18話 村で大工! (ユウタ、セリア、モニカ、謎の人物)
某日某時刻 某所
「ふむ。では、しくじったということか」
男は冷徹そうなその表情は微塵のゆらぎもない、ただ淡々と話す。
「残念ながら・・・ほとんどの配下の者は生きて戻りませんでした。やはり、正面からせめてみてもこちらの損害はかなりのものです。そして、奴は味方をつけていたようです」
配下の大男は頭をたれて報告する。
「討ち取るのは難しいか。計画推進のためにも奴は邪魔になる」
「(大量のゴルをかけてこれか・・・使えぬ男よ、代わりを用意せねばな。)」
[ははっ。さらに入念な準備と人員を用意しておりますれば、必ずや吉報をお知らせできるかと。しばしお待ちください」
男は恭しく頭を垂れながら話をする。
「(この阿呆が、あんな化け物相手にできるものかよ。とはいえどうにかしなければ、自分の身が危ないどうしたものか)」
「・・・引き続き任務を任せよう。よろしく頼むぞ」
「(せっかく引き離したのだ・・・討ち取ってもらわねば困る、まして舞い戻られた日には計画が頓挫しかねぬ。)
男が渇望するのはすべての権力だ。こんなとことろで立ち止まるわけにはいかない。何もかも手に入れるどんな手を使ってもだ)」
男はすぐに、次の策謀に考えを巡らせ始めた。
◆
無事だったご主人様の姿を見たとき、なにか胸があったかくなった。
なんだろう・・・これは、忘れていた感覚だ。まさかな。気のせいだ。
「無事だったかいセリア」
「こちらはなんとかなった。そちらはどうなったのだご主人様」
「助かったよ、逃げろっていわれなければ、あそこで死んでた」
「敵の忍者が、見えませんでしたよ。セリアさんは大丈夫だったんですか?」
「ああ。私は鼻と耳でだいたいわかる、あと【気配感知】スキルもある。忍者相手だと【自爆】【隠密】このスキルが特に危険で守りきれないから。他にも沢山あるけれど。無事でよかったご主人様」
【首狩り】【猛毒付与】【発破】下忍でもスキルはどれ一つとっても危険だ。
忍術も強力なものが多い、瞳術、遁術までつかう忍者であれば私でも手に余るかもしれない。
もっともそうそうそんな強者とあったりしないものだが。
「さっきの連中、腕はたいしたことがない忍者だったからよかった。一旦この場を離れようご主人様」
「そうだね。一旦もどって村で再建しよう」
(ユウタはあれが・・・なんだったのか気にならないのだろうか。大雑把なのか気が小さいのかわからない。モニカがお人好しがすぎるというのもわかる気がする。いずれ必ず、糸は引き寄せられるはず。連中が動いてくるなら全て叩き潰す、その企みもだ!)
◆
セリアと合流して村に戻ることにした。
更地にした場所に家を建てていく。骨組からだけど手馴れたものだ、と思う。
そのうち土台までコンクリにした家を建てよう。幸い村人は沢山いるし。
「疲れているとこ悪いけど、モニカとセリア建築手伝ってくれ。
いや虐待じゃないからね! ほら・・・そのパワーがほしい!
「はい!」
「了解だ」
とりあえず、俺達は切り出した木材を骨組みにして建てた。屋根は茅葺きというか・・原始的屋根で。
壁は・・・土壁にモルタルかな・・・見本をつくって真似してもらう。
燃えやすいだろ! って突っ込まれそうだけど。
窯をつくってセメントをまずつくらないことにはなあ。これには時間もかかるし。
木屑とかで紙を手作りだ。簀子に網とかはあるし、きっと売れるよね。
現代文明すごすぎるよ。あっちのほうが魔法だよ。100年前には想像すらできなかった。
クラ●スとかほんとやばいんだから。
「ゴメスさん、これ売れそうですか。紙ですけれども」
樽にためた水に溶かして簀子で作りながら見せる。
「羊皮紙やパピルスに比べてみても良いですな。売れるとおもいますよ。」
「ユウタくん、こっちにきて見てくれ。ユウタくんが話をしていた窯と五右衛門風呂なんだが。」
おお・・できてた。鉄鍋でつくるタイプ。
「窯と五右衛門風呂ですね。これいいもんですから、風呂にみなさん入りましょう。水は用意しますから。セリアとモニカも休憩にしましょう」
あんま働かせてると死んじゃう。いやワシがね。ほらわかるよね。
風呂は清潔になって疲れもとれて、一石二鳥である。
いえ覗きたいだなんてこれっぽっちも思っておりませんはい。
酒作りも話しとくか。あとパン作り。クソまずいパンから脱出である。
下水道、給水場所と水車もつくらないと! すぐ儲かりそうなのはパンと紙か・・・気長に行こう。
木材からできるものといえば、薪でも売るか? ・・・キリがない。
家は火攻めにめっちゃ弱いので村の中にはいられないようにしたい。
ゴブリンのサモン対策にアンチテレポートコートを外周の塀にしたいところだ。テレポートとゲートで別腹みたいだ。ゲートは設定しないと使えないのがポイントだ。
瓦かレンガ・・・コンクリに変えるべきなんだろうけど財政状況とかが許さないな。
瓦もレンガもつくるのマジ大変だし。
「こんなにしてもらっておいてなんじゃが・・・わしらはなんも返せないんじゃよ。ユウタくんはそれでもいいのかね」
「ゴメスさんといっしょにゴル稼ぎしますから、それで何とかしますよ。村の人たちが協力してくれるとありがたいです」
紙つくってもらったり薪やら酒やらパンの売り子がいるね。
そう労働力の提供がいるからね。
「そうかねユウタくん、君には今のところなんのゴルも入ってきてない。こんな田舎の村を再建してなにか得になるのかね」
「・・・特には・・・いえ何かありますよ」
たしかに・・・何もないけど。なんで再建してんだろ俺。いやあるや。
ゴメス商会でかくして俺が会長で! レジャー施設つくってハーレムでウッハウハだよね! きっと。
・・・ゴメスさんのためとかそう言うんじゃないからマジで!
「そろそろ一旦戻って準備してきます。セリア、モニカもどるよ」
「了解」
「はい」
いろいろあったし戻って一息いれよう。あの忍者たちは一体なんだったんだろう。
一体なんの目的が? 情報集めに一旦もどって一息いれたい。
「そうか、ユウタくんまたくるのかな?」
「ええ、皆さんのご迷惑でなければですが」
「とんでもない、そんなことは言わずまたきてくださいね。村人一同お待ちしておりますよ」
あんまり期待されてもこまるんだけどな。結果なんて、村の人の気持ち次第なんだから。
しょせん本人達のやる気次第だよね。
◆
彼がきてみな村を家を再建が一気に進んだ。租税のためゴル稼ぎも指導してくれるそうだ。
「彼は、村を再建するためにゴメス商会を作ろうとしているのかな?」
そんなものはどこにもないし、儲かるかどうかもわからないのだが。彼のことがよくわからないな。
「そうですね、利益より損のほうが大きくて面倒で、上手くいくかどうかわかりませんが。商人としては、儲けが出る商売の匂いがしますね」
ゴメスさんはこう話すが、つまり彼は別にやるひつようはないのではないか? ゴメスさんは元手もかからずどっちに転んでも儲かるといったところか。ということならこの話に乗るのもわかる気がする。
「アーティさんに助けられ、そしてまたその恩を返す。そう考えるならわかります」
「恩返しか」
「ロクドさん、彼を信じてみましょうよ。溺れるものは藁をも掴むというじゃありませんか。救ってくれるはずの王国は頼りにならない。頼れるものに頼って、彼が困ったときには力になりましょう。助け助けられる。私はそう思いますよ」
(すっかり彼の信者になってしまっているなゴメスさん、大丈夫なのか?)
「そうだな。ゴメスさんはすっかり彼のファンだ」
「はは・・・まあそう言われてもしょうがないかもしれません。実際何度も救われましたから」
そうだった。実感がわかないが、彼が蘇生代をださなければ、アーティも村人達も奴隷に転落していたかもしれない。
「たしかにそうだ。これからは忙しくなりそうだ。ゴメスさんお互い頑張りましょう、それでは」
(本当にあのパッとしない少年がここまでやってくれるとは思いもしなかったな)
今日から大変な毎日が始まりそうだ。既に、自分達で作った風呂は村人に好評だしな。
大きな風呂まで図面をかいてくれているのでそれも楽しみだ。火事にだけは気をつけなければ。
骨組みだけを組んだ家を完成させる仕事が待っている。
紙や薪、レンガにパンに作るものも多い、ロイやアーティを売り子にして王立学園に通わせる。
ユウタくんからそんな話を聞くと、どこまでやる気なのか。夢の中にいるようだ。
「おとーさんボーッとしないで。こっちきて手伝ってよ」
「おお、アーティ。すまない、今そっちに行く」
(考えでもしょうがないことだ。悪いことのあとにいいことが来た。そうしておこう)
男は歩きだした。
◆
村から戻ると、オヤツを用意して二人には着替えやらしてもらう。
風呂はわかしてはいってもらおう。やることが多すぎる、やれないことはやってもらおうかな。
いろいろ用意しながら金策を考えた。
1 窯からセメント、レンガ、パン
2 木から紙、木材、家具
どれも簡単にはいかないなあ・・・数できないのも多いし。
改良するのが風呂とか家とか塀にうーん、あれ・・・プールどこ・・・
まあ、簡単に儲けられそうなのはないな。どうしたものか。
売り場も問題だ。商人ギルドみたいなとこに届けるんだろうか。
順番としちゃアーバインの町から王都に出店していくのが道順かな。
あとは冒険者ギルドでクエスト受けるか。森関連でクエストがでていたような。
忍者かあ・・・一番心当たりあるのは盗賊団の刺客、それともお偉いさんに目つけられたか。
やりすぎたんだよ、おめーは。って感じで襲われてるし。
あんなのがバンバンでてきたら死んでしまう。どうしたものか。お、二人があがってきた。
「セリア。あの忍者ってゴルで簡単に雇えるの?」
「忍者は高い。そうそう雇えるものではないけどゴルさえあればなんとかなるご主人様。だが、心当たりがないわけでもない。おそらく王国でも上の階級の人間だと思う」
「忍者の服から匂いで追跡できない?」
匂いでどうにかならないかなあ。
「匂いで追跡しても王城や領城などにははいれないぞご主人様。あと、ただの冒険者や奴隷の言う事をどれだけの人間が信用するか、証拠を掴まなければならないぞ。この件に深入りするのは危険だご主人様」
なるほど、具体的な証拠、社会的地位か・・・うまくいかないもんだなあ。
まさに底辺と雲の上、格差社会だ。
上流階級・・・まさかセリアを狙ってたとか・・・? うーん真相は不明だけど、許さん!
もやもやするな。
レオ君かアベルさんに相談してみるのもありかもしれない。
買い出しをしてからアーバインの町に飛んだ。
キューブステータス サナダ・ユウタ 16才 冒険者
装備 鋼鉄の剣 チェインアーマー チェイングリーブ 銅のメット 硬い皮のブーツ 対魔術の盾 銅の篭手
邸宅有り セリア 人狼 モニカ 鍛冶士
スキル テレポート PT編成
特殊能力 なし
冒険者LV30市民40村人35戦士35剣士35弓士35勇者37狩人37魔術士32
商人29薬剤士29騎兵29弓騎兵29格闘士29英雄29治癒士30料理人27魔獣使い27
付与術士22錬金術士22木こり1下忍1
所持金 33万2千弱ゴル(9万クーポン有)
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