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ヘタレの異世界無双   作者: garaha
一章 行き倒れた男
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2話 町にいこうよ! ●(ユウタ、ゴメス、村人、盗賊)

挿絵(By みてみん)

「ボクの名前を言ってみる! あ、あれ? 知らない?」

 最後に、屋敷で村長さんに会う。

 そこで、この村ことペダ村について色々と教えてもらった。

 村人たちの仕事は、麦と芋の生産がメインみたいだ。

 特産物は、これといってないらしい。

 北国だというのに何故か温暖で、魔物もろくにでないとか。

 北の国なのか。朝が肌寒い訳だ。 


 森からゴブリン達の村襲撃する為に出てきたのが、最近の一大事件らしい。

 村長さんには、しきりにこの村に残らないか。

 というが、無理だ。家を用意する、とか。いろいろと勧められた。

 しかし、村を出る気に変わりはない。

 だって、無理だろ。 


 ふむ。アーティが、フリーだったら又話は変わるけれどね。

 どうも、ゴブリンを仕留めた弓の腕について村人達から聞かされていたようだ。 無理だからさ! マジ無理です。

 アーティのことを思い出すと、七転八倒の苦しみだ。

 俺の生命力はもう0よ。心の傷を抉るのやめてくれ。

 

 と、本音を村長に言えるはずもない。どうもファンタジーな世界らしい。

 剣と魔術の在る世界みたいなのだ。魔物もいるようだしね。

 ゴブリンなんて、ファンタジーの定番すぎる相手だ。

 それなら、当然迷宮に行きたいしね。俺つええしたいもん。

 

 ゆくゆくは、俺だけのハーレムを作ろう。ぐふふ。

 次の町に、冒険者ギルドとかがあるといいのだけど。

 色々話をしてくれる村長さんは、親切だ。

 そして、まだ俺に未練があるみたいだ。

 お茶も出してくれるとは、なかなかに気が聞いている。

 紅茶なのかよくわからない、茶だ。

 町までいくのに、1人では心細い。話を聞けば、周りはこんな風だ。


挿絵(By みてみん)


 村を出る話をすると、ゴメスさんが町まで行くらしい。

 ゴブリン達の武器防具を売り払うというのだ。

 その隊商に同行という形で連れていってくれることになった。

 道具屋で会った商人のゴメスさん。彼が、メインの護衛対象という話だ。

 

 護衛には村人が、三人ほど付くのだとか。

 それでは心許ないので、一緒に同行して欲しいそうだ。

 町にいったそのついでに、農産物も売る気なんだろうか。

 そして、依頼を受けるとしますか。道具屋の前に移動する。

 ゴメスさんと村人A、B、Cがいた。


「よろしくたのみますよ。ユウタさん。お若いのにたいしたものだとか」


 ゴメスさんが、俺の事を褒めてくれるのは嬉しい。

 ふむ。だが、同時にどうにも値踏みされるようで気にかかる。

 俺も質問をしないとね。


「ゴメスさん。町までは何かでるのでしょうか。隊商に護衛が付くなんていつものことなんですか?」


 つい、気になったので聞いてしまった。盗賊とかほら盗賊とか!

 護衛をつけるくらいなんだもん。

 街道を進んで襲われるなんて、よくある話だよね。

 ネット小説とか、定番の展開だ。

 森に転移したりしてさ。道で盗賊に襲われている美少女がいるんだけどさ。


 そんなとこに、こちらが出くわすというのがネット小説では定番だ。

 襲われるのは、そう美少女の一行である事が多い。

 こんなむさいおっさんと萎びた村人たちを襲うのは、よくある事かな?

 んー、ありそうだ。そして、やばそうなのがでてくるんじゃないのか。

 

 定番である。けど、命も危ないんじゃないのか。


「ええ、最近農産物を奪われたり、命までとられることが出てきているんですわ」


 いかついゴメスさんは、冷静に答える。やはり護衛はそのためか。

 でなきゃ、村長もあんなにもひきとめないよな。

 見ず知らずの余所者に家とかさ。勧めないよな。定住も。

 魔物とかどんなのがでるのだろう。と、聞いてみると事にした。


「街道沿いにゴブリンが出てきたりすることはもうないと思うのですが、稀にスライムやコウモリ、野生の狼などがやってくることがあります」


 やべえよ。ゴブリンならまだしも、スライム!? その話マジかよ。

 こんな装備で戦えるのか?

 スライムとウルフとか舐めてると死ぬ相手なんだよ。

 特に、スライムはやべえ。火が使えないと、きっとおっちぬ。


 持ち物を見ると。棍棒、銅の短剣、銅の剣、リュック、皮の鎧。

 皮のブーツ、皮の篭手、弓、矢、ワンド。


 魔術をゲットしたいんだ。

 けれど、スキルとか誰か使ってくれないとやり方がわからない。

 村に魔術士はいそうにない。居たら、村の防衛に参加しているはずだしね。

 あと、盗賊も魔物も複数でこられたらアウトだよね。

 ゴブリンだって、舐めてたら死ぬよ。

 

 盗賊とか囲まれたら、数の暴力ですぐミンチにされちゃう。

 どうする俺。具体的な策も思いつかないままだ。

 そのまま、ゴメスさんと村人達隊商。それと、俺は村から町に出発した。

 こんな少ない人数でいいのか?

 しかし、隊商は街道を牛車にひかれながらゆったり進む。

 

 牛車といっても、速度はそれなりにでているようだ。

 何事もなければいいんだけど。

 なんて思っていたら、村から近くの森の中を通っている所にそいつらは来た。

 馬に乗り武器を持つ何者かがこちらに駆けてくる。馬賊か。


 試しに遠距離から【鑑定(ディテクト)】を使ってみると、盗賊だ。

 プライバシーの侵害とかは、この際気にしていられない。

 自分の命が掛かっているのだ。そして、叫ぶ声がする。 


「盗賊です。ゴメスさん!」


 村人の1人が叫んだ。やっぱマジかよ! 夢でもなんでもない。

 1人だと思ったら、目測で10から15人はいるじゃん。こんなの無理だ。

 俺、オワタ。そして、盗賊っていうより馬賊だよ!

 周り見ると、ゴメスさんはとっくに気絶してる。

 護衛である村人たちも、完全に逃げ腰だ。


「逃げろ! ここは俺に任せて行け!」


 どうみても、これ死亡フラグです。はい。しかも、俺が守るのはゴメスさん。おっさんである。はは、冗談かもしれないと思うが、ゴメスさんは美女や美少女ではない!


 こんな所で死ねんと思いながら、弓をイベントリから取り出す。

 先頭の奴に弓矢をつがえて射掛ける。

 おお、命中だ。森の中に逃げ込みながら撃つ。

 1人、2人とどんどん落としていく。

 だが、接近してくる相手との距離もかなり狭まる。

 ゴメスさんを放ったまま、護衛役の筈だった村人は逃げたようだ。

  

 村まで逃げろと思ったが、もう遅い。

 俺は、このまま森の中でゲリラ戦にする予定だ。

 弓の矢は十分にある。貰った物だけど、ね。タダってサイコー。

 3人、4人、5人目と仕留める。

 そして、連中は逃げた村人でも牛車でもなくこっちに来る。

 

 頭にきて当然か。だが、馬賊もどきは林の中に入ってこない。

 馬を捨てるのが怖いのか、それとも中にはいるのが怖いのか。

 すかさず、止まった連中を仕留めにかかる。狩りの時間だぜ。

 俺は、弓を顔に傷が入ったいかつい風貌の盗賊に射掛ける。

 続いて7、8人目と連続でヘッドショットを決めた。

 

「ひいぃ。ボスーがやられたぁ! 化け物だ」


 化け物とは、失敬な。元ジジイだが、今はどこからどう見ても少年。

 そんなに化け物だろうか。

 ああ、こんだけばんばん当たるなら、化物かもしれない。

 運がいいのか悪いのか。偶然にも、ボス殺ったのか。

 連中は総崩れだ。馬を使って、逃げにかかったようだ。

 

 盗賊連中には残念な事だけど、俺はゴミ屑を逃しはしないのである。

 林から出ると、連中の乗っていた馬に接近する。馬ゲットだ!

 そして、連中の死体をどかして馬に乗る。

 

 俺は、追跡に入った。イベントリから弓矢を補充しつつ撃つ。

 だが、的を外してしまう。的から大きく外れ、てんで当たらなかった。


 ユウタは騎兵を獲得した!

 ユウタは弓騎兵を獲得した!


 乗ると、そんな声が聞こえてきた。あれえ。

 騎士でもないのに騎兵獲得ってどういうこと。条件があるんだろうか。

 ふむ。つまり、馬に騎乗するっていうのがトリガーなのかな。

 トリガーでジョブを得られるなら、なんでもやるべきだろう。うん。

 

 ジョブについての疑問を頭の隅においやる。盗賊達の残党を掃討に掛かった。

 必死に逃げる盗賊達だったが、ジョブの効果か。

 背を追う盗賊の背後に余裕しゃくしゃくで追いつく。

 そして、残りの盗賊も矢で始末して装備を剥ぎ取る。

 

 イベントリには、色んな物が収納されていった。

 しかし、なんでもかんでも入れていっていいのか?

 まるで、ゴミでも入れる感じで入れている。

 こうして森に潜む盗賊達は全滅したのだった。








「気がつきましたか? ゴメスさん」

「うっ。ここは天国かね。・・・・・・むおっ」


 私は、どうやら気絶してしまっていたようだ。

 が、盗賊達は? と、聞こうとした。

 だが、死屍累々である周り。これを見て確信した。

 この少年が、一人で盗賊達を退治してしまったようだ。

 護衛の村人はどうしたのだろうか。

 

 屈強な盗賊たちの死体がそのまま残っている。

 この子は、キューブを取らないのだろうか。

 賞金もかかってそうな賊だろうに。田舎者なのだろう。

 だとすれば、賞金首についてもまるで知らないに違いない。


 これほどの腕だ。たしかに村長がほしくなるのもわかる。

 しかし、子犬にみえても狼は狼。竜は竜であると、私は思う。

 分に過ぎた人間を番犬の替わりに使おうというのは、危険だ。

 それらは災厄を招きかねないのだ。


「ユウタくん、盗賊たちのキューブを確保したまえ。賞金首なら高額がかかっていてもおかしくない。この連中手際が良すぎだ。今日昨日とも思えないしね。君にはお金がいくらあってもいいはずだ」


 大人の威厳というものを意識した。

 けれども、気絶しておいて今更取り繕ってもしょうがないだろう。

 私は、謙虚に対応する。

 金の稼ぎ方を教えつつ、少年に恩を売っておくのもいいかもしれない。

 

 大人の対応をするはずだったのに。

 逆にこの事をあまり広めないように釘をさされてしまった。

 

 たしかに、盗賊集団を一人で退治したなど。誰が信じるだろうか。

 少年は、装備を回収する先見の明もあるようだ。

 村人を逃がして、自分が残る等感心することばかりだ。

 ふーむ。できる。命の恩人だ。それに見合う事が私に出来るだろうか。










「ゴメスさん先に進んでください追いかけますので」

「そうかね」


 ゴメスさんと牛車を先に行かせる。

 更に、モンスターが出てきた時のために装備集めだ。

 せっせと盗賊達のキューブ確保しはじめる。それと同時に装備もゲットだ。


 鉄の剣x6銅の剣x6銅の短剣x3皮鎧x15皮の楯、馬x14銅の槍x3


 30000ゴル程度と小銭を少々。イベントリにせっせといれまくった。

 盗賊共から装備を剥ぎ取り、かなり稼いだような気がする。

 自分のキューブも確認してみるか。

 持ち金は、全部で35000ゴルくらいかなあ。


【市民LV20村人17戦士15剣士15弓士15斥候14勇者14狩人22魔術士5商人5薬剤士5】


 あれえ。騎兵と弓騎兵が見当たらない。どうなってるんだろう。

 頭に浮かぶ画面みたいな物を横スクロールさせる。するとあった。

 レベルは1みたいだ。昨日といい今日といいやたら戦ってるような気がする。

 気のせいだよね。

 

「うわあああ。助けてくれー、ユウタくん」


 ゴメスさんが進んだ先から、定番のセリフが聞こえてくる。

 はいはいはい。何なのおっさん。次から次に、一体何があるんだよ。

 盗賊達を殺った、そのついでに手に入れた馬で駆け寄る。

 今度は、グレー色の狼達にかこまれているゴメスさん。

 

 アンタさ、どんだけ運がないんだよ。いや俺がないのか?

 それともゴメスさんがないのか? どっちなんだよ。

 しかし、冷静に声をかける。 


「大丈夫ですか、ゴメスさん!」


 狼達は、10匹程度かな。もっとも、木陰や林に隠れているならわからないが。 護衛役の村人が、置いていった槍を使って追い払う。

 槍か。使いなれないけど、VRMMOでならそこそこに使った事もある。


 騎兵のジョブが、上手く作用すると信じたい。

 槍で追い払うには追い払えたが貧弱なのかな。

 結果として、3本とも壊れてしまった。使い方が荒いのもあるだろう。

 やはり棍棒みたいに使ったのは不味かった。薙ぎ払うおうとかする。

 すると折れたりするのだ。

 

 そして、狼を叩いても折れたり。殴ってるほうが多かったんだろうか。

 そもそも突く為の槍だった。4匹仕留める。

 そんなこんなで二本の槍が全壊。

 スキルなしってほんま地獄やでえ。

 そんな声が聞こえた気がした。跳びかかってきた狼を殴る。痛え。拳が。


 ユウタは、格闘士を獲得した!


 とか聞こえる。あぶねえ。ともあれ、馬があって助かった。

 馬に乗らないまま囲まれていたら、今頃はウルフの餌だったろう。

 馬に乗っていたからこそ、攻撃を受けにくい上からの攻撃だ。

 槍の利点を生かして、上から下に攻撃はやりやすかった。


 盗賊達に感謝である。なるほど全員馬に乗っていたわけだ。

 多対1になれば、1匹2匹と連続でどんどん噛み付かれて御陀仏である。

 ここでも、やはりというかリーダーの魔物が肝っぽい。

 リーダー役の狼はかなり素早いけれど。

 

 上からの投げ槍。それが当たった。騎兵に投擲スキルでもあるんだろうか。

 ゲームでも狙い撃つのは得意だったけれど。

 とにかく投げ槍で串刺しにしてからだ。

 棍棒に持ち替えて滅多打ちのコンボ。

 槍を三本目に持ち替えると、狼たちは半壊してしまった。

 副官なのかな。狼リーダーに次いで一回りでかい狼を仕留める。

 すると、残りは逃げ出してしまったのだ。

 今後のことも考えて、仕留めておきたかったのだが。

 狼達を退けると、ゴメスさんが神様を拝むような感じだ。

 これには参った。

 

 ユウタxゴメスとか。

 誰得だよ!


 ユウタは英雄を獲得した!


 なんと英雄とな。キューブ出して、見てみる。


【市民LV22村人19戦士17剣士17弓士17斥候16勇者16狩人23魔術士7商人7薬剤士7】


 例によって、格闘士1英雄1はスクロールさせた場所にあった。

 英雄か。使えるといいな。

 森を抜けると町だ。高い壁が見える。なんというか城壁。

 それがあるような立派な町だ。ゴメスさんがうっとおしい。

 どうにかならないのか。

 朝方に出て、森に入って昼につくって何時間かかってるんだ。

 もう何日もかかって着いたようなそんな気分だ。

 

 実際には、一日すら掛かってないんだけどな。

 普通はさ。オッサンでなく、馬車を盗賊達に襲われている美女や美少女だろ。

 ヒロインとの出会い。それがあるもんなんじゃないのか。

 だが、残念な事にその兆候は全くないけどさ。


 牛車が近づくに連れて、町の規模が徐々にわかってくる。

 どうも結構大きな町のようだ。もちろん美女に美少女いるよね!?

 やっとだ。やっと可愛い女の子に出会えるよな!?

 牛車を御者するゴメスさん。

 熱い視線を送ってくるおっさんの事はスルーしよう。

 何度も言うが、俺はホモじゃない。

 かっぽかっぽと馬に乗る俺は、わくわくしていた。

 


 キューブステータス サナダ・ユウタ 市民 

装備 鉄の剣 皮の楯 皮の鎧 皮のブーツ リュック 布服ズボン

スキル なし

特殊能力 なし



挿絵(By みてみん)

「えっと、自己紹介?」

「エリアス・オズ・レンダルクよっ。よろしくねっ」

「スリーサイズ? ばっかじゃないの」

「えっと。魔術師よ。以上です」

「売り? 召喚系が得意だけど、不得手なんてないわよっ」

「じゃあ、まったね~」


▷ 見送る

  口説く

  気絶させる

  



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