37話 森で逝ったり! (ユウタ、セリア、モニカ、アルル、シグルス、冥界の番人、アングルボザ、冒険者)
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某日某時刻 森の中
「・・・(くっそリーダー!)」
「・・・(聞いてるだろ、どうするんだよ。)」
「・・・(どうするもこうするも、お前らもこの仮面をつけた時から依頼キャンセルできねえって言われてんだろ!)」
「・・・(降参も出来ないの?)」
「・・・(そりゃお前相手に喋れねえんだし・・・わかるだろそんなこと。)」
「・・・(魔術やスキルは使えるんだしなんとかならないのかよ!)」
「・・・(こいつら強い。)」
「・・・(クソッ。おお!)」
「・・・(だから言ったんだダメだって! 冒険者仲間を襲うなんて・・・。)」
「・・・(ダイダロス! ああ・・・・・・ダメぇ!)」
「・・・(これが報いかここで最期か。なぁリーダー。この依頼受けるべきじゃなかったぞご・・ぎゃ。)」
「・・・(よーし、雑魚二人仕留めたぞ)」
「・・・(よーしじゃねえ、全然嬉しくねえよ! ダイダロスが逝っちまったんだぞ!?)」
「・・・(畜生・・・どうしてこんな依頼受けちまったんだよ)」
「・・・(ぐあぁ・・・み・皆すまない・・逃げてくれ)」
「・・・(リーダー!)」
「・・・(ああ・・冒険者が冒険者を襲うなんてやっちゃいけなかったんだよ!」
「・・・(戦えって! テュケ!)」
「・・・(うぐ・・うぅうぅ。これが因果応報だよ。ウッ・・・。)」
「・・・(な・・なんだ身体が勝手に!?)」
「・・・。(降参したいのに勝手に動くぞ!)」
「・・・(だ・誰か助けてくれ!)」
「・・・(ちくしょー・・こんなのが最期かよおおお!)」
◆
「おいユーウ! 起きろ!」
「ねぇ・・・・・・ユーウ起きて」
だ、誰だ僕を呼ぶのは。
呼ぶなよ。もう放っておいてくれ。
ふぁー。
あれ?
誰かが呼んでいたようなそんな気がしたんだけど気のせいだったか。
意識が覚めてきた。
ふと目を覚まし目蓋を開けるととそこは美女だらけでした。
とか、ハーレムとか、肉池酒林とかないか。
おっぱいの上で死んだんだっけ。どうなったんだろ。
ここは?
死後の世界だろうか・・・・・・薄暗いし星も見えないんだが。
周囲を見渡しても荒野に土すら黒い。
川もなく木もない。何も生えていないし何も建っていない。
動物もいなければ草すら生えてない。
俺はてくてくと暗い大地を歩いていく。
ふと身体をみると・・・・・・マッパでした。
しかし、寒くもなく暑くもない。
あれこんなこと前もあったような。
うーん・・・・・・思い出せない。
しょうがないのでてくてくと歩いていくと。
人の行列がアリの様に続いているのが見える。
人だ! 近寄るべきか。
でも、これ。もしかして、死んだ後の死後の世界なら地獄行きってことなんじゃ。
さらにてくてく歩いていく。
遠目から見るとなんか動く小山かと思ったら大男がいる。
人かと思って近寄っていくと、声を掛けられる。どう見ても大男で殺人鬼が大剣持っているってやつだ。
「おめぇまたきただか」
「ええ?」
両腕の包帯とか上半身が筋肉隆々で傷だらけとか怪しさ満点で近寄りがたい。
頭はフードをかぶり顔は見えないが紅い瞳だけが爛々と輝いている。
いきなり振るわれる大剣必死に避ける。かすっただけの衝撃?で転がるとかなりのダメージを受けた。
「っぐ。いきなり何するんだおっさん!」
「怪しい人間だべえ、また来てこんなところで何してんだべ」
言葉が通じるよ!しかしこんな危険なやつからは一刻も早く逃げたい。
「俺は道に迷った。どこ行けばいいのかわからないんだ」
「・・・・・・ほんだらこっちだべ、あんぐるぼざ様がこの先におられるべ。会うといいべ」
「そいつはどうも・・・・・・ありがとう」
体力を回復しながらさらにてくてくと歩いていく。
どんだけ歩けばいいんだ。
また人か?
大分遠いが様子を見るためによっていくとふと大きめな石に老婆が座っている。
かなり汚いローブ姿のお婆さんだ。
生きているんだろうか。
どうしてこんなところに座っているのだ?
ここがどこだか聞いてみるか。
「こんにちは。あのー・・・・・・」
「・・・・・・」
「あのお! お婆さん!」
「・・・・・・」
聞こえていないのか言葉が通じないのか?
でも、こんなとこに座っているんだし、何か知ってそうな気がする。
「こんにちはおねえさん」
「小汚い小僧だねえ・・・・・・なんじゃお前は」
「ユウタといいます。おねえさんここはどこなんですか?」
「此処がどことか・・・・・・お前。馬鹿じゃろ? ここはニブルヘイムじゃ! 死者の行き着く場所じゃ。そして名前を教えるなぞ、もっと馬鹿じゃ! それ!」
婆さんは汚いローブの懐から玉をだすと何語か呪文らしき言葉をつぶやきだすと玉が輝きだす。
「ふぉふぉ、バーカめがぁかかりおったわ。あの木偶目がぁ使えぬ馬鹿が逃しおったが・・今度はそうはいかぬわ。さあ、お前も我が下僕となるがいい!」
さらに玉を目の前まで近づけてくる。なんのつもりだ?
「何をするんです。眩しいじゃないですか!」
突き出された玉を奪う。驚きで呆然とする老婆。
「そ・そんな? 人がこの世界で我が力と権能に逆らうなどありえん。名前に呪縛を与えておるのに何故じゃ」
「ふーんそうなんですか。でも、身体には何にも感じないし。それに俺死んでないけど?」
「この世界に来るということは死んだも同然ということだ。死者であれば当然、生者であっても呪縛からは逃れられぬぞ! それが何故だ!? 2つ魂が混じっておるのか?」
握った輝く玉を婆さんに向けるとおお? 輝きが増していく。
「おおお、な、何をするぅ、ら、らめぇええ」
な!
なんじゃそら婆さんが美女を通りこして幼女になっちまった。
「このあんぐりゅぼ・ざにぃなにしゅりゅう」
老婆がみるみるうちに若返っちまったよ。そして何言っているのかわからない。すまん。
この子名前は・・・・・・コノアンちゃんでいいな。薄紫の髪をした幼女をどうこうする趣味もない。
もうちょっと育ったらかなりの美少女になるだろう。
だから、その時はよろしくお願いします。
「よく聞こえないし、キミはコノアンちゃんっていうのかい?」
「コノアンちゃんちがうううぅヘル様にぃいいちゅけ・てやる!」
幼女は脱兎の勢いで逃げ出してしまった。結局何がしたかったんだ。
光る玉が地面を照らすと地面が輝いている。
・・・・・・こいつに入るとか?出られる?
あれどこに・・・・・・出るんだ。俺どっから来たんだっけ。
俺・・・・・・どんなやつだったっけ、まあいいか。
輝く地面に足を踏み入れてみると足先から埋まっていく。光る珠は手に溶けるようにめり込んでいき見えなくなった。なんだそりゃ引き剥がさないと。
おわあ?
俺は体勢を崩してしまい、ツルッとそのまま落ちて行き飲まれてしまった。
ユウタは死霊王を獲得した!
何それ!
◆
何かがあったような。意識が戻ってくる。
・・・・・・ふと目を覚ますとセリアの背中に背負われていた。
いい匂いだ。
あれ手に何か握っている?
このままもう一眠りするか・・なんという心地よさだ。鎧が邪魔だ。このまま浸っていたいが・・辺りを見ると薄暗い。
次第に目が慣れてきた。ここは、森の中か不味いこれは・・もう夜かいや夕暮れだと思いたい。
「気がついたのか? ご主人様」
「ああ、すまないセリア。背中に背負われるのがあまりに気持ちよくてこのままだとまた寝てしまいそうだ。降ろしてくれ」
「気にするなご主人様。もっと背負っていてもいいが、アル様とシグルス様を送らねばいけないな」
取り合えず背負われている状態から立ち上がる。フラフラするがゲート位まだいけそうだ。
手の中に何か握っている・・・・・・感触がしたんだけど何も握っていない。幻覚かな。
手を握ったり開いたりしている俺がよほど不審だったのかアル様に声を掛けられる。
「大丈夫なのか? ユウタ」
「ええ、この通りピンピンしているとは言い難いですが」
「ユウタ殿が死んだと思って皆心配してましたよ」
「そりゃ酷いですよ。それよりモニカは?」
「ユウタ殿安心してください。私の背中にいますよ」
俺も死んだと自分自身思ったしな。
モニカも生きていたし二人とも九死に一生を得たって所だ。
茶髪垂れ目娘はすやすやと騎士の背中で熟睡している。
まあ無理に起こす必要もないんだしそのままにした。
あれからどうなったんだろう。
「相手はどうなったんですか?」
「残念なことに捕虜には出来ませんでした。治癒士も戦士も剣士も行動不能にしたのですが。敵の口封じが徹底しており・・・・・・残念です」
相手を行動不能にすると、仮面が奴らを殺害するように出来ていてその後自爆だ。
そりゃエグいな。情報をもらせないよう徹底しつつかつ裏切りを許さないわけだ。
相手も必死になっていたのかもしれない。弓使いはどうしたのだろう。
「弓使いも捕まえられなかった?」
「残念だ。奴には逃げられてしまったご主人様申し訳ございません」
セリアが申し訳なさそうな表情を浮かべている。あまり気にしないでほしい。
「弓使いめ。敵として恐るべき腕の射手だったな」
「ユウタ殿。話はまた後ほど。もしくは、明日にいたしましょう。そろそろ戻らねばなりません」
アル様とシグルス様がフォローを入れてくれる。
そうだった。【ゲート】を出すと移動しよう。
「周囲に人間の気配と匂いはしないな。弓使いなら一人で来ないだろう」
「了解」
【ゲート】を開くと撤退した。王都は夕闇にくれつつあった。王城までひとっ飛びだったのだが城前途中で別れる。
危ない、刻限時間ギリギリだった。
「今日も大儀であったぞ、ユウタ。明日も迎えに来るようにな」
「アル様。それは無茶でしょう。ユウタ殿は怪我をされておられます」
「そうか、そうだったな。傷がよければ来るといい、いや来て欲しい」
「・・・・・・分かりました」
もう抵抗する気も起きない。アル様の我がままぶりはいつものことだ。
さらにもっかい【ゲート】を開いてセリアがモニカを背負ってなんとか邸宅に辿りついた。
「大丈夫かご主人様」
「ありがとう。体中が痛む・・・・・・色々限界が近い。モニカの事お願いするよ。倒れたらこのあとのことはよろしく頼むよ」
やせ我慢してる場合じゃないな。普段きつめな釣り目も若干柔らかいようだ。
セリア心配してくれているのか。随分声音も優しげだ。
んっ、いつもこうだったらいいのにな。
飯も用意出来そうにない上風呂もたけないし装備きたまま横になるんだが。体は鉛のように反応は鈍く重たい。蓄積された疲労と魔術の酷使とで限界を迎えているのか。
なんとか邸宅の中に入るとそのままベットに倒れこむ。
すまん・・・・・・セリア後は任せた。
POTとか色々やらないといけないんだけど、正直寝ないと死んじゃいそうだ。
キューブステータス サナダ・ユウタ 16才 冒険者
装備 ミスリルの剣 チェインアーマー チェイングリーブ 銅のメット 硬い皮のブーツ 対魔術の盾 銅の篭手
オークの弓 オークのワンド
邸宅有り セリア 人狼 モニカ 鍛冶士
スキル テレポート PT編成
特殊能力 なし
固有能力( 人形使役、人形化 )
▽
[冒険者LV53]市民59村人57戦士 57剣士 58弓士 58勇者 59狩人 59魔術士 56商人 53薬剤士 53騎兵 53弓騎兵53格闘士 53英雄 53治癒士 53料理人 53魔獣使い 51付与術士 51錬金術士 51木こり42下忍 42神官37人形使い37死霊王1
所持金 34万2千弱ゴル(9万クーポン有)
またあっちの世界いっちゃってました。




