24話 森から帰還! (ユウタ、セリア、モニカ。謎の人物たち、ドス、セルフィス、サワオ・バルト、ロース)
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某日某時刻 森の奥
「かーまさか奴がやられるなんてねえ・・・」
「・・・さてどうするべきか」
「まあなんにしてもやることはあまりかわりがないな」
「奴はその程度の男というだけのこと」
「奴の捕らえていたエルフたちはどうしようかね」
「扱いは丁重にな。計画に支障はなしだ」
「以上だ。」
◆
アーバインの町・・・かつてはルーンミッドガルド王国の都として、栄えたこともある由緒正しい古都でもある。
アーバイン城は防衛機能にも優れ、その姿は湖に立つ白鳥とも評されるほどだ。
堅固な城壁を持ちながら、大理石をふんだんにつかった城の外装はかつての盛時の面影の残り香だろう。
町は全体が円形で外壁に守られていて中央道は広い道幅で整然としており、外壁からは夕暮れになると水堀に夕日が城が映り、住民達の心を癒す。
その光景は今も絶景であった。中央にある迷宮からは、宝物を目当てに冒険者達がしのぎを削り、毎日が忙しくすぎていく。
だが、現在は流入する流民によるスラム街の発生、減少する住民、増加する盗賊、跋扈するモンスターに悩まされるありさまだった。さらに追い討ちをかけるかのようにゴブリン達による町の襲撃は外壁を破壊され、住民達を恐怖に陥れた。そんな中に一つのPTが冒険者ギルドに帰還してきた。
「どなたか治癒士をお願いしたい。重傷を負っているものはいないが疲労で皆立てない。救護室まで運送を頼みたいのだがどなたか頼めないか」
夕方になっていたが、人はいるようだった。ギルド内には救護室もあるし、救急用に治癒士も待機しているはずなのでそこに皆を運びこもう。辺りは夕暮れに入りかけていてほのかに魔術を応用したランプが点き始めている。
薄暗いゲート用転送室も広い、出るのに一苦労するほどだ10m四方の部屋からでて私は皆を引きずり出す。冒険者が呼んでくれたのかギルドの職員が駆けつけてくれた。
「あの大丈夫ですか?」
「いえ見ての通りです。まったく大丈夫ではありませんよ。皆疲労で動けません。仲間を救護室まで運んでもらえませんか。ギルドマスターに報告したい事がございまして、面会を希望したいです」
「サワオ様がギルドマスターに面会ですか? 分かりました。こちらの方達は今、運びますね」
「よろしくお願いします」
ふー、紅茶を一杯飲んで一息つこう。私も一緒にすぐ寝たいところだが、支部のギルドマスターに報告しておかねばあの森に入る冒険者達が危ない。周りを見ると何やら冒険者達が遠巻きに集まっている様子だった。
Bランクのセルフィス達がボロボロになったのが気になるのだろう。ゴブリンか・・たしかに余裕もって当たれる相手だった。Bランクであれば、このようなところに来てゴブリン狩りなどしないのが普通であるのだからである。少々騒がしいが、ギルド内にある円形のテーブルを前に椅子に座る。
一昨日まで潜っていた迷宮は滅んだ魔術都市の残骸のある地下迷宮だった。歯ごたえのあるモンスターが多くパンプキンやナイトメア・・イービルアイ厄介な魔物達ばかりだった。奴らの持つステータス異常【炎上】【恐怖】【石化】違う。あれはそんな生やさしいものではなかった。
セルフィスもドスも高LVにふさわしい魔術抵抗力をもつ防具を備えていたし、簡単にはステータス異常に掛からない。あの少年の持つスキルに掛かってから一切の抵抗ができなかったのだから。【麻痺】【混乱】【睡眠】などに対しても治癒師であるルイムは装備アイテムで抵抗するはずだったのだ。あの少年は、一体なんだったのか。思考するが結局、結論はまとまらず目の前の紅茶は空になっていた。
「お待たせしましたサワオ様。ギルドマスターがお待ちです。こちらにお出で下さい」
「わかりました」
ギルド内にある一室に通されるとしばらく待つ。調度品はそこそこのものだ、ソファーも悪くない。応接間の調度品でギルドの様子がわかることもある。魔術ランプに明かりが煌々とと持っている。
見事な白髪をオールバックにし、あご髭を蓄えた老紳士という雰囲気を持つ人物が入ってきた。
「お待たせした君。すまないね、私が当支部のギルドマスターでジョン・ロースという。それで用件は一体なにかな」
こちらに興味はあるし質問をしたいところなのだろうが、まずは話を聞こうという姿勢はありがたい事だ。そういえば、自分の顔は今どうなっているのか、鏡を見るべきだったな・・礼に失する所があったのではないか。だが、この事は一刻を争うかもしれない。
「私はサワオ・バルトと申します。ロース氏に森の中での出来事でご報告したいことがあります」
私は森の中のゴブリン退治に赴いて不思議な少年とあった事やユウタくん達に助けられたことを話した。やはり肝心なのはあの少年の事だろう。あのようなスキルを見たことがない。
「ふむ。つまりモンスターを操る人間、もしくは集団がいる・・・とそういうことですかな」
「確証は得られませんが、倒した少年以外にもまだいるとすれば非常に脅威であることは確かです」
まったく動けなくなる上に操られて解除も抵抗もできない。ユウタ君達が来てくれなければどうなっていたか。
森の中でモンスター達の餌かそれとも少年の奴隷か。いずれにしても最悪の結末を迎えたことだろう。あの時受けた激痛と怒り、悲しみで思考が止まりそうになった。
「確かに、だが対応のしようが現状はないのが実情だ。騎士団には報告を入れるがね。依頼については現段階では危険について注意を呼びかけることくらいだ。話に出て来た少年ユウタくんといったか一応話を聞くべきかもしれないですな。」
「そうですね、話を聞いて頂きありがとうございました。それでは失礼いたします」
「こちらこそ、有意義な報告でした。またよろしくお願いしますよ、サワオ殿」
そう冒険者がクエストを受けるも受けないも自由なのだ。PTによっては美味しいクエストなのだから。高ランクの冒険者達が出てくるようなクエストではないのだし。
だが、あのような存在がいるとすれば高ランクも低ランクも等しく危ないのではないだろうか。応接室を出ると重い足を引きずって救護室に向かう。長い廊下を歩いているような感じだ。
冒険者たちがいるカウンター付近までくると揺ら揺らと目の前が揺れてきた。ドサッとなにか音がする。ああ・・・これは地面か。自分の体が倒れたのだと感じた。
「おい! 兄ちゃん大丈夫か? しっかりしろ!」
冒険者たちの声がする。呼んでいるようだが全身に力が入らない。
また・・もう一度みんなと冒険をしたい。みんなと迷宮に潜ろうきっと楽しい明日が待っている。
・・・もう一度だ・・そう考えるうちに目の前が真っ暗になった。
◆
ゲート開くと王城は目の前だ。
アル様が城門番をと話をするとこちらに戻ってきた。
「ユウタ。報酬は、明日迎えに来たときに渡すことにする。つまり、迎えに来なければ報酬は無しだ。城門番にも話をして置くから。明日、必ず迎えに来い、わかったな?」
「アル様わかりました。・・・明日どうしてもですか?」
「そうだ。どうしてもだ。いいなユウタ」
そう言うとアル様は興奮した様子で、王城の中に入ってしまった。なんという我が儘ぶり・・・少年? 元気すぎるだろ。
まあ。一旦、帰ろう。
邸宅に帰ると風呂を焚きつつ飯を用意する。
給水場はつくってあるのでモニカには洗濯をしてもらう。
セリアは武器防具の手入れに掃除だ。
風呂の湯加減はいい感じだ。
しばらくして二人に作業の途中かもしれないが風呂に入ってもらうことにする。
台所に立つ。そのうち蕎麦、うどん、ラーメン、スパゲティを実現させねばいかん。
麺を打っている暇がない・・・そうか村の人につくってもらえばいいんや!特産品になるかもしれないしね。いい考えのような気がする。俺の腹も満足、村もハッピーになれる!
今日の献立は柔らかくなったパンと・・・ウルフの肉で出来たミディアムな・・ステーキとペダ村産サラダ
だ。ウルフの肉が血まみれでなんともいえない感じだったが・・・慣れないといけないな。
香辛料が・・・ないだと・・・。醤油もつくらないといけないなと確認した。
誰だバーベキュー言った奴は! と思ったが疲れきってそれどころじゃあない。
材料とかもちっと充実させたいところだ。特に味付けがヤバイから・・
ああ・・風呂三人で入れば?って無理だしワシ死ぬ気はないから。
確かに合理的で時間短縮にはなるけれどね。
二人が上がってきたようだ。
「セリア、モニカ。飯できてるから先に食っといてくれ。」
臭いからなあ・・取り合えず風呂に入って匂いを取ろう。
すっきりすると着替えをしてから、二人の所に向かう。
せっかくステーキ出来立てホヤホヤだったのだが。冷めちまうのにな・・・あ。二人とも食べていなかった。
「あー、二人とも暖かいうちに食べたほうが良かったんだけど」
「そんなことはできないぞご主人様、あくまで皆と食べるのが趣旨なのだろう? でなければ同席しかねるぞ。
「そうですよご主人様、みんなで食べるんでしょう」
「まーそうだなすまなかった。気を付けるよ、ありがとな。いただきます。」
二人との距離が縮まったような気がするが・・気のせいだよな。
ちょっと涙の味がするような。
食後はセリア先生に読み書きを習う。モニカは洗濯に武器防具の手入れだ。
テーブルじゃなくてもっと立派な机が必要だな。こうがっしりとした奴をですね。
北欧系かミッドセンチュリー系で・・・ほしいところだ。そしてセリアとムフフな・・
パン! あいた・・痛いですセリアさん。顔に書いてあるんだろうか。
あー、【製薬】もしないといけないんだった。
読み書きを一旦中止して【製薬】を開始する。レッドハーブでHP回復薬か・・ブルーハーブでMP回復薬・・イエローハーブで状態異常回復薬を作ることにする。
ペダ村の売り物も考えないといけないし特産品の充実、あの少年は一体なんだったのか。
森の奥には一体なにがあるのか。つらつら考えながら作り続ける。
俺は限界まで頑張って製薬するとペットに倒れこむようにして寝た。
キューブステータス サナダ・ユウタ 16才 冒険者
装備 鋼鉄の剣 チェインアーマー チェイングリーブ 銅のメット 硬い皮のブーツ 対魔術の盾 銅の篭手
オークの弓 オークのワンド
邸宅有り セリア 人狼 モニカ 鍛冶士
スキル テレポート PT編成
特殊能力 なし
固有能力( 人形使役、人形化 )
▽
[冒険者LV37]市民44村人42戦士 42剣士 42
弓士 42勇者 44狩人 44魔術士 40
商人 37薬剤士 37騎兵 37弓騎兵37格闘士 37英雄 37治癒士 37料理人 37
魔獣使い 36付与術士 31錬金術士 31
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