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ヘタレの異世界無双   作者: garaha
一章 行き倒れた男
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0.?話 異世界か0.?話 異世界からの侵略者たち ●(ロシナ、佐藤、村田、菅沢)らの侵略者たち ●(ロシナ、佐藤、村田、菅沢)

異世界から侵略を受けると、こうなる的な。

それは、突然の出現だった。

 突如として、上空に空を飛ぶ船が現れたのだ。その異様な姿は、テレビでも報道される事に。

 道行く人は、それを見て「宇宙人かよ!」と叫んだとか。


「ミッドガルド王国は、宣戦を布告する。この星に生きる国に。服従せよ。抗うというのならば、やってみるがいい。攻撃は5分後だ」


 アルの布告。テレビの回線を乗っ取り、行ったのであろう。或いは、ラジオ回線も乗っ取ったか。

 白熱する報道を他所に、船からロボットが落ちてくるまで全くの無防備。


 降りていくのは、ロシナだ。コックピットに座りながら、ため息を吐いた。


「こんな形で帰ってくるなんてな。こちら、ロシナ。攻撃を開始する。1日もあれば終わるだろう」


「うむ。さっさと終わらせて探さなければいかん」


 アルーシュがいう。

 どうしてこうなったのか。探せというアルの要請に、日本は無反応であった。すぐに頭にきたアルは、征服する事を決意したようで。即断即決。日本の自衛隊がまごまごしている内に殲滅だ。動き出せば早いが、それまでがとろいという。日本の悪癖を知ったるロシナにしてみれば、容易い。すぐに、光学兵器が威力を発揮する。相手の戦車は、動きだしたが。


「…(無駄なのになあ)」


 敵の砲弾は、ロシナに届かない。ロシナの機体には、バリアがある。およそ、通常兵器の類が効かない。弱点はあるのかといえば、通常の手段では倒せないのだから強い方だと自負している。同僚のセリアと比較されると、悲しくなるけれども。腕に持った高出力レーザー銃で、高度をとって照射してやると。


 10分もしない内に、市ヶ谷の自衛隊は壊滅した。スクランブルをかけてきたのか。航空機が、上がってくるが。意味がない。超遠距離からでも、ロシナの機体に備え付けられている銃で一撃だ。細かい照射も可能で、それでいてなぎ払う事もできる。市街地で、戦う事は禁じられていた。民間人に被害を出しては、後々が面倒だ。


 他の基地を襲うために、上空へと飛び上がると。


「見つかったか?」

「いえ、そう簡単に見つかる訳ないじゃないですか」

「ここの軍隊を制圧したら、他の国も制圧にかかるぞ」

「本気ですか?」

「本気も本気だ。さっさと済ませて次に行くぞ」


 ロシナは、気が滅入った。子供と大人の戦いだ。はなから勝負にならないのに、日本と見られる場所に侵攻をかけるとは。これで、この世界に居なければ意味が全くない。ロシナには、そこまでして探す価値があるのか疑問だった。が、女の考える事だ。あまり意味がなくても、そうするのだろう。鬼嫁の顔を思い出すと。


「ま、ちゃっちゃと済ませよう」


 光学兵器を搭載し、バリアまでもが使える。飛行能力を有して、機動力にも優れた機体だ。あっさりと制圧できるはず。すると、高速で接近してくる物体がある。何か。


「おいおい」


 ミサイルだ。それを光学兵器で撃つ。光が、それを貫くと。大爆発した。海上で爆発したそれは、まさに核爆弾を搭載した物だったのだろう。煙と光と衝撃波が発生している。空中だからといって、そのような非人道的な兵器を使用するとは。来た方向からして、米軍基地がある方角だ。異世界の日本にも米軍が駐留しているようだ。


 ろくな下調べもせずに、侵攻したためか。敵の情報や年代に関する物が少ない。ロシナが死んでミッドガルドに転生した年代からすると、科学技術は大して進歩していないというが。核攻撃は、自分たちの首が締まるのではないか。核による放射線や環境被害は計り知れない。いくら撃たれようとも、ロシナの機体一騎でも全く問題ない。


 日本に似ているというだけで、ロシナは過剰な攻撃をする気も無いというのに。

 核攻撃は、止まない。全て、東京上空の浮遊要塞に届く前に迎撃する。


「…(数が多いな。つーか、外れて日本に落ちたらどうする気だ)」


 高度をとって、上空から基地を狙撃してやると。沈黙する。根こそぎ、徹底的に打ち込む。反撃がこなくなるまで。と、航空機が接近してきた。洋上の艦隊から出たのであろう。光学兵器の最大の特徴は、そのまま光の速度で相手に当たるという点だ。敵の戦闘機と見られる機体を照射してやると、為す術無く落ちていく。


「…(日本をめちゃくちゃにする気はねーけど。民間人にやらかすと、後々不味いだろーが)」


 今頃は、広報活動を制限しているところだろう。民間人にさえ、被害を出さなければすんなりまとまるとは思っていない。しかし、平和ぼけしているであろう日本人っぽい連中には効果的か。憲法が己を守ってくれるなどと言っている連中だ。侵略されてから、目が覚めたところで全てが遅い。もっとも、ミッドガルドの侵攻を止めようとしても。


「敵は、沈黙したか?」


 無力だ。

 現代兵器のほとんどに比較して、ロシナの乗る機体は異常な性能だ。巨体が空を飛ぶ。これだけでもファンタジーだ。光学兵器を使う。これもファンタジーだ。ビルだろうが、なんだろうが溶かして爆発せしめるその威力。現代風の兵器を無力化する不可視のバリア。ファンタジーだ。機体に爆発物が触れたところで、攻撃があたらない。仮に、穴があるとしよう。しかし、そこがでかいとは限らない。


 砲弾による攻撃は、こないのか。敵の攻撃は、沈黙している。あらかた、攻撃しつくしてしまったためか。移動することになった。そのまま東に。高度をとっての光学兵器で、攻撃しまくる。それだけで、敵は為す術がない。横須賀にある基地に降りると。

 足元に攻撃が集中する。すこしは、知恵が回るようだ。が、バリアが地面との接地場所にない。と、いつから思っていたのか。光線が飛び、砲弾を飛ばす戦車を、溶解せしめる。


 地上の戦力は、少し残っていたようだ。それを回って破壊していくには、手が足りないか。






「今だ! 撃てー!」


 隊長が吠える。戦車の砲塔が、火を吹き、砲弾が機体に飛んで行く。が、


「馬鹿な、無傷だと」

「隊長、敵の地面を攻撃しましょう」

「わかっている。地雷を用意しろ。接近した所で、仕留める」


 という。しかし、果たして敵は接近してくるだろうか。砲弾は、地面にも飛んだがまるでダメージを受けた様子がない。手に持っているのは、銃か。光を放つ度に、味方の戦車が溶けていく。次いで、爆発するのだから生きていないだろう。


 察するに、つけ込む隙がない。敵の姿が見えているのに、砲弾が届かないとは奇っ怪だ。何かに当たっているようだが。敵は、隊長や自衛隊の都合など待ってはくれないだろう。後退する戦車に攻撃が、飛ぶ。食らった戦車が爆発して、炎上する。地獄だ。


「佐藤ー!」

「はい! なんでしょうか隊長!」

「脱出しろ。こいつは無理だ。今なら間に合う!」


 といって、戦車長でもある隊長が押しやる。他の2人も先に脱出する。砲手と操縦手が居なくて大丈夫なのか。大丈夫な訳がない。


「隊長は、どうするんですか」

「このまま残るさ。死ぬ気はないが、逃げる訳にはいかんだろ」

「転進しましょう! 隊長」


 タバコを取り出すと。


「お前が、見た事、聞いた事を伝えるんだ。死んだら、どうにもならん。あんな化け物がいるなんてな。空想が現実になっちまったとでもいうのかよ。おかしいだろ」

「はは…」


 村田は、残るつもりらしい。あんな物が存在していていいのか。異星人たち。どこから来たのか定かでないが、圧倒的な科学力で、横須賀にいる自衛隊は全滅寸前だった。もちろん、米軍も。艦隊は、無事なのか。であっても、どうしようもないだろう。相手は、巡航ミサイルも航空機による攻撃も効かない。戦車の砲弾も全く効果がないのだ。


 なんて、チートな。

 戦車を出た佐藤は、かける。直後に、建物の影にいた戦車が爆発する。凄まじい熱風が飛来して、身体がふわりと浮いた。敵は、熱源も感知しているのか。無敵のバリアを装備しているように見える。とんでもないロボットだ。実際に、そのような事があっていいのだろうか。日本でもロボットを開発しているはず。こういう場合、アニメならば味方のロボットが出てきて何とかしてくれるはずなのに。


「…(司令部にいくか?)」


 徒歩だ。

 徒歩なのだから、時間がかかる。通信機は、壊れている。核攻撃でもしたのか。電磁波で、計器の類がやられていては戦えない。戦車は、対策がされていた。胸ポケットを漁って、スマートフォンを取り出すと、画面は沈黙したままだ。核兵器の副産物が、自分たちに被害を与えているとは皮肉な物だ。敵は、影響がないのか。


 そのまま、機体を基地司令部まで移動させていく。地面を掃射したりする事がなかったので、助かったが。向かう機体を止める相手は誰もいない。戦車の弾幕も、対戦車バズーカも全くダメージを与えていないようだ。基地前いくところで、地面が大爆発した。


「おっ」


 もしかすると。だが、佐藤の淡い期待はあっさり裏切られる。敵の機体を追いかけようとする歩兵は、かなり多い。危険だというのに。それを見て、へたりこむ。


「地雷が、効かない!?」

 

 隊員の一人がいう。

 地雷が炸裂して、足を吹っ飛ばせればまだ望みはあった。だというのに、敵のロボットは損傷一つない。手に負えないというのが、佐藤の結論だ。


「…(こりゃあ、隙間とかないと無理だ。けど、バリアの隙間をどうやって確認する? 海に誘導するのか?)」

「よう。生きてたか」


 菅沢だ。同期の、陸士だ。装てん手をやっていた。同様に、生き残ってしまったか。勝てる相手だとは、思えない。


「お前なら、アレ、どうやって攻略する?」

「俺かー。アレなあ。ガンダ●でも持ってこねえと無理だろ。実体弾を防ぐわ、遠距離兵器は搭載しているわ、機動性もある。マジ、無理」

「バリアの穴を探せれば…どうにかならないか」

「いや、穴ってでけえ銃を持っているとこが穴だろ。ただ、その穴があってもどうやって相手を仕留める?」

「そこを狙えばいいじゃないか」

「いや、だから。砲弾をどうやって、そこに当てるんだよ。相手は、ミサイルも迎撃するようなとんでもロボだぞ」


 基地からは、煙が上がった。そして、機体が飛び上がっていく。


「高射砲でいいじゃないか。それに、こういう場合って、他に目を持っている物なんじゃないのかい」

「ま、そりゃそうだろうけど。無謀だぜ、こりゃあ日本終わったな」

「諦めるの早すぎない?」

「だってよ。核が通用しない相手だぜ。どうすんだよ。それに、俺らと戦って歩兵を掃除してねえ。って事は、無駄な殺戮とか嫌いな相手なんだろ。核兵器を防いだ時点で、あっちのがまだまともに見えるわ」


 ええっとなった。菅沢も核兵器を撃った相手が憎たらしくなっているらしい。もちろん、攻めてきた相手は憎たらしいけれども。諦めるという言葉がある。


「俺の携帯が使えなくなっちまってんだろが! ふざけんなよ。PC、データ、全滅してんじゃねえの。家電とかどうしてくれんのよ」

「そっちかよ」


 菅沢は、一人者で佐藤も一人者だった。家に残してきたPCのデータを消去する必要が無くなったと思っていたのだが。大事なデータが飛んだとなれば、一大事だ。生きているので、考えなければならない。戦車が会った場所に戻ると。そこには、逃げ出した戦車の砲手と操縦手がいた。

 いたたまれない。


「戦車長、死んじまったか」

「無理だってわかったら…なあ」


 それでも戦車長は、職務に実直だったのだ。悲しい。

 

「現実感が、全くない、な」

「ああ。いきなり、だもんな。昨日までは、ビールやら飲んでいた友達が、死んでるんだぜ。たまらんよ」

「嘘」

「嘘なもんか。先頭を切った奴らは、全滅した。それで、遮蔽物に隠れていたけど。歩兵で対応した方が、まだ効果的に当てられたっていう、のな。ライフル持って、間近まで接近したけどさ。戦車からっぽでライフル撃ってた隊は、生き残ってな。戦車に乗ってたのは、全滅した。バズーカも携帯型の地雷も試した。全く、効かなかったぜ…」


 敵が、強すぎる。なぜ、日本に攻めてきたのか。携帯やスマフォが使えなくなったということは、テレビもつかない可能性が高い。仕事を考えても、先が見えない。

 菅沢は、うろうろしだした。


「水を探す、か」


 頷く。

挿絵(By みてみん)

ロシナンテ・アインゲラー

ミッドガルド王国赤騎士団団長。魔導機に搭乗。機体名はロートヴァント。

強力無比な光学兵器を使う。高機動と高火力を兼ね備えている。

挿絵(By みてみん)

弱点が見当たらない。が、乗っている人間が馬鹿っぽいのが弱点か。



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