32話 森で戦闘Ⅱ! (ユウタ、セリア、モニカ、アルル、シグルス・フォン・ジギスムント、ダル、トラッシュ、エリシス、
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某日某時刻 森の中
奇襲をかけるこちらに気がついた瞬間に逃げ出す不審者。
こりゃやっぱ黒かな。
LVの低い冒険者達を狩りまくっているのは、こいつらで間違いなさそうだ。
スキルと使って隠れている奴に【チャージ・スラッシュ】で一気に間合いを詰めて攻撃すると迎撃されたが、おかげで【クローク】が解けた。
援護にダルの【サンダー】が打ち込まれるが効いているのか? かなりのタフさだ。
「!・・・てめえぇ!」
「どりゃぁあっ!」
逃がさないように、連続で斬りかかっていく。
右からの剣での斬撃もダガーで防がれる。チャリチャリンと連撃の音が鳴り響く。どうやらスピードは五分か向こうのほうが上のようだ。
2刀スタイルも全く一緒か。一旦距離を取る。
切り倒せるならこのままでもいいと思っていたが、そうもいかないようだ。
そろそろブーストスキルやら使っていくべきか。
こいつの手足を斬り飛ばして無力化し、捕縛なんていけそうもない。
相手はかなり速い、戦い慣れしていて手馴れているという感じだ。
これではゴブリン相手にクエストを受けた連中じゃ歯が立たない。
伏兵もいないようだし、ここでケリをつけたいところだ。
「(ダル援護頼む・・・って。うぉおお! クソ・・ダルがあああ。)」
「(おっさん邪魔ですよ。どいてください!)」
転がるように離れると疾走して安全な位置まで退避する。
奴の背後には突如現れる土壁と奴の足元には【アイスミラー】が広がる。
やばいダルの奴、本気も本気だ。
さらに広がる地面を覆わんとするスキルをとっさに飛んで避ける俺。俺諸共に仕掛けやがった。ダル、おめぇ後で覚えてろ。
しっかしこれはエグいぜ。【アイスミラー】こいつはツルツル滑りやがる氷鏡の足場で斥候系殺しのハメトラップスキルか・・・あ選択は妥当だろうな。
相手に対策がなけりゃそのままハメられるだろうが・・・。
そうそう上手くいくのかね?
雷系のスキル効果も格段に上がるのでまあ・・・。
相手がやられるのは時間の問題なんだろうが。
おいおい。タフすぎんだろ、こいつ・・・。
ダルの魔術攻撃を何発もらっているんだよ。
【サンダー】が炸裂しバリバリと放電を放ち相手に命中すると、その体はエビのように仰け反る。が・・まだ倒れない。
耐久力は並のモンスター以上か。地形効果と相まって威力もダメージも相当上がっているはずだが。
ぐぁあとかぎゃぎゃとか相手は意味不明な事を叫びながら酷いことになっている。
奇襲に失敗した斥候系って悲惨だよな。
森の中なんで、何かを掴んで逃げるとかしようにも【アイスミラー】の効果で無理やり平坦な氷鏡な地面と掴みようがない。木や障害物を利用しての脱出が困難な上に連続で魔術攻撃をもらってそれどころじゃないからなあ。
しかも魔術【サンダー】の電撃を避けたとしても【アイスミラー】の効果で避けようがなくなってやがる。
雷系無効化でもできなきゃこいつからは逃げようがない。
そして跳べば、地面から生えるであろう氷の槍で串刺しが待っている。
ダルの奴かなりのサド振りだろう。まあ・・・気持ちはわかる、初心者でも冒険者仲間をやられたとあっちゃなあ。けど、エリシスちゃんがドン引きだぞ。
入れ替わりとか幻覚系とかかけられていないか一応確認しておくか。
【鑑定】を使うと。
ジェイ 17才 暗殺者 PTメンバー 魔術師 虐殺者
どうやら本体で間違いないようだ。若いな。
幻術の類で味方と入れ替わってたなんてヤバすぎるからな。
所詮は斥候系ってことか。自分で言っていて虚しくなるがね。奇襲こそ全てだからな、斥候系。
隠密系スキルから隙を突いて。ずぶっと一刺し。
もしくは、連続スキル絡めで仕留められにゃこうなるわな。
俺の相手をしながら、魔術を受ける事想定するってのも無理があったかね。
何やら少年が変身する。
ムクムクと大きくなっていくがダルが生成する氷槍で串刺しにされる。
変身またねえ。鬼畜だぜ。
長い詠唱に入るダル。あーやべ、こいつは退避だ。
動けなくなる黒い悪魔タイプの変身しようとした少年はダルの決め技【サンダー・ボルト・ストライク】でこんがり焼かれてしまった。
最初から変身するべきだったんじゃねーの。少年。
体力が減ってから変身すると、それじゃあねえ。
変身を黙ってみているとか。ありえねえんだよ。
止めになったか。動かなくなった変身少年を取り合えず確認だな。
「って、おいいいい」
「・・・」
ダルの奴氷の巨大な剣を作ってやがる。こりゃ三枚おろしかすりおろしになるな。同期のサワオをぐっと引き離してんな。
少年は、バラバラになるまで切り刻まれた。うえぇ。
ここまでやるか、ダル。
悪魔な少年のサイコロこんがり肉かあ。・・・あーちっと疲れちまった。
「エリシスちゃん【ヒール】と冷えたビールを頼むわ」
「上手くかけたつもりなんですか。あのトラッシュさん全然怪我しているように見えませんが」
「心が疲れてんのよ。トラッシュおじさん。ちょっと慰めてくれよエリシスちゃん」
「・・・ふん!」
イテテ。だー、なんか飛んできやがった。あーもうやってられねえ。
おっさんを労われよな。ふー奴の状態確認したらさっさと合流しようぜ。
◆
・・・不味いアル様は突撃するつもりです。
幼い頃から面倒を見てきたのでわかりますが。次に話す言葉はこれでしょう。
「私に続けー! モガぁ・・・」
「ダメですよアル様」
危なかったとっさに飛び出そうとするアル様を引き止めます。
「シグルスさん・・・助かりました」
「はあ。いつも、この調子なのですか。困ったものです」
ユウタ殿も困っていた様子です。
アル様はいつもの調子で突撃されるのでしょう。
オーク達は少なく見積もっても40近い。
しかも色違いのハイオーク達も混じっている。
その上、一際でかいオークがいます。
兜も角付きで一回りサイズの違う装備と巨体です。
オークのデューク級か。ロードやキングだとは思いたくはないのですが。
「な・・・何をするシグルス。無礼であろう」
「アル様落ち着いてください。あれは只のオークではございませんよ。正面から当たるのは危険です」
「だからこそ突撃だ。何か策があるのか。この状況で策があるというのか。はっきりと申してみよ」
チラとユウタ殿見る。悪いですが、その能力を存分に使わせてもらいましょう。
まずは、罠設置と退路を決めそして数を減らす。そして、そこから勝負します。
「ユウタ殿に罠を仕掛けていただきましょう。敵を挑発し、上手く罠に嵌めて数を減らしてから戦闘です」
「ではどのような罠にするのだ。それと安い挑発でそもそも追ってくるのか?」
・・・痛いところを突いてくるアル様。しかし、その程度。まあセリア殿とモニカ殿が囮になってくれれば連中は容易く乗ってくるものなのですよ。
アル様は奴らの習性というものをご存知にない。鬼畜好色豚とは彼らのためにあるような言葉なのだから。
「ユウタ殿にお願いがあるのだが、よろしいか」
「ええ、シグルス様なんでしょうか」
「罠とその囮についてなのだがお願いしたいのだが」
「シグルス様・・・分かりました」
・・・言わなくともわかってしまうようです。お人好しか、やはりそういうタイプなのだろうか。
ここは餌も投げておくべきか? いやそんなことをすればこの手のタイプはヘソを曲げかねないでしょう。
囮という点について怒りを感じているのかもしれない。どうしましょう。
「ユウタ殿もお辛いでしょうが、村のため王国のためよろしくお願いします」
「分かってますよ、罠の準備を急ぎます」
「まだるっこしいのは嫌いだぞユウタ。なんとかならぬのか」
また無茶を言いなさるアル様。ユウタ殿もお困りの様子だ。準備もなしにかけられるトラップ等ないんですよ?
かなり悩んでいる様子のユウタ殿だったがどうやら一つひらめいた様子です。
「策というより力押しになるのですが・・・【レビテーション】をみんなにエンチャントして戦いましょう」
「なるほど、ユウタ殿は付与術にも通じていると、ますますいいですね」
「シグルスどういうことなのだ」
「アル様不勉強ですよ。【レビテーション】は短時間ですが地面より浮いて移動できます。毒沼避け、落とし穴避けにも使われる初級魔術、地面に設置するタイプの罠スキルかあるいは魔術を仕掛けるのでしょう」
「なるほどな。早速作戦は決まったな。ならば突撃か?! モガぁ・・・」
「アル様まだですよ。ユウタ殿残りの説明をお願いします」
全くといっていいほど、アル様は人の話をお聞きにならない。
そんな時があるから要注意です。
人が話をしている最中にモンスターの群れに飛び込むので、我々近衛がどれほど苦労を被ったことか。
あふれるモンスターに「総員突撃ぃー」は自殺行為なのでやめて欲しいのです。
そんなアル様も可愛いのですけれど。
苦労する子ほど可愛いとはこのことなのでしょうか。
今日も黄金の鎧に金髪が美しい花の蕾なお人形さんのように可愛らしいです。
それにしても・・・ユウタ殿は商才もあり付与術に魔術にと色々長けている様子。
無茶ばかりするアル様のお側にあって、無謀をたしなめられるのはユウタ殿はうってつけでは?
惜しむらくは平民というところでしょう。
黒髪黒目に頼りない容姿からは想像だに出来ない多才ぶりです。
若く多才、ここはポイントが高い。お側付きの騎士としてなんとか取立てたいものです。
「えっと・・・オーク達を釣り出すのは俺がやりますので、皆さんは待機していてください。それと【アイスミラー】を使います。これにかかったオークから仕留めていきましょう。あと倒したらまた逃げるを繰り返します」
「納得がいかないぞ。と言いたいところだが、ユウタの考えた作戦だ。従おう」
「アル様そうですよ。それでこそ王者というものです。臣下の諫言には耳を傾けるべきです」
「だろう。ふふん」
どうやらアル様は本当にユウタ殿のことを気に入っている様子です。
ユウタ殿に対する気持ちですか・・・少しはその突撃癖が治る方向が見えてきたのでよしとしましょう。
もし本物の戦場に出ればすぐ死んでしまうであろうその行動が王国の未来を左右しかねないのですから。
「それではそろそろ仕掛けますが・・・準備はよろしいですか?」
ユウタ殿は【レビテーション】を皆にかけるとそのままオーク達を釣り出しに向かう。
アル様には強くなって欲しい。この先もずっとお守りできますでしょうか。
いや、弱気になってどうするのですシグルス・フォン・ジギスムントよ。
騎士の誇りにかけてアル様を守らなくてはいけない。王城の陰謀からも。モンスター達からも。
オーク達との戦闘が始まる。
キューブステータス サナダ・ユウタ 16才 冒険者
装備 ミスリルの剣 チェインアーマー チェイングリーブ 銅のメット 硬い皮のブーツ 対魔術の盾 銅の篭手
オークの弓 オークのワンド
邸宅有り セリア 人狼 モニカ 鍛冶士
スキル テレポート PT編成
特殊能力 なし
固有能力( 人形使役、人形化 )
▽
[冒険者LV43]市民49村人47戦士 47剣士 48弓士 48勇者 49狩人 49魔術士 46商人 43薬剤士 43騎兵 43弓騎兵43格闘士 43英雄 43治癒士 43料理人 43魔獣使い 39付与術士 39錬金術士 39木こり24下忍 24神官14人形使い14
所持金 34万2千弱ゴル(9万クーポン有)
斥候さんと苦労人の側近さんのお話でした。




