189話 砂上の楼閣10 (アキラ)
眺めているだけで、何もできない。
なんて事がある。
んでしょうか。
残念な事に、現実、現代の魔術がない世界では糞みたいな事にであった事がなかったんですよね。
不思議な事に。
しかし、ミッドガルドでもウォルフガルドでも糞野郎と出会う確率が高い!
これは、何か仕組まれているのかというくらいに出会うんですが。
なんなんでしょうか。
ミッドガルドでは、金髪白人至上主義があったり。
ウォルフガルドだと、地縁血縁支配。
差別、区別が横行していてとてもやってられないです。
根底から変えるには、何が必要なんでしょうね。
あ、教育で変えようというのはやってます。プラスアルファで、お願いしますね。
その教育も金がかかるんです。
異世界で儲けようと思ったら、塩でしょうか。
それとも、木?
金とか宝石もありますよね。
どれが一番儲かるでしょうね。
考えるに、アキラさんは肉体労働でなんとかしようとしている様子。
働いても働いても暮らし、よくならず。
あれ? どこかの国を見ているようですよね。
銀行は、手数料を100円とか200円とか取っていくのに金利はないようなものですし。
儲けようとするのは、大変ですねえ。
さて、問題です。
一番儲けが手っ取り早く稼げるのはどこでしょう。
チッチッチッチ。
アキラさん、答えがでません!
答えは、国です。
人がいる限り税金は、取れます。
理由をつけて税金を取るのは、本当にヤクザですよねえ。
なんでもかんでも適当な理由で、金を取るのですから簡単な物です。
ほら、住民税、ほら、所得税、ほら、自動車税、消費税。
え? 払わない?
死なないといいですね。
◆
大変だった。
呼ばれて行ってみれば、そこでは犬人族とみられる獣人が拘束されていたのである。山田には、ユークリウッドへの連絡を頼んだ。
なんで、このような事をするのかと集団に問うと。
「コーボルトの密偵やもしれません。こいつらは、工作員になる可能性があるんでね」
という。
しかし、どう見ても女子供まで入っている。見過ごすわけにはいかない。
「悪い事をこの人たちがした訳じゃないだろう。どうして、彼らがコーボルト軍の罪を背負わないといけないんだよ」
おかしい。コーボルトと関係があるのは、種族だけではないか。だというのに、狼人たちが勝手に裁こうとする。これは、いわゆるリンチではないか。
「では、コーボルト軍がここに攻め込んでこない保証があるんですかい。あんたは、日本人だそうじゃねえか。黒髪に、黒目。ウォルフガルド人を苦しめる奴らの仲間なんじゃねえのかよ。ええ? おい、てめえがグルじゃねえって証拠もねえよなあ?」
急に口調が変わった黒狼族の男は、手に剣を持っている。
後ろにいるチィチの様子が変わった。武器を用意しているのだ。
「違う。俺は、コーボルトの仲間なんかじゃない」
「はっ。口が達者なこって。てめえの仲間のおかげで、たくさんの獣人が死んだんだ。こいつらをどうこうしようったって文句は言わせねえぞ。なあ、みんな」
そうだ、そうだ。と、同調する声が上がる。こういう時に、ユークリウッドが居てくれたら。どうしただろうか。血は、血でしか贖えないという。彼らの仲間が死んだ分だけ、関係のない犬人族をいじめようというのか。反対しようにも、アキラはその仲間のように見られている。
「あ? 返事してみろや。てめえらが、やった事だ。謝罪が必要だろうがよーっ」
「ぐふっ」
瞬間、間合いを詰めてくる男。火花が散る。殴られたのか。顔が、変形するようなダメージだ。鼻から、血がでる。鎧を通すような重い一撃。
【盾】を使って受ければ、ますますヒートアップしてくる事も考えられる。
だが、倒れる訳にはいかない。
(痛えな、糞が。殺すぞ)
反撃しようにも、一撃で鼻と肺がつまる。
相手は、取り押さえようにも素早い。鋭いパンチが顎をかすめてよろけた。
剣を抜けば、相手も使ってくるだろう。素手での戦いは、不得手だ。
格闘のセンスも磨いておくべきだった。
(くっそ、上下に振ってきやがる!)
腹立たしいのに、反撃する糸口が見つからない。
殴れば、殴り返されるだろう。
「大人しく、おねんねしてやがれ!」
「ごえええっ」
腹を打たれると、鎧がぐにゃぐにゃに変形した。高レベルの獣人だ。
よろめくと、宙に浮く。さらに、獣人の蹴りが待っていた。
「オラオラオラオラァ!」
「あがっ」
ヒキガエルのような声が漏れる。死ぬ。死んでしまう。
死ぬわけにはいかない。朦朧とする霞に沈んだようだ。
関係ないはずだ。国も違うのに、同じ人種というだけで一括りにされるのは間違っている。
忠誠を誓うのは、国であって民族ではない。しかし、本当にそうだろうか。
犬人族たちは、怯えたように黙って連行されて行こうとしている。
「これで、しまいだあっ。オラッ」
チィチもろともに吹っ飛ぶと、地面をごろごろと転がる。パワーと破壊力が、あった。支えてくれたのか。チィチが受け止めてくれなければ、顔面から地べたを走っていっただろう。
(ぐうう、うう)
口の中がぐしゃぐしゃだ。
気が済むまで殴られれば、解決するだろうか。彼らの怒りも理解できる。
謝罪しようにも、できるのかわからない。チィチまで巻き込んでしまった。
頭は、燃え上がるように熱い。血が顎から落ちていく。
なんてことはない。【再生】を使えば。
ふらつきながら、立ち上がろうとした時。
「誰が、こんな事をしろって言いました?」
子供の声が、する。後ろからだ。
「なっ。あんたはっ、アルブレスト様」
「誰が、こんな事をしていいと言いました? ねえ、誰だ?」
静かな声だ。子供特有の高い声である。
「い、いや。誰も、俺が言った。やった。ゆ、許せねえからだっ」
「じゃあ、すぐに彼らの縄を解いて家に返しなさい」
ユークリウッドは、フードから顔を出すと指を差す。
獣人たちは、どよめいている。領主に逆らうような物だからだろう。
収まらないのか、男は尻尾で地面を叩く。
「なんで返すんだよ。おれぁ、納得できねえぞ!」
獣人の男が、殴りかかった。それをすいすいと避けてのける。
ありえないスピードで、まさに暴風。当たらないのは、何故だろう。
肩で息をするようになって、男は汗まみれ。
「彼らが、貴方の隣人を殺したのですか? 違うでしょう。文句があるのなら、ウォルフガングと軍にいいなさい。弱いのが、悪い。負けるのが悪いのです。納得してください」
「くっそおおおおおお!」
雄叫びを上げる獣人。しかし、怒りに震える男は犬人族の縄を切った。
唇をかんで、目が血走っている。良くない事が起きなければいいのだが。
ユークリウッドは、獣人たちに向かっていう。
「さあ、家に帰って食事の支度でもするのです。今日は、祭りでもしましょう。飲んで騒いで、楽しいお祭をするんですよ。準備にとりかかってますからね」
膝ががくっと落ちた。と、肩に手が置かれた。まだ、子供の手だ。
「た…」
「帰りましょう。彼らが怒るのも、もっともな事。忘れるには、死人が多すぎます。ですが、直接関係のない人にまで当たるのは間違っている、はずです」
「ああ」
回復魔術の光で、口の中が癒えていく。もこもこと整う歯。
不思議な光に、安心した。
危うく、言葉に詰まって彼らの主張を認めるところだった。確かに、そうなのだ。認めたくはないが、犬人族も日本人もウォルフガルド人にとっては敵でしかない。山田は上手くやっているが、これからもそうだとは限らない。
事務所に帰ると、その前の通りでは飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎになっていた。無料で、酒が配られるという異常事態だ。酒といっても、色々な色の酒が置いてある。ウィルドは、ウェイトレスの格好をして麦酒を配っているようだ。
そういう事なのか。わからないが、祭りをやるというのは良い案だ。
暗い世相よりも、明るい世相の方がいいに決まっている。夜店の出店などもあればいいのだが、あいにくとそれらがない。どちらかというと、酒をただで飲む祭りのような。そんな感じだ。
通りに置かれた長椅子に座ると。隣の方にユークリウッドが座る。
「大将は、戦争をどう思っているんだ?」
聞かずにはいられない。
「良くないですよ。そりゃあ。そして、どうあってもこの世界からはなくなりませんね」
「なくせない、か?」
「ええ。残念ですが」
白い髪をした白狼族の幼女が、おぼんを手にセイラムと一緒にやってくる。
酒は、苦手だ。飲むと、気持よくなるが。横では、白い玉が酒樽の中に浮いている。酒が好きらしい。
狐人の美女が、控えめな青い着物をきてちびちびとやっている。真向かいにはティアンナとエリストールの姿があった。夕暮れ時だというのに、酒盛りとは。
ユークリウッドは、ごくごくと喉を鳴らしながら金色の麦酒を嚥下する。
「なんでなくせないんだろうな」
「人が、…人である以上。闘争の渦からは、逃れられないです」
「逃れる事は、できないのかな。どこか、戦争のない世界に、さ」
戦争は、やめる事ができるではないか。日本では、そうしていたし。70年ほど戦争は起きていない。セイラムは、給仕をしているがアレインは見当たらない。木刀でも素振りをしているのだろうか。
花火でもみたい。したい。夏だし。
「死ぬなら、戦う事を止められますよ。逃げたいのなら、自殺、するしかないでしょう。人は、人である以上絶えず誰かと何かと争う物です。戦争を止めるのには、抑止力が必要になります。相手を殴れば、殴り返される。そんな力がないのなら、侵略を受けるでしょう。避けたり、逃げたりするのなら人である事を止めないといけませんね。ましてや、生物を殺しまくってきた人間が逃げようなどと。笑止千万です」
そうだろうか。それ以外の道は、ないのか。戦争で、また奴隷ができるというのに。どうして、人は戦争をするのを好むのか。武力でもって紛争を解決しない事はできないのか。犬人族が、苦しめられる側になる事が予想される。殺して、殺されて。彼らは、戦いに何を求めたのだろう。
理解し難い。
「じゃあ、やっぱり核兵器みたいな抑止力がないと侵略は止まらないってことか」
「残念な事に、この世界では核をも上回る超兵器と防衛兵器が存在していますから。抑止力に、限界がないんですよね」
「それは?」
なんなのであろうか。核をも上回る超兵器とは、一体何なのだろう。わからないが、聞かずにはいられない。
「勇者ですよ。魔王もそうですね」
「は?」
「勇者の力、おかしいレベルだとは思いませんか?」
見たことがないのだ。よくわからない。
「いや。見た事ないんだ。勇者って、核をも凌ぐ兵器なのか」
「単独で、敵国に侵入して生産施設なりなんなりを破壊する駒としてはEXクラスだと思います。彼らが、町や村を攻撃した場合。止められるのは、同じ勇者や魔王しかいませんからね。敵地を攻撃する兵器としては、クリーンな戦術核といった所でしょうか。本格的に運用しているのが、コーボルトくらいですけれど」
「そんなのどうやって倒すんだよ」
無理くさい。コーボルトは、勇者を召喚しては使い潰しにしているようだし。攻めこんできた兵器は、まんま自衛隊の武器だ。彼らと日本が手を組んでいるとも考えられる。その辺は、どうなっているのだろうか。気になる。
「んと、殺すのは簡単ではありませんが。コーボルトは、強い駒を残していなかったようですね。楽勝でした」
「は? もう終わったのかよ」
「まだ、降伏待ちですね。大義名分さえあれば、アルーシュは攻めこむのに肯定的ですし。容赦しないですからね」
どうやって倒したというのだ。彼らの武力は、底がしれなかったではないか。
何年も続く事を予想していたというのに。攻め落としたのか。
「どうやって、敵国に攻め込んだんだよ。橋は押さえられてたよな」
コーボルト軍は、対岸に要塞を作っていた。日にちがそれほど経っていないのに、終わるというのは寝耳に水だ。
「セリアと僕で、十分に倒せますよ。問題は、制圧する方なので。制圧もしないのなら、相手に降伏してもらって条約でも結んだ方がてっとりばやいですから」
「いや、それよりもどうやって攻め込んだんだよ」
「ふふ。秘密です。殺して、勝つのは簡単です。殺さずに勝つのは難しいです。むしろ、この国を再生する方が大変なんですよ。よくいうでしょ。破壊するのは、一瞬だって。壊すのは、簡単だってね。国を育てていく方が、よっぽど大変です。荒らされた町や村の復興と農地の再生。むかついてきたんだけど、どうしよう」
いやいや。どっちも大変だろうに。少なくともアキラの常識では、勝つのは勝つが大打撃を受けると思っていた。が、キッツは楽勝の予想をだしていた。
(ウォルフガルドの兵士は、ほとんどが戦死したっていうけど…。ネリエルは大丈夫なのか? 心配だ)
気になってしょうがない。一年は、最低でも続くと思っていたのに戦乱の機運が瞬く間に終わってしまうとは。一体、どうした事だろうか。
手からでるレーザーで焼いていったに違いない。でなければ、斬り倒していったか。レーザーが使えるのに、間合いを詰めて剣で斬るとかいうのは考えがたいのでレーザー、これ一択だろう。
通りには、獣人たちが踊りをしながら酒を飲んで歌っている。桜の木があれば完璧で、花火でもあるとなお最高だ。花火は、ないのだろうか。夏の風物詩といえば、川岸で花火を見ながら焼きそばを食べるのが習慣になっていた。酒が飲めるといいのだが…
ユークリウッドが、酒を飲んでいる!?
「どうしました」
「あ、いや。え? マール、じゅ、ジュースじゃねえの? ねえ」
「えっと。これで、よろしかったんですよね」
おぼんに乗せてジョッキを持ってきているのは、黒髪の美少女メイドさんだった。アキラの嫁(心の中では)は、子供に酒を出している。ありえない事だ。飲酒は、二十歳からではなかっただろうか。ユークリウッドが飲んでいた事もないというのに、出しているのは犯罪だ。違うのだろうか。
「はい。まあ、酔わないんですけどね」
と、ツマミのピーナッツと塩昆布を口に入れる。烏賊の切れ端があれば、なおいいというような感じだ。
子供なのに、飲んでいいのか。
「酔う酔わないわ、いいけどさ。なあ、飲酒はいいのか?」
「別にいいでしょう。僕もストレスが貯まる事があるんですよ! 何か文句でもあんのか。ああん?」
「ええーーー?」
顔は、にこにこしているのに口調がチンピラだ。
急に、おかしな言葉遣いになった幼児はジョッキを飲み干すとまた別のジョッキを飲む。
まるで、水のようにビールを口に入れる。それだけ飲めば、アキラなら2日酔いで次の日には起き上がってこれない量だ。ぷぅーんと鼻に突くような匂いがコップから漂ってきた。
!? 中空に文字が出てきそうだ。
匂いからでも酔ってしまいそうなアルコール度数ではないか。
「それより、そろそろ、花火が上がる頃合いなんですけど。どうなってんだよ。ざけんなよ」
ユークリウッドは、白い獣人の幼女を横に侍らせると酌をさせる。まるで、人格が変わったようだ。尻尾を見る目が、おかしい。
ストレスから解放されて、少々凶暴になっているのだろう。アルコールは、別の人間を出させる。
悪魔の飲み物とも百薬の長とも言われるのだ。
「あの? ユークリウッドさま?」
「大人しくしてろ。わあ、もふもふだー」
「きゃ。駄目ですよ。もうっ」
尻尾が好きなようだ。白い尻尾を握って遊んでいる。
事務所でもウサギの尻尾を弄っている辺り、ツボなのかもしれない。
彼は、深刻な尻尾病だ。
(普通、おっぱいだろ。違うのか? 俺だけが、スケベなのだろうか……。なんで、尻尾なんだよ)
彼の手は、白狼族の幼女の尻尾を触ってさわさわと動かしている。
酒は、一体、どのようなアルコール度数なのだろうか。幼女の顔も赤くなっているようだ。
危険な予感がしてならない。このまま放っておいていいのだろうか。
酒も飲み過ぎれば、毒となってしまうのでは?
(明らかに、やべーにおいがすんだけど。どうしようかね)
だが、手を拱いていうる内に幼児はさらなる獲物を求めて狐人へと視線を向けた。
珍しい物でも見るかのようにした顔だ。
「おや。盛り上がっとりんすね。妾も仲間に入れてたも」
「おう。いいぜ。これ、飲むか?」
「ふふふ。これは、火酒でありんすか。ようござんす。まずは、一献たも」
陽気になったユークリウッドの細い腕が、酒の入った瓶を斜めにする。一口飲んだレンは、顔を赤らめた。
「これは、聞くのじゃ。ほふっ」
顔が、真っ赤になっていく。火酒とは、ただならぬ酒のようだ。近くにいるだけで、風にあたっていても酒の匂いにやられそうになる。手招きするが、それを断るのも一苦労である。
「いい酒じゃの。これは、どこで手に入れたのじゃ? それ、お主にも返杯なのじゃー」
「ふふふ。アルコール分を限界まで高めて、それでいて飲み心地を損なわない酒を追い求めていたらできたんですよ。他にもあるかどうか。僕は、そんなに酔わないんですけど…ま、気分がよくなってくるので落ち込んだときには飲んでみようかなと」
「ふんふん。酒を飲んで嫌な事はぱーっと忘れるのじゃー。妾も負けておれんな」
すると、
「…ユーウは酔わない。酔うというよりも、振りだからタチが悪い。レンは、口車に乗っていると酔わされてあられもない事になると思う」
青い上着を脱いだティアンナだ。既に、酒瓶を持ってエリストールと酒盛りをしていたのか。妖精族は、酒に強いように見えたが。そんな事はなかった。ピンク色の髪をした少女(年増)は、あられもない姿で肌が見えている。でかすぎる胸が、えらい事になりそうだ。そして、瓶を握ったま横になっていた。
「お主もどうじゃ。この酒は、なかなかよいぞ。一緒に楽しむのじゃー」
「…どうも」
どんちゃん騒ぎだが、ユークリウッドが酔わないのが気になってくる。
アキラは、酔いが回るのも音速なので楽しめないのだ。いつか、火がでる酒を飲んでみたいとは思うのだが。急性アルコール中毒で、死んでしまうとか。やりたくはない。死んでは、マールと一緒に爺になれないからだ。
「なんで、ユークリウッドは酔わないんですか?」
「…毒が効かない理由と一緒。吸収しても小便になって、出てくるか。それとも、汗になってでてくるから」
「まじっすか」
「…試すのはよくないけど。言ってからなら、いいと思う。一度、毒のスキルでも仕掛けてみるといい。アキラの必殺の武器を喜んで食らうはず。たしか、毒を飲んでいる内に効かなくなったとか言っていた。毒が効かない。なのに、ポーション類は効くからずるい」
そりゃずるい。ユークリウッドは、左右に少女を揃えてご満悦だ。本当に酔っていないのか。普通は、おっぱいを揉むのに頭がおかしいのではないか。胸ではなくて、尻尾をもんでいる。変態だ。
ティアンナとエリストールの山は、気にならないのだろうか。
顔は、赤いのでそう見えない。アキラは、おっぱいが大好きだ。
絶壁は、守備範囲外である。
空に、大輪の花が打ち上がり始めた。
アキラのスキルは、脆くも崩れ去ろうとしている。【毒】が肝であったのに。効かないとか。いや、それが問題ではなくて効かない人間、魔物がいる事なのがショックなのだ。
毒が小便になって出てくるとは、信じられない。最強への道は、遠く厳しいようだ。




