40話 町で相談! (ユウタ、セリア、モニカ、ドス、セルフィス、サワオ、ルイム、クー、コボルト、ゴブリン、オーク)
某日某時刻 森
「オマエラ大変コボ!」
「どうした、なにゴブ」
「どうしたもこうしたも人間達が沢山森の中に入ってきたコボー!」
「やるといったのはお前らコボルトだオク」
「お前らでがんばれゴブ」
「・・・やる・・やれば・・いいコボね・・・」
「出せる援軍は出すゴブ」
「こっちは再編中だォク」
「連合どうなるコボ・・・。」
◆
某日某時刻 森
「はあはあ・・・」
どうしてこうなったの? 死にたくないよ。
ここまでくれば・・・。うう、身体が寒くなってきた。矢傷がいたいよ。手当したけれど痛むよ。
血を流しすぎたんだろうか。
帰りたいよ。皆にまた会いたいよ。どうしてこんな目に。
敵なんてすぐ殺すべきなんだ。次があったらすぐ殺す。殺す。殺す。殺してやる。生き残る。
殺して生き残ってやる! 殺してでも掴み取る!命を。
頭を割られ、嬲り殺しにあっても敵性存在と友好? 愛する? バカバカしい。
そんな奴はさっさと死ねばいいよ。
殺されて友好だ愛だと叫んでみろよ。
でも、僕も信じてた。人とは分かり合えるってさ。盗賊だって人なんだって。
でもどうしても、分かり合う理解し合うことの出来ない存在はいるんだと体感した。
敵だろうと話してわかるなんて戯言だよ。
話せばわかる、とか敵と会話する暇をとるなんてお花畑思考だよ。
敵とわかりあうなんて強者だけが出来る事。
英雄様か勇者様だけの特権だよ。
「ううっ、痛いよ。痛い。」
もう一度・・もう一度会いたいよ。
帰るんだ・・あの暖かい世界に。
二人に感謝を。両親に感謝を。きょうだい達に祝福あれ。
たった一度の人生短かったけど嬉しいことばかりもらえたよ。
ああ、目の前が暗くなってきたよ・・・死ぬのは嫌だ。嫌だよ。まだ、まだだよ。この先に村があるはずなんだ。
進もう、帰るんだ。力の限り歩くよ!
◆
茶マントに茶色装備をする。皮色まんまなのだが、安いんだよね。
買い物は日が昇ってからだな。
と、先にアーバイン冒険者ギルドに移動する。
中は何やらパーティーが揃い踏みしているようだ。
30人だろうか。これは一部隊といってもいいような数だろう。
パーティー機能のフォース形態というやつだろうか。
ベテランに引率される初心者PTかな。
戦いは数さと誰か言っていたし、そうそう全滅しなくなる。
・・・ハズ。
取り合えず二人には待機してもらう。
と、カウンターに移動する。
列に並ぶと、前の人がローブ着込んだオッサン?
怪しい。フードで顔まで隠してる。
顔面は黒く目が赤く光る怪人な様子で怪しさ満点だ。
周りでは、整列した冒険者達が点呼が済み次第どんどん出発しているようだった。
朝から張り切ってるよな皆。
クラン員募集も相変わらずだ。
数人が上り旗まで建てている。上り旗って、微妙だなあ。
旗といえば、ジャンヌ・ダルクを思い出すけど。
目の前のローブさん・・・ローブのオッサンが雰囲気様子共に怪しすぎる。
世間話すら無理そうだ。
このオッサン。
普通にローブ脱げとか言われそうだよな。前に進んでいく列だった。
「・・・あの」
「へっ? ・・・何か用ですか?」
「あの、私怪しいですか?」
「それは・・・。すいません、怪しいです。とっても」
「・・・そうですか。そうですよね、お答えくださってありがとうございます」
声をかけてくるんじゃねえ!
こっち見んな。怖いんだよ。
オカマか?
野太い声にミスマッチした口調がキモスだ。
声をかけるな、オカマするなら堂々としろ!
オッサンの番になる。
と・・・案の定ローブについたフードをせめて取れと言われているオッサン。
最初は抵抗していたようだが、どうしても無理とわかる。
「あのフード取って、登録したほうがいいですよ」
「それは困ります」
「そうは言っても本人確認しないといけませんし。脱がないと登録も無理ですよ」
「・・・どうしてもですか?」
「登録したくないなら別ですよ。別の仕事で生計建てるにしてもフードかぶりっぱなしで出来るんですか?」
「・・・」
「脱ぎたくない、やりたくないことを無理強いもできません。が、どうしてもというなら回れ右です」
「・・・わかりました」
まるで俺がいじめっ子になったかのようだよ。
断じて違うから、TPOってやつだからね。
そりゃ・・あんた、そんな怪しい格好したやつがクエストしようとか冒険者登録したいとかいっても無理だろ。
仕方なくフードを取るオッサン。
・・・おっさ・・おい。
牛乳飲んでたらやばかった。間違いなく吹き出してたよ。
フードから溢れ落ちる長い蜂蜜色の髪がボロボロのローブにかかりもったいない。
顔は・・・アメジストの瞳を持つ美少女でした。
声も女声だがぼそぼそと小さくて聞こえないので指導を受ける美女。
テンプレになりそうなお約束だ。
が、自分が当事者になってみると顎が外れそうだ。
まあフードから喪女が出てきたり、オカマが出てくるよりいいか。
お鍋さんかおっぱいか。どっちかわからんけどかなりの長身。
終わったようだ。フードをかぶる女。
もったいないだろそれ。別に見せびらかせよとは言わないけどね。
けどまあギラギラとした雄達がいるし。
それの放つ欲望の視線が怖い女の子なのかもしれないな。
「あの・・・ありがとうございました」
「いや、別に何もしてないからね。決めたのは君だから」
「はい・・・それでは失礼します」
元の野太い声に戻っていた。
フードの機能かね。
もしくは、【音声変化】【認識阻害】【光学迷彩】【隠形】スキル?
まあ森で会ったら間違いなく先制攻撃してしまう怪しさだ。
礼をいうとそそくさと去っていくフードをかぶるお鍋女。
勿体無いな。
アンタならいくらでも男引っ掛けられるだろうに。
男なんてちょろいもんだぜ?
ちょっと優しくしてやれば、ホイホイお遣いクエストだろうがやるだろうし。
奴隷でなくても労働者お遣い作業にパシリ労働も余裕だろ。
本当に勿体無い。
名前くらい聞いておくべきだったか?
しかし、ナンパになってしまうが。・・・まあもう遅いな。
あっくそ。
・・・よく考えたらこれ出会いだったんじゃねーかああああぁ!
絶望した! 絶望したぞ!
超好みな相手なのに全く相手にされてないというね。
トホホ・・・。ま・・現実は残酷さ。常に、こんなもんなんだ。
・・・なんか呼ばれている。
おっと俺の番だった。慌ててとカウンターに着く。
「こんにちはお客様、本日はどのようなご用件ですか」
「ユウタといいます。ゴブリンクエストの依頼確認と報酬を貰いたい。薬草集めクエストも確認したいのですが」
「では、冒険者カードを提出お願いします」
「わかりました」
「キューブにカードを当ててカウントしてください。薬草クエストは該当薬草【アンゼ】10個で1クエストカウントです。
「わかりました」
キューブを出すとカードを当てる。特に何が起きるわけでもなかった。
カードがキューブからデータでも読み取っているのか?
魔力が働いているんだろうか。
見るとしょぼいカードだし、使い捨てというか大量生産品ぽいのだけれど。
薬草【アンゼ】を10個イベントリから取り出すと提出する。
「・・・おめでとうございます達成ですね。1日1回の依頼クエストですが、今日もクエスト受けられますか?」
デイリークエストか。金になるといいな。
「はい。あのオークやモンスター退治のクエストはないんですか?」
「ありますよ。受けられますか? 出来るかどうかは別として受けられます。こちらの討伐系退治クエストは期限なくペナルティーなしなので受けやすいクエストですよ」
ペナルティーあるクエストあるのかよ。今頃知ったし、危なかった。
「お願いします」
「わかりました。こちらが報酬です。オーク退治、モンスター退治がカウントされてます。500ゴル、1000ゴル、1500ゴル、2500ゴルと4クエストになっております」
「ありがとうございます」
銀貨銅貨をイベントリにしまう。めんどくさいな。
「現在、当支部ギルドではゴブリン退治にフォース員を募集しております。いかがですか?」
「えっとそれは一体なんでしょうか」
「初心者パーティーが全滅する悲劇が起きています。なので、対策です。なお受けなくても森には入られます。どうでしょうか」
あーあれか。しかし、俺はアル様がいるからなあ。
フォース隊で皆してゴブリン村に突撃するハメになるぞ。
ゴブリン村で阿鼻叫喚か。・・・ゾッとするわ!
初心者でゴブリンに特攻とか責任取りきれない!
正直、お誘いはありがたいが・・・。
ここはやめておこう。
「うーん、ご遠慮しておきます。ありがとうございました」
「そうですか、残念ですね。またの来店お待ちしております」
受付が終わると・・・。
ドスさん達に声を掛けられる。相変わらずの渋い白髪オールバックオヤジだ。
終わるのを待っていたんだろうかね。タイミングが良すぎる。
見ると豪華だった装備がしょぼくなっている。
見事な鎧が、個性のない鎧になってるな。メイスや盾は無事だったか。
「こんにちはドスさん。もう怪我はいいんですか」
「ああ、おかげさまでね。むしろ装備のほうが問題だね。皆やる気満々さ」
「そうですか、そういえばヒロさん達と会いましたよ」
「そうか、ヒロ達は元気だったかね」
「大分消耗しているかんじでした」
「ヒロ達でも苦戦するか・・・。これはみなぎってきたな」
「それはそうと、実は森の中でゴブリンの村を発見したんですよ。」
「! それはどちらで? ・・・ユウタくんこちらで話しましょう」
サワオさんが反応した。意外と食いつく人だ。
サワオさんの先導でドスさん達パーティー。
と、広いホールの片隅にあるテーブル席に移動する。
「ユウタくん。その話は・・・他のパーティー知っているのか?」
「セルフィスさんそこはわかりません。場所は休憩所予定地からはそこそこ距離があります」
「このことはほかのクランにも知らせますが、よろしいですね?」
「構いません。むしろ広めるべきだと思います」
「ドスさん、ヒロさん達の言っていた予想が半分当たっちまったか」
「そうだな。なんにしても他のクラン員PTメンバーもかき集めよう」
なんだかいい感じに向きそうだ。
「すいません。この話。ユウタくんを疑うわけになるのですが、ご自分で目撃したのでしょうか?」
「信頼できるパーティーメンバーが発見してます。そのあとゴブリンの群れに出会って戦っていますから間違いないと判断しました」
ま・・・確かに信憑性は疑うよね。そうだよね。
誤認とか嘘だと困るっていうのはある。ガセネタが一番困るわけだし。
「何言ってんのサワオ。命の恩人疑うなんてどうかしてるよ!」
「ルイムの言う通りなの・・・」
「クーに同意見だよ、サワオ机に頭ぶつけていいよ。ごめんねユウタくん。あ、これどうぞ」
茶、黒、青髪とそろった美女達が姦しい。サワオさん南無です。
それから・・・。サワオさんは女性陣に集中砲火浴びてる。
おおなんという香り・・・これは紅茶か!?
久しぶりに飲む一杯に安らぐ。
ふー。あらためて現代社会の素晴らしさを語り出したい。
飽食の時代万歳だ!
「いえ、ナル。そ・その・・・念の為確認ですよ。事実確認。悪気はなかったんですが・・すいません」
「サワオさんの疑念もわかります。俺もどのくらいゴブリン達の戦力があるとか。偵察をしていないのではっきりとしたことを言えませんから。ただ、休憩所付近で何故ああも襲撃を受けるのか考えると納得いくんじゃないでしょうか」
フォローしつつ一応、説明を入れておこう。
「なるほどな。あの近場にほかにも敵及びモンスター達の前線基地があってもおかしくないな」
「皆、モンスター共をぶっ潰してやろうぜ!」
「おー!」
皆熱いPTメンバーばかりだな。あんな目にあっても目が死んじゃいない。
「・・・それでは俺はこれで失礼します。パーティーメンバー待たせているので」
「ふむユウタくんありがとう。いつも有益な情報をもらってばかりで済まない。いつでも俺達のクランを頼ってくれ。できる限り力になるぞ。あと無茶は禁物だ」
「ドスさん気遣いありがとうございます、それでは失礼します」
大分話し込んでしまった。
信頼を稼がないとなあ。見た目が駄目なのかな。
まあ、装備しょぼいし・・・。
特に何ができるってわけでも・・・ないけれどさ。
えーと、セリアとモニカはどこだ。
ほったらかしにしていたけれど、美少女二人ともナンパされて・・・はいなかった。
キューブステータス サナダ・ユウタ 16才 冒険者
装備 ミスリルの剣 チェインアーマー チェイングリーブ 銅のメット 硬い皮のブーツ 対魔術の盾 銅の篭手
オークの弓 オークのワンド
邸宅有り セリア 人狼 モニカ 鍛冶士
スキル テレポート PT編成
特殊能力 なし
固有能力( 人形使役、人形化 、幽体離脱、生命操作、力吸収)
▽
[冒険者LV53]市民59村人57戦士 57剣士 58弓士 58勇者 59狩人 59魔術士 56商人 53薬剤士 53騎兵 53弓騎兵53格闘士 53英雄 53治癒士 53料理人 53魔獣使い 51付与術士 51錬金術士 51木こり42下忍 42神官37人形使い37死霊王1生命王1
所持金 34万5千中ゴル(9万クーポン有)
描ききれない設定描写が多数あるのですが・・
まったり回続いています。進行が遅いですね。




