30話 村興しⅡ! (ユウタ、セリア、モニカ、アルル、シグルス、ヒロ、トラッシュ、ダル、ミギワ、ワウ、エリシス)
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某日某時刻 森の入口前
「ここが・・・ゴブリン共やモンスターに得体のしれない連中の住処か」
目の前には鬱蒼と生い茂る大森林だ。森を通り抜ける道はあるようだ。ユウタの話によれば補給用の休憩所を建築しているらしいが、そこでセルフィス達はやられたらしい。町側から森の開拓は進めていないようだ、道はそんなに広くない、奇襲を受けるようだと俺達でも安心は出来ないな。
獣人達の居住地を探すべきか、モンスターを駆逐していくべきか。はたまた、やはり補給用の拠点を確保しながら開拓しつつ確実に戦うか。
「とりあえず、セルフィス達がやられた地点に向かうことにする。トラッシュは斥候として先行してくれ」
「おう了解」
薄暗い森の中をゆっくりと進み始める。途中でブレードラビットやマンティスなどに出会うも1刀で斬って仕留めていく。オークやゴブリン達は一体どこにいるのか?出てこないまま進んでいく。
「(もしもし、ヒロ見つけたぜ。人族3人魔術系、戦士系、斥候系だな。内一人は【クローク】を使って隠れて索敵してやがる。こっちに来れるか)」
「(よくやったトラッシュ。ああ、もちろんだ。追跡は続けてくれ見つかったら即逃げろよ。最初から捕えるというより殺すつもりでやるぞ、生きていたらラッキーな感じでな。)ダル、ミギワ、ワウ、エリシス準備しとくように」
「了解!」
ここまで進んで、ほかの冒険者達に出会わない。ということを考えると、最悪の相手かもしれない。
高LVの冒険者達はほとんどいないし、駆け出しの連中が入ったきりだ。嫌な予感しかしねえ。
逃げられる相手ならいいが、逃がさないような相手だったら・・・冷たい汗が流れてきやがった。
追いかけすぎて、相手の罠に嵌るということもあるが・・・俺たちなら食い破れる。
「ヒロさんあんまり怒らないでください~【オーラ】ただ漏れしてますよ~」
「オッと、ワウすまん。ちょっと考え事してたんだわ」
「怒っているのは分かってますから、私達も全力でいきます」
「そうか」
しばらくしてトラッシュに追いついた。モンスターと接触しそうになったりもしたがスルーした。
「んじゃ・・・ヒロどうする。アイツら移動速度結構はやいぜ」
「そうだな、先制は魔術師にするが。仕留めるのは先にクロークしているほうだ。連中が気付く前に仕掛けて仕留める。いくぞ」
愛剣を抜き放つと、魔力と気を融合させて使用するスキル【オーラ】を乗せて剣圧による薙ぎ払う衝撃波範囲スキル【ソードウェイブ】を放つ。これで片付くならそれまでの相手だったということだ。
迫る黒い【オーラ】を乗せたの衝撃波だったが、魔術師は魔術系物理防御スキル【シールド】で防いだようだ。無傷か、だがいつまで持つかな。他の連中も躱したようだ、簡単にはいかないか。
背景に紛れて隠密行動するスキル【クローク】した相手に四人、大剣持ちに一人魔術師に一人まあどれが弱いかで、あっさり轢き殺す作戦だ。
相手は1工程魔術で誰でも使えるお手軽スキル【サンダー】連射してくるが・・・鎧にスキルでのパッシブ回復の方が上回るためこっちは無傷だ。
久しぶりに怒りでゲージはMAXだぜ。いくらでも耐えられるが、さっさと片付けておこう。
くっ・・・魔術の足止めか。近寄ろうとしたところで動きを止められる。不味いなやはり高LV同士ってことか。対人なれしたクソ野郎だ。
剣圧による衝撃波飛ばしスキル【ソード・ソニック】で牽制するが相手は気にした風もなく魔術【シールド】で防ぎ長い詠唱を始めようとしている。
足止めを束縛系状態異常を解除するスキル【スピード・リムーブ】で解除すると一気に接近して水平に斬りつける。
あっさり避けやがった。
【シールド】か。不可視の盾が剣と触れてバリバリと引き裂く感覚がある。
間合いを取らせないように連続で斬り掛かる。
唐竹・・・逆水平。縦に左右に斬りつけていくものの【シールド】を未だに破れない。
なんて堅い【シールド】だよ・・・斬りつけている俺のほうが参ってしまいそうだ。
が・・・いつかはその魔術を維持する魔力も尽きるだろうよ。
ククッ。しかし、まあ相性は最高にいい。ダメ系魔術を撃たれるほどに回復だぜえ。
ワンドに近接用に武器に雷属性付与するスキル【ライトニング】だ・・・エンチャントか。ワンドに乗せて切りつけてくる。まあ・・・手の内がバレねえように避ける。距離を取らせねえ様に張り付くが、斬ってすてるハズが長引きやがる。
「貴方やりますねえ・・・暗黒騎士ですか。対応力もかなりのものですね」
「けっ、ほざけや。雑魚が調子に乗ってんじゃねえ。そろそろ・・さっさと死になぁ!」
何とか詠唱を止めたようだが、この魔術師手ごわいぜぇ避けやがるし【シールド】は堅い・・・となると次はやはりあれが来る。
暗黒魔術を使うべきか。決められるときには決めてさっさと片付けたいが、まだのような気がするねぇ。
怒りが更なる力を与えてくれる。
クソが・・・避けられてばかりで当たりゃしねえ。
だが奥の手を出すにはまだ早えぇ、なかなかままならないものだ。
◆
ペダ村を出ようとしているとゴメスさんにロクドさんにスールさんPTが声をかけて来た。
「こんにちは、ユウタくん」
「よおユウタ、今から出発かい」
「こんにちはゴメスさんロクドさんスールさん。ええ、もう準備は出来ていますからね」
「そっちの方を紹介して欲しいんだけどよ。いいかい」
すっかり元気そうだ。PTメンバー達はぶらぶらしているのかな。
「ええこっちがアル様でシグルス様ですよ。」
「うむ、アルだ。よろしく頼むぞゴメス、ロクドにスール」
「ユウタ殿の知り合いか。ジギスムントと申す、スール殿にゴメス殿ロクド殿よろしく頼む」
貴族とか王族がまさかの最前線に出てくるとか、スールさんもゴメスさんも流石に予想できないだろうな。
どう見ても狩りどころか戦場になりつつある森の中で金ピカに白銀である。狙ってくれっていっているようなものですよ。昔どこかで見たことのあるような鎧みたく派手さに比例する特殊性能でもあるんだろうか。ないなら脱いで欲しい。
税金に関してゴメスさんやロクドさんと相談しておこう。目処が立てばいいな、立たないともっと何か考えないといけない。すっかり忘れていたんだけど、賦役に貢納、結婚税とか死亡税とか人頭税とかいろいろあるんだろうか。
「それで、ゴメスさん税金に関してなのですが、払う目処はたってますか」
「おっとユウタくんその話はこちらでしましょう。ユウタくんはこちらにおいで下さい」
聞かれては不味いのだろうか。それともアル様の正体に見当がついてるからか。
ゴメスさんとロクドさん。二人を交えて、村に出来た新築の家で話をすることになった。
「まずは、税に関してですが・・・既に目処は立っております。ですが、勝手な森の開拓についてはユウタくんはどのようにされるのですか。川の使用もかなり制限受けておりますし」
「なんとかなると思いますよ。色々考えてみますから。木材については退治に必要な開拓の一環なわけですし。前線基地に補給は必須ですからね」
いやあ。本当のこというと、全然考えてませんでした。けど今はアル様いるし、税金なんとか考えてくれるって言ってるしね。
木なんてやっぱ商品として成立するわけで。ガンガン租税とられそうだど。
色々考えたら、却って税金重くなりましたとか笑えないから。
なんていうかゴブリン達と戦うより、社会の現実と向き合う方が頭が痛くなってきた。
「ゴメスさんロクドさん。村に武器庫も用意しましょう」
「しかしユウタくん、村にはそんなに武器防具はないぞ」
「オーク達から奪った物がたっぷりありますので、そろそろ在庫整理のついでに置いておきますね」
「こんなにも・・・貰ってもいいのかね。売れば相当なゴルになると思うが」
「受け取っておいてください。それと新たに作ってもらいたい物があるのですが」
「ふむ、当てて見ようか。ズバリ酒ではないかな」
「・・・その通りです」
顔に書いてあったんだろうか、それとも消去法で儲かりそうな物と。
「分かりました。ここまで乗りかかった船で付き合ってくれるのですから、やってみましょう」
「そうだなゴメスさん。やるだけやってみるか」
色々やらせ過ぎだろうか。酒税とか当然のようにありそうだ。密造になるのか、隠れた商品にでもするしかないかもしれない。アル様と当然相談が必要だな、こうして考えるとこの護衛も無駄じゃないということで納得しよう。
遺跡巡りや迷宮潜るのはどこいってしまったんだ。スローライフに適度な刺激まったりしたかった。人生をやり直すハズがどうみてもハードスケジュールだよ。
「再建についてなのですが、村の家は十分な数になりましたか」
「それについてはロクドさんから説明していただきますよ」
「おっと。凄いもんだよ。家の骨組みに藁さえ出来て雨露さえしのげるだけでもいいのに内装まで考えてくれているからな。ユウタくんの説明で土壁に内部の家具も充実させようってみんなやる気だ」
「家具を売るのもアリですよ。上手く作れれば売り物になりますし。裕福な村になりますよ」
「そうですねえ、この陶器作りでコップを作れたのにはビックリですよ。たしかに窯は色々なことに使えていいです。量が作れないのが難点ですが、村人全員に回るまで頑張りますよ」
せっかく窯あるんだし数つくってパンとレンガについでに陶芸やらせればいい。ウハウハも目の前かもしれないよね。
さすがに使い古された木製のコップに濁った水とか洒落になってない。そりゃ疫病とかもはやるわ。浄水装置も考えたいところだが、逆浸透膜が・・・こいつの製造が問題だけどさすがに無理っぽいな。日本の技術の粋でもあるからなあ。単純には作れない。
となるとやはり人口の拡張が問題になるわけで。かといってまだ村の家や設備も十分ではないしなあ。
見張り台に櫓とか物見台とかさ作る必要があるんだけどな。他に村が出来たりあったりするなら信号台も作らないといけない。
まだまだ課題は多いなあ。おっとそろそろ話を止めて出発しよう。
「では、ここまでで。話を聞いて頂いてありがとうございます」
「いや、何から何まで助かっているよ、また頼む」
「そうですね、またいらしてください。ロクドさんも私もお待ちしてますよ」
無償奉仕が止まらないよ。うーんこんなことするよりも可愛い女の子を探しに王都をぶらぶらするべきじゃねとか考え始めた。オッサン達との村再生に情熱が燃え尽きちまいそうだ。潤いはどこいったんだ。
大分ストレスが溜まっているのかなあ、妙なことを考えてしまった。
「遅いぞ、ユウタ。早くしろ」
「すいません、今後の村のこともありますので相談していました」
「ん、まあわかるぞ。森の木を勝手に伐採しているとかな。税を用立てるために更なる税を作るか。ユウタは働き者だな。だがまあ、私の為に働くというのだから少々骨を折ってやろうではないか」
なんか噛み合っていない。勘違いをしているようだ。
「アル様。それは」
「アル様ありがとうございます。村人達も安心します」
なんてこった、もうすでにバレてる。意外に頭の回る子だったよ。只の目立ちたいだけの金ピカ野郎? だなんて思ってた、ごめんなさい。
【ゲート】を使って門を出して森の入口まで移動することにした。
キューブステータス サナダ・ユウタ 16才 冒険者
装備 ミスリルの剣 チェインアーマー チェイングリーブ 銅のメット 硬い皮のブーツ 対魔術の盾 銅の篭手
オークの弓 オークのワンド
邸宅有り セリア 人狼 モニカ 鍛冶士
スキル テレポート PT編成
特殊能力 なし
固有能力( 人形使役、人形化 )
▽
[冒険者LV41]市民47村人45戦士 45剣士 46弓士 46勇者 48狩人 48魔術士 44商人 41薬剤士 41騎兵 41弓騎兵41格闘士 41英雄 41治癒士 41料理人 41魔獣使い 36付与術士 36錬金術士 36木こり21下忍 21神官11人形使い10
所持金 34万2千弱ゴル(9万クーポン有)
争いは同LVの者でしか発生しない!という感じで。
しかし3対6ひき殺されて普通は終わりですね・・ヒロ、鬼です。




