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ヘタレの異世界無双   作者: garaha
一章 行き倒れた男
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0.1章 てめえは、おれを怒らせた20 1巻完 ~その婚約破棄は、世界の破滅~

「すまない。君の事が嫌いな訳じゃないけれどさ。婚約は、なかったことにしてもらう。もっと、いいやつが見つかるはずだよ」


 なんて言われて意識が飛んだことを覚えている。


 好き、嫌い。

 一体、誰が言い出したのか。まあ、達磨にしてやるなんて言ったのは言い過ぎだった。

 だが、逃げることはないだろう。


 アルーシュは、物思いに耽っている。鏡を見れば、己の顔は目の下に模様が出来ていた。

 おかしい。


 こんなはずではなかった。

 異世界に攻め込む気もなければ、日本を破壊しつくす気もなかったし。捜索願いでどうにかなるはずだった。「君、頭がおかしいのかい? その格好で言われてもねえ」なんて言われなければ。

 

 つい、売り言葉に買い言葉でかっとなってしまった。

 最初は、我慢した。しかし、どこの交番へ行っても哀れみの篭った眼差しで見られたのだ。

 怒りが、限界点を突破して「すっぞ、オラー」になってしまうのもやむ得ないではないか。


 現状は、芳しくない。

 ユークリウッドは、見つからない。テロリストが、原発を破壊している。

 ゾンビが、関東圏で猛威を奮っていた。


 止めに、ソビエトと中国に朝鮮が攻め寄ってこようとは。


(ぜんぜん、予定にないんだけど? どうしよう)


 このままでは、日本は滅ぶ。まあ、それも致し方ない事だろうとは思う。

 なにしろ、皇居を狙った核兵器の爆発が起きたくらいだ。

 信じられない事だが、衝撃波は東京都全域の建造物を全て破壊するほどの威力があった。


(ふぁー)


 水鏡には、悲惨な各地の状況が映っている。 


 日本の警察は優秀だとか言われていたが、無能にもほどがあるではないか。

 公安だとかいう組織も飾り物に違いない。

 そして、もっと驚くべき事はこれらを想定してか。


(危険だと思うんだけどな。内部から結界が破壊されるかもしんねえのに)


 王族が、皇居に避難民を多数入れている事だ。

 アルーシュは、侵略者だが日本の王族と多少とも縁がある。

 木花咲耶姫。アルーシュを生んだ母親とも、親交があるらしい。


「この、大馬鹿者がー!」


 なんて言われかねない事態だ。


 次代の樹神として、認められるには媛の助力がいるのだとか。

 従って、日本に対する攻撃は最低限にして捜索させるはずだったのに。

 どうして、今も敵勢力となる攻撃が収められないのか。


(うー。ユーウは見つからないし、なんか不味いし。帰ろうかな)


 もう攻撃から24時間以上が経つ。

 浮遊城の結界で、下に位置する皇居の守護は完璧だがその周りへゾンビが押し寄せてきている。

 他の大陸を攻撃していたアルルとアルトリウスは、「つまらん」とかいって帰ってしまった。


 1人で捜索しないといけないとは。これは、とんだ貧乏くじである。


「恋煩いかよ。とんでもねえよな、実際」


 眠いのか半眼になった青い瞳が、見つめてくる。服は、セーラー服の上に白衣をまとった感じ。


「そんな事言って、首が飛ぶわよ」


 心配する少女は、黒いスーツのような服にくるくるとした巻き髪をしている。

 背中から、ぬいぐるみのような猫が顔を出していた。


 2人とも錬金術師だ。小生意気な連中であるが、城の整備には彼女たちが欠かせない。

 片方は、ぽんこつで片方はなんちゃってではあるが。

 

「お前たちも、遅い時間だぞ。さっさと寝ろ」


 年上だが、このタイミングで来ると場違いである。


「いやあ、振られた可哀想な奴を慰めにきたんだぜ。ちょっくら、これでもどうよ」


 茶色い瓶を取り出して、見せつける。ラベルから察するに、果汁酒のようだ。


 相変わらず、歯に衣を着せぬ物言いだ。

 人の傷口に塩を塗りこめては、酒でごまかそうという。

 心配そうにしている銀髪の女は、くるくるした巻き髪を弄って。


「んー、でもアルーシュが悪いよね。達磨にしてやるなんて言われたら、誰だって婚約破棄を考えちゃうと思うの」


 話が前後しているようだ。婚約破棄は、もっと前の話である。女装がそんなに嫌とは。


「それは、言葉のあやだ。本気でするわけがないだろ」


 人の部屋に入ってきて、このいいざま。ノックすらしていない。

 警備が居ないとはいえ。

 

「どうすんだ? もう収拾がつかないのなら一旦引き上げちまうのも手だぜ?」


 ファック。それでは、やってきた意味もないではないか。人に言われるとむかつく。


「ふん。却下だ」


 正直、帰りたい。


「世界の異なる1つが、破壊されちゃいましたけどね」


「そう言うけどさ。下手に憎しみを買っちまうと今後は召喚がしづらくなるんじゃねえの。今なら、まあほら勝手に自滅しているだけ、とか言い訳できんじゃん。水爆クラスの核兵器でテロってくる相手だぜ。まともに相手してたら、巻き添えをくらいかねないじゃんよ」


 日本人は、有用だ。誰が、このような事になるなんて想定しただろう。完全に、想像の埒外である。


「むう」


 今後も地表で核を使われるとなれば、尋常ではないことになりかねない。

 たった一発でも、関東平野の大部分が消し飛んでしまう威力を見せた。

 死体が動いているのも、気になるところである。


 陰陽師たちが、動き出しているけれど彼らは能力のほとんどを失っていた。

 かつての力を取り戻すには、時間が必要だろう。

 彼らの使う式神、神族。それには信仰心という名前のものも、要るのだ。


「せめて、ゾンビとパンデミックはどうにかしたほうがいいんじゃね」


 じぃっと見つめてくるが、手を振って時計を見る。


「考えておく」


 感染するものは、エリアスが居ないと厳しい。正確には、錬金術師と魔術師ギルドの協力がいる。


「ゾンビだけでもあれだぞ。きついだろ」


 それは、そうだ。謎の進化を遂げるのが、ゾンビである。

 進化チャートなんてものまであったりするのだ。

 探索しているはずのロシナから、連絡がこない。


 セリアからこないのは、普通だ。おかしいので、水鏡で探すと。

 ぴくりとも動かない半裸の男が映る。


(は? 馬鹿な、ロシナがやられただと?)


 信じられないが、死んでいるように見える。

 配下にあっては、鉄壁の防御を誇る騎士が。

 一体誰が、やったというのだろう。


「これ、死んでるんじゃねーの」


 いやいやいや。目を凝らしてみても、動く様子がない。


「馬鹿な事を言うな。奴には、ロートヴァントがあるんだぞ。死ぬはずがないだろう」


 心臓が高鳴っている。

 ロシナは、武器を持っていないようだ。ロートヴァントを呼んでもいない。

 一体、誰が武器を持ち去ったというのだろう。

 

 




◆ 同時刻





 北朝鮮軍による攻撃が新潟を含めた北陸で開始されていた。

 眩い光と爆発が、星空を染めていく。燃え上がっているのは、船だけではない。

 日本の主要都市での、同時攻撃。聖なる神罰が、チョッパリを殲滅していく。


「日本を解放する!」

 

 なんて、言葉で気勢を上げる朝鮮兵士たち。彼らを勢いづけるのは、核ミサイルである。 


 北朝鮮では、長年に渡って核弾頭搭載型のミサイルを開発していた。

 もちろん、開発したのは北朝鮮出身で東大出身の博士号を持つ研究者。

 日本人の金で、研究者を育成し、日本の学校で教育を受け、ミサイルを完成させる。


 そうして、チョッパリに天罰を下すのである。

 それは、運命であり規定された原理原則であった。

 進撃する朝鮮軍の前に、なすすべがない日本人たちは評判倒れである。


 兵士が向かえば、蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。


 核兵器を使わずとも、攻略は成ったのだ。


「よし、豚足どもを地獄へ送ってやれ!」


 時は来た。予言されていた通りだ。

 混乱する自衛隊を出し抜いて上陸した精鋭部隊は、瞬く間に新潟分体駐屯基地を制圧。

 新潟市を火の海へと変えていく。


 間抜けなチョッパリたちが、火達磨になって倒れるのだ。そうでないなら、火炎放射器で焼く。

 犬を叩いて殺すよりも、楽な作業であった。

 直掩指揮所では、


「閣下」


 ノ・マンヒョが呼びかける。


「なんだ? 女なら間に合っているぞ」


 作戦指揮官たるキムは、忙しいのだ。

 チョッパリ女を殴りながら、股ぐらで運動させる。これくらいにしか使い道がない。


「上越市の攻略も順調との事です」


 動きの悪いチョッパリ女は、腹に弾丸を撃ち込んでやる。


「くっくっく、やはり、チョッパリは最弱貧弱無能無力だ。実際には、弱いではないか。大総統は、過大評価しすぎなのだよ。豚足どもなど、最初から核の一撃で黙らせてしまえば良かったのだ」


 空飛ぶ城。その攻撃に使われた核兵器が、通信施設に多大なダメージを引き起こした。


 次いで、日本全土の都市に降り注いだ核弾頭。ミサイルを作ったのは、日本に送り込んでいた工作員である。愚かで、醜い日本人は、さしたる抵抗もないまま攻撃を受けて地べたを舐めている。愚かにも、降伏しようとした玉無しどもは首を切り落とすなり釘バットで死刑に処せられている。


 ノの得意武器。


「ううっ、うー、うー」


「ふん。ふん。ふん」


 鈍い音がして、白いものは落ちていく。

 女の顔は、拳による矯正で青黒くなっている。抵抗する度に、歯が折れてなくなった。

 動きが悪くなると、拳を振るう。


「おごっ、うっ、あー、あー」


 女は、最初の見た目から変貌している。尻穴からは、糞を垂れ流すし最悪だ。


「こら、豚女、動かんか」


 抵抗できないように、腕は折ってある。


(抵抗できるなら、抵抗してみればいい)


 状況は、良好だ。上陸してから、3時間ほど経過していた。上陸地点に、施設を用意させている。

 資材は、かねてより調達しておいたのだ。攻撃するキムの心は満たされつつある。

 愚かな日本人たちを殲滅するのは、朝鮮人の権利なのだ。


 原理原則であり、神の定めた恩寵である。


「使えん女だ。お前たち、好きにしていいぞ」


 すると、部下が群がる。仕事を放棄して、勝手に遊び始めた。火であぶっている。

 首を絞めて、動きをよくするのもいい。

 そこかしこで、犬の格好をした女たちがキムの遊戯分だけ設置されている。


 男が、釘バットで頭を割られると正面に設置されていた女は涙した。


「あっ、ああ”」


 強制徴用、強制労働させられた事も含めて、日本人を皆殺しにしなければならない。

 赤ん坊であろうともだ。先に送り込んでいた工作員たちは、程度がひくいとはいえまずまずの働きをしている。通信機器の確保であり、燃料、弾薬の確保と。


 朝鮮学校に隠された施設から、武装した兵士たちが補給を受ける手はずになっている。


 新潟市内の掃討。

 圧倒的な兵力を用意したのだ。海から上がってくる兵士たちは、戦意に燃えている。

 住民は、須く性奴隷か死体だ。


 北海道は、ロシア軍に占拠。

 青森までは、押さえたい。

 石川県と富山県は、攻撃中だ。

 福井県では、南朝鮮軍と激突しているが押しているようである。

 新潟を押さえた後に、関東へと進撃を開始するのだ。 


「ふん。チョッパリどもめ、愚かなようだな」


 県内に散って装甲車の群れは、チョッパリごときにどうしようもないだろう。


 確保されて椅子が、増えていく。肉でできた椅子だ。


「その通りでございます。閣下」


 警察と公安が残っているが、在日朝鮮人の土台兵いる。

 彼らが進軍に応じるのだ。


「男のチョッパリどもは、殺せ。1人も残すな」


「はい。閣下の仰せのままに」


 敬礼するノ・マンヒョ。釘バットで、チョッパリを殺処分するエリート兵である。


 土台兵。いずれ、殺処分だが使える内は泳がせておく。

 コウモリのように行ったり来たり。そんな都合のいい話があってたまるものか。

 女椅子に腰掛けながら、キムは上がりそうになる口角を抑えた。


 朝鮮が、日本を支配する時が来たのだ。

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