42話 闘技場で訓練! (ユウタ、セリア、モニカ、ドス、サワオ、エリシス、クー、ナル)
某日某時刻
「クサナギ、そっちはどうだ?」
「ドスさんその・・見たこともないようなモンスター達が出てきています」
「これは参りましたね・・コボルト達を追い詰めていたのに」
「[クロスミラージュ]さん方こちら[モビウスリング]フォース被害甚大です。一旦撤退します。]
「・・・了解。エリシスいくぞ(チッ腰抜けが・・・)」
「はいはい・・・(セルフィスそんなこと言っちゃダメだからね。)」
「大量の人員がこの森にいますがこのモンスター達は初心者フォースにはきついですな」
「ネルチャ殿、それはそうですが・・・ここを切り抜けなければまたゴブリン達の戦力回復されることになりますぞ」
「サワオ。なんとかならないのかな・・・」
「残念ながら人海戦術に頼ってますからね、クー」
「あーもうきりがないよ。なんとかならないの!?」
「そうはいってもな、ナル。騎士団の応援があればな、なんとかなるのだがね」
「つまんない・・・」
「ともかくここまで来たんだ。やれるだけやろうぜ!」
「おー!」
◆
騎士団から冒険者ギルドに戻ると。
セリアとモニカに合流する。
大変な役を受けてしまった。
失敗するとどうなるんだ。胃は痛くならないけど、気が重くなってきた。
次はどうしようか、いろいろあるけれどどうしたものか。
うう、ヒロさんを探すか? といっても当てがあるわけでもない。
冒険者ギルドの中を探してみるが、目立つハズの黒いあのひとはいないようだった。
ドスさん達もいないようだ。参ったな。
これは・・・アポなしで手探りになってしまう。汗が吹き出てきた。
どうするんだ?
・・・取り合えず図書館とか市場でも回って見るか?
金策を考えないといけない。
周りではさらにパーティーさらにはフォース隊形を組んだゴブリン退治にいく連中が転送室前に並んでいく。
あれ?
やばい・・・。今頃送る部屋と来る部屋が違うことに気がつく。
脂汗が吹き出してきた。
もし・・・移動しようとしている人達の所に跳んでいたら。
壁の中だった・・・?
転送室が自動で振り分けているんだろうか。
どきどきしてきた。慎重に行動しよう。
一通り中を見たがドスさん達はもう居ないようだ。
たまたま会うような関係である。
ヒロさんもドスさんも連絡先も知らないし先に消化しておくことがあるな。
別に期限を切られてるわけじゃないんだし、もっと気楽に行こう。
金策相談をセリアやモニカに聞いてみるべきだろうか。
主人の威厳がどうとか言ってる場合じゃないな。
・・・しかし金策が出来るなら奴隷とかになるわけもないので、無理な相談だよな。
賭場とか・・・俺は運がない。さらにドツボに嵌るだろうし、闘技場とかないんだろうか。傭兵とか拘束時間が長そうだし。
アーバインの図書館まで移動すると。
そのまま朝から図書館に篭る。朝から開いていて助かった。
ふと受付から中を見ると、ギルドで会ったフード女の姿が見える。
勿体無い位の美人だった。が、相変わらず怪しいローブ姿だ。
・・・声を掛けるべきか?
ナンパしますか?
はい
▷ いいえ
・・・無理だな。
いきなり不審な少年が声を掛けてきて、引かない女もいないだろう。
いや、そのセリアとかモニカが怖いんじゃない。
いや・・・マジどうなるのか解るだろ?
好感度0になっちまうよ。
よく考えてみろ。
ここでナンパとかそんなこと許されんのはイケメンのみ。
気になる女の子が側にいるのに。
ナンパとかハーレム築いている奴の余裕の技だ。
そんな俺に不審感を抱いたのか声をかけてくる銀髪の悪魔。
「どうかしたのか、ご主人様」
「ああ、セリア。んー・・・いやギルドにいた不審な奴というかギルドであった奴また見つけたからどうしようかなってね」
あ・・・まんま話してた。でも嘘じゃない。
目ざといドワッ子に追撃を食らう。最近垂れ目が釣り目になってきたような気がするんだよね。
「ギルドで会った・・・。あそこのローブの人もしかしてあの美人の人ですか?」
心臓の鼓動がやけに高まっているような、ドキドキしてきた。なんでドキドキしてくるんだ。
「そう確かに怪しいけど美人だけど・・・外見と中身が噛み合っていないような感じで。っとそれよりも闘技場の位置とかスキルとか調べに来たんだ。移動しよう」
「・・・了解だ、ご主人様」
ふー危ない地雷原に入るところだった。セーフだ、と思う。
あれ以上話してたら確実に誤解とか色々危険な事になったと思う。
「前回はここまでだったな、ご主人様」
「・・・はい」
色々と教えて貰う。セリアにはメガネも似合いそうだ。アベルさんが掛けていたけど・・・そうそうモノクルだか片メガネに両メガネが手に入る物なのだろうか?
メガネ。
気になる。が、今は勉強に集中しよう。モニカも真剣な表情で聞いている。
「良し。これで初級戦闘スキル及び魔術についてもほぼ全て、下級もすこしだが覚えたし読み書きも出来るようになってきた。そろそろ実践に移行してもいい頃だと思うぞご主人様。」
「はい・・・」
「あのご主人様私もそろそろ使いたい戦闘スキル出てきてます!」
ドヤ顔で言うんじゃないドワッ子! 訓練? 退避、全力で後退だ。逃げないとヤられてしまう。
なんか嫌な汗が、どっぱどっぱ出てきている。全力で回避したい。セリアと戦う? いやいやいや無理。
断固拒否・・・したいです。しかし、此処で逃げていいものだろうか?
漢が下がるような気がする、よな? しかしなんか既視感がするんだ。
セリアと戦う? こ・これは訓練。訓練さ。
手がガタガタ足がブルブル震えてきた。
乗り越えよう・・・だ、大丈夫だ。
「しかし練習といっても何処でするの?」
「それでは、アーバインの闘技場で練習するか。ご主人様」
「セリアそんなのがあるの?」
「ああ、私が懇意にしていた所がある。今の時間帯ならば使用料も無料だろう、ご主人様」
「ご主人様行きましょう」
「・・・ああ」
っく、ローブ女さんは姿が見えない。残念無念だ。また会えるかなあ。
アーバインの図書館で会えるのか気になる。
逃げられねえ、それからどうしても悪い予感しかしないのだが闘技場に移動することになった。
処分場に連れてかれる犬の気分てこんなもんなんだろうか。
ちょっとした古代ローマのコロッセウム。それが縮小したような建物に連れてこられる。
「入口はこっちだ、ご主人様。試合まではかなり早いからな」
「うわ、でかい」
「ここが闘技場ですかあ」
「では・・話をつけてくる。ご主人様達はそこの受付から中に入ってくれ」
そう言うとセリアは別の方向に歩いていく。
俺とモニカは受付で入場料を払うと中に入る。
俺達が観客席に着くと中には誰もいなかった。そりゃそうだ・・まだ早すぎる感じの時間帯。
鈍色をしたフルプレートの騎士姿をしたセリアがやってくる。
「そのセリア、その格好はどうしたの」
「ご主人様それは秘密だ。それとこの姿ではウォルフガングと呼んで欲しい」
「わかった。あの・・・ウォルフガングさんよろしく頼む」
「ああ、それではモニカから手合わせしよう」
「はい! ウォルフさん」
モニカが訓練用に着替えて二人は闘技場に立つ。ギャラリーはいないようだ。どれくらいスキルの練習をしていただろうか。
突き払い叩き。色々繰り出す。【ラッシュ】に盾でのガードスキルや攻撃を試している。
モニカは真剣な表情で汗まみれだが・・・セリアは暑くないんだろうか。
アマゾネスが二人いるよ。女は弱い生き物だって言ってた奴出てこい!
気がつくとちらほらと客席に人が・・・いるような。
延々と続くかと思われたが、モニカは早々に限界を迎えたのか動きが極端に鈍る。
訓練が終わったようだ。戻ってくるとモニカは側に転がる。
「お疲れモニカ。これで拭くといいよ」
麦茶を用意して出す。下着の替えはないが簡単な服の代わりも用意してきてある。
「ご主人様ありがとうございます」
「それではこちらで着替えて用意が出来たら訓練を始めるぞ、ご主人様」
「セリア、わかった」
・・・なんでこんなに気が重いんだ。うーん、やる気がでない。
訓練用防具に着替えて控え室を通り抜けるとセリアが待っていた。
「これを使うといい。手加減は無用だご主人様」
「あ、ああ。・・・セリアは手加減してくれるんだよね?」
「無論だご主人様。ただ回復以外の魔術は封印でお願いする」
「ああ、了解だ」
二人して闘技場の片隅で打ち合う。
ユウタは闘技士を獲得した!
全力でこちらが攻撃してもそのセリアは攻撃を受けない。受け流すか、避けてしまう。
こちらは片手剣に盾でセリアは大剣だ。両方刃は潰してあるし死にはしないように防具もつけている。
斬撃をいたずらに繰り出してもセリアにはカスリもしない。ひたすら斬りつけるが、ことごとく大剣で受けきられる。硬い守りだ。しかしセリアは反撃を全くしてこない。俺は攻撃で息が切れそうになる。
「・・・そろそろ行くぞ? ご主人様。」
「え。」
セリアは反撃を宣言する。そこから猛然と斬撃を繰り出してきた。ちょ・・・ちょっとタンマ。た・盾が・・・セリアの攻撃でお釈迦になるよ。
ほんの数秒だっただろうか、攻撃を盾で受けている盾がボコボコになる。そっと大剣が押し当てられた。
「うああああ!?」
「せい!」
足が? 宙に浮いて・・・る? 俺はそのまま壁に激突してしまう。
ゴホッ・・・そりゃ・・・なんだよ・・・イタタ・・・セリア酷いよ。
か・壁に投げたのか? 押し当てた大剣で・・・これ大ダメージだろ普通に考えたら起きれないが、【ヒール】に【リジェネ】を掛けると立ち上がる。クソがああ! このアマ、甘やかしてたら主人に反逆しやがった!
「・・・」
「ハッ! いいぞ、ご主人様」
怒りをこらえながら立ち上がると【チャージ】で間合いを一気に詰めて横薙ぎに【スラッシュ】を繰り出す。
【スラッシュ】を見越していたかのようにギリギリでバックステップ回避するセリア。
追撃に盾で足を狙いつつ突きを入れる。と剣の突きに使った右手はセリアの手で抑えられる。
「これは!・・!!」
「甘いな、ご主人様」
盾を蹴り飛ばしながらそのままトンファーキック。軽く浮き上がって、俺が悶絶するところに水月蹴りを繰り出してくる。ドゴォ・・・よけられないまま鳩尾に食らう。
いいキックだセリア・・・グェエ・・・回避不能のまま壁際までゴロゴロ回転して吹っ飛んでいく。
「・・・ぐう」
ブホォ・・・げろげろ・・・。ゲロが・・飛び出してくる。
壁にめ・・めり込まなかっただけマシか? 気絶しそうだ。さらに【ヒール】を掛ける。
立ち上がったところに、大剣が投げつけられてきた。ガッといい音をさせながら盾で剣を逸らすことに成功した。こ・こええ・・・セリア。俺を殺す気か、うう。
「マジ!? っく・・・」
「接近戦がやはり拙い。ガードばかりになっているな、ご主人様」
本当にそうだが・・・セリア強すぎる、少しは手加減してくれよ! これ、訓練ていうより生死を賭けた戦いになってるよ!
ちょっとしたいじめだよこれは。
大剣の影から掌打を繰り出してくるセリア。
これは、受けるともしかして爆発する。
とか・・・あるのか?
俺は必死に手を捌こうとするがセリアの腕が早い。
伸びる掌を必死になって避けようとするものの。
余裕で腹にもらってしまう。熱い何かを貰うと身体が動けなくなる。
「う・・・ぐぁ、セリア・・・これは。一体」
「内勁を通す攻撃の一種だ。硬い鎧に身を包む相手に特に効くぞ、ご主人様」
【ヒール】に【キュア】を自分に掛けながら立ち上がる。
・・・攻撃魔術封印したら俺トンでもない雑魚なんじゃないか? どうやってセリアを倒せばいいのかわからない。
攻撃魔術が使えないとかギャグすぎるだろ!
どうする俺。飛び道具に頼りきりだったからな。
物理打撃で倒す? 斬撃で?
殺すわけにはいかないから。手加減するしかない。
けれど、そうするには単純に技量が絶対的に不足している。
とはいえセリアの身体に一発すら入れられる気がしないんだが。
「まだまだぁ!」
「良し。来い、ご主人様!」
お返しのストレートを繰り出す。嗚呼っ、しまった。ここはまず牽制のジャブだろ!
セリアが見逃すはずもなく見事なクロスカウンターで俺は引っくり返った。
ブへ・・・。ど・・・どんだけぇ。
世界が1回転しやがったぞ。ボクシングの技術が既にあるのか?
「ふう、もうやめるか? ご主人様」
「・・・いいや、まだまだだ!」
この小娘が舐めたこと言いやがる!
大人気ないがここでやられっぱなしだと思うなよ?
引きずり倒して爆乳を揉み倒してヒィヒィ言わせてやる!
・・・いえ・・・。そのごめんなさいって・・ね。
くっそ、このままじゃ終われねえ。
社畜の意地。いや・・・男の怖さってもんをセリアに教えてやらねえと!
キューブステータス サナダ・ユウタ 16才 冒険者
装備 ミスリルの剣 チェインアーマー チェイングリーブ 銅のメット 硬い皮のブーツ 対魔術の盾 銅の篭手
オークの弓 オークのワンド
邸宅有り セリア 人狼 モニカ 鍛冶士
スキル テレポート PT編成
特殊能力 なし
固有能力( 人形使役、人形化 、幽体離脱、生命操作、力吸収)
▽
[冒険者LV54]市民60村人58戦士 58剣士 59弓士 59勇者 60狩人 60魔術士 57商人 54薬剤士 54騎兵 54弓騎兵54格闘士 54英雄 54治癒士 54料理人 54魔獣使い 52付与術士 52錬金術士 52木こり43下忍 43神官38人形使い38死霊王3生命王3闘技士1
所持金 34万5千中ゴル(9万クーポン有)
セリアの強さから逃げていたユウタ!だが逃げられない展開が!
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