動きも狙いも悪くない。普通の男は数秒も持たないからな。タフネスやガッツ、技やパワー、スピードについて十分自信をもっていいぞ」
「そうか・・・ありがとう」
そ、そうですか。もう顔といい体中大ダメージで動きたくない。
見ているだけで相手するの無理だろと思っていたが。
ここまで勝負にならないとは・・・。
何回やっても何回やってもの歌が聞こえてきそうだ。今なら作れるぞ!
セリア基準でいったら皆雑魚になりそうだよな。
「す、すまないセリア。一旦邸宅で休憩するからモニカと一緒にモニカと俺のヘルムの買い物とか昼までに頼む。」
「わかった。サイズのほうはわかっているから安心してくれ。買い物を済ませて昼前までには帰ってくるご主人様」
そ、そうですか。いつの間にわかったんですか。
おかしい。何かがおかしい。
取り合えず抜けきれないダメージとか疲れとか風呂に入って癒そう。
!? いつの間にかギャラリーがちらほらといるようだ。
なんて無様な姿を晒してしまったんだ。
ゴルを渡すと顔真っ赤になりそうだった。恥ずかしさでそそくさと闘技場を抜け出すと【ゲート】を開いて邸宅まで移動した。気配は何もしない。施錠もいつも通りだ。
邸宅に帰り着くと横になる・・・。このまま永眠してもいいかい・・・。
有名なシーンが浮かんでくる。
風呂の水は生暖かかった。水を入れ替えつつお湯を沸かす。鎧は脱いで横になると1人になるのも久しぶりだ。
1人きりになると途端に寂しさが募ってくるな。
なんてこともなくむしろ開放感でノビノビする。
セリア。
アイツをどうやって倒すのか。打撃斬撃のスピードフェイントのテクニック。体移動や足運びからいろいろ足りない。気での身体強化に勁力をあげねば。もっともっと力が欲しい。
安易なブーストスキルでステータス上げに頼りたくはない。大体そんなものは奥の手というか当てに出来ない。
疲れた身体をお湯につけながら開放感を味合う。もしかしてこの感覚が独りがいいなんていうことになったんじゃ。まとわりつかれることに疲れる、ウザイといった感情から向き合わうことになるなんて思いもよらなかった。
・・・イケナイ感覚だ。これはあれか?
倦怠期っていうのか。それとも2人を重荷に感じ始めているのだろうか。
疲れているだけなんだ。真っ白な天井を見上げながら湯船に浸かる。
ん・・人の気配?そっと窓から外を見ると塀を乗り越え不審な奴が3人ほど侵入してくる。
急いで服を着ると迎撃の準備に移る。セリアが居ない時間に来るとは運がないなあ逆に相手に運がないのか。
3人とも覆面をしている男のようだ。生け捕りとかは考えないられない。まあ、セリアがいればまた話は別だったろうけど。
気配を殺し俺は2階で待ち受ける。3人組が玄関から素直に来るようならそこで仕留めようと考えだ。
簡単に着替えをする時間位はあったようだ。考えながら弓矢装備を取り出すと構える。
うーん、セリアがいないタイミングで来る敵か。んあ・・・。
俺をどうしても排除したいってのは穿すぎな読みかな。
開錠するとエントランスに侵入する盗賊達のような3人が辺りを伺っている。
3人は音を立てないよう慎重に中に入ってくる。慎重に侵入するよりむしろ勢いで中に入り込んで室内を移動するほうが厄介なんだけどな。
こいつらは黒だ。2階から不意をついた弓で攻撃を開始だ。弓矢のヘッドショットで仕留よう。
「ウッ?」
「・・・おい!?」
「・・・な!」
頭部に弓矢を生やす賊Aは短い悲鳴を上げると倒れて動かなくなる。女なら捕らえてあれこれしちまうところだったが・・・。使い道もない男達じゃな。そしてこいつら弱すぎる。仲間がやられて動揺する賊BCも続けて仕留めた。セリアならどうしただろうか。避けるか受け止めるかはたまた何か飛ばし返すか。ワンドの用意が無駄になっちまったじゃないか。
あー床が汚い血まみれになっている。さっさと片付けよう。盗賊が侵入してくるなんて微妙な家だな。
防御能力とかほとんどないわけし、いままで襲ってこなかったのが不思議なくらいだったのかもしれない。
後片付けが大変だぞこれは・・・。
なんとか敵を始末するなら外でやらないと大変だ。
気が休まると思ったらこれだよ。面倒だが死体を埋めてやる。
あっ、しまった。1人位捕らえてどうして狙うのか尋問するべきだったか? とはいえ自白剤なんてものも持ってないので拷問することになってしまう。気が進まないし、もう結果オーライですまそう。
セリアやモニカの帰り待っている間に、武器の手入れに料理とか準備をすることにした。
キューブステータス サナダ・ユウタ 16才 冒険者
装備 ミスリルの剣 チェインアーマー チェイングリーブ 銅のメット 硬い皮のブーツ 対魔術の盾 銅の篭手
オークの弓 オークのワンド
邸宅有り セリア 人狼 モニカ 鍛冶士
スキル テレポート PT編成
特殊能力 なし
固有能力( 人形使役、人形化 、幽体離脱、生命操作、力吸収)
▽
[冒険者LV55]市民60村人59戦士 59剣士 59弓士 59勇者 60狩人 60魔術士 58商人 55薬剤士 55騎兵 55弓騎兵55格闘士 55英雄 55治癒士 55料理人 54魔獣使い 52付与術士 52錬金術士 52木こり44下忍 44神官40人形使い40死霊王5生命王5闘技士3
所持金 34万5千中ゴル(9万クーポン有)
まったり進行です。




