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ヘタレの異世界無双   作者: garaha
二章 入れ替わった男
275/710

90話  強奪さん21-22(ユウタ、アルーシュ、モニカ、ミミー、ヒロ、ゼメキス)

 平手打ちが飛んできた。痛い。

 目が三角になったアルーシュは金ピカ鎧だ。が、その下にゴスロリ女っぽい格好をしている。無論、神術で見かけを変えているのだろうが。

 もう一度、平手で打とうとするが。


「何か、私にいう事はないか。このビッチめが」

「いえ。何も?」


 あべこべである。ビッチとはなんだ。ビッチとは。怒りが全身に湧き上がった。

 幼女の手を握る。アルーシュは、顔を歪めた。バレたのか。というか。不可抗力だ。しかし、上手い言い訳できない。手を振り払われた。何もやっていない。無実だ。なのに、話を聞く気はないようだ。張られた頬を撫でる。


 すると、アルーシュは後ろに周りこむ。密着すると、身体に飛びつく。腕を首に回して締めあげてきた。やめてほしい。

 全くない胸が当たる。幼女なので、色気のかけらもない。アルーシュは、鼻息もあらく締めあげるつもりのようだ。鎧が、背中に当たっている。力は、セリアほどないのが幸いだ。

 が、首を締めあげられるので、抵抗する。


「ビッチビッチビーッチ! ああ、本当にビッチだ。しらばっくれるんじゃねえ。わかってんだからな! どうしてくれようか」

「し、締まる。止めて」


 ビッチとは。使い方を間違えている。死にそうだ。死ぬ。息ができない。


「おのれええ。誰にでも股を開くとは…。勝手な事をしているんじゃない!」

「うう。すいません」


 やましい事など何もない。しかし、怒る女は手に負えない。理屈だとかなんだとか無視するのだ。話は聞かないし、聞く気もないのが女という生き物。感情で生きているというか。そういうものだ。


「反省しているんだろうな」


 アルーシュの腕が、すっと解かれた。ほっと胸を下ろす。周りの人間からは、いやな感じしかしない。いろんな視線が突き刺さっている。

 長椅子に座ると。アルーシュはよりかかってきた。むくれている。


「で、全員としたのか。そーだな。では、私と入れ替わるのも了承するよな」

「それは…。してませんから!」

「するよな!」


 信じてもらえない。何を見たのかわからないが、アルーシュは強気だ。

 有無を言わせない勢い。が、そうはいかない。


「難しい、です」

「何故、難しいのだ。ただ、王様をやるだけだぞ。何の問題もない。物分かりよく座っているだけでいいぞ」


 それは、ありなのか。王様は、別に居るはず。王子が勝手をしていていいのか。

 アキラが、割って入る。訳がわからないと、手を上げながらしゃべる。男の外見を見て、ホモだと思っているのだろう。とんでもない事をいう。


「なんだホモか。あの、ユーウが困っているみたいなんですけど。事情を…」

「誰だ、貴様は。今、ユーウと話しているというのに。黙っていろ、殺すぞ。ああん? 雑魚め、今すぐ成敗してやろう!」


 アルーシュが、手をアキラに向ける。闇の神術だ。危ない。ぶっ放す気だ。ラトスクの街並ごと消滅しかねない。

 幼女の手を取ると。


「やめて。待って。ああ、やります。やりますよ」

「ほう」


 アルーシュはニタァーっと口を歪めて悪い顔をした。悪い予感しかしない。アキラは、首を右に左に振っている。首振り人形のようだ。


「お、おい」

「私は、黙っていろと言ったぞ雑魚。石にして変えてやろうか。私は、馬鹿が嫌いだ」

「待って、待って。だから、そんな事止めて」


 折角苦労して、アキラを仲間に引き入れようと遇しているのに。めちゃくちゃにする気か。確かにアキラは言葉遣いが悪いし、弱いけれども。殺させる訳にはいかない。色々やった時間が台無しだ。

 気味の悪い笑顔を浮かべたアルーシュは、肩に手を回していう。


「ふむ。じゃあ、私と一緒に王城へ移動するぞ。早速、仕事をしてもらう。くっくっく」

「ええ!? でも、こっちの仕事も」

「そんなもんはどうでもいいだろう」


 もうどうにもならない。せめて、アキラに事づてを頼むと。王城にいく事になった。

 外見を変えて。




 ミッドガルドの王城に転移した。転移室を出ると、兵士がずらりと並んでいる。

 用意周到だった。

 アルーシュの宮殿は、黒と金で内装が施されている。アルーシュの神術で外見を変えているとはいえ、それでいいのか。まさに、成りすましだ。びくびくしながら、歩いていると。


「こら、びくびくするんじゃあない」


 念話だ。金ピカ鎧を脱いで、女の格好になったアルーシュが後ろを歩いている。王子様を何故やらせようとするのか。

 玉座の間に、控えているのは文武百官といった面子だ。


「しかし」


「しかしも案山子もあるか。速く、歩け馬鹿」


 頭から下まで、黒いゴスロリ風の服装をしたアルーシュに後ろから突かれる。

 人々の視線で、心臓が飛び出しそうだ。玉座に座ると。ゼンダックが口を開く。


「どこへ行っておられたのか。アル様。失踪されては、審議が滞りますぞ。して、その娘は」

「ああ。婚約者だ。伴侶として、国務を担わせる。今日は、顔見せだ。よいな」


 アルの声が、喉からでるとは。不思議だ。


「しかし」

「しかし、ではない」


 アルーシュが側によってきて、腹話術気味にいう。なんと器用な。

 そして、ざわめきが走る。早くも魂が抜けそうだ。ゼンダックは、目を血走らせている。


「よし。よしよし。後は、黙っていてもいいぞ。くーっくっくっく」


 念話でいう幼女は、得意げだ。アルーシュは、扇子を手に持って。それで、にやにやした顔を隠す。その後は、アルーシュが話すのをただ見ているだけであった。審議も終わりかけ。


 アルーシュの鋭いツッコミでゼンダックがしどろもどろになったり、青くなって泡を吹き出して倒れた。それで、終了となる。アルーシュは、のりのりでゼンダックをいたぶっていた。仮面は、どこかに投げ捨てたようだ。

 文官、武官が退出していくと。奥にある自室へ引っ込む。


「どういうつもりなんだ」

「はあ? どうもこうもない。初お披露目だな! 中々、立派な立ち姿だったぞ。これで、先んじたわ。セリアも今頃は、悔しがっているに違いない。ウォルフガルドを継いでもらうだとか、そうはいかん」


 と、部屋に光が人を作る。出てきたのは、アルルだ。小柄な幼女が黄金の鎧を着ている。赤いマントが地面についてずりずりとひきずられていた。アルルはアルーシュに詰め寄る。


「あわわ。抜け駆けするとか。ないのだ。馬鹿なのだ。うあー。アルーシュ、本当にやったのだ。どうするつもりなのだ。アルカディアは、置いておいていいのか」

「仕方ないだろアルル。私が、遊ぶにはお前が戻ってくるかアルトリウスが戻ってくるかしないと無理なのだから。つまらん。そうこうしているうちに、やられてしまったではないか」


 アルルは、アルーシュと交互に見た。


「そんな事いったって、シグルスの頼みは断れないし。しょうがないのだ。だいたい、もう食ってるのに独占とかできないのだ。アルーシュが抜け駆けするからティアンナも同じ手にでるのだ。わかっているのか」

「えっ」

「アルルの馬鹿っ」


 馬鹿な。嘘だ。信じない。だというのに、アルルは続ける。


「ティアンナ、怒っているし。アルーシュも抜け駆けしないって、言ってたのにこれだもん。勝手にやられると、こっちが困るからいっておくのだ。えっと、ユーウ。こいつユーウが寝ているのをいいことに勝手にセリアととグルになってやってるから。股間が痛いのだ」

「え、と。そんなの駄目でしょ」


 知らない間にやられていたのか。そうとは知らずに寝ていた。という。あり得ない。


「駄目だっていっても、こいつやるから。部屋にいれちゃ駄目なのだ。セリアもグルなのだ。あ、DDもグルなのだ。他の人間の方がずっと我慢しているのだ。子作りには早すぎるから、無理みたいだけど」


 アルーシュは、顔を赤くしている。


「じょ…」

「冗談だ。真に受けると、馬鹿を見るぞ。この話は止めだ」

「もう、入れない」

「それは、困る」


 アルーシュは上目遣いで唇を震わせる。が、絶対に入れない。子供ができたら大変だ。


「絶対入れない」

「困る」

「……」


 アルーシュは、人の身体をなんだと思っているのか。玩具ではない。


「うーん。しょうがないので、アルカディアはヒロかゼメキスに任せて。シグルスもしたがってるし。あ、ヒロとは知り合いだったか、? ん、あれ。あ、ゼメキスというのは今の赤騎士団団長だな。赤騎士団だけでも7万程度いるからな。屯田兵やらせるのも程があるし。帰還させるべきか迷うなあ」

「こいつ、セリアの事にばかり気をかけているからな。アルカディアは、放置してていいと思っているらしい」

「しかし、なんでもかんでもできませんよ」


 アルカディアの状況は、わからない。が、資料で見る限りはミッドガルドよりずっと悪い。が、ウォルフガルドよりはいいと行ったところか。


「糞っ。目論見が…あ。まあ、いい。早速迷宮に行こうではないか」

「はあ」

「私に押し付けるとは、酷いのだ。交代で、入らせて欲しい」


 アルルは、アルーシュをぽかぽか叩いている。その頭を押さえつけて。


「それはそうだ。おかしい、だろ。私にばかり押し付けてたくせに」

「あ、あと。いきなりやりだすのは、なしなのだ。三人同時になってしまうんだから、大変なのだ」

「こら!」


 形勢の悪化を感じたのかアルルは、変な事を言い出す。

 目が回りそうだ。三人同時とは。あまりつっこまないでおくことにした。


「ええと、行くぞ。これ以上、いると。こいつのせいでおかしな事になる」

「はあ。でも、一緒には寝ませんよ」

「うっ」


 黒いゴスロリ服を着た幼女は、力が抜けると言った風にしおしおと萎びた。

 萎びたアルーシュと一緒にアキラを追いかけていく。転移した先からすぐに、事務所を出ていく。すると、ラトスクの町を出る所でアキラたちはまだウロウロしていた。


「おお。あ、あれ。やっぱ男が好きなんだな? 大将。やっぱホモじゃね」

「ホモじゃないです」

「ふむ。下郎、強奪のスキル持ちらしいではないか。殺しておくか」

「待って。今は、仲間だよ」


 いきなり殺されてはかなわない。だというのに、アルーシュは殺したがる。


「ホモだと、なんと無礼な。だが、しかし、こいつ。強奪の勇者と出ているではではないか」

「それは、置いておきましょうよ。脇に置いとく、おいとく」

「チッ。珍しい。アキラとか言ったな。歯向かうようなら、容赦はせぬ」


 アキラは、震え上がっている。文字通り。


「あんまり脅したら駄目ですって」

「どーだかな。それより、フィナルやエリアスにばれないように気をつけろ。刺されるぞ。いや、刺されてしまえ」


 アルーシュをパーティーに加えて、餓狼饗宴にはいった。というのに、ネチネチいう。ティアンナたちとの事で、根に持っているようだ。

 出てくる魔物を焼いて、斬っていく。アルーシュが先頭をいくと、アキラが手を出せないではないか。なので、アキラに弓を持たせたが狙いが定まらない。スケルトンが出てきて、頭を狙えずに身体の何処かをすり抜けていった。


「…おい。こいつは雑魚過ぎる。要らんだろ」

「いえ。まだ、これからですよ」

「ひ、ひでえ。俺、剣士なんだけど? 弓手じゃねえもん」

「ん。まさか、パーティーに入れてないのか。面倒くさいだろ。さっさと入れてレベルだけでも上げてしまえ」


 ばらした。あり得ない。それで、アキラは。


「え、何、どういう事」

「どうもこうもない。糞雑魚が、…教えてやろう。こいつのパーティーに入っていれば、なんだ。21か。またしょぼいな。剣士だと。ぷっ。なんて雑魚だ。こいつ、これでよく勇者だとかなれたな。あーはっはっは」


 笑いながら、出てきたウルフの群れを炎の剣で一掃した。


「どういう事だってばよ。大将。訳が分かんねえんだけど。王子様のそれ…すげえ【焼きつくす灼熱の赤】ってなんだこれ。伝説級の武器じゃねえか。自動追尾とか鬼だろ」

「む、貴様。こいつを見れるのか。…ウォルフガルドなら、キューブでなくてステータスカードか。ユーウが贔屓にするからには、それなりにやるのだろうな。ちょっと、見せて見ろ」


 グラムを勝手にまた鑑定したのか。アキラは、アルーシュにステータスカードを手渡す。と、アルーシュは腹を抱えてよじる。失礼な。


「ぷっ。雑魚すぎるわ。なんだこれ、このステータス。能力なさすぎだ。如何にスキルがあろうと、だ。結局はステータスが物をいうというのに、全然鍛えていないではないか。なるほど、レベルだけ上がっても意味がないという事か? いや、マスタリーも低い。お前、奪うだけで使ってこなかったろう。気絶しようが何しようが魔力の絶対量を増やすのは最優先事項だぞ。ああ、ここに来たのはつい最近なのか。ふーむ、まあパーティーに入れてもらえ。ここまで聞いた以上、逃げられんがよいな?」

「よいなって。…えっと。その、大将のパーティーに入るとどうなるんだ」

「まず、経験値の入りが変わる。例えば、ウルフを一匹始末したとしよう。通常なら、一匹で10入るところ。それが100とか200なら?」

「マジで?」


 軽く飛び上がったアキラは、アルーシュの横にならんだ。


「ふむ。まあ、信じられないようだが。そうか。ユーウは男が嫌いだからな。ロシナやアドルですら、嫌がるくらいだ。とにかく追いつかれるのも嫌がる。パーティーに入れてもらう事を最優先にした方がいいと思うがな。ここでは、金も稼げんだろうさ。で、どうする。もう、仲間なんだろう?」

「まだ、様子見です」

「ぷっ。残念だったな」

「そりゃないぜ。ミミーちゃんやモニカちゃんも一緒のパーティーなんだろ。このとーり、お願いします」


 正面に立ったアキラは、がばっと90度の礼をとった。しかし、男はお断りだ。


「入れてやれ。頭を下げているのに、せこいぞ」


 アルーシュが、ぶっきらぼうにいう。

 と、アキラが。


「流石、王子様。お似合いのカップルですねえ」

「ほう。貴様、よくわかるではないか。褒めてつかわす。ふむ。入れてやるがよい。寛容な慈悲は、王者の務めだぞ」


 ちょろい。アルーシュはちょろすぎる。そして、なんだかむかつく。

 敵がいなくなったら、前進していく。アキラは、した手にでる事を覚えたようだ。アルーシュは上機嫌になっている。慈悲とは、意味が違うのではないだろうか。ちょろい幼女の機嫌がよくなったのは、幸いだ。


「わかりました」

「やったぜ。これで、借金返せる! かつるわ」

「ふふん。感謝するのだな。さっさと奥のボスまでいって、ポッキーゲームでも…」


 ポッキーゲーム。不穏だ。

 パーティにアキラを入れると、正面から矢と槍が飛来した。罠か。いや、敵だ。


「むっ」


 モニカがミミーをかばって立つ。アルーシュの剣が槍を跡形もなくとかした。

 前方から姿を見せたのは、いかつい男だ。冒険者風の服が合っていない。筋骨隆々で、胸元が見える。が、生身なのか疑わしい。というのも、腕の皮から下がわずかに見えた。そして、女を連れている。後ろに2人。そして、巨躯の魔物を連れていた。水玉(ウォーターボール)を投げつけると、冷凍(フリーズ)を使う。

 

 あっさりと凍った。


「問答無用だな」


 アルーシュが、耳の長い女を白い光を反射する剣で斬る。悲鳴もなく氷と胴と下半身で別れた。ついで、男に斬りかかると剣から炎が吹き出す。舐めるように炎が身体を貫き、薙ぐと。


「これは」

「ロボット見てえだ。でも、人の皮つけてんならアンドロイドか? 硬そうなのに」


 言葉が終わる前に胴から、バチバチと火花が飛ぶ。ロボットか。はたまたアンドロイドのようだ。このような敵は、あまりいないが。迷宮だ。何が出てきても不思議ではない。硬い胴なのか、溶かした金属とその身体は動きそうだ。魔物の方は、オーガだ。洞窟を窮屈そうにした青いオーガの身体が氷になって転がっている。頭の部分を溶かすと。鬼顔を左右に振る。オーガは、目を剥いて叫ぶ。


 アルーシュは、面倒臭そうにいう。


「おい。倒しておけ。青いオーガか。珍しい。中々大きな魔物だが、譲ってやろう」

「いいのか?」

「止めを刺すと、入り方が違うからな。ああ、組めないでいる内に奴が倒すと全くあがらないだろうさ。だから、一つの職だけでも上げておかないと非常に苦しい。場違いな場所に連れて行かれると尚の事だ。というか…貴様。役に立たない奴だな」

「とほほ。…へこむわあ。きっつい王子様やなあ。なんか、ゲームっぽい。ふうん」


 アキラは、オーガの頭を殴っている。モニカもミミーも一緒だ。死体と氷をイベントリに入れる。

 モニカはキューブ持ちだが、ミミーはアキラと同様にステータスカードだ。ミミーのはもっと酷い数値だが、気にしてもしょうがないだろう。レベルが30超えても、体力が15だったり、筋力が10もいかなかったり。敏捷値は高い。35はあるので、種族特性なのか。それともミミーの犬という職が影響していたのか。


「やったあ。上がりましたよ。ユーウさん」


 ミミーが飛び上がった。そして、ミミーのステータスカードを見せてもらうと。そこには、犬から犬調教士にクラスアップしますか。というのが表示されている。


「アップするの?」

「した方がいいに決まっているだろ。犬ってなんだ。初めてみたぞ。いや、例はあるのかもしれんが」

「はい」


 犬調教士だけではない。犬戦士や犬剣士も表示されているが。忍犬もある。


「じゃあ。忍犬にしようよ」

「えっ。と、そのなんなんでしょう。これ」


 犬調教士。クリックすると。


「犬調教士は、複数のテイマージョブか。しかし、金がかかりそうだな。金がないのなら、犬剣士や犬戦士がいいだろう。ああ、斥候職かこの忍犬は」


 犬調教士:【体力には優れない。犬から派生する後衛職。複数の犬を配下にすることができる。犬の強化スキルによっては化ける職。犬を増やすには、レベルの上昇が必要。複数の犬にスキルをかけられるが、上限を超えた犬にはかけられない。また、限界を超えた犬を連れて歩くと居なくなる可能性大。総合的に見れば、魔獣使いの劣化版】


 何か、悲しい。


 忍犬:【体力は低い。犬から派生遊撃職。犬を連れて歩く事も可能。素早い動きで、相手を仕留める。スキルが自己強化に走るため、レベルの上昇にしたがって複数の弱体化スキルをかけられるようになる。飛び道具にも使える苦無の扱いと手裏剣は忍者にも負けない。攻撃役として、お手軽にダメージを叩き出せる。しかし、脆いため殴られると死にやすい。斥候をするには、もってこいの職であろう。ただし、忍術を覚えだした場合には脅威になる。忍者と斥候の劣化版】


 こっちも切ない。


「しかし、これは迷うな。犬戦士と犬剣士も劣化版だが、前衛が充実しているからにはいらんだろう。あの淫乱ピンクも前衛寄り。ふむ」

「金がないので、忍犬ですか」

「化ける可能性があるのは、犬調教士だがな。殴りテイマーになりそうだが。ああ、体力がないのが弱点か。とすると、忍術の使える忍犬か。回復をサブにつければ、役に立ちそうだ。可愛さは、認めよう。犬っころだけに、尻尾を振っている。けどなあ役不足だな。セリアの下位互換でしかないぞ」


 アルーシュは、ミミーを捕まえると尻尾をギュッと握った。

 ミミーは、涙目だ。ツーヘッド・ウルフが現れても、尻尾を弄りながら魔剣で真っ二つにする。余裕だ。


「いじめは駄目ですって。いけませんよ」

「ふん。中々に可愛らしいじゃないか」

「ひん」


 アキラは、蚊帳の外に置かれている。が、ステータスカードを見たまま震えていた。


「お、おい。いきなり、1上がったぞ。あり得ないだろ」

「ふふん。納得したか」


 驚くアキラにアルーシュは己の事のように破顔した。


「い、いや。なんで、あがんの」

「うむ。補正だな。経験値が入る量が増大できるという事だ。それとは別に、経験を積んでいかないと死ぬぞ。さっきのあれを見て、動けないようではな」


 天井を這うように手の長いワーウルフがくる。

 が、アルーシュの持つ【焼きつくす灼熱の赤】それが放つ炎が狼男を焼く。形状を変えると名称まで変わるという。嫌な臭いと共に、天井から炭が降る。

 アルーシュがパーティをしきりだした。面白くない。






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